ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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正月休みは暇になりそう。


第18話 救済の雷鳴

 

?「むーーーつーーーきーーー!!!!」

 

戦闘を終え、リョウは自室で休息をとっていたのだが、周囲の空気どころか家全体をも揺るがす程の怒声が響き渡り驚嘆した。

リョウは声がしたであろうリビングへと急ぎ足で向かい扉を開くと、怒声を荒げていた声の主がいた。

 

時空防衛局の第一時空防衛役員に所属する、光明寺結愛だ。

 

睦月「うわああぁ許してくれー!!」

 

結愛は額に青筋を立てながら睦月にプロレス技の一種であるコブラツイストを掛けていた。

睦月は脇腹の疼痛に顔を歪ませ涙目になり叫声を上げている。

 

本日二人目の突然の訪問者が先程まで鼾をかき爆睡していた少女にプロレス技を掛けているという、端から見れば理解不能な光景だが、察しの付いたリョウは苦笑いで結愛に声を掛けた。

 

リョウ「よう結愛。 誰かさんのせいで朝っぱらからご苦労様やね」

 

結愛「おはようリョウ。 ホント、誰かさんのせいで、大変、よ!」

 

睦月「いてててて!! こ、これ以上やられると、あばら骨が折れる…!」

 

リョウ「人間には、215本も骨があるんだ。 一本くらいなんだよ」

 

睦月「いやいやそれでも折れるのはごめんだぜ! 頼む結愛ー! 今度ケーキバイキングを奢ってやるからよぉ!」

 

睦月の必死の説得に応じたのか、結愛は技を解き、床に睦月を下ろすと腕を組みそっぽを向いた。

 

結愛「…しょうがないわね。 今回だけは許してあげるわ。 けど、今度また報告書を提出しに帰還しなかったら…どうなるのか、分かるわよね?」

 

睦月「ひぃっ!? も、勿論です!」

 

睦月は冷や汗をかきながら結愛に敬礼をした。

 

リョウ「結愛は相変わらず甘いものには弱いみたいやな」

 

結愛「う、うるさいわよ/// さぁ睦月。 今すぐ本部に戻ってきなさい。 報告を怠っているなんて、リュートが知ったら魔法を叩き込まれるわよ?」

 

睦月「うっ…それは、勘弁だぜ。 分かったぜ、本部に戻るとするぜ。 あ~、頭が痛むぜ~。 昨日飲みすぎたかな~」

 

渋々と言った表情で睦月は上着を羽織り、戦闘の際に必需品となるポーチを腰に取り付けると、酒の飲みすぎによる頭痛を少しでも抑えるためキッチンへと向かい、蛇口をひねり棚から取り出したコップに水を入れ、ごくごくと音をたてながら飲み干した。

 

睦月「ふいぃ~。 さて、めんどくさいけど、本部に戻って報告するとしますかな。 結愛~、行くぞ」

 

結愛「私はまだ行かないわ。 リョウに用があるから、先に帰っててちょうだい」

 

睦月「あいよ、分かったぜ。 じゃあなリョウ。 今回は手伝ってくれてありがとな。 アイリやラミエルにも礼を言っといてくれ。 また暇な時にでも来るぜ」

 

リョウ「あぁ、またな。 無理しないよう、仕事頑張れよ」

 

睦月は笑顔で親指を立て返事をし、リビングを後にした。

 

リョウ「…さて、わしに話があるみたいやけど、どういった御用件で?」

 

結愛「本部から私達第一時空防衛役員に指示が出たのよ。 今回の件は大きいから、あなたにも手伝ってもらいたいと申請が来ているわ」

 

リョウ「またわしが手伝うんかい? わしは世界の監視者であって時空防衛局の役員ではないんやから、毎度毎度と協力することは難しいで」

 

結愛「本当なら時空防衛局に所属する者達だけで解決しなければならない。 私個人では、重々承知しているわ。 でも、現状は世界の監視者であるあなたの力を借りなければならないという状況。 ふふ、上からの命令とは言え、情けない限りだわ」

 

結愛は目線を逸らすと、自らを哀れむように微笑した。

自分を卑下する結愛を見たリョウは咄嗟に気遣いの言葉を掛けた。

 

リョウ「結愛、この世界は広い。 いつ何時、如何なる世界で異変が起きるかなんて、誰も分からんこと。時空防衛局の人達ではどうにもならないような事だってあるんだ。 それはわしも同じ。 世界の監視者と呼ばれているものの、わし一人じゃ解決できない異変はあるから、時空防衛局に応援を依頼することだってある。 事の大きさにもよるが、解決するに至らない状態になったときには、お互い協力し、助け合っていけばええんよ。結愛達は決して、弱いわけやあらへんのやから」

 

結愛「…ありがとう、リョウ。 慰めの言葉を掛けるなんて、珍しいわね?」

 

リョウ「結愛のためになったかは定かではないけど、こんなわしでも慰藉するくらいならできるからよ」

 

