アイリ「なんでシャティがここに?」
絶体絶命の危機の最中、突然現れたシャティエルに驚きの表情を隠せずにいるアイリとリョウ。
フサキノ研究所がある暗く深い洞窟、 グニパヘリルを抜けた後にはガブリエルにより生成された強力な結界が張られているため、出入りすることは不可能な筈だった。
リョウ「もしかして、外の世界を生きたくなったのか?」
シャティエル「はい。 私の意思でもあり、博士の願いです」
アイリ「博士の願い?」
シャティエル「詳しい事は後ほどお話致します。 今は敵を殲滅させることに集中しましょう」
『光粒子ライトソード』を出し切っ先をセラヴィルク達へと向ける。
セラヴィルク「お仲間の登場か。 …へぇ、なかなか物騒な兵器を多数所持してるみたいだな」
能力を使用しシャティエルの使用する武器の数々の知識を得たのか、感心したように数回頷いた。
セラヴィルク「だが一人増えたところで戦況が変わるとは限らないぜ」
シャティエル「間違いなく変わっております。 私達がアイリさん達と共闘すれば、少なくとも勝率は上がります」
セラヴィルクはシャティエルの言葉を右から左に流し拳を握り締め、凄まじい速度で接近し殴りかかった。
シャティエルは片手でセラヴィルクの拳を受け止めたが、機械である頑丈な体でも一、二歩下がるほどの威力だった。
シャティエル「尋常ではない力量を感知。 接近戦は危険と断定。 遠距離線に移ります」
セラヴィルク「そうはいかないぜ。 ディアグルム!」
ディアグルム「分かっております。 はあっ!」
ディアグルムが触手を伸ばしシャティエルの体に巻き付き縛りあげた。
身動きが取れなくなったシャティエルにセラヴィルクは止めを刺そうと拳を繰り出した瞬間、間にリョウが入り拳を真っ正面から受け止めた。
更にアイリがセラヴィルクの懐に素早く入り渾身の力で振るったガーンデーヴァによる光の刃の一撃が決まった。
シャティエル「感謝します。 アイリさん、リョウさん、『ライトガトリング』を使用するので下がっててください」
言われた通りアイリとリョウは後方へと下がった。
シャティエルは肩から『ソニックプラズマ』による電磁砲でセラヴィルクとディアグルムを牽制、触手による拘束が解かれシャティエルは周囲に魔方陣を展開させ新たな兵器を召喚する。
複数の銃身を束ねた白色の機関銃の砲身が幾つか姿を見せると、一斉に火を噴いた。
ライトグリーン色の細長い光弾が連続で発射されセラヴィルクとディアグルムに集中放火を浴びせる。
ディアグルム「ぐっ! 防ぎきれない…! ぐわあ!?」
触手を闇雲に振り回し光弾を弾いてはいたが、兎に角如何せん数が多く、防ぎきることができなくなったディアグルムは何発か命中してしまった。
シャティエルは更に魔方陣を出現させ、新たに『永久追尾式浮遊ライトソード』と『多連装レーザーバックル』を召喚させた。
ベルゼブブ「エンジェロイド、噂に聞いたことはあったが火力が半端じゃねぇな。 おもしろいじゃねぇか!」
ベルゼブブは口角を上げゆっくりと歩みを進める。
浮遊する光の刃が伸びるユニットがベルゼブブ目掛け向かって行くが、ベルゼブブは避けようとする仕草を見せようともしない。
ベルゼブブ「力ずくで突破するだけだ!」
ベルゼブブは鋭利な刃を殴り飛ばし、シャティエルに接近していく。
何本かの光の刃はベルゼブブを斬り裂いてはいるが、強靭な肉体には然程効果がないのか、浅く傷は負ってはいるものの、怯む様子が一切ない。
ベルゼブブ「『ソウルティアー』!」
手の平に紫色の円盤状のエネルギー弾を出しシャティエルに殴りかかるようにしてぶつける。
浮遊していたバックルが素早く移動しシャティエルを防衛するが、エネルギー弾がバックルに直撃した瞬間に電動カッターのように回転を始めバックルを斬り裂こうとしていた。
シャティエル「バックルを斬り裂く程の威力ですか。 ですが、まだ問題になるほどまでには至ってはいません」
慌てることなく冷静に状況を把握し次なる一手を瞬時に計算し考案する。
