ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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暇人は辛いぜ。


第23話 アイリvsベルゼブブ

アルカディアの全力とも言える一撃を受け、痛々しい姿をしているが、ベルゼブブは確かに生存していた。

アイリを抹殺する使命を果たすため気力で立っている様に見えるほど足取りは覚束無い。

だが体からは常人では目で視認は不可能だが、未だに紫色の波動が出続けており、アイリは能力のお陰ではっきりと目にしていた。

 

アイリ「流石、サタンフォーって呼ばれてるだけのことはあるって感じ…」

 

ベルゼブブ「当たり前だ、あの程度で、ぶっ倒れるほど弱いわけねぇだろ。 まぁ、相手が『救済の雷鳴』だけあって力は相当なものだったがな。 さて、お喋りは終わりにして、殺し合いでも始めようか。 一方的な殺し合いになりそうだけどな」

 

息切れをしながらもベルゼブブは一歩、また一歩とアイリとの距離を詰めていく。

対するアイリはガーンデーヴァを両手に持ち震える足で地を踏み締め構えを取る。

 

常に自信を持ち強気なアイリではあったが、今回ばかりは命の危機を感じていた。

従前まではリョウや結愛等という心強い仲間と共闘し危機を乗り切れてきたが、現在自分の周囲には仲間はいない。

己の実力のみで迫り来る敵を討たなければならない。

相手は悪魔の中でも指折りの実力者であるサタンフォーの一人、気を引き締めて戦いに挑まなければ間違いなくこの場で命を落とすことになる。

自分の実力を信じ、ガーンデーヴァ強く握り孤独な戦いに傾注する。

 

ベルゼブブ「死ね小娘が!」

 

ベルゼブブは紫色の円盤状のエネルギー弾、『ソウルティアー』を数発空中に出し一斉に投げつけた。

次々と飛来する光弾をガーンデーヴァを縦横無尽に振るい全て光弾を真っ二つに斬り裂き、矢を3本召喚し番え、矢を引き絞り、狙いを定めて射ち放つ。

ベルゼブブは腕を振るい矢を振り落とすが、そのうちの1本は頬を掠め地面に刺さった。

 

アイリ「ワンサイドゲームになんてさせないんだから!」

 

ベルゼブブ「偶然にすぎないってのを今から教えてやるよ。(気のせいか? 威力と速さが増している気がするな)」

 

アイリは更に5本の電気を纏った矢を召喚し番え、ベルゼブブの真上に向けて射ち放つと同時に翼を広げベルゼブブの周囲を転回するかのように飛行し、『サンダーボルトアロー』を放ち始める。

アイリが放った電気を帯びた矢、『サンダーボルトアロー』は稲妻に変化し、ベルゼブブを囲うように落ちていき、動きを封じていくが、ベルゼブブは翅を広げ低空飛行で避けながら着実にアイリへと接近していく。

 

ベルゼブブ「撹乱しながらの攻撃なんだろうが、こんな攻撃じゃまだまだ俺を倒せるって程じゃねぇな!」

 

アイリ「まだ全力を出していないんだから! 『スプレッドアロー』!」

 

近距離から拡散する矢を放ちベルゼブブの接近を防ぐ。

サタンフォーとは言えど、光の属性を持つアイリの攻撃を真面に受けるとそれなりにはダメージを負うため、極力防御より回避に専念した。

回避行動を読んでいたのか、アイリは『ストレートアロー』を連続で放った。

腕や腹に光の矢が深々と突き刺さり、苦悶に満ちた顔を浮かべた。

 

アイリ「やった…!? おっと、これフラグだ…」

 

ベルゼブブ「調子に、乗りすぎだ!」

 

ベルゼブブは力任せに矢を引き抜き地面へ放り投げた。

出血しているのにも気に掛けず、再びアイリへと接近し拳を突き出した。

今まで以上に俊敏な動きにアイリは反応が遅れ、ベルゼブブの攻撃を諸に受けてしまった。

体がくの字に折れ曲がり、ガーンデーヴァを手放し空中へ舞い上がった。

更に追撃をかけるように肘打ち、アッパーを繰り出し、最後に背中に踵落としを決め地面へと蹴り落とした。

勢いよく地面に叩き付けられたアイリは口から血を吐きながらも、自らの体に鞭を打ち、なんとか立ち上がろうと腕に力を込めるも、数秒も経たない内に倒れてしまう。

 