結愛「あなたは相変わらず、優しいわね」

 

リョウ「うーん、自分じゃあまりそうは思ってへんからねぇ。 優しさだけで人が救えるわけやないんやし」

 

結愛「でも、優しさがなければ、誰かを救うことなんてできないでしょ? 私達は護るために戦っているんだから」

 

リョウ「まぁ、確かにその通りやな。 っと、話が逸れたな。 それで、用件とは?」

 

結愛「あら、何だかんだ言って、協力はしてくれるのね」

 

リョウ「大事な仲間の頼みやからな。 できる限り力にはなりたいからね」

 

結愛「今回はリョウの好意に甘えさせてもらおうかしら。 本当に感謝するわ。 今回の任務は、3日後に控えたサリエルのライブの護衛なの。 本来ならディーバナイトの護衛だけで事足りるのだけれど、エクリプスの連中がライブを襲撃する可能性があるという情報が垂れ込んだから時空防衛局も動くことになってしまったのよ」

 

結愛が言葉にしたエクリプスとは、世界を支配し我が物にしようと、世界を転々と渡るテロ集団の様な存在だ。

交渉等の穏便な事は決して望まない、武力一つで押し切り圧倒する野蛮な集団で、時空防衛局が最も目を見張る程の危険分子だ。

 

何故そんな彼等がディーバのライブを襲撃するのかと言うと、ディーバを人質として捕らえるためである。

 

世間一般には公開されていない情報だが、ディーバの歌声は世界の均衡を保つ効果があり、WSDのアイドルとして世界を巡り歌を歌うことにより、世界の均衡を保っている。

 

数千年前からこのような形で均衡を保ってきており、一度も崩されたことはないという。

エクリプスは均衡を保つための重要な人物となるディーバを人質に取り、世界樹を我が物にするのが最終目的だと言われている。

 

世界樹はあらゆる世界を生み出す存在であり、ディーバの歌声を聞くことにより均衡を保つためのエネルギーを生み出す器でもある。

ディーバの歌声がなければ世界樹はエネルギーを生み出すことができなくなり、自然とあらゆる世界に何らかの影響が表れ始める。

エクリプスは時空防衛局や女神フォオンまでもが恐れる事態となる事を知っているため、ディーバと引き換えに世界樹を手に入れようとしている。

世界樹を奪われてしまうと、世界樹から放出されるエネルギーを利用し何か別の目的に使用するのは目に見えて読み取れる。

別の目的で利用されてしまっているため、当然ながらエネルギー不足となり世界の均衡を保つことができなくなる。

ありとあらゆる世界に被害が出るであろう。

何者かに世界樹が利用されている場合に、ディーバが歌を歌わなくなればエネルギーが生成されることもないので、歌わなければ然して問題ではないとも思えるのだが、そういうわけにもいかない理由がある。

 

ディーバの歌声を聴けなくなった世界樹は、枯れ始めてしまう。

歌声が栄養源となっているかまでは不明だが、歌声を聴かなければ万全の状態で活動できなくなり、エネルギーの生成ができなくなり、世界樹自体も弱ってしまい、世界樹が根を下ろす世界に被害が出かねない。

なので例えエネルギーを使役している者が存在していたとしても、歌を歌い続けなければならないのだ。

 

リョウ「サリエルのライブって3日後やったんやな、知らんかった。 エクリプスの奴等がディーバを狙ってるとなると、わしが動かん訳にはいかへんな。 了解や、全面的に協力させてもらうよ」

 

アイリ「話は聞かせてもらった!」

 

リョウ「ホいつの間に!?」

 

結愛との会話に傾注していたリョウは知らぬ間にテーブルの下へ潜り込んでいたアイリの存在に気が付かず大袈裟な動作を見せ驚いた。

 

結愛「結愛さん、2日しか経ってないけど久し振り!」

 

結愛「えぇ。 また会えて嬉しいわ」

 

リョウ「さっき寝たばかりやってのに、いつから起きてたんや?」

 

アイリ「結愛さんが大声で叫んだあたりから。 あんなでかい声出されたら誰だって起きちゃうよ。 その後誰にも見つからないようにこっそり静かに素早くテーブルの下へ隠れたんだよ」

 

先刻、結愛が睦月に浴びせた天をも揺るがすほどの怒声で目を覚ましてしまったアイリは、人目を忍んで足音一つ立てずに床を這うようにテーブルの下へと潜り込み、リョウと結愛の会話を盗み聞きしていたのだ。

 

追記する必要は皆無だが、アリスは口から涎を垂らし今尚睡眠中だ。

 

結愛「アイリが隠れていたこともそうだけど、私としてはアリスがいることに驚いてるわ」

 

リョウ「今朝頃いつの間にか家にいたもんでね。 気紛れな奴だよホントに。 あとアイリ、変に俊敏なところはゴキブリみてぇやな」

 

