ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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久々の投稿!
ちょっとのんびりしすぎたけどおかげでめっちゃ話が溜まった♪


第10話 研究所ってヤバいもの作ってそう

アイリ「あたしが暮らしてた孤児院の人がくれた初めてのキャンディ、それはヴェルタースオリジナルで、その時のあたしは4歳でした。 その味は甘くてクリーミーで、こんな素晴らしいキャンディーを貰えるあたしは、きっと特別な存在なのだと感じました。 今ではあたしがあげる側、リョウさんにあげるのは勿論ヴェルタースオリジナル。 何故なら、彼もまた特別な存在だからです」

 

どこか安心感を感じる優しい口調で唐突に呟き、スカートのポケットからクリーム色の小さな袋を出しリョウに手渡した。

リョウは半強制的に渡された袋を受け取り袋を破くと、中にはクリーム色のキャンディが入っていた。

 

リョウ「台詞を聞くからにヴェルタースオリジナルのキャンディだと思ったよ。 家にあったのか?」

 

アイリ「そうだよ~。 フォオン様ったらネタが分かってるのか知らないけど良く準備してたよね。 あっ、4歳の時に食べたのは本当だからね」

 

リョウ「頗るどうでもええわ」

 

瑣末な事を言うアイリに対しリョウはわざとらしく素っ気ない態度を取り、貰ったキャンディを口に放り投げた。

アイリは冷たい態度をとるリョウに向けて『にらみつける』を発動させるが、見ていなかったため全く効果がなかった。

ツッコミが来ないので諦めたアイリは再びポケットを探り、2つのキャンディを取り出した。

 

アイリ「ラミエル君とムッキーもキャンディ食べる?」

 

睦月「おぅ! 甘いものは乙女の味方だぜ!っつーかまたムッキーって呼んでるじゃねぇか!」

 

ラミエル「俺に関しては『君』が付いてるな」

 

アイリ「その方が親近感が湧くかなぁって思ったんだけど、嫌だったかな?」

 

ラミエル「いや構わねぇよ。 特に呼び方なんて気にしてねぇし、好きにしろって」

 

ラミエルは受け取ったキャンディの袋を直ぐ様破り中身を口に放り投げ、自分に発言した事が気恥ずかしかったのかアイリから目線を反らした。

 

アイリ「じゃあ好きにするね♪ じゃあリョウさんのことも『君』って呼ぼうかな?見た感じ同い年に見えて親近感が湧くから」

 

リョウ「かまわんよ。ラミエルと同意見やから」

 

アイリ「うん分かった! じゃあ今度からお猿さんって呼ぶね!」

 

アイリが発言した台詞を聞いた途端穏やかだったリョウの態度が一変、鬼瓦の様な悍ましい顔へと変化し隣にいたアイリの後頭部に向けて握りしめた拳をお見舞いさせた。

 

アイリ「ぺろっぱふ!? いったーい!」

 

リョウ「次またわしのことをお猿さんって呼んだらぶん殴るからな」

 

この場の誰もがもう殴ってます、と言いたいところであったが、下手な事を言えば二次被害をくらい兼ねないので誰もが発言を控えた。

アイリは殴られた箇所が未だに痛むのか、涙目で後頭部を摩っていた。

その様子を見ていたラミエルは苦笑い、睦月に至っては腹を抱えて笑っていた。

 

ガブリエルと別れ洞窟を進み続けて十数分と経つが、未だにフサキノ研究所には辿り着けずにいた。

壁や地面に点々と設置されたライトの小さな灯りが周囲を照らしているが、それでも視界を十分に照らすには心許なく、躓かないよう細心の注意を払いながら足場が悪い洞窟を歩いていく。

重要な事がなければ立ち入ることのない洞窟、グニパヘリルには人気が全くと言って言い程なく、互いの歩く足音だけが響き、どこか不気味さを感じさせる。

ガブリエルが結界を張っているため一般人や不届き者、悪魔といった輩や天使までもが立ち入ることはないため最も安全な場所とも言えるが、誰もが望んで食料も水もない沈黙が支配する薄暗い洞窟に居住しようとは思わないであろう。

