おさまってくれよ(切実)
家で大人しくゲームするのが一番ですね
睦月「道は複雑だし、敵は次から次に沸いて出てきやがるな!」
アイリと睦月の二人の行く手を阻む更なる刺客に睦月はアサルトライフル、M4A1カービンの銃口を前に向け射ちながら苛立ちながら叫んだ。
レーザーを放つ浮遊物体とは違い一般男性と同等の身長のロボットだ。
表情を一切変えず感情のない目で二人を捕らえ刃がレーザーの様な光で構築されてあるナイフを手に持ち集団で迫ってきていた。
アイリ「あわわわ、これがリアルターミネーターなのかな」
睦月「アホなこと言ってないでお前も弓を射れ!」
アイリ「う、うん! アシタカヒコ並の腕前を見せるときだね!」
ガーンデーヴァを手に取り光の矢をロボットに向け放つ。
アイリの思い通りに額の中心に命中しロボットは悲鳴を上げることなく地面へ倒れ伏した。
後方から続々と行進してくるロボット達は射たれ倒れたロボットを踏み潰しながら接近してきており、中には小型の銃を所持している者まで現れ、ナイフを持ったロボット達の前に出て一斉に引き金を引きレーザーを射ってきた。
全方位から放たれるレーザーを二人は対応しようにも障害物がない廊下には盾となる物は何もなく、直撃は免れないと思ったアイリはガーンデーヴァを強く握り締め目を瞑った。
握り締めていたガーンデーヴァが光り始め、まるで持ち主であるアイリを守るかの様に矢の放たれる中心部分を覆っているオーロラ状のドームが広がりバリアとなりレーザーを全て防ぎきった。
睦月「便利なもんだな、バリアも張れるのか」
アイリ「へっ…お、おー! ホントだバリア張ってるよ! 凄いよガーンデーヴァ! 接近戦も遠距離戦もできてバリアまで張れるなんて万能すぎだよ~♪」
睦月はちゃっかりバリアが展開されたと同時にアイリの後ろに隠れていたためレーザーに直撃することはなく、相手の攻撃が緩んだ一瞬の隙を逃さずアサルトライフルでロボット達を射ち抜いてゆく。
アイリ「この状態でもきっと射てるよね。
いっくよー、『ストレートアロー』!」
アイリの放った矢は先頭にいたロボットに直撃し後方にいたロボット達を貫通していき長い一本道が作られた。
睦月がアイリの前に出て走り出しポーチから二丁のサブマシンガン、FN P90を取り出し片手でそれぞれ持ち銃口を真横に向け射ちながら作られた道を走り抜ける。
銃弾を受けた残されたロボット達は次々に倒れていき道を阻む者はいなくなった。
睦月は慣れた手付きで銃を指で回しポーチに入れた。
アイリ「わぁーお、ムッキー凄い…。 あれだけの数をもう全部倒しちゃったよ」
睦月「これくらいの数の相手なら余裕だっつーの。 他の世界でこれの何百倍もの数の相手をしたことがあるからな。 勿論結果は俺の勝ちだったぜ!」
睦月は鼻を擦りながら笑顔で自慢した。
アイリ「ムッキーって一体どれだけの修羅場を潜り抜けてきたの…」
睦月「軍隊に所属してて戦争に行ったりスパイしたり潜入工作員したりしてたからなぁ」
アイリ「わぁーお、伝説の傭兵もびっくり仰天だ」
睦月「だろ~? さぁ、無駄話してたら時間がもったいないぜ、先に進もうぜ」
睦月は円い形状の機械を再び取り出しマップを展開させ行くべき道を歩き始める。
アイリはガーンデーヴァを持ったまま睦月の横に付き添うように歩く。
アイリ「ムッキーって色んな世界を巡って戦ってきたんだよね? やっぱり戦うなかで辛いこととかあったりしたの?」
睦月「あぁ、そりゃ幾らでもあったさ。 本当に、数えきれないくらいにな…」
睦月は表情には出さないものの、目には様々な感情が籠っていた。
睦月の生まれ育った世界では、国同士の戦争が絶えず行われており政治や経済も録に機能していない、貧民が蔓延る過酷な状況にある世界だった。
街の至るところには職を求める者達が溢れ帰り、家も銭もない者達は飢えを凌ぐため強盗や万引きが繰り返し行われていた。
この有り様を解決しろと国民はデモを行い、徐々に悪化していき暴動へと変わり、人々の心は国への憎悪と憤怒の念に染まり互いが互いを信じず潰し合う争いが起き、生きる手段として強盗等の犯罪を犯すことで新たな争いを生み、国同士ならず国内で紛争が起き自らの首を絞めている様な状況だった。