アイリ「酷ーい、幾らなんでもその例えは嫌だな~。

あたし火星にいるような黒色の生命体じゃないんだから。 それより、さっきの話なんだけど、あたしもリョウ君と一緒に行っていいの?」

 

リョウ「流石に今回は却下や。 エクリプスの奴等は危険分子の集まりや」

 

アイリ「売人、ポン引き、淫売共の巣窟?」

 

リョウ「そうじゃない、ってかネタを挟むな。 全世界を敵に回すようなヤバい連中なんや。 アイリを危険な目に合わす訳にもいかんから、今回は家で大人しくしていてくれ」

 

アイリ「あたしの事を考えてくれてるのは本当に嬉しいことなんだけど、ずっと護られてるだけじゃ駄目かなって思うの」

 

リョウ「………」

 

アイリの相手を射抜くような真っ直ぐな瞳を見てリョウは押し黙りアイリの意見に耳を傾ける。

 

アイリ「そりゃあたしだって戦前に立って異形の存在と戦うのは怖いけどさ、逃げてばかりじゃ何も始まらないもん」

 

結愛「アイリの意見には私も賛成するわ」

 

リョウ「結愛…!」

 

結愛「私もアイリの手助けをしてあげられるわ。 この子は私もリョウもそうだったように、実戦で学ぶのが一番効率がいいと思うわ」

 

リョウ「わしもそうは思ってる。 だからと言って危険だと分かっている場所に自ら行くことはないやろ」

 

アイリ「危険な目にはあたしもう転生してから二度も味わってるんだよ。 あたしはまだまだ未熟だから、一人では到底切り抜けられない出来事だったけど、リョウ君がサポートしてくれるようなら何とかなると思うの」

 

リョウ「わしが付いていれば大丈夫、本当にそう言い切れるのか?」

 

先程までも真面目な表情でいたが、眉をひそめ威圧感を漂わせる険しいものとなり、アイリは強張らせた。

 

リョウ「戦闘経験が豊富なわしがいたところで、100%無事でいられるなんて保証は何処にもない。 実力も未熟だが考えもまだまだ未熟や。 どうしようもならない状況で誰かの手を借りるのは決して恥ずかしいことやない。 でも、本当に自分の力だけでは手に負えない状況になった時に行う手段や。 自分の実力に自信を持つのはええことやけど、アイリはまだ強豪相手に戦えるほどの実力がない。 力が備わってないのに戦地へ踏み込もうとするのは無謀なこと。 戦場で誰かが護ってくれるから自分は全力で戦える、そんな甘い考えがあるようなら、戦地へ出向こうとなんてするんやない。 その甘さ、油断は死を招くからな」

 

今までにない峻厳な言葉を投げ掛けられ、アイリは心を強く殴られたような感覚に陥った。

 

リョウの言葉で自分が如何に自分の能力と実力を過信していたかを思い知らされ、落ち込むように下を向いて唇を噛み締めていた。

 

結愛「…じゃあ、一人でも困難を乗り切るほどに強くなれれば、一緒に行っても良いって事よね?」

 

アイリ「えっ…」

 

結愛「私が修行してあげる。 時空防衛局でも新米相手に格闘戦術を教える教官みたいな役職に就いたりしてるから、人並みに教えるのは上手い方だから」

 

リョウ「結愛! そんな勝手に…」

 

結愛「リョウ、私に任せてもらえないかしら。 あなたがアイリを危険な目に合わせたくない気持ちは重々承知しているわ。 でも、いつかはアイリも一人で立ち向かわなければならない時が来るわ。 雛鳥がいずれ巣を旅立つのと同じ。 親鳥がずっと雛鳥に付いて行くわけではないでしょ?」

 

リョウ「……分かった。わしもできる限り手伝うから、アイリの修行を宜しく頼む」

 

渋々と言った様子ではなく、結愛の発言を信じリョウはアイリの修行を承諾した。

 

アイリ「結愛さん…! ありがとう! あたし期待に答えれるように精一杯頑張るね!」

 

結愛「やるからには徹底的にやるから、覚悟しといてね?」

 

結愛は悪戯っぽくアイリにウインクをし、中庭の方へと歩んで行く。

 

リョウ「今からやるのか?」

 

結愛「えぇ勿論。 私は昼から任務があるから長居はできないから、今からの方がありがたいの。 言っておくけど、やるからには本気でやるからそのつもりでね」

 

アイリ「オッケーです! さっきちょっとだけ寝たから体力も大分回復したからあたしはいけそうだよ!」

 

アイリは元気良くその場でストレッチを始め、十分に体力が回復したのを見せた。

 

人間であった時ならば相当な運動量だったため疲労困憊で動けなくなる程だったであろうが、今のアイリは天使、人間と容姿は酷似しているものの体力から治癒能力といった面は人間とはかけ離れている。

故にアリスとの戦闘で消費された体力は一眠りしたことで瞬時に回復されたのだ。

 