 

ラミエル「随分と長いな。 こんなに長い洞窟なんて聞いてねぇぞ」

 

睦月「確か全長は約1㎞はあったはず。 資料に書いてあった話によると、約1000年前に突然なんの前触れもなく現れた洞窟らしい。 洞窟を作り出した張本人は恐らくフサキノ研究所の所有者であるシロウ・フサキノっていう人間らしいぜ」

 

ラミエル「人間がこの洞窟を作りやがったのか。 無駄に長いっての。 っつーか何で人間が天界に来ることができたんだ?」

 

リョウ「天使達がE資源と呼ぶエネルギーを無限に増殖できる機械を作り出す程のテクノロジーと知識を供え合わせてるんだから、世界を渡る機械を作れたとしても不思議ではない、かもしれへんな」

 

アイリ「もしかしたら22世紀の猫型ロボットも作れたりするかもだね! タケコプターとか…ん?」

 

アイリが急に足を止め後ろを振り向いた。

彼女の異変に気付いたリョウ達も足を止めた。

 

ラミエル「ん、どうしたんだ?」

 

アイリ「後ろから何か感じる。 何だろう…リリスの時に感じたのと同じような感覚。でもそれより小さい何かを…」

 

いつになく真面目な表情で語るアイリを見たリョウは、アイリ自身の能力で感付いたものと推測し後ろを振り向くことなく警戒した。

 

睦月「みんな、このまま進むぞ。 研究所の入口前には拓けた場所があるみてぇだから、そこで方をつけようぜ」

 

睦月はホルスターから愛用の銀の拳銃、ピースメーカーを抜き撃徹を上げ何時でも射てる準備をする。

 

早足で進むこと更に数分すると、数多のライトで照らし出されたフサキノ研究所が姿を現した。

睦月が言ったように入口前は大きく拓けてあり、研究所の入口の隅の方には物資を運ぶために造られたであろう浮遊型のトラックが並べられてある。

入口である扉には1~9までの数字が記されたボタンがあり、パスワードを入力し開く仕組みであることが目に見て分かる。

 

睦月「7桁の数字を打ち込むことで開くようになってる。 アイリ、お前がパスワードを入力してくれ。 その間に俺達は後ろを片付けておくからよ」

 

アイリ「アラホラサッサー!」

 

睦月はパスワードが書かれたメモを手渡し、もう片方の腰に装備してあるホルスターからもう一丁のピースメーカーを抜き銃弾を込めて構える。

 

リョウ「敵は7時方向、少しずつ近付いて来てるのがわしでも分かる」

 

リョウも懐からマグナムを引き抜き、いつ何時でも狙撃できる準備をする。

 

睦月「オッケー。 撃つときができたら合図頼むぜ」

 

リョウ「おう。 っと、もう来たな。 行くぞ………今っ!」

 

合図と共に二人は後ろを向き引き金を引いた。

洞窟内だけあって音が響き渡り耳を劈く様な銃声と、銃から出た薬莢が地面に落ちる音が残響する。

二人によって狙撃された何かは既に息絶えており横たわっていた。

その存在はリョウや天使達が良く知る魔の存在であるヘルハウンドだった。

 

?「おや、バレてしまいましたか。 一人でも傷を負えれば良かったのですが、残念な結果ですねぇ」

 

リョウ「その声は、ベレトか!」

 

声に答えるかのように岩陰から昨日アイリとリョウを襲撃したベレトが姿を現し、続くように周囲の岩陰から悪魔兵とヘルハウンドが次々と現れた。

リョウ「何故グニパヘリルに入ることができたんだ?」

 

ベレト「結界を解いた一瞬の隙を付き入ることができたのですよ。 初めからあなた達を付けて来た甲斐がありましたね。 そのお嬢さんがシェオルから出れば私達は忌々しい光の力に気が付くことができるのでね。 迂闊に行動すれば命取りになりますよ」

