ーアイリside
新しい朝が来た♪
希望の朝だ♪
オッス、あたしアイリ!
さて、サイヤ人ばりに強くなるために今日も修業するよ!
キバっていくぜ!
あたしは今、今日はどんな服装で出ようか絶賛悩み中でございます。
パラガスでごz(ry
やっぱり体を動かすわけだから、動きやすい服装の方がいいよね。
昨日みたいなスカートでも良いんだけど、足が動かしづらかったりするし、パンチラしそうだったりするからなぁ。
あたしのパンツを見てリョウ君が発情しないようにズボンにしておこうかな。
白のハイネックのシャツにベージュパンツの組み合わせで良い感じかな?
戦闘するにはちょっとおしゃれ過ぎるけど…まぁ大丈夫だよね!
顔も洗ったし、髪も解かしてセット完了。
よし、準備はできた。
今日はどんなことするのかな?
ガーンデーヴァを使う弓の射撃練習も良いところだけど、接近戦にも対応できるようになっておきたいところなんだよね。
弓だからどうやっても遠距離攻撃が主体になってきちゃうしね。
あたしはFateに出てくるアーチャーじゃないから接近戦なんてできないからなぁ。
北斗神拳や南斗水鳥拳を学んだりできたらいいんだけど、リョウ君が教えることも使えることもできないだろうし、無理だよね。
それにしても…。
アイリ「リョウ君が持ってるあの力、一体何なんだろ?」
リョウ君が悪魔と戦っている時に時折出していた力が何だったのかが、未だに分からず胸の中で引っ掛かってる。
あたしが持つ光の力でもなければ悪魔が使う邪悪な力とも違う。
言葉に表現できないような力、正直言うと不明瞭な強大な力だから、恐いっていう思いが芽生えてしまう。
リョウ君に恐怖心を覚えてしまうつもりなんかなかったけど、あの力をあたしに向けられたと思うと、背筋が凍りそうになる。
恐怖心 あたしの心に 恐怖心
ー白澤 愛莉ー
うん、あたしにしては良くできた俳句だね。
橘さんも拍手を送ってくれるよ。
(0M0)「ナニイッテンダ!! フジャケルナ!!」
誰かの声が聞こえた気がするけど、きっと気のせいだよねw
リョウ君の力については有耶無耶なままだけど、いつかきっと分かるときが来るって、あたし、信じてる!
アイリ「準備完了! アイリ、いきまーす!」
螺旋階段の手すりを滑り降り、勢い良く扉を開け、地を蹴り翼を広げて空へフライアウェイ。
華麗に空中で一回転し、芝生の上へと両足を真っ直ぐ伸ばし着地する。
こりゃ体操のオリンピックでも金メダルもんだね!
目線の先には腕を組み立っているリョウ君と無邪気に拍手をしているアリスちゃんがいる。
リョウ「来たなアイリ。 さてさてさーて、今日は何をしようかね」
アイリ「はーい先生! あたし接近戦もこなせるようになりたいので、格闘戦術を教えてくださーい!」
リョウ「ほぉ、接近戦をねぇ。 それも戦闘においては大事なところなんやけど、アイリにはガーンデーヴァを使用しての技のレパートリーが少ないから、もうちょい技を増やし磨いた方がええと思うから今日は弓術を中心にやっていくで」
アイリ「ちぇー、接近戦はまた今度か。 まぁ他にも色々技がほしいのは事実だし、そうしよっかな!」
ということで、ガーンデーヴァを召喚!
ターンエンド!
アリス「へぇ~、これがあの伝説の弓か~。 噂には聞いていたけど、見るのは初めてだよ」
リョウ「アイリ的にはどんな技を繰り出してみたいとか候補はあるん? あれば頭の中で想像して試してみ」
お、また頭の中で妄想、じゃなくって、想像するかんじなんだね。
任せといて~。 あたしは想像するのは得意なんだから!