アイリ「それで、結愛さんってどんな戦闘スタイルなの? ブシドー? エリアル?」

 

結愛「え、えっと、良くわからないけど違うわ。 接近戦を主にしてるから、教えるのは近接格闘術になるわね。 アイリの武器は弓だから遠距離攻撃が主体となる筈だから、接近戦にも対応できるようになっておいた方が良いと思うの」

 

アイリ「やった! あたし丁度接近戦の技を習得しておきたいと思ってたところだったの!」

 

先程のアリスとの戦闘においてアイリの技を幾つか拝見していたリョウは、アイリのガーンデーヴァを用いての遠距離技は多数存在する事と、想像し頭で描いた技を具現化し更にそれを初めてながらにして使いこなしていたのを確認し、これ以上弓術を磨く必要がないと考えていたので、接近戦を行う修行について特には口を挟まなかった。

 

リョウ「まさかその姿でアイリとやり合うのか?」

 

結愛「流石に変身させてもらうわ。 この姿のままだとアイリの技を受けたらタダじゃ済みそうにないから。」

 

アイリ「ん、変身?」

 

結愛「アイリは知らないし見せたこともなかったわね。 見せてあげるわ、私のもう一つの姿を。」

 

服の内側に入っていたため見えてはいなかったが、首に掛けてあった淡く輝きを放つ正八面体の形をした翡翠色の水晶が付いたネックレスを取り手に掴んだ。

 

結愛「アルカディア、シャイニングリンク!」

 

力強く叫ぶと同時に、眩い光が結愛を包み込んだ。

突然の光にアイリは腕で顔を覆い目を瞑った。

 

アイリ「な、何が起きたの? ……あっ」

 

光が晴れたときには、そこには先程までとは全く違う姿の結愛が地に立っていた。

 

髪は茶色から翡翠色へと変化し、頭には天使の羽のような髪止めが付いており、白色のリボンで止められたポニーテール。

背中が大きく露出した翡翠色の基調とした衣装に、両手首には白色のリストバンド、胸には翡翠色の宝玉が付いた白いラインが走る黄色のリボン。

腰から短めに突き出た白色のマント。

白色のスパッツに、踵に天使の羽のような物が装飾されたハイヒールブーツ。

 

?「救済の雷鳴、ライトニングアルカディア!」

 

翡翠色と白色を基調とした衣装を身に纏った結愛は声高らかに変身した自分の姿を名乗った。

 

アイリ「うっわー!! すごーい!! プリキュアみたいなのに変身しちゃったよ!!」

 

幼い女の子なら誰でも憧れるであろう、愛と平和のために戦う色鮮やかな衣装を身に纏った戦士になることを。

 

アイリもその一人で、現実世界で放送されているテレビ番組に登場する変身ヒロインの姿とほぼ酷似している結愛を見て興奮せざるを得られない様子だ。

目を星空のようにキラキラと輝かせ変身した結愛の姿を頭から足の指先まで舐めるように見ている。

 

アルカディア「そ、そんなに見られると、恥ずかしいわね///」

 

アイリ「だって変身したんだよ!? 女の子ならこういうのに憧れるのも当然だよ! セーラームーンとかプリキュア! シンフォギアなんかもいいね! 変身道具を使い変身するための言葉を叫び可愛い衣装に着替えて妖精さんや周りの仲間達と一緒に世界を滅ぼそうと企む悪の組織をやっつける! ただやっつけるんじゃなくて、最後には敵と和解してハッピーエンドになるってかんじが堪らなく好きなんだよ!」

 

リョウ「取り敢えず落ち着け」

 

アイリ「どれでぃあ!?」

 

興奮が収まらず鼻息が荒くなっているアイリの頭にリョウが力加減をして放ったチョップが炸裂した。

平静を取り戻し、騒ぎ立てていた事に恥じらいを感じたのか、苦笑いを浮かべ頬を赤く染めていた。

 

アイリ「えへへ、テンション上がっちゃった。あたしも変身したりしたいな。 キュアエンジェル! みたいに」

 

リョウ「なれないっつーの。 結愛はプリキュアとは似てるけど全く別物の戦士やからな」

 

アルカディア「私はフェアリルという世界を守護する戦士、ピースハーモニアの一人なの」

 

結愛の住む世界には二つの国が存在している。

 

人間や妖精、亜人等が住まうフェアリル。

魔族が住まうデスピア。

 

デスピアの者達は太古の昔から我が国の領土を拡大するために、フェアリルを占領しようと野心を剥き出しにして攻撃を仕掛け続けている日々が続いていた。

フェアリルの人々はデスピアの邪悪なる力に対抗するために、フェアリーストーンと呼ばれる神秘の力が籠められた石を利用することで、魔族をはね除ける戦士へと変身するための術を生み出した。

それが、世界に平和と調和を齎すピースハーモニアだ。

 

だが、ピースハーモニアは誰でもなれるというものではない。

 