 

アイリは悪魔達に常に監視されているかは定かではないが、シェオルの街を離れると感付かれてしまい危機が増してしまうようだ。

リョウは危機感が薄かったという自覚をしてはいないが、悪魔達にここまで見透かされているとは思いもしなかったようで、連れてくるべきではなかったと後悔はしていた。

 

だが今は自省している時ではないと承知しており、左手に銃を持ち右手でアルティメットマスターを引き抜いた。

 

睦月「金魚の糞みたいに付いてきてゴキブリみたいに入り込んでくるんだなぁ悪魔ってのは」

 

ベレト「口を慎んでいただけますかな人間。 あなた方の様な下劣な存在には口の聞き方を教えてあげた方がよさそうですね」

 

リョウ「やれやれ、散々な言われようやな」

 

睦月「その下劣な存在にやられる気分を今から味合わせてやるぜ! 弾け飛んでも文句なしだぜ!」

 

睦月はベレトに2つのピースメーカーの銃口を向け引き金を引き銃弾を放つ。

ベレトはフルーレで銃弾を弾くように切り裂き後方へ跳び下がり、悪魔兵達が前に出て個々がそれぞれ武器を持ち、ヘルハウンドは牙を剥き出し一斉に襲い掛かって来た。

 

襲い掛かると同時にラミエルが真っ先に動き、電撃を溜めた拳を構え走り数人の悪魔兵をラリアットをするように殴り飛ばした。

ラミエルに続くようにリョウも駆けだし、アルティメットマスターを振るい悪魔兵の武器を払い除け隙ができたところに銃を射ち込み倒していく。

睦月はその場で動くことなく2つの拳銃を構え、相手を錯乱させる素早い動きを続けるヘルハウンドの額を的確に射ち抜き倒していく。

素早い動きのヘルハウンド達へ放った弾丸の全てが頭部に命中し、更に自分へあらゆる方向から接近しつつあるヘルハウンド達をレーダーの様に的確に視野に捕らえ、一発も外すことのない完璧な狙撃を繰り広げていた。

 

自らの生まれの世界での経験と、時空防衛局で鍛え上げられた銃の腕前は相当なのが見て取れる。

 

睦月が使用する銃はピースメーカーと言う装弾数が6発のリョウが使用するのと同じく回転式拳銃で、弾が切れれば当たり前だが弾を装填しなければならないのだが、不思議なことに、睦月が何発も銃を射ち続けているにも関わらず、弾が切れることはなかった。

 

アイリ「ムッキーさん凄い! 全部の弾が命中してるよ!」

 

リョウ「アイリ! まだパスワード打ててないのか!」

 

アイリ「打ち込みたいんだけどメモしてある文字が掠れて読めないの! 読みずらかったから何となくで打ち込んでみたけど駄目だったし…」

 

リョウ「なんて打ち込んだんだ?」

 

アイリ「『7538315』です!」

 

リョウ「んなもんで開くわけないやん! パスワードは、『0451028』や!」

 

悪魔兵の攻撃を防ぎながらパスワードを分かりやすいようにゆっくりと丁寧に言うと再び戦闘に戻る。

アイリは教えられたパスワードを呟きながら入力していき最後の数字を打ち込むと、扉が淡い緑色にの光に一瞬輝き、真ん中が割れるように開いた。

 

アイリ「おー開いた! この扉の奥にはもう一つの世界が広がってるんだ!」

 

ラミエル「アホな事言ってないでさっさと行くぞ! 『エレクトリックブラスト』!」

 

電撃を纏った突風を放ち周囲の悪魔兵を吹き飛ばしリョウと共に扉の前へと向かう。

 

ベレト「扉が開く瞬間を待っていたんです! 今回は私はもう一つ成すべき事があるのですよ! 『レッドメテオ』!」

 