よし、始めていきまっせ~。
『ドンダバ☆デンデン☆ヌケヌケドン』
『まずはそのふざけた幻想をぶち壊す!』
『ソロモンよ! 私は帰ってきた!』
『爆ぜろリアル! 弾けろシナプス! バニッシュメント・ディス・ワールド!!』
『まったくこのスタースクリームめ!』
『お前の望みを言え、どんな望みも叶えてやる』
『我が魂はZECTと共に在りぃぃぃぃ!!!』
『バッカモ~ン!恥を知りなさ~い! Never give up!』
『やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな』
アイリ「いやああああああああ!! また関係のない事が頭を過っちゃうよ~!!」
リョウ「またかよ…」
~1分後~
アイリ「今度こそ上手くできたよ!」
リョウ「ホンマかいな」
アリス「リョウ、私に提案あるんだけどいいかな?」
リョウ「ん、なんや?」
アリス「アイリの相手は私がしようと思うんだけど、どうだろ?」
アイリ「アリスちゃんって戦えるの?」
アリス「あったりまえじゃん! 放浪者って呼ばれてるけど、これでも戦力は時空防衛局の人達と同等かそれ以上はあるんだから!」
そこまで膨らみのない胸(たぶん失礼)を張り言うアリスちゃん。
ちょっと可愛いと思ったのはここだけの秘密。
強いってどれくらいなんだろ?
今のところあたしの能力で見る限りだと大きな力は感じ取れないけどなぁ。
でも実際には凄く強いんだろなぁ。
甘く見てたら即座にやられちゃいそう。
亜空流に巻き込まれても無傷みたいだし、山を壊すのも冗談に聞こえないってリョウ君言ってたし。
リョウ「アイリは相手がアリスでも文句はないか?」
アイリ「ぜんぜんオッケーだよ!」
アリス「二人の許可を得たところで、早速始めていきますか! アイリ、私に向かって矢を放てい!」
リョウ「遠慮は無用だぞアイリ。 アリスの実力はわしが保証する。 アリスはアイリに攻撃しないようにね。 アイリの技を受けるか避けるだけにしといてな」
アリス「オーキドーキ!」
リョウ君がアリスちゃんの実力は相当なものだと言ってくれるなら安心するところだけど、リョウ君の時もそうだったけどやっぱり知人に向けて矢を射つのは躊躇しちゃうな。
でも、二人は危険を承知であたしの修業に付き合ってくれてるんだから、あたしもそれに応えないといけないし、気を引き締めて、覚悟を決めていかないとだね。
ガーンデーヴァを横に構え平行にして、頭の中で光の矢が出るようイメージすると、構えた手に光の矢が召喚された。
でも今までと違うのは、一本だけじゃなくて、五本あるということ。
思い付きで初めてだから上手くいくかなんて分かんない。
最初からできないと思い込み行動に移さなければ一生できないまま、そんなの嫌だから、実際にやってみる!
やるったらやる!ってね!
正直、五本同時に矢を力一杯引くのは至難な技なんだろうけど、あたし自慢の気力で引いていき、力を込めることで手元が震えてはいるけど、標準をアリスちゃんへと向ける。
アイリ「いっくよー! 『ファイブストレートアロー!』」
勢い良く放たれた矢は凄まじい速度でアリスちゃんへと向かって飛んでいく。
横一列に綺麗に並ぶ矢は、相手が左右どちらかにも避けられないよう攻撃の命中範囲を上げている。
だから、
アリス「わぁ結構速いね!」
アリスちゃんは真横に避ける行動は取らずに、その場から跳び上がり回避した。
計画通り。(凶悪な笑み)
アイリ「『スプレッドアロー』!」
瞬時に光の矢を召喚し、先程よりかは軽く弓を引き矢を放った。
アリス「私も技出しちゃおっかな! 『カード大回転』!」
…へ? (°∀°;)
いやいやさっき攻撃しないってリョウ君に言われたところじゃん!?
アリスちゃんはマジックのように手にトランプのカードを一枚取り出し、手首を捻るようにして投げた。
機械のように高速回転するカードはあたしの放った矢に直撃した、瞬間に矢は弾け細長い光の帯となって飛散し、アリスちゃんの体にシャワーのように降り注いだ。
アリス「えっ!? うおわぁ!?」
予想の斜め上だったのかどうかは分かんないけど、初めてにしては上々な出気前の攻撃が命中、アリスちゃんは降下していき地面に着陸した。
リョウ「ほぉ、なかなかトリッキーな技やな」
アリス「初めてとは思えなかったんだけど~。 んじゃこっちもそろそろ反撃しちゃうよ!」
向きになっちゃ駄目だよアリスちゃん!?