優しく、相手を慈しむ心と、どんな困難にも屈しない強い思いと精神力が必要とされる。

当てはまる人物を探し出すのは困難を極め、ピースハーモニアとなれる人物は指折りで数える程の極僅かな人数しか見つからなかった。

 

二つの国の争いは絶えることなく続いており、今現在では結愛を含む四人の戦士がフェアリルを護っている。

 

アイリ「結愛さんの世界も大変みたいなんだね。 状況としては天界と冥府界が争ってるみたいなかんじなんだ。 ところで気になったんだけど、結愛さんはどうして自分の世界を離れて時空防衛局にいるの?」

 

アルカディア「うーん…まぁ、色々あるのよ。 話すと長くなるからまた今度、ね。 さぁ、早速始めていきましょう」

 

アイリの質問を出した途端、顔が一瞬曇ったかと思うと不自然な笑みを作り、まるで話を逸らすかのように修行を始めるよう促した。

 

アルカディア「本当なら基礎から色々と教えていきたいところだけど、時間が限られているし、アイリ自身の種族が天使なだけあって基礎体力は人間を凌駕しているだろうから、実戦でいかせてもらうわ」

 

本来なら基礎体力を付けるためにトレーニングを積むところなのだが、時空防衛局の任務であらゆる世界を行き来しなければならないし、ライブ開催まで日数が三日という残り少ない時間だったため、致し方なく実戦で修行するという手段になった。

アイリとしては、実戦で学ぶ方が効率が良かったため好都合だった。

 

アイリ「き、緊張してきたな…」

 

アルカディア「変に緊張しない方がいいわよ。 体が強張って堅くなり動きが鈍くなるから。 深呼吸して落ち着いて」

 

アイリ「なるほど。 ヒーヒーフー」

 

リョウ「だからそれラマーズ法だって」

 

アイリ「ナイスツッコミ! いつも通りにふざけてたら緊張取れちゃったみたい。 うっしやるぞー! 一方的に殴られる痛さと怖さを教えてあげる!」

 

リョウ「今のアイリじゃブーメラン発言やな」

 

アルカディア「相変わらずおもしろい子ね。 アイリが先攻で良いわよ」

 

アイリ「え、良いの? じゃあお言葉に甘えていかせてもらいましょうかな!」

 

結愛の提案に快く乗ったアイリはどんな攻撃を繰り出すのかと思考していると、両手の指を地面につけ、前足側の膝を立て、後ろ足側の膝を地面につけた。

陸上競技で見られるクラウチングスタートと呼ばれる構えをとっていた。

 

アイリ「虚刀流七の構え、『杜若』」

 

アルカディア(あからさまな突撃の構えね)

 

他に類を見ない異様な構えを不思議に思いつつアルカディアは後屈立ちとなり、両手を前に出し構えた。

 

リョウ「おいおい、お前虚刀流なんか使えないやろ」

 

アイリ「まぁ見ててよリョウ君! 位置について、よーい、ドン!」

 

勢い良く地を蹴り、低空飛行するように飛びアルカディアへと接近していく。

 

アイリ「『竜巻旋風脚』!」

 

リョウ(結局架空の技かよ)

 

体を回転させ、アルカディアの横脇目掛けて回転蹴りを放つ。

 

アルカディア「以外と単純だけど、おもしろい技ね。 でも…」

 

アルカディアは煙を払うかのように腕を軽く振るうだけでアイリの技を受け止めた。

 

アルカディア「そんな技じゃ私には届かないわよ?」

 

アイリの脚を鷲掴み、勢い良く後ろへと放り投げた。

空中で体が何回転かしていたが翼を広げ気合いで態勢を立て直しガーンデーヴァを召喚しようとした。

 

アイリ「えっ…!?」

 

アルカディア「態勢を立て直すのが遅いわ!」

 

態勢を立て直した時には既にアルカディアが目の前で技の構えをとっていた。

アイリがガーンデーヴァでバリアを張ろうとしていたが、瞬時に目の前に移動していた事に驚いた隙を逃さず、素早い動きで両手を突き出し、アイリの鳩尾に掌底を叩き込んだ。

 

アイリ「かはっ……!?」

 

体がくの字に曲がり、体の中にある酸素が一気に吐き出されるような感覚が襲い掛かると、勢い良く後方へ吹き飛び地面へと叩き付けられ、数メートル地面の上を転がりうつ伏せの状態で倒れる。

今まで感じたことのない痛みに咳き込みながら腹を抑え、痛みに悶え体を丸くしている。

アルカディアはアイリのすぐ側に華麗に着地し、悶えているアイリを見下ろしている。

 

リョウ「アイリの種族が天使とはいえ、初っ端にしてはやり過ぎやない?」

 

アルカディア「言ったでしょ。 やるからには本気でやると。 少しは危機的状況に陥るということも、学んで欲しいという思いもある。 修行の時点で中途半端に引き気味で戦えば、実戦で己の本領を発揮されはしない。