ベルゼブブの左右の地面に魔方陣が生成され、中から巨大な装置が出現し、数本の突起物が伸びると先端から電流が流れベルゼブブの動きを封じた。
シャティエル「『拘束電流装置』です。 暫くは身動きは取ることはできません」
ベルゼブブ「な、なんのこれしき! ぐわっ!?」
ベルゼブブが拘束を解こうと踠くと電流の電圧が上がり体全身に痛みが迸る。
シャティエル「動かぬ方が身のためです。 他の二名の敵を殲滅させるまで、大人しく待っていてください」
ベルゼブブ「く、くそがあああああー!!」
熱り立つベルゼブブに背を向け再びセラヴィルクとディアグルムの方へと向き直る。
アルカディア「サタンフォーやエクリプスの幹部を相手に苦戦を強いられないとは、流石エンジェロイドなだけはあるわね」
シャティエル「博士の用いた技術なのですから、当然です」
リョウ「さぁて、一気に片付けるとしますか」
アイリ「シャティエルもパーティに加わったことだし、百人力だよ!」
アイリ、リョウ、アルカディア、シャティエルが並びセラヴィルクとディアグルムを見据える。
セラヴィルク「俺達ばっかに構ってていいのか? 俺達の可愛い部下達だけじゃなく悪魔の連中も何人か既にドーム内に浸入してるぜ?」
リョウ「ドーム内に入れてしまったのはわしらの力不足やったかもしれへんけど、問題はない。 中には時空防衛局の人間が配置されてるからね」
アルカディア「今頃倒されてのびてるところかもしれないわね?」
リョウとアルカディアの二人は敵の浸入を許したにも関わらず余裕綽々たる態度でいた。
~~~~~
場所は変わってドーム内のとある通路。
関係者以外でなければ立ち入ることができない場所。
関係者でも普段通ることのない物音一つしない薄暗い通路を地下駐車場から浸入した十何人かのエクリプスの戦闘員達が駆けていた。
彼等が目指すはライブが行われているステージ。
ディーバを誘拐するために歌声と歓声を頼りにステージへと向かっていたのだが、人気のない通路へとやって来てしまっていた。
「おい、本当にこっちであっているのか?」
「間違いない! いいから走れ!」
「待て! 前に誰かが立っているぞ!」
戦闘員達の行く道を阻むかのように何者かが通路を歩いていた。
肩まで伸びる銀髪を揺らせ歩みを進めていたのは、時空防衛局第一時空防衛役員の一人、シギアだった。
海のように青い瞳は戦闘員達を見据えており、集団を相手にたったの一人だというのに、狼狽える様子は一切なかった。
シギア「大勢で狭い通路を渡っているところを申し訳ないけど、お引き取り願おうか」
「俺達がはいそうですかって潔く回れ右すると思ってるのか?」
「言葉で何とかなるんならセラヴィルク様達がとっくにやってるんだよ! 行くぞお前ら!」
シギアの言葉に耳を貸さずそれぞれ武器を携え、声を張り上げ走り始めた。
シギア「相変わらず横暴な人達だ。 実力行使になるのは分かってはいたけど、悲しいね」
和平交渉を少しでも望んだ自らに呆れ大息をついた。
元より、和平交渉など実行しようとなどしていなかったのかもしれない。
シギアは戦闘員達がドーム内に浸入した時点で能力を発動させていたのだから。
シギアと戦闘員達が今いる現在の場所は、地下にある備品置き場に通じる通路で、シギアを突破したところでステージにいるディーバの元へ辿り着くことはできない。
本来ならば上の階へ行かなければならないのに、何故彼等は地下にある通路を駆けていたのか。
答えは明白だが、シギアの能力である、あらゆるものを導く力を行使し、浸入した戦闘員達を人気がない薄暗い通路へと導いていたからだ。
シギア「そちらから手を出したってことは、正当防衛、ってことでいいよね?」
手の平に燃え盛る蒼い炎が出て、薄暗い通路が僅かだが照らしだされた。
手を前に突きだすと蒼炎が川の激流かの如く勢いで戦闘員達へ向かっていき、悲鳴と断末魔を上げる時間さえ与えることなく燃やし尽くす。