腕をぐるぐる回していかにもやる気まんまんって感じになってるし!
…これ、あたし死ぬんでね?
リョウ「お、おいアリスよせって!」
アリス「大丈夫! この天界の都市が吹っ飛ばない程度には加減するから! 素敵なパーティー、始めましょ?」
充分ヤバイよ!!
あわわわ、アリスちゃんの力が半端じゃないくらいに上がっていってるよ。
…これ、あたし死ぬんでね?
だ、誰かあたしにエンピリアン装束を頂戴!
アリス「『スートメテオ』!」
アリスちゃんの周囲に大量のトランプのスートでもある、スペード、クラブ、ダイヤ、ハート、四種類のエネルギー体が浮遊し、一斉に空へ舞い上がると、隕石のようにあたしへと降ってきた。
逃げるんだよォ!
アイリ「うっひゃあああああああ!!」
もうそりゃ必死で逃げるしかないよね!
エネルギー体はあたしの周囲に落ち、地面へと着弾した瞬間に爆発し、地面を抉りとっていく。
あんなのに直撃したらタダじゃ済まないよぉ。
アリス「わーはっはっはっは! どうだー私の力はー!」
リョウ「分かったからやめろアホー! こっちまで被害受けとるんじゃい!」
良く見たらリョウ君の方にもエネルギー体が落ちてきてる。
アルティメットマスターで全て斬り伏せてるところを見ると凄いなぁって思っちゃう。
今は感心してる場合じゃないね!
アリス「よし、続けていっちゃうよ!」
これだけドでかいの出しといてまだ何かする気なの!?
怪獣並の暴れっぷりだよ~。
アリス「『トランプルーレット』!」
アリスちゃんは三枚のカードを取り出し、あたしの方へと投げた。
トランプは向かってくる途中で巨大化し、あたしの周囲を囲むようにして移動し回転し始める。
この場でじっとしても埒が明かないため、回転するカードを斬り裂くためガーンデーヴァを構え走り、弓体に光の刃を生成し大きく振るう。
カードは紙で生成されているから意図も簡単に斬り払うことができると考えていた。
でも、現実世界に住んでいたあたしの常識は通用しなかった。
回転したトランプはチェーンソーのような鋭い刃と化していて、ガーンデーヴァは弾き返されてしまう。
弾き返されたことにより体のバランスは大きく崩れて尻餅を着いてしまう。
それと同時にカードはピタリと回転が止まり、三枚ともあたしに表面を向いた状態となった。
一枚はスペードの5。
一枚はダイヤの2。
一枚はダイヤの7。
どういう意味なのかは分からないけど、とても嫌な予感はする。
アリス「アイリー、上手いこと避けてねー!」
アリスちゃんの声が聞こえたけど、今は耳を貸している場合じゃなさそう。
カードに描かれたそれぞれの数のスートがエネルギー体となりカードから飛び出し、一斉にあたしへと向かってきた。
アイリ「やばっ!! 『エンジェルリフレクション』!」
咄嗟にガーンデーヴァを上に掲げ、中心にあるオーロラ状のドームをあたしに覆い被さるように展開させ攻撃を防ぐ。
スペードのエネルギー体はバリアに直撃したと同時に爆発し、ダイヤのエネルギー体はバリアを斬り裂いてしまうのではないかというほど鋭利になってはいるけど、バリアに直撃すると地面へと落下し消えてしまった。
アリス「おぉー防いだね! お見事! ではではお次は…」
まだ何かする気なの!?
もうやめて! とっくにあたしのライフはゼロよ!
そんなあたしの心の叫びが通じるわけもなく、アリスちゃんは天高く手を上に翳した。
するとトランプカードの時と同じように突然手にアリスちゃんの上半身と同等の長さの杖が出現した。
杖全体は小麦色で、杖の先端には大きな赤い宝玉が付いていて、朝陽を浴び深紅な輝きを放っている。
アリス「これが私の持つご自慢の杖、『ユグドラシル・アルスマグナ』だよ! んじゃ、技いくよー! 『時空の迷い子』!」
ユグドラシル絶対に許さねぇ!