だから私は本気で稽古をしているのよ」

 

アイリ「うぅ…ぐっ、なる、ほど。 確かに、その通りですね」

 

アイリは生まれたての小鹿のように足が震え、ふらつかせながらも立ち上がった。

ダメージが残っているのか、腹を抑え、空元気で作り笑いを浮かべながらも、まだ戦える意思があることを述べる。

 

アイリ「あたしはまだまだやれますから、全力でお願いします!」

 

アルカディア「分かったわ。 じゃあ、次はこちらからいかせてもらうわ!」

 

アルカディアはダメージを負い体が泳いでいるアイリに躊躇なく正拳突きを放った。

アイリは腕を体の前で交差させ正拳突きを防ぐが、細い腕からは到底信じられない威力で放たれた拳を威力を殺し防ぎきることはできず、後ろへ足下をふらつかせながら下がってしまう。

アルカディアは間髪入れず体を回転させ後ろ回し蹴りを顔面目掛けて振るう。

咄嗟にしゃがんだため、真っ正直から受けることは免れた。

 

アイリ「『アローランサー』!」

 

一か八かの咄嗟の思い付きで発想した技を行使した。

右手に光の矢を召喚し、アルカディアに矢先を向け思いきり突き出す。

普段の弓矢なら相手に届くことのない長さだが、突き出した瞬間、矢先に光が集束し、槍のように長くなった。

思いもしない反撃に体を仰け反るようにして攻撃を回避し、バク転を繰り返し距離を取った。

 

アルカディア「やるわね。 早速接近技を使えるようになってるわね」

 

アイリ「上手くいくかどうかは分からなかったからドキドキだったですけどね。 次はガーンデーヴァを使っても良いですか?」

 

アルカディア「ええ、問題ないわ。 どちらかというとあなたは素手より武器を用いた接近戦の方が向いているみたいだし。 相手が切断系の武器を使用していたとしても、素手で対抗する手段ならあるから。 『ライトニングガントレット』!」

 

アルカディアの前腕に緑色の電気が迸り、電気で生成された籠手を身に付けた。

 

アイリ「やっぱり、結愛さんも電気を操る能力だったんだ」

 

アルカディア「能力で私の力を読み取ったみたいね。 今からはバンバン使っていくから、上手いこと避けるか受け止めて頂戴ね?」

 

アルカディアは拳を握り再び接近する。

アイリは弓矢を消し、ガーンデーヴァを再び召喚し、勢い良く降り下ろす。

アルカディアは雷の籠手を纏った腕でガーンデーヴァをいとも簡単に防ぎきり、金属がぶつかり合う音が耳をつんざく。

腕を押切りガーンデーヴァをはね除け、雷の拳がアイリ目掛けて放たれる。

 

アイリ「『エンジェルリフレクション』!」

 

手が届くほどの至近距離でバリアを張り、攻撃を防ぐと同時に後方へ飛び退き距離を保ち、再びガーンデーヴァを構え直す。

 

ガーンデーヴァの下部を持ち、剣術で用いられる構え方の一つである、脇構えの態勢でアルカディアを見据えている。

何かしら策があるかは明白ではないが、アルカディアはアイリが放つ予想外の技の危険性を全く考慮せず、地を蹴り走りだす。

正に猪突猛進とも言える様子だが、己の実力に自信を持っているからこそ成せる行為であろう。

己の実力を過信しているという訳ではなく、絶対的な自信を持つことで、危機を乗り切れるという考えに基づき行動している様子だ。

 

アイリ「あたしの必殺技いくよ! 篤とご覧あれ!

『光弓三日月斬』!」

 

ガーンデーヴァが光に包まれ、一本の大剣と化し、体を回転させ、光り輝くガーンデーヴァを力強く横に振るう。

アルカディアは両腕を前に交差し光の刃を防ぎきるが、重く大きな一撃に数歩後ろへと下がる。

 

アイリ「まだまだ! 追加効果あるよ!」

 

振り返り様に再びガーンデーヴァを力強く横に振るった。

光の刃は誰もいない空を斬っただけだったが、三日月形の光弾が光の刃から放たれ、凄まじい速さでアルカディアへと向かっていく。

アルカディアは避ける動作を見せず、その場で両足を地から離れないよう着け、両手で光弾を易々と受け止め、横へ払い除けると、アイリと距離を縮めるために走り始めた。

 

アイリ「『輝弓牙』!」

 

持ち方を維持したままガーンデーヴァを前に突き出すように構えると、光が弓の先端へ集束していき、マンモスの牙のように鋭い湾曲した光の刃が生成された。

続けて繰り出された接近技にアルカディアは驚く仕草を見せることなく跳び上がり、湾曲した部位の逆刃を土台にし踏み込み、アイリへと飛び掛かった。

 

アルカディア「『ライトニングスパーク』!」

 