命中を免れた戦闘員達は戦略的撤退の者もいれば、恐怖に戦き戦線離脱を考える者もおり、踵を返し元来た道を戻り始めた。
だが戦闘員達の退路を塞ぐ存在が既におり、走っていた足を止めざるを得なかった。
全身を漆黒の布で覆われ、禍々しい仮面を付けている人物、凶ノ助だ。
周囲の薄暗さも相まってか、蒼炎に照らし出された白い仮面が良く目立ち、その禍々しさに戦闘員達はたじろいでいた。
シギア「やあ凶ノ助。 遅かったね」
凶ノ助「ここへ来る途中にも侵入者を見掛けたんで始末していたからな。 お前の導きの力がなければ更に遅れていたのは明らかだったが」
シギアは警備している人物の中でも最も近場にいた凶ノ助に無線機で連絡をとり、力を行使しこの場へ来るように導いていた。
凶ノ助「貴様等に恨みはないが、死んでもらおう。」
短刀を携え目にも止まらぬ足さばきで戦闘員達へと接近し、喉元を確実に斬り裂いていく。
武器を構える暇もなく、戦闘員達は床へと倒れていく最中、一人の戦闘員が銃を手にし凶ノ助に銃口を向け引き金を引いた。
通路内に銃声が木霊し、凶ノ助に銃弾が命中する筈だったのだが、凶ノ助の姿は何処にもなかった。
神隠しにでもあったのかと思うほどの一瞬で消えてしまったので、下っ端は慌てた様子で周囲を探る。
「くそ! 何処へ消えた!」
凶ノ助「貴様の真上だ」
真上から声が聞こえた時には、既に戦闘員の喉は天井から上半身だけが出ている凶ノ助の短刀により掻き斬られていた。
凶ノ助の持つ能力である『闇隠れ』。
影の中へ入る能力で、奇襲や身を潜めるのに適しており、薄暗いこの通路ではこの能力が最大限に引き出される。
シギアはそれも考慮してか、この場を戦場に選んでいたのかもしれない。
シギア「流石、その迅速な動きはとてもじゃないが真似はできないね。 じゃあ僕も応戦するとしようかな」
シギアの周囲に球体形の蒼炎が出現し、右手を軽く前に払うと戦闘員達目掛けて勢い良く飛んでいき、戦闘員達に着弾すると瞬時に全身に火が回り勢いを増し燃え盛り、その身を焼き尽くした。
凶ノ助の迅速な動きによる短刀の斬撃と、シギアが放つ蒼炎により、数分と掛からぬ間に数十人といた戦闘員達は全滅した。
凶ノ助「俺達にとっては敵ではない相手だな」
シギア「そりゃ下っ端相手だからね。 幹部相手だと軽口を叩く暇もないと思うよ。 さて、これ以上浸入を許さないためにも、地下駐車場の入り口付近に移動しよう」
シギアは床に倒れている息絶えた戦闘員達の前に止まり目を閉じ黙祷を捧げ、地下駐車場の入り口へと歩き始めた。
凶ノ助は黙ったまま影に入りその場から姿を消した。
~~~~~
地下駐車場ではアイリ達が未だに戦闘を繰り広げており、地面は抉れ、天井は崩れ落ち、元の状態とはかけ離れた戦場へと成り果てていた。
アルカディア「『ニトロライジング』!」
緑色の電気の塊が散布され、地面に着弾すると電撃を含んだ爆発が起きた。
セラヴィルクとディアグルムは全て避けきりアイリ達へ攻撃を仕掛ける。
セラヴィルク「はああああああああ!」
リョウ「通してたまるかいや!」
セラヴィルクの放った拳を剣で受け止め真下へ払い除け顔面を柄で殴り付けた。
アイリが透かさずセラヴィルクの体の芯に目掛け『アロービーム』を放った。
急所は外したものの、セラヴィルクは地面へと倒れ伏した。
ディアグルム「セラヴィルク様! おのれ小娘!」
アイリ「うわあ来た! 『光弓三日月斬』!」
光の大剣と化した弓を勢い良く振るいディアグルムの身体を縦に斬り裂いた。
紫色の血が周囲に飛び散り、大きく後退したところをアイリは更に弓を上に振り上げ、倒れているセラヴィルク共々ディアグルムを斬りつけた。
セラヴィルク「バカな…この俺が、こんな小娘相手に…!?」
ディアグルムと横に並ぶように倒れたセラヴィルクは吐血しつつ口を動かした。
シャティエル「勝負あったみたいですね。 リョウさん、この方達は如何しましょうか?」