…って、ふざけてる場合じゃないよね。
杖の先端をあたしに向け、軽く円を描くように振るうと、再び数枚のトランプカードが出現し、裏面が上に向いた状態で地面すれすれを移動し、不規則な動きであたしに迫ってくる。
地面に足を着けていては確実に当たってしまうので、翼を広げ空中へと退避する。
アリス「ふっふっふ~。 この技の逃げ道は地面に潜るくらいしかないよ」
そう言葉を発した刹那、カードから炎の渦があたしを飲み込まんとばかりに吹き出した。
別のカードからは天高くまで伸びる雷の柱、全てを凍てつかせる冷気を放つ冷凍光線が放たれている。
不規則に動くため次に何処へ行くか予測不能なため、回避は困難を極める。
兎に角あたしは攻撃を避けるために我武者羅に動き続ける。
東方のスペルカード並の攻撃を回避するのに精一杯で、反撃する隙すらない。
リョウ「おいアリス! ええ加減にしとけ、うわっ!?」
あたしと同じく翼を展開させ空中で回避を続けていたリョウ君が雷の柱に命中し地面へと落下していった。
あたしもピチュらないように気を付けないと。
アリス「おぉーこれを初見で避け続けられるのは凄いね!」
リョウ「初見じゃなくてもきついわ! ええ加減に技止めろって! ムキになりすぎや!」
アリス「えーもうちょっとだけお願い! ね?」
リョウ「ね?じゃあらへんよ! くっそ、意地でも止めてやる!」
リョウ君は光の翼を再び展開させると、翼から白い粒子が無数に溢れ出始め、リョウ君の周囲を漂っている。
ある程度白い粒子が出ると、翼を羽ばたかせアリスちゃんへと向かっていく。
だが、それを阻むかのように炎の渦が行く手を遮っていた。
でもリョウ君は目の前の障害を突破する気なのか、方向転換しようとすることもなく直進していく。
リョウ君が炎の渦になんの躊躇いもなしに入っていくと、周囲を漂うように浮かんでいた白い粒子がリョウ君の前へと護るかのように集まっていき、炎の渦を弾いていた。
それはまるで油が水を弾くかのようだった。
リョウ「『天使の加護』を前に、どんな攻撃も無意味に等しいよ」
アリス「うわーまた使ったー! ほとんどの攻撃をも防げるチート並の防御手段じゃんかそれ! 私と戦うときはその技禁止って言ったじゃんか!」
リョウ「うっせー知るか!」
確かに、ほとんどの攻撃を弾ける防御技なんてチートだよね。
この技がある時点であたしっていくら修行してもリョウ君に勝てないんじゃない?
早速詰んでない?
アリス「ひゃー! こっち来んなー!!」
リョウ「お前が来させたんやろうが! さっさと攻撃を止めろ! アイリの修業にならんやろうが!」
アルティメットマスターを引き抜き、切っ先をアリスちゃんに向けて光線を連続で放っている。
アリスちゃんは空中で機敏な動きで光線を避け、時には持っている杖で防いだりしてる。
アリスちゃんがリョウ君の相手をしているせいなのか、威力が少しだけ下がったような気がした。
あたしはその隙を逃すようなことはしない!
この隙を逃せばあと1億年は巡って来ない、え、そうでもない?
流石に盛りすぎたかな?