両手に集積された緑色の電気の塊を勢い良く前に出しアイリの腹に勢い良く容赦なくぶつける。

直撃を受けた瞬間、電気の塊は小さな火花を散らしながら爆発した。

まともに強力な電撃を受けたアイリは体の中で溜まっていた酸素を吐ききり、後方へと吹き飛び地面を横転した。

先程受けた掌底の威力を遥かに上回る技を受け、感じたことのない、体を引き裂かれるような痛みに悶絶していた。

地面に横になり、呻き声を上げながら腹部を押さえたまま体を丸め、荒波の如く押し寄せる痛みを耐え抜いている。

 

アイリ「う………うぅ…かはっ…」

 

痛みが全身を迸る。

呼吸が定まらず、気が遠退いていく。

 

苦痛が全身を支配するなか、背中に優しく暖かい何かが触れるのを感じた。

 

リョウ「初めての接近戦にしては、そこらの雑兵よりかは強いと思ったで。 よう頑張った。 ゆっくり深呼吸して。 それで少しは落ち着いてくる筈やから」

 

リョウがやや早歩きでアイリへと歩み寄り、優しく背中を摩っていた。

柔らかな口調と優しく暖かい手でアイリを襲う苦痛を少しでも鎮静化させようとする。

 

言われたようにゆっくりと息を整え始めた。

体の中へ酸素が入り込んでいき、心身共に落ち着きが取り戻されていくような感覚が包み込み、痛みも次第に引いていった。

完全ではないが、体を起こせる程度には回復した。

 

アイリ「ありがとう、リョウ君。 だいぶ楽になったよ」

 

リョウ「…そうか」

 

未だ痛みに顔を少々歪めてはいたものの、自分は無事なのだと笑みで答えた。

リョウは背中を摩る手を下ろし、息を大きく吐き大事に至らなかったことに安堵した。

 

アルカディア「少しやりすぎたかもしれないけど、実戦だとこうもいかないわよ」

 

アルカディアが悠々とした態度でアイリの元へとやってきた。

 

アルカディア「実戦ではほんの些細な隙でも命取りになるわ。 今のアイリだと、技は悪くないのだけれど、発動した後の隙が大きすぎて一気に狙われ叩かれる可能性があるから、相手の行動を即座に読み取る洞察力と、相手の攻撃を避けきるか防ぐために動く瞬発力も必要ね。

今のあなたにはどれも欠けているから、徹底的に叩き込んでいかないといけないわね」

 

時空防衛局に所属しているだけあり、長年戦い続けてきただけありその実力は伊達ではないようで、短時間での戦闘で的確にアイリの改善点を見つけ淡々と述べた。

 

アイリ「あたしもまだまだなんだな。 自惚れすぎてたのかな…」

 

アルカディア「自虐的になることはないわ、アイリ。 自分は必ずやり遂げられる、できるんだという強い思いも大切になってくるから、自信を持ち前へ進んでいくことは大事なことだと思うから、何一つ間違ってなんていないわ。 あなたは戦いを知り日が浅いわ。 格闘術を学んできた人間なら兎も角、何の変哲もない日常を過ごしてきたなら基礎を知らないのは仕方のないことなのよ。

初めての事をを何も知らないのは当たり前、今から少しずつ学んでいけばいいのよ。 私が教えられる事柄、時間は限られているけど、あなたの期待に応えられるよう誠意を込めて教えていくわ」

 

アイリ「はい! よろしくお願いします、結愛さん!」

 

自分自身の特別な力と戦闘の才能を過信しすぎていたのではないかと思い若干悲観的になっていた。

アルカディアの励ましの言葉を聞き再び勇気付けられ元気を取り戻した。

 

アイリは立ち上がろうとするものの、ダメージを受けたせいか、一瞬よろめいたがリョウが透かさず肩を貸し支えたため倒れることはなかった。

 

アルカディア「休憩にしましょうか。 私が稽古をしてあげられる時間は限られてはいるけど、リョウやピコがいれば稽古に付き合ってもらえるだろうから、時間は無限にあるから焦る必要もないわ」

 

ピコ「僕達が付き合ってあげるのは強制的に決定なのか~」

 

リョウ「おぉ、ピコ、いたのか。 ってか起きてたのか」

 

ピコ「いたってば! 小さくなったから気付かなかっただけでしょ! あれだけ大きな音がすりゃ起きちゃうよ」

 

いつの間にかリョウの足元まで忍び寄るかの如く気配を感じさせずに近付いていたピコは人間サイズになり頬を膨らませていた。

 

大きな音というのは、アイリとアリスとの戦闘による爆音のことだ。

特にアリスの放った『スートメテオ』は地面に着弾したときの音と衝撃は相当のもので、熟睡してる人でなければ起きないわけがない程の音量だった。

朝から爆音により目覚めたピコと、同じ理由で目を覚ましてしまったカイはなんとも災難な目にあってしまっている。

 

アイリ「結愛さんのお言葉に甘えて休憩を取らせてもらおうかな。 リョウ君、コーヒー淹れて~」

 