そんな過酷な状況の中で当時8歳だった睦月は両親に育てられていた。
小さいながらも住む家もあり父親は職にも就いており財産も少なからず暮らしていくには申し分ない程はあったので、この世界に暮らす者にしては裕福な暮らしだった。
周囲では絶えず争いが起こり続いてはいたが、家族同士が互いに手を伸ばし支え助け合いながら笑顔で暮らす日々を過ごしていた。
だが、他愛もない日常は突然崩れ去ってしまった。
家に強奪が入り、抵抗した両親は殺されてしまったのだ。
睦月は身を潜めていたものの、最終的には強盗に見つかってしまい命からがら捕まることはなかったが、相手が拳銃を手にしていたのが視界に入り、逃走は不可能だと察した。
恐怖に怯えながらも父が所持していた拳銃を取り、強盗を射ち殺すことにより難を逃れた。
その後、睦月は悲しみに暮れながらも厳しい環境にあるこの社会の中を延々と一人孤独に過ごした。
数年の時が過ぎ、14歳になっている時にはその若さで軍隊に入隊していた。
睦月は両親が殺されて以来、父親の形見でもある銃を肌身離さず所持していた。
自身に危機が迫る時にだけ使用し、銃を扱うのには嫌でも慣れてしまっており、偶然拳銃を使用している場面で睦月の銃の腕前を見た軍の上層部の人物がスカウトし入隊することができた。
睦月も軍隊に入隊したのには理由がないわけではなかった。
両親を殺したのは紛れもなく強盗だが、このような状況を作り上げてしまった、この腐りきった社会を変えるため武力を手に入れ戦争を終わらせようとしていた。
訓練を積み、戦場へ駆り出され敵となる人間を何人も殺したくなくても殺していった。
目の前で何人もの人が死んでいき、仲間でもある見知った人間も死んでいく様を見て何度も気が狂いそうになっていたが、全て気力で心の奥底へ感情を無理矢理押し込め理性を保てていた。
更に年月が経った頃には、睦月達の活躍も虚しく戦争には敗れ国は現在以上に状況は悪化し、安定する兆しはなく絶望的で最早国と言えない様な有り様になってしまっていた。
国を救えず何も変えられなかった己の無力さに睦月は絶望し、軍を辞め再び一人目的もなく途方に暮れ過ごすようになった。
戦争は終わるどころか更に悪化していき、世界そのものが終末の時を迎えようとしている地獄と化してしまった。
そのような世界に、突然異世界からやって来た時空防衛局と呼ばれる人々が降り立ち地獄と化し死にかけていた世界に恩恵をもたらした。
全ての国々を救うという訳ではなく、貧しい者達に最低限の食料を分けたり、小さな争いや国に反対する行きすぎた行動から起こる争いやテロ行為を鎮静する程度だったが、厳しい環境の中を生き続ける者達にとっては神の救いの手が伸びたようなもので誰もが感謝の念を抱いていた。
時空防衛局の活動を知った睦月は時空防衛局員の一人に近寄り自ら時空防衛局に就きたいと願った。
国を救うことも、変えることもできず、絶望していたが睦月は訪れたチャンスを逃すわけにはいかなかった。
軍に所属していても変えることができなかったのなら、あらゆる世界を行き来できる時空防衛局に入り新たな力を得て自らの国を、世界を救え変えることができるようになるため時空防衛局に入ることを望んだのだ。
時空防衛局に無事入ることができた睦月は様々な世界の知識や武術を得て実戦を重ねていき、現在では第一時空防衛役員に配属されるまでに成長し、時間さえあれば自分の世界を少しでも誰もが過ごしやすく改善するために活動を続けている。
睦月は簡潔に自分の生涯を語り説明した。
説明を聞いたアイリは若くして壮大で悲痛な道を歩んできた話を聞き驚愕していたが、心苦しさも感じていた。
アイリ「そんな過去があったんだ…。 ごめんなさい、簡単に聞いちゃって」
睦月「なにお前が謝ってんだよ。 知らなかったんだから仕方ねぇことだし、俺が勝手にペラペラ話しただけなんだから気にすんなって」
睦月は歯を見せニヤリと笑顔を見せた。
アイリはまだ心苦しさが残っていたものの、睦月の辛い過去をも乗り越える強さと相手を思いやる優しさが籠った笑顔を見ると自然と笑顔になっていた。
?「あれ、まだこんなところにいたの?