これくらい言った方がすごごごーい!ってなりそうだし~、昆布だし~。
っつーことで、ガーンデーヴァを構えて矢を召喚し標準をアリスちゃんへと向ける。
アリスちゃんの暴走(?)を止めるためにはリョウ君と協力するしかなさそうみたいだし、微力ながらも力にならないとだね。
威力が落ちたとは言え、あたしが受けたら大ダメージ待ったなしだろうけど、あたしは恐れずに立ち向かうよ。
何の力もなれずに終わるのは嫌だもん。
戦う力が自分自身に備わっているなら、それを全力で発揮していきたい。
リョウ君の役には立ちたいけど、あたしはまだまだその土俵に立てる立場じゃないし、そんな実力もない。
ただ役に立ちたいっていうあたしの想い、はっきり言って自己満足みたいなもんだ。
未だ大した実力もないのに、足を引っ張るかもしれないのに、前へ前へと自ら危険な道へと進み、自ら決めた事を成し遂げ、完遂した喜びを得る。
確かに自己満足なのかもしれない。
そう自分で分かっていても、あたしは己で決めたことをやり遂げたいと思っている、強い思いがある。
リョウ君ならあたしの事を思って真っ先に逃げろと言うと思う。
あたしの事を思い考えてくれるのは凄く嬉しい。
でも、逃げてばかりじゃ何も始まらない。
後ろを向き逃げ続けていたら、見えるものも見えなくなる。
掴める筈だった何かも掴めなくなる。
今まで人間として平凡に過ごしてきたから、非現実的な戦闘に慣れていないのは当たり前。
だけど、それは逃げる理由になんてならない。
戦おうとする意志があれば、誰にだって戦える。
例え力がない人でも、その気持ちと意志、戦おうとする勇気があれば、どんな相手とだって戦える。
意志一つでこれからの出来事が大きく変わっていく。
誰かの手を握って引っ張ってもらうのか、それとも背中を押してもらって走るのか、それとも、一人で決心して走り出すのか。
もしかしたらあたしは全て当てはまるのかもしれない。
まだ未熟なあたしをリョウ君が引っ張ってくれて、フォオン様からガーンデーヴァを授かり背中を押してくれた。
だからあたしは歩んでいけている。
我武者羅なのかもしれないけど、迷わずにあたしは前を向いて、進んでいける。
今だってそう。
あたしを支えてくれる大切な人がいるから、信じることができるから、剣呑することなく、あたし自身を信じて躍進することができる。
なんかあたし主人公みたいなこと言ってる。
戦闘に集中しないと。
若干技の動きも鈍くなっているみたいだけど、直撃しないよう注意を払いながら、矢先が淡く青色に輝く矢を力強く引いていく。
アイリ「『パーフォレーテッドアロー』!」
今更ながら自分で言っちゃうのも恥ずかしいけど、技名を叫ぶように言い矢を放った。
放った矢は炎の渦や雷の柱を貫きながら突き進んでいく。
魔法攻撃や魔術、バリアと言った障害となる物を貫通する効果のある矢、これも即席で思い浮かんだんだけど、何とかなったみたい。
我ながら上出来だね!
アリス「貫通効果ありなら、それを弾き飛ばす!
『光輝サーベル』! せいやーっ!」
ユグドラシル・アルスマグナの先端に淡く白い輝きを放つ光の刃が出現し、横に凪ぎ払うように振るい『パーフォレーテッドアロー』を弾いた。
リョウ「もらった!」
アリス「こんのぉーまだまだ!」
この機を逃さんとばかりにリョウ君が急接近し、アルティメットマスターを上に振り上げ、空気を切り裂きながら思いきり降り下ろした。
空を切る音がする直前にアリスちゃんがユグドラシル・アルスマグナを横に構え持ち光の刃で受け止めた。
リョウ君の相手をし集中しているためか、時間切れのせいかは定かではないけど、『時空の迷い子』の効果は切れ、炎の渦達は消え去り、漂っていたトランプは地面へとひらひらと落ちていった。
アイリ「よし、あたしも決めていっちゃうよ!
『ファイブストレートアロー』!」
五本の矢を召喚して、特に力強く引くことなく放つ。
リョウ君はあたしの行動を読んでいたのか、矢の命中範囲外へと下がり、再び剣から光線を放ち始める。
あたしは間髪入れずに再び『ファイブストレートアロー』を放ち、手が空きになれば再び矢を召喚して放ち、再び矢を召喚して放つ連続攻撃を繰り返す。
正直これめっちゃ疲れるんですけど!
腕への負担半端ない。
モンハンの弓でBボタン連打してれば人間技とは思えない速度で矢を放ち続けることができるよね?
今あたしがやっているのは正にそれ。
これを平気で苦もなくやり遂げるハンターの皆さんってもう人間やめてるよね?
ハンターがモンスターだよね?
アリス「私でもこれを全部避けるの辛いよ!」
必死で言ってるけど、小柄な身を捻らせ、空中を自在に飛び回り避けてるのを見てるけどぜんぜん辛そうには見えない。
寧ろこの戦況を楽しんでいるかのようにも見える。
まだ余裕があるっていう現れなのかな。
あたしとアリスちゃんの力の差は歴然だけど、攻撃を当てられない訳じゃない!