リョウ「自分でやれい。 若しくは喫茶店でも行ってこい」

 

アイリ「喫茶店か~。 『ラビットハウス』か『ポアロ』がいいな~」

 

リョウ「そりゃ空想の喫茶店やろうが」

 

アイリ「流石、なのかな? やっぱりリョウ君にはバレたか。 結愛さんもコーヒーいりますか?」

 

アルカディア「えぇ、いただこうかしら」

 

アルカディアの体全体が緑色の光に一瞬包まれると、元の姿である結愛へ戻った。

 

リョウ「やれやれ、しょうがないなぁ。 わしがコーヒーを淹れてやるよ、お姫様達」

 

結愛「ふふ、私達が満足できる味じゃなきゃ、淹れ直してもらおうかしら?」

 

リョウ「泣けるわ」

 

弄ばれ嘘泣きをするリョウを見て結愛はどこかしら上機嫌でいる。

 

結愛には今時で言うSの属性があるわけではなく、仕事上付き合いの長いリョウとは相互理解を深めており、普段から巫山戯あうノリで会話をしているだけのようだ。

 

渋々承知したリョウはどこかしら重そうな足取りでベランダから靴を脱ぎリビングへと入っていく。

続くようにアイリと結愛もリビングに入ると、ドタドタと音を立てながら小さな何かがアイリの足にぶつかった。

 

カイ「アイリ、おはよう!」

 

アイリ「カイ君! おっはー!」

 

カイを見た途端目をキラキラと輝かせたアイリは小動物を撫でるかのように頭を撫で回した。

頭を撫でられ気持ち良さそうに目を細め笑顔になったカイを見てアイリは骨抜きにされている。

 

アイリ「えへへ~。 本当にカイ君はあたしの癒しだよ~。 おまわりさんあたしです」

 

リョウ「自首するのかよ」

 

アイリ「分かってないなぁリョウ君、カイ君の可愛さは犯罪級だよ! ショタコンの人なら全裸待機待ったなしだと思うよ?」

 

リョウ「おまわりさんこいつです」

 

アイリ「じゃあリョウ君も一緒に御同行してもらうからね!」

 

リョウ「わし何にもしとらんやんか」

 

アイリ「あたしのパンツ見たじゃん!」

 

結愛「……リョウ」

 

リョウ「汚物を見るかのような目でわしを見ないでくれ。 あんなの事故やし不可抗力やろう。 しゃーなしだな!」

 

結愛の冷やかな視線を浴び、内心焦りを見せているリョウは表情には出さず何気ない顔で自分で淹れたコーヒーを啜った。

 

アイリ「そりゃ確かに不可抗力だろうけど、初めて異性の人にパンツ見られたら動揺しちゃうよ。 リョウ君の事だから未だにあたしのパンツの色覚えてるんでしょ?」

 

リョウ「ラムネ色やろ? 嫌でも覚えてるわ」

 

結愛「……リョウ」

 

リョウ「頼むからその目をやめてくれ! 目に光がないよ怖いよ! 落ち着け、な? どうどう」

 

結愛の背後に般若の如く顔が歪んだ阿修羅が見えたリョウは背筋に冷や汗を掻きつつも結愛を落ち着かせようと宥める。

 

カイ「もちつけ?」

 

アイリ「餅搗け?」

 

リョウ「そう、餅搗くんだ。 あーいやいや! 落ち着くんだ!」

 

アイリ「もうしょうがないなぁ。 あたしが結愛さんを宥めてあげるから」

 

リョウ「お前に言われる筋合いはないわ!」

 

結愛「お喋りはそこまで。 悪・即・斬! はぁっ!」

 

素早く席を立ち光速の速さでリョウへ近寄り、正義の鉄拳が後頭部目掛けて降り下ろされた。

 

リョウ「ふぉっこ!? うぅ…理不尽だ…がくっ」

 

アイリ「悪は滅びた。 この日を境にあたしのパンツを見た者は誰一人としていなかった…」

 

リョウ「だから見ようとして見るもんじゃねぇから」

 

アイリ「生きとったんかワレ!?」

 

リョウ「うるせいやい!」

 

立ち直ったリョウは結愛の速さにも劣らない俊敏な動きでアリスの後頭部にチョップを叩き込んだ。

 

アイリ「ぺらっぷ!?」

 

リョウ「ったく…。 ちょっと休憩したらまた修行、稽古? まぁどっちでもいいや、始めるからな~」

 

結愛「私はいつ何時でも準備万端よ」

 

コーヒーを飲み干したリョウは早々とリビングを後にした。

 

リョウに頭をぶたれて目を回しているアイリの頭をカイはぶたれた箇所を優しく撫でていた。

 

サリエルのライブ開催日まで、残り3日。

果たして、アイリは警護にあたるために自身の力を強化することができるのだろうか?

続くったら続く。

 

 

 




プリキュアは好きです(真顔)
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