もっと先に行ってると思ってたんやけどなぁ」
後方から声を掛けられ睦月はリボルバーを瞬時に手にして後ろを振り向く。
銃口の向く先には悠々と歩き向かってきているリョウがいた。
呑気そうにしているリョウを見て睦月は脱力し腕を下ろした。
アイリ「リョウ君! 良かった無事だったんだね!」
笑顔でリョウの側へと駆け寄り無邪気にピョンピョンと跳びはね喜びを表していた。
リョウ「あんな連中にわしがやられるわけないやん。 警備システムが作動してて機械の警備隊が動いてたみたいやけど、アイリはその様子やと怪我とかはしてなさそうやな、良かったよ」
アイリ「あたしがやられるわけないじゃん。 元グリーンベレー(天使初心者)のあたしに勝てるもんか」
リョウ「試してみるか? わしだって元コマンドー(ホルン奏者)だ」
睦月(全然話についていけねぇ…)
リョウ「さて、お遊戯はこれくらいにして、どうやら無事順調に機械がある部屋までは進めてるみたいやな」
アイリ「妨害されたりはしたけど誰も怪我はしてないし進むスピードにしては割りと順調だよ♪ でもラミエル君が敵を引き連れたままどっか行っちゃって何処にいるか分からないんだよね」
リョウ「マジか~。 ここの研究所やたら広いからなぁ。 マップがないと知らない人はすぐに迷っちゃうぞ」
睦月「そうだよな。 マップがないと迷っちまうほどこの研究所は広い。 なら、リョウは何でマップを見ずに俺達がいるこの道まで辿り着くことができたんだ? お前ここに来るのは初めての筈だよな?」
睦月は獲物を狙い睨み付ける猛獣の様な眼差しをリョウに向けた。
気迫のある目をリョウは見つめているが、呑気そうな穏やかな表情は然程変わってはおらず動じてはいなかった。
睦月「ここまで来るには何ヵ所も別れてある道を曲がり、何回か別の道へ出るために部屋に入り別の扉から出る必要があった筈だ。 更には調べないと分からない筈のフサキノ研究所に入るために入り口を開けるパスワードも知っていた。 リョウはフサキノ研究所に関しての事を知っていれば今回の任務を最初に話したときに俺より詳しく話していた。 俺がコア・ライブラリで調べたときにはここ最近ではフサキノ研究所誰について検索した履歴は残ってはいなかった。 天使が用がなければ何十年と立ち入ることのない場所の事を、何でリョウが知ってるんだ?」
リョウ「…世界の監視者だからって理由じゃダメか?」
睦月「まぁその理由なら納得しそうだが、本当なのか?」
リョウ「あぁ。 フォオン様が仰ってたことがあってな。 序でにここのデータを見せてくださった時に偶然マップが目に入ったのを覚えていたんだよ」
睦月「そうなのか? 本当ならいいんだが…嘘だとしたら色々と怪しいからな」
リョウ「怪しいとは?」
睦月「世界の監視者が時空防衛局に無断でコア・ライブラリを使用している、とかな。 若しくは、何十年もリョウが生きてて歳を誤魔化しているから研究所の詳細を知っているかだ」
リョウ「残念ながら二つとも違う。 安心してええよ。 わしは嘘なんかついたりしない。 ここで嘘なんかついたってどうしようもないからね」
睦月「…リョウとは長い付き合いだし、嘘じゃなさそうだな。 嘘をつかれるのは俺は嫌いってのもあったけど、ちょっと不思議に思っただけだったんだ、悪いな」
睦月は軽く頭を下げるとリョウは気にするなといった表情で手を上げた。
一瞬ピリピリとした状況になり強張っていたアイリは緊張が解け安堵の表情を浮かべる。
睦月を先頭にマップを見ながら歩みを進めていき目的地へと目指していると、別の道へ出るためにとある一室へ辿り着いた。
今まで通り抜けてきた部屋の中でも明らかに広く機械音が微小ながら聞こえる。