後方へ下がっていたベレトが身体中に赤いオーラを纏わせ流星の様な速さで悪魔兵達を巻き込むのを気にもせずフサキノ研究所の入口目掛けて飛んできた。

睦月はベレトへ銃を放つが、銃弾を全て弾き無視するように通り抜けリョウとラミエルを通り抜け様に殴り飛ばしフサキノ研究所の中へ入って行った。

 

アイリ「一番手なんてさせないよ!くらえー! 『ストレートアロー』!」

 

ガーンデーヴァを召喚し黄金の光の矢を力強く引き放った。

高速で迫る矢をベレトはいとも容易く避け赤いオーラを纏ったまま長く続く廊下を進んで行ってしまった。

 

リョウ「不味いな、先に入られてしまったか。 あいつに機械を触る技術力があるかどうかは知らんけど、どっちにしろ不味い状況だ」

 

ラミエル「どういうことだ?」

 

リョウ「さっきもう一つ成すべき事があると言ってたやろ? あれは恐らくこの研究所でE資源を製造されている機械の破壊だ。

機械が壊れれば勿論E資源は製造されなくなる。 そうなるとシェオルに送られる資源が絶たれ都市機能が動かなくなり生活に支障をきたす。 街を動かすための原動力を失い絶たせ天使達の勢力を着実に落とそうとしているんだ」

 

ラミエル「やべぇじゃねぇか! さっさとあの野郎を追わねぇと!」

 

悪魔兵「簡単には通さないぞ!」

 

残っていた悪魔兵が槍を持ち襲い掛かってきたが、リョウはアルティメットマスターで斬り落とし機械となっている右足を前に突き出し悪魔兵の顔面を蹴り飛ばした。

 

リョウ「先に行け、追っ手でこの悪魔兵が来たら面倒やろうから片付けとくわ。 マップはあるんやろ?」

 

睦月「ちゃんと持ってるぜ。 じゃあここは任せるぜ、世界の監視者さんよ」

 

アイリ「リョウ君…無茶だけはしないでね。 絶対後でハンターみたいに追い掛けて来てよね!」

 

リョウ「超スピードで追いかけてやんよ。 はよ行け」

 

アイリ達はその場をリョウに託しベレトを追うため走りだした。

リョウは悪魔兵を研究所へ入れさせないよう入口の目の前に立ち塞がった。

 

「馬鹿な奴だ、世界の監視者だろうとこの数は難しいだろう?」

 

悪魔兵の周囲の宙にはいつの間にか約50㎝程の体長の小柄な悪魔の様な容姿をした存在が数十という数で羽ばたいていた。

グレムリンという名前の悪魔達に遣える妖精で主に戦闘のサポートをしており、悪魔兵が何時でも召喚できる使い魔のような存在。

生き残っている悪魔兵やヘルハウンドも多く、数の暴力でリョウを捩じ伏せようとしていた。

 

リョウ「調子に乗ってるところ悪いけど全く危機的状況ではないんよ。 雑魚は雑魚、どれだけ束ね群れたところで強大な力にはなりえない。 どっかの漫画やアニメじゃないんや、仲間がいたり戦闘途中から加勢したからって勝てるわけやない」

 

「貴様! 悪魔の力を侮っていると痛い目に会うぞ!」

 

リョウ「人間の力を侮っていると痛い目に会うと言いたいところやわ。 …甘く見すぎなんだよ蛆虫供が。 油断が死を招くってことを身を持って知れ」

 

リョウ本人も気付かないうちに声のトーンが落ちており、殺気に満ちた目で悪魔達を睨み付ける。

左手に持っていた銃を懐へ戻しアルティメットマスターを両手で持ち金色のエネルギーを溜め始め体からも白い粒子状のエネルギーが立ち込める。

 

リョウ「さぁわしを倒し通ってみろ。 それだけでかい口を叩くくらいの威勢があるんやから勿論倒せるんよね?」

 

悪魔達はリョウから向けられる殺気に満ちた目と得体の知れぬ力に恐れ足が竦み動けずにいた。

 

異常とも呼べる、人間とは思えない殺意やあらゆる負の感情が籠った冷酷無残な眼差し。

 