リョウ「今すぐにでも殺したいところなんやけど、捕らえて時空防衛局に引き渡す。 己が犯した罪を償ってもらわにゃいけへんからね。 殺すよりも、生き地獄を味合わせてもらった方が、こいつらにとっては地獄やろうからな」
アイリ「さぁ、お前の罪を数えろ!」
セラヴィルク「罪、ねぇ。 数えられないから、遠慮しておくぜ」
何をすべきか察したディアグルムはセラヴィルクを触手で担ぎ上げ、後ろに召喚された時空の歪みに飛び込み姿を消した。
リョウ「逃がすか!」
白い粒子の翼を羽ばたかせ、縮小されていく時空の歪みに無理矢理に手を入れ閉じるのを防いだ。
強制的に時空の歪みを抉じ開けようとしているため、歪みが更に不安定になり、時空のエネルギーが溢れ出てリョウの身体を徐々に蝕んでいく。
シャティエル「リョウさん、これ以上は危険です! 直ちに歪みから離れてください!」
リョウ「分かってるけどこのまま逃がすわけにもいかへんからね! 大丈夫、ちょっとしたらまた天界に戻ってくるから、心配せんといて!」
苦悶に満ちた顔をしながらも後ろを向きアイリ達に言葉を伝えると、更に腕に力を込め歪みを広げ、人一人通れる大きさになると右脚からジェット噴射を出し、歪みが閉じそうになったギリギリの隙間を通過することに成功した。
時空の歪みは徐々に縮小していき、数秒後には跡形もなく消え去っていた。
アイリ「ねぇ、リョウ君って無事なの? ねえ、結愛さん!?」
アイリが縋るような目でアルカディアを見つめ震える声で質問を投げ掛けた。
アルカディア「取り敢えずは無事よ。 後はリョウがあの二人を相手に勝つことができるか否かね」
アイリ「どうにかして私達も追うことはできないの?」
アルカディア「ワールドゲートを使用していれば何処の世界へ移動したか調べることは可能だけれども、時空の歪みを使用しているとなると、どの世界にいるか特定するのは難しいわね」
リョウや時空防衛局の一部の人間はワールドゲートを使用し、目的地となる異世界へ移動している。
だが時空の歪みを使用すれば行き着く世界を決めることは、余程の実力者でなければ不可能で、どの世界へ移動してしまうか見当も付かない。
最悪な場合、世界と世界の狭間にある空間に出てしまう場合もあり、新たな歪みが発生しない限り脱出することは不可能で、時空の歪みにより発生する亜空流に巻き込まれてしまう事もある。
危険性を知りながら時空の歪みに飛び込む輩はアリスくらいであるが、エクリプスの者達は時空の歪みを敢えて使用することで時空防衛局に何処の世界へ移動したのか分からなくさせ行方を眩ます方法で今まで難を逃れてきていた。
アイリ「どうしよう…リョウ君の身に何か起きたら…!」
アルカディア「落ち着いてアイリ。 足を負傷しているとは言っても、彼は戦闘経験が豊富で簡単にやられたりはしないわ。
もし仮に命を落としそうになれば異世界へ移動し逃げることもできる。 リョウを信じて帰るのを待ちましょう。」
アルカディアがアイリをなんとか宥め落ち着かせた。
アイリ「無事に帰って来るって、あたし信じてる」
ベルゼブブ「俺がまだいるってのに、余裕だなお前ら。 舐められたもんだぜ」
怒気が籠った声が聞こえ、振り向いてみると、『拘束電流装置』を破壊し終え手をボキボキと鳴らし歩くベルゼブブの姿があった。
電流による激痛が身体中を迸る中を耐えながらも、拘束から逃れるために左右に設置されてある一つを殴り壊していた。
かなり無茶で強硬な手段だったせいか、身体中から煙が出て肩で呼吸をしている。
シャティエル「拘束を力ずくで解かれるとは思いませんでした。 サタンフォーの実力は予想以上に高いようですね」
ベルゼブブ「俺の実力をなめて掛かってもらっちゃ困るな。 全力で向かって来いよ、じゃなきゃ殺すぞ。 いや、今から殺すけどな。 『デスペラードクラッシャー』!」
紫色の波動が解き放たれかのように体から溢れ出し全体を包み、地面が凹むほど片足に力を込め踏み出すとアイリ達に突貫した。
シャティエルが『クリスタルミラーバリア』を展開させるが、ベルゼブブが拳で一撃を加えただけでバリアは砕け散ってしまった。