アイリ「はぁ、はぁ、…こんなもんかな」
何回矢を射続けただろう。
あたしはもう矢を引くことができない程腕の力を使い果たしていて、腕を力なくだらりと下ろしていて、呼吸も乱れ、肩で息をしている。
誰か、強走薬持ってきて。
リョウ「おぉ…これは!」
アリス「やっと攻撃が止んだよ。 ふえ~疲れ…って、何これ?」
リョウ君も攻撃をやめ、アリスちゃんが一息ついていると、何かに気が付いたみたい。
何かって? ふっふっふ、それはあたしの仕掛けたトラップさ。
残念だったな、トラップだよ。
あ、それを言うならトリックか。
あたしが仕掛けたのは、さっき四方八方に射ちまくった50本を凌駕する大量の弓矢だ。
不思議なことに、頭の中で想像した通りに地面に落ちることなく宙に浮き続けている。
更に付け加えておくと、矢先は全てアリスちゃんの方へと向いている。
アリス「うわ、嫌な予感する」
勘付いた時にはもう遅い!
くらえ思い付きのあたしの必殺技!
アイリ「避けれるもんなら避けてみて! 『アロービーム』!」
あたしの合図と共に、次々とありとあらゆる箇所とありとあらゆる角度から光の弓矢から光線がアリスちゃんへ向けて放たれた。
数ありゃ当たるの理屈で実際にやってみたけど、最早数の暴力と化している。
アリス「でええええええぇぇぇ!? こんなの私でも厳しい、いやあああああああああああ!?」
避ける隙間がなく、アリスちゃんは慌てふためいたまま無数の光線に直撃し、光に呑まれていった。
自分で考えておいてなんだけど、鬼畜だよね。
遠慮は無用とは言われたものの、やり過ぎた感が半端ない。
アイリちゃん反省、てへっ☆
アリス「うぅ~、痛かったよ~今のは」
光線が消え去りアリスちゃんが姿を現したけど、服が少々焦げている程度で身体に傷は負っていないみたい。
地面へとゆっくり降下していき、頭の後ろを手で掻きながら笑みを浮かべている。
あの様子を見ると、然程効果がなかったってところかなぁ。
にしてはタフすぎない?
リョウ「お疲れ様。 見事なものやったよアイリ」
リョウ君が小さく微笑みながら労いの言葉を掛けてくれた。
アイリ「攻撃は当てることができたけど、大してダメージ通ってなさそうだからまだまだなのかなって思ったりしてる」
リョウ「なに内気なこと言っとるんよ。 戦闘経験が浅いにも関わらずあのアリスに一発でも当てれた時点で凄いんよ。 しかも今回の技もその場で考えただけでできたもんなんやから、凄いの一言よ」
アイリ「そう、なのかな?」
リョウ「自信を持ってええよ。 寧ろ自信満々でいった方が、物事も進展していくってもんやからね」
アイリ「っ! うん! ありがとう!」
リョウ君に勇気付けられてちょっと元気になっちゃった。
自信を持て、か。
今までのあたし通りで良いってことじゃん!
リョウ君の言う通り、自信を持って行動しないと成功する道なんて開けてこないもんね。
アイリ「いやー耳が大きいだけかと思ったけど良い事言ってくれるねー!」
リョウ「よしアイリじっとしてろ。 五臓六腑ぶちまけてやる」
アイリ「ひいぃ!? 冗談だよ冗談!! あっははははははは…!」
もぉー冗談通じないんだから~。
アルティメットマスター構えてくるなんて怖すぎるよ。
まぁあたし主人公だからそう簡単には死なないよ?
…たぶん。
アイリ「はぁ~疲れた。 今回は今までの戦闘の中でも特に体力を消耗しちゃったよ」
リョウ「まぁあれだけ動き回って何発も弓を射れば疲れるわな」
アリス「私も疲れた~もう動けな~い」
リョウ「嘘つけ。 まだ力の2割も使ってないやろうが」
アイリ「本気じゃないってのは勿論分かってたつもりだったんだけど、あれで2割も出してなかったの!?」
あたしが感じ取れた力でも相当な力は有しているとは思ってたんだけど、まだ2割程度しか出していなかったなんて…。
それじゃあ、アリスちゃんの本気ってどれ程なんだろ?