悪魔達は武者震いではなく心の底から目の前にある恐怖に怯え震えていた。

ヘルハウンド達も唸り声をあげていたが、今では声一つあげることなく後方へ少しずつだが下がり始めている。

 

リョウは口角を上げ地を蹴り高速で接近しアルティメットマスターを振るった。

洞窟内には悍ましい悪魔達の悲鳴が響き渡り木霊が響き渡った。

 

 

~~~~~

 

 

ラミエル「しっかし広いし部屋の数も多いな。それに…」

 

何百年という気が遠くなるような間、老朽化はしてはいないが、無人だったためか整備がされておらず砂埃が目立つ廊下をベレトを追うために走り進んでいた3人だったが、それを阻む障害物に当たってしまっていた。

 

ラミエルは現在、自らに向け射たれているレーザーを避けていた。

横ではアイリと睦月も同じような状況に陥っていた。

 

ラミエル「何で俺達は攻撃されてるんだよ~!」

 

睦月「研究所の防犯システムが発動してるみたいだ! 以前天使達が調査したときに防犯システムは切っていた筈だったんだが、こればっかりは分かんねぇ!」

 

アイリ「こんな攻撃、そうめんみたいなもんだよ! あたしの回避力をなめないでよね! ひぇ~!」

 

3人の周囲には鳥程の大きさの菱形の物体が多数浮遊しており耐えずレーザーを放ち続けている。

遠距離戦を得意とする睦月がピースメーカーを使い銃弾を放ち浮遊物体を射ち落としていたが、回避行動を行いながらの銃撃は厳しいのか、悪魔兵の時とは違い全弾命中というわけにはいかなかった。

 

アイリ「これが発動してるってことはベレトも足止めをくらってるんじゃない?」

 

ラミエル「だといいだがな。 こうも沢山いると厄介だな。 …巻き添えくらわすからあんまし使いたくはないがやむを得ねぇ、アイリ、睦月、伏せろよ!」

 

避ける動作をやめその場に止まりレーザーが体に直撃するのも気にもせずラミエルは両手に電気を溜め始める。

アイリは嫌な予感がしその場に踞る様にしゃがみ込み、睦月もアイリの真似をするように慌ててしゃがみ込んだ。

 

ラミエル「『エレキトリックフラッシュ』!」

 

両手を勢い良く降り下ろし床に拳を着けると、拳から電撃がドーム状に展開され広がっていき浮遊物体に電撃が直撃し吹き飛ばされ壁に激突し爆破していった。

3分の2以上の数の浮遊物体が破壊され行く手を阻むものがなくなったのは良かったが、放たれた電撃は走っていた廊下全体を覆い尽くしていたため、踞り攻撃を避けようとしていたアイリと睦月にも命中してしまい身体中が電撃により痺れ倒れてしまっており動けずにいた。

 

ラミエル「だからやりたくなかったんだよなぁこの技。 おーい、大丈夫か~?」

 

睦月「て、てめぇ、お、覚え、とけよ…!状況を、打破する、には丁度いいけど、よ…俺達が、こうなっちゃ意味ねぇ、だろうがよ!」

 

アイリ「シビレビレ~」

 

睦月は痺れているせいで滑舌が上手く回らずアイリは目を回していた。

 