アルカディア「思った以上にまずいわね! 『ライトニングフルバースト』!」
両手に溜めた電撃を直線に伸びる電撃として全力で放ち、ベルゼブブの突貫を止めようと試みるが、威力が劣るせいか徐々に押され始めている。
ベルゼブブ「諦めな。 結局お前は仲間を守れはしないんだからよ」
アルカディア「本当に人の弱みにつけ込んでくれるわね。 あの時のようにならないために、私はより一層全力を尽くすだけだわ!」
放たれる電撃が威力を増していき、ベルゼブブを押し返していく。
アルカディア「同じ過ちを、二度と繰り返す真似はしない!」
ベルゼブブ「罪ってのは一度犯せば一生消えねぇんだよ!」
アルカディア「言われなくても分かってるわ! 罪は消えることはないから、一生背負って生きていくしかない。 背負っているからこそ、私は忘れない。 絶対に忘れないから、私は今いる仲間のために、世界のために戦えるの!」
周囲に轟く声を腹の底から張り上げ、限界を超えるであろう電撃が放たれ、ベルゼブブの全身が電撃に呑まれていき、雷が落ちたかのような轟音を立て天井に激突した。
アルカディアは全力を尽くし足が震え立っているのがやっとの状態の筈だが、倒れまいと踏ん張っていた。
アイリ「凄い…サタンフォーの一人を倒しちゃったよ。 結愛さん、凄すぎるよ」
アルカディア「はぁ、はぁ…いえ、倒せては、いないわ。 あの程度でやられるほど弱者ではないわ」
天井を突き破り、未だに砂塵が舞っている状態で、生存しているかどうか視認することはできなかった
アルカディア「兎に角、一度地上へ出ましょう。 恐らく上で警備していた人達が多くの悪魔達と交戦しているから、少しでも多くの応援がいるはずよ」
シャティエル「分かりました。 私も援護致します」
アルカディアは頷き、覚束無い足取りで悪魔達が開けた天井の穴の下まで来ると、踵に装飾されてある白い羽が巨大化し、アルカディアの体が宙を浮き上がり飛行できるようになった。
シャティエルも翼を展開させアルカディアの元へと飛んでいく。
アルカディア「どうしたのアイリ?」
アイリ「結愛さん、シャティ、先に行っててもらえない? カイ君が何処かに隠れてる筈だから一緒に行くから」
アルカディア「分かったわ。 私達は先に行ってるわね。 じゃあシャティエル、行きましょう」
シャティエル「了解しました。 一つお伺いしたいのですが、あなたは何故私の名前をご存知なのですか? お教えした覚えはないのですが」
アルカディア「ぁ…リョウから話を聞いていたのよ。 睦月がフサキノ研究所の調査に行ったときのレポートを見たときにもあなたの事が表記されていたわ。」
シャティエル「そうだったのですね。 あなたの紹介は成すべき事を終えた後で教えてもらいますね。 では、参りましょう」
アルカディアは誤魔化すかのように笑みを浮かべると、地上へと急上昇していった。
シャティエルも後を追うように急上昇し、残されたアイリは戦闘が終わり静まり返った地下駐車場に残り沈黙を痛感していた。
アイリ「さて、ウォーリーを探す勢いで行くからね! おーいカイ君! 怖い人達はあたし達がもう倒しちゃったから出てきても大丈夫だよー!」
微小ではあるが地下駐車場にアイリの声が木霊する。
大声で呼んだにも関わらず、カイが姿を現す気配が一向になかった。
アイリ「あれ、何処にいるんだろ? 耳にバナナが入ってて聞こえないわけじゃないと思うし」
冗談を交えつつ瓦礫の上を歩いていると、斜め後ろから何者かの気配を感じ取った。
一瞬カイと思い笑みを浮かべたが、即座に笑みは消え去った。
嫌な気配がピリピリと肌に感じ取ることができ、全身から汗が吹き出る。
今すぐこの場から離れた方がいいと己の感覚が警鐘を鳴らしてはいるが、体が竦み思うように動けなくなっていた。
アイリの見つめる視線の先にある瓦礫の山の影から姿を現せたのは、ベルゼブブだった。
シャティエルと結愛は作者のお気に入りキャラ。