まだまだ泉の源泉の様に力が溢れ出るってところなのかな?
とてもじゃないけど今のあたしでは到底敵わないような相手だったのを痛感させられる。
追い抜く勢いであたしも精進していかないとだね。
アリス「やろうと思えばだけど、この浮島の下にある都市一つを消し飛ばすこともできるよ! 私それくらいの魔力ならあるからね! まぁ疲れるからやらないけどね~」
リョウ「疲れるからとか言う理由じゃなくてやめろよ? お前がやると洒落にならんから」
アリスちゃんその内世界を丸ごと滅ぼしちゃうんじゃない?
アリス…恐ろしい子!
はい、タイトル回収!
アリス「取り敢えず休憩しよう休憩。 久し振りに戦闘したから体が鈍っちゃってるな」
アイリ「アリスちゃんに賛成。 もう腕が動かないよ」
あたしは地面へと降り立ち、アリスちゃんと共にベランダに置かれてある椅子へと腰を下ろし、テーブルに腕を乗せその上に顔を乗せた。
学校の授業中でも腕を枕にしてこうして良く寝たりしてたな~。
勿論先生からは注意は受けたけどね☆
はいすいません授業はちゃんと聞かないとですね。
隣の椅子に腰掛けてあるアリスちゃんもあたしと同じ様な体勢で寛いでおり寝息を立てている。
ってか眠るの早い、のび太並だよ。
やっぱりアリスちゃんの寝顔、可愛いな。
あっ、決してキマシタワー建設とかじゃないからね!?
普通に感想を述べただけだよホントだよ?
こんなに気持ちの良い寝顔を見ていたら、睡魔が襲ってきちゃうよ。
あーダメ、もう、限界、おやすみロジャー………。
ー三人称side
リョウ「あれま、二人揃って寝ちまったか」
朝からの戦闘に若干疲労の色を浮かべたリョウが地面へと降り立ち、アイリとアリスが寝ているベランダへと歩いていき、空いている椅子に座った。
座ると同時に、朝の涼しげな風が戦闘で火照った体を撫でるように通り過ぎる。
リョウ「良い風が吹くな。 こりゃ眠くなるわな」
両手を頭の後ろへ回し、何気無く上を向いた。
雲一つない青空が広がっている。
この様な青空を見ていると、悪魔達との戦闘、世界の監視者としての役目等の厄介事や成すべき事、全てを忘れてしまいそうな感覚に陥ってしまう。
それほどこの景色に癒され、感無量な面持ちで深く息を吐いた。
リョウ「ホンマ、平和やなって思ってしまうわ。 平穏な日々が毎日続いたらどれ程いいことか」
リョウが言うように現実は甘くはない。
何の前触れもなく突如として災厄というのは訪れるもの。
アイリが過ごしていた平穏でのどやかな世界とは違い、科学では解明できない魑魅魍魎とした者達が住まうこの世界では、必ずしも平穏な日々を過ごせると言う保証は何処にもない。
況してやアイリは悪魔族に抹殺対称として命を狙われている。
それを知ったアイリは己自身を護るために、リョウの世界の監視者の手助けのために強くなりたいと願い、自ら危険な道へ歩みだしているため、リョウとしては心配でどうにかなりそうでいる。
アイリが負傷しないよう守護しなければならないことだが、戦うということは、実戦を積まなければ決して成長することはない、避けては通れぬ道だ。
勿論リョウはそれを重々承知はしているものの、複雑な心境でいるのは確かだった。
だが、アイリ本人の意志を尊重したいとも思っていたため、リョウは最後まで付き合うと心で誓っていた。
アイリの内にはまだ秘められた力がいくつか眠っており、才能があるため成長が爆発的に早い。
強くなれば大抵の悪魔とも渡り合え、自己防衛が可能となる。
結果的には、アイリの身を護れることに繋がるのだ。
リョウ「アイリのために、わしも全力で頑張らないとな。 もう、二度と失敗は許されないからな。」
冷たく低いトーンで自分に言い聞かすように呟くと、席を立ち上がり、朝食の食器を洗うため静かに家の中へと戻っていった。
アリスも主人公ポジションみたいになってきそう…というよりそうですね。