ラミエル「あっはは…悪い悪い。 他の浮いてるレーザー射ってくる小さいのは俺が引き受けとくから、痺れが治ったら追い掛けて来てくれよな。 それじゃお先にだぜ~!」

 

ラミエルは浮遊物体の囮となるよう前に出ると、浮遊物体は思惑通りにラミエルを集中的に攻撃し始めた。

攻撃し始めたのを確認したラミエルは翼を広げ飛び立ち浮遊物体をアイリと睦月から離すために奥へと進んで行った。

 

ラミエルが離脱し暫く経った頃、痺れが治まってきた睦月は漸く立てるようになった。

 

睦月「う、うぅ…やっと痺れが治まってきた。 ったく、手荒な真似してくれるぜ。」

 

アイリ「手荒だけどラミエル君っぽいやり方だよね。 あたし達を痺れさせちゃったのはあれだけど、動けないあたし達に被害を与えないために自分を犠牲にするのは優しいよね」

 

睦月「犠牲になって仮に死んじまったら意味はねぇけどな…。 まぁそんな事にはならないって俺は信じてるから大丈夫だろ。

さぁ、俺達も先を急ごうぜ」

 

睦月はピースメーカーを戻しやっとの思いで体を起こしたアイリへ手を伸ばした。

アイリは睦月の手を取り起き上がり服に付いた砂埃を払った。

睦月は後ろの腰にあるポーチに手を伸ばし中からポーチに納まりきるとは思えない大きさのアサルトライフルを取り出した。

マジシャンが披露する手品のようなものを見てアイリは目を輝かせ拍手した。

 

アイリ「今のどうやって出したんです?」

 

睦月「俺の能力ってやつかな。 ちょっとした魔法で、このポーチの中身は俺が時空防衛局で保管してる武器庫と空間が繋がってていつでも俺が思った武器を取り出すことができるんだ。 因みに射ち続けてても弾がなくならないのも魔法だ。 弾がなくなれば自動で装填される魔法がかかってる。 まぁこれは俺の魔法じゃなくて俺と同じ部隊に所属してるメンバーの魔法を俺の銃やポーチにかけてもらったんだけどな」

 

アイリ「サバイバル界にとってはチートすぎる能力だ…。 ジルやバレンタインも涙目だよ」

 

睦月はアサルトライフル、M4A1カービンのセレクトレバーをフロートにし連続発砲が可能な状態にした。

リボルバーでは確実に一撃で落とせないと判断した睦月は威力と弾数があるアサルトライフルを厳選したのだ。

 

睦月「ラミエルの野郎飛んでったのはいいけど道分かってねぇだろ。 絶対に迷っちまうぞ」

 

睦月は浮遊物体に破壊されないよう納めていた地図のデータが保存されてある手の平サイズの円い形状をした機械をポケットから出し映し出された画面を見て行くべき道を探る。

 

睦月「この先をちょっと進んだ部屋に入って違う廊下に出れば近いみたいだな。 注意を払いながら行くぞ」

 

アイリ「サーイエッサー! ムッキー、一応聞いとくんだけどセレクトレバーをフロートにしたのってネタ的に狙ってやったの?」

 

睦月「脳天射ち抜くぞてめぇ?」

 

 