部屋には幾つもの透き通るような青い液体が入った細長い水槽があり、先程から道を阻んできた人型のロボットが入ってあり体の至る箇所にコードが繋がれ眠っている。
リョウ「ここはエンジェロイドの製造、修理するための部屋だ。 まさかとは思ったけど、まだ稼動していたのか」
アイリ「エンジェロイド? そらのおとしものかな?」
リョウ「名前そのままやけど違うからな。
この研究所の主であるフサキノ博士が作りだした研究所を守護し、世界に危機が訪れた時に戦う防衛ロボットなんだ。 この部屋に保管されてあるのは全部プロトタイプ。まぁ基本研究所の警備、雑用、フサキノ博士の補助をしていた。 さっきからわしらの邪魔してたのはこいつらやな。 あくまでプロトタイプやから完成品ではないけど、数は少なからず中には完成品も存在する。完成品のエンジェロイドにはギリシャ文字で呼ばれていたな。 α(アルファ)、β(ベータ)、そしてε(イプシロン)。 わしが知ってるのはこの3人だけど、タイプイプシロンは数百年前に何者かに破壊されてしまい、残るのはアルファとベータだけになったんだ。 ベータに関しては調整中で、出力が最大まで出せず動ける状態ではなく戦闘はまともにできないはずやから実質完全な完成品としてはアルファだけってところやな。
エンジェロイドの保管されてある部屋は何ヵ所かあるけどアルファとベータはここに保管されていた。 二体がいないってことは、恐らくプロトタイプと同様に研究所内を徘徊してるはず」
睦月「詳しい説明どうも。 誰かに操作されてもないのに動いてるってことは自立型なんだろうけど、何で急に動き始めたんだ?」
リョウ「こればっかりはわしも分からんな。 完成されていたアルファは兎も角、ベータがここに何故いないのかも調べないといけない。 予測やけど調整が終了している可能性が高いんやけど、誰が調整をしていたのかって謎になるんよね。これも予測やけど研究所が未だに無人で稼働しているからそれで調整が終わったんやろうけど。 少し進んだ先に様々なデータが入ってる大型のコンピューターがあるからそれを見れば現在の状況などの情報が記されてるから分かるやろ」
保管されてあるエンジェロイド達がいつ覚醒し目覚めるか予想できない状態、足止めをくらわされると厄介と考えたリョウは説明を終えると足早に扉へと向かうよう指示を出し部屋を退室し通路へと出て歩みを進める。
相変わらず何もない真っ白な壁が続く道を見据え歩みを進めていると、空気が冷たくなっていき足の爪先から頭までブルブルと震える寒さが伝わった。
足元には氷霧が漂い始め周囲は真冬の寒さに包まれていく。
吐く息は白くなっており、一番寒そうな格好をしたアイリは歯をガタガタと合わし鳴らしており体を震わせ縮こまっていた。
アイリ「ななな何なのこの寒さ…リョウ君が駄洒落を言ったときくらいの寒さだよ~」
リョウ「言ったことないっつーの。 施設には冷凍庫の様な超低温で管理されてある部屋は存在するけど通路に流れ込むことなんてない。 空調の故障の可能性もあり得るけど、今回のこの原因は恐らく瞬間冷凍能力を備えられたTypeβの仕業やろうな。起動しているということは、何者かが調整をして稼働可能になったってところやろうな。 警戒しろ、近くにいるみたいや」
リョウはコートを脱ぎ寒さで凍え震えているアイリの肩に被せアルティメットマスターを掴みいつでも抜刀できる構えをとり気を集中させる。
睦月も腰のホルスターからピースメーカーを引き抜き弾を装填する。
気を引き締め廊下を進むにつれ温度は低くなっていき、凍てつくような寒さが徐々にではあるが体力を奪っていく。
冷えきった廊下を進むと、ある一室の扉の隙間から氷霧が溢れ出ているのを発見した。
リョウと睦月は言葉を交わすことなく互いに頷き物音を立てず息を殺し扉へと接近し、自動で扉が開いた瞬間氷霧が一気に部屋の外へ流れ出る。