~~~~~

 

 

ラミエルside

 

 

蚊みたいにうろちょろしてて面倒だったけどやっと片付いたぜ。

戦闘はちょっとしかしてねぇんだが疲れてきたぜ。

何せ昼前から2時間以上やりたくもない他人の庭の整備をさせられてたんだからよ。

自業自得だから仕方ねぇし反省もしちゃいるけど、リョウも少なからず荒らしてたんだから手伝ってほしかったぜ。

後で抗議してやるぜ!

 

ラミエル「さてと…どうすっかなぁ。 はぐれちまった挙げ句、適当に飛び回ってたから帰り道も分かんねぇと来た」

 

完全に迷子になっちまった。

流石に子供みたいに泣き喚くことはないが未知の場所で一人なのはヤバいかもな…。

何が起きるか分かったもんじゃねぇが、こうなったら適当にでも進んで行くしかねぇ。

考えるよりは行動あるのみ、直球一本槍で行かせてもらうぜ!

とりあえず俺の勘を頼りに右隣にある部屋に入るとするぜ!

 

ラミエル「なんだここ? 真っ暗じゃねぇか…薄気味悪いな。 おーい、誰かいるのか~?」

 

部屋の中は暗くて何も見えねぇ。

現実世界の映画で見たことある、真っ暗闇の中から突然ゾンビが出てきたりするやつだ。

とりあえず電撃溜めとくか、念のため。

 

?「久々ノ客カ、イヤ、侵入者カ?」

 

ラミエル「うおっ!? 誰だ!」

 

ビビって思わず変な声が出ちまったぜ。

暗かった部屋に電気がついて明るくなってさっき聞こえた声の主も見えたのはいいけど、雰囲気がいかにもヤバいって感じだな。

 

?「我ハ博士ト研究所ヲ守護スル『エンジェロイド』、Typeβ(ベータ)。 名ハナイノデベータト呼ンデモラッテカマワナイ」

 

なんか聞き取りづらい声してるなぁ。

こういう機械みたいな声聞いたことあるな。

現実世界で出回ってるバーチャルアイドルみたいな感じだな。

 

ラミエル「俺は侵入者なんかじゃないぜ。

ちゃんと四大天使や時空防衛局とやらからも許可を取ってきたんだからよ」

 

ベータ「証拠ハアルノカ? 証拠ガナケレバ問答無用デ撃退サセテモラウゾ?」

 

おいおい、空中に紋章みたいなの出して中からメカニカルな太刀出してきたぜこいつ。

証拠なんて俺が持ってるわけねぇじゃねぇか。

持ってるとしたら睦月くらいだろ。

しかし参ったな、明らかに殺る気まんまんだよ。

下手な返答したら即攻撃を仕掛けて来るだろうな。

 

ベレト「おやおやお困りのようですね、電気を操る天使君」

 

ラミエル「なっ!? てめぇいつの間にこの部屋に!?」

 

ベレト「落ち着きたまえ、そう熱くなるな。 お互いこの機械の人形に狙われている身ではないか」

 

ベータ「パターンヲ確認、悪魔ト断定。抹殺スル」

 

ベレト「私を悪魔だと分析できるところを見ると無駄に性能はいいようですね。 所詮は機械の人形、私に挑んだところで勝てるわけがないというのに」

 

なんだ俺が戦わずに済みそうだな。

じゃあ俺はこのベータとかいうのと協力してベレトをぶん殴ればいいってことか。

 

ベレト「戦いたいところですが無駄な体力を消費したくはないので、機械の人形には天使君が相手になってあげてください?」

 

ラミエル「は? ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」

 

ベレト「ふふふふ…面白いことをしてあげましょう」

 

野郎飛んでベータに近付いて何する気だ?

ベータは冷気を含んだ太刀を振るい続けてるみたいだけど全部避けられてるな。

 

ベレト「やれやれ、古代から存在していたエンジェロイドとはこの程度の実力とは、少々拍子抜けですね。 『クレイジーマインド』!」

 

ベータ「貴様、何ヲ、ガアアアアアア!!」

 

ヤバそうってのが直感で分かるぜ。

止めに入った方が良さそうだな!

 

ラミエル「いくぜ! 『雷拳』!」

 

ベレト「もう遅いですよ。 では私はこれにて失礼しますよ、御武運を祈っていますよ」

 

くそ、逃げ足だけは凄まじく早い。

ベータを突き放したと思うと俺が入ってきたのとは別の扉から出ていきやがった。

俺は方向転換して追おうとしたんたが、ベータの体に異常だったんで立ち止まった。

ベレトに触れられたベータは俯いていて赤い電撃みたいのがびりびりと走ってる。

腕もだらりと下がってて雰囲気もヤバい。

 

ベータ「侵入者、排除スル! 抹殺スル!」

 

警戒して後ろに下がってて良かったぜ。

ベータは殺意が籠められた目で俺を睨み付け太刀を思い切り降り下げてきた。

床に当たるとその場は凍り付く。

もし俺があの場にいたら足から徐々に凍り付いていたかもしれねぇ。

これは見たところ、あれか?

たぶん操られちまってるのかな?

口で言っても通用するような相手じゃねぇだろうし、ここはぶん殴ってあいつの呪術を払うとするか!

 

ラミエル「正面突破あるのみ! 拳で語り合おうぜ!」

 

 




そろそろ自粛疲れが出始めた今日この頃
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