部屋全体を多い尽くす氷霧で視界が悪く、周囲の状況を僅かながら確認できる程度で奇襲を受ける危険性も充分考えられるが、躊躇うことなくリョウは転がるように勢い良く部屋に入り睦月は部屋に入ると同時に周囲の状況を冷静に瞬時に確認、敵の居場所と次に行うであろう動作を自己分析し銃弾を射ち始めた。
凍てつく空気を切り裂きながら銃弾は進んでいき部屋の中央に仁王立ちしている人物へと被弾した。
?「オ見事デス。 コノ氷霧ガ漂ウ中デ遠距離カラ確実ニ当テテクルトハ。 銃ノ腕前ハ相当ナモノノヨウデスネ」
声がした方向から氷霧が縦に割れ部屋全体が晴れていき、Typeβが姿を現した。
ツンツンした青い髪を青年の容姿をしており、光のない虚ろな目でリョウと睦月を捕らえ右手にある青色の半透明な太刀の切先を侵入者に向け構えている。
リョウ(未完成のTypeβがやっぱり起動しているのか。 わしの予想が正しければ、エンジェロイド達を稼働させたのは恐らく…)
アイリ「寒いよ~。 ホットドリンク飲まないと凍死しちゃうよ。 ん? あれってラミエル君?」
ラミエル「漸く来たかお前ら。 来るの遅すぎじゃねぇか?」
氷霧が晴れたことにより部屋全体を見渡せるようになり、部屋の端にラミエルが腕を押さえ負傷している姿が視認できた。
ベータの技を受けた影響か、ラミエルの体の至る箇所は凍っている。
睦月「わりぃ、邪魔する奴が多くてな。 ここからは俺達も加わるぜ。 ラミエルは下がってていいぜ」
ラミエル「おっと待った、これは俺の勝負なんでな、手出しは無用ってやつだぜ」
アイリ「無茶だよラミエル君! それなりにダメージ受けてるのに一人で相手をするなんて、ゾーマに回復してない状態で挑むようなもんだよ!」
ラミエル「アイリ、バカ言っちゃ困るぜ。
俺はまだ負けた訳じゃねぇんだからよ。 このまま戦いを続けるぜ。 これは俺とこいつの戦いだ、手助けはいらねぇから早く先に行きな」
ラミエルは自らの体に鞭を打つように頬を強めに叩き両方の拳をぶつけ気合いを入れる。
ラミエルは一対一の男の戦い、世で言うタイマンを好む性格だ。
自分の力ではなく手助けされた力では自分は強くならない、成長せず停滞するばかりだと考えている。
己の力のみで目の前に立ちはだかる敵を倒してこそ意味があるという断固たる決意を持ち、越えることが不可能であろうとも呼べる状況を打破する屈強な信念を持っている。
リョウ「アイリ、ここはラミエルに任せてわしらは成すべきことを成すために先へ進もう。 じゃあラミエル、この場は頼んだ」
ラミエル「おうよ、任せとけ!」
アイリ「ラミエル君、気を付けてね」
アイリ達はラミエルにこの場を任せ部屋のもう一つの出口である扉へと走り出した。
ベータは3人を逃がすまいと幾つもの半透明なクリスタルを束ねたような翼を展開させ猛スピードで剣先を向け飛翔する。
睦月は両手に持つピースメーカーの引き金を放つが、ベータは華麗な剣捌きで銃弾を全て斬り落とし特急列車の如く速さで凍てつく空気を切りながら接近してくる。
リョウが機械の右足を勢い良く回し蹴りをしベータの太刀を払い金属がぶつかる軽い音がした刹那、ラミエルが目にも止まらぬ速さでベータの懐に入り込み『雷拳』を放った。
電撃を纏った重い一撃を受けたベータは真横に吹っ飛びアイリ達を通り過ぎ壁に激突し、めり込んだまま微動だにしなくなった。
ラミエル「さぁ、行ってこい!」
アイリ「ラミエル君、かっこいー! あたしにできないような攻撃だったよ! そこにシビれる!あこがれるゥ!」
この程度の攻撃では破壊される程脆くはないと戦っていたからこそ分かっていたためラミエルはその場に残りもう一度構えをとり気を集中させる。
睦月は割りとお気に入りのキャラの一人です