アイリ「うぐっ…リョウ君達に修行してもらってた時に、痛みは少しは慣れたかなって思ってたけど…痛いもんは痛いね。 病的かつ冒涜的な禍々しい混沌とした痛みがあたしの体を迸ってるよ」

 

ベルゼブブ「それなりにダメージ通ったと思ってたけど、まだ与え足りなかったみたいだな」

 

ベルゼブブは勢いよく足を降り下ろし戯れ言を吐くアイリの頭を踏みつけた。

アイリは苦しそうに呻き声を上げるが、ベルゼブブは容赦なく踏む強さを増していく。

 

ベルゼブブ「苦しいか? そうだろうな。 簡単に殺しはしないぜ。踠き苦しむ声を聞きたいんだからよ!」

 

アイリ「めっちゃドS染みたこと言ってるね。 それと、あたしは、まだ…殺されるつもりなんてないんだから…!」

 

ベルゼブブ「誰も助けてくれる相手もいないのに、諦めるつもりはないのか。 お前は結局一人なんだよ。誰も助けには来ず、今死ぬときも一人だ。 人間だった頃と同じ様に、孤独なままだ」

 

『現実世界』で過ごしていた頃の自分の様を言われ、心を抉られたような感覚に陥る。

家族も友達と呼ばれる人もいなかった。

孤児院の職員達ともこれと言える知人がいるわけでもない。

孤独と言われても不思議ではない。 寧ろ自分で認めてもいる。

認めているからこそ、苛まれてしまう。

過去の自分とは決別したい気持ちはあるが、いざ他人に言われてしまうとたじろいでいるのが一目瞭然だった。

 

アイリ「……」

 

ベルゼブブ「沈黙を通すということは図星か?」

 

アイリ「…はぁ、言いたい放題言われて、めちょっくだよ。 あたしの心が傷付くようにうまいこと言いくるめて、あたしが絶望したと思って満足した?」

 

ベルゼブブ「他人の不幸な面を拝むのは最高なんだよ。 絶望されるだけ絶望し、その直後に殺す。 お前にも味会わせてやるってんだよ」

 

アイリ「絶望、ね。 流石のあたしも傷付いたよ。 自分の行動が招いてできてしまった孤独だもん。 でも、今は違うもん。」

 

徐々に口調が強くなっていき、相手を射抜くような鋭い眼光を向ける。

 

アイリ「今現在この状況では一人だよ。 でも孤独じゃない。 あたしには今は頼れる人達がいるから!」

 

ベルゼブブ「こんな危機的状況に助けに来てくれない人が頼れるのか?」

 

アイリ「リョウ君や結愛さんはこの世界のために戦っているから、この場にいないのは仕方ないことだよ。 臭いこと言うけどさ、あたしは短い間の中でも絆っていうのができあがってるんだから! あたしはもう一人じゃないって分かってるから、誰かが待ってくれる帰る場所があるから!」

 

口調が強くなるのを契機にアイリの体から白い光の粒子が出ており、光の力が上昇していく。

アイリ本人は気付いてはいないようだったが、ベルゼブブは間近で肌で感じ取っており、焦りの色を隠しきれずにいた。

 

アイリ「リョウ君も言ってたけど、心の奥底にある闇を探って墜とすようなやり方をするみたいだけど、あたしは負けたりなんかしない! 絶望してファントムになんてなるのはごめんだからね! 自分を信じて、仲間を信じて前に進み続けていくだけだよ!」

 

声を荒らげるように力強く言ったのが合図だったのか、離れた場所に落ちてあるガーンデーヴァがラムネ色に淡く輝きを放ち始め、意思があるかのように独りでに動き宙に浮き、ベルゼブブ目掛け飛行し背中を縦に斬り裂いた。

アイリの力に傾注していたせいでガーンデーヴァに気付くことができなかったため直撃を受けたベルゼブブは体勢を崩し前のめりに倒れ込んだ。

アイリはこの好機を逃さず未だに痛みが走る体を無理矢理動かし立ち上がり、自分の元へとやって来たガーンデーヴァを掴み光の矢を瞬時に召喚し弓に番え、倒れているベルゼブブに向け放った。

ベルゼブブは横へ転がるようにして避け立ち上がり、怒りに身を震わせ怒気の籠った目でアイリを見据えていた。

 

ベルゼブブ「小娘が、調子に乗りやがって。 お遊びは終わりにして早急に殺すべきだったな」

 

思惑通りに事が進展しなかったせいか、かなり苛立っているようで、拳を構え突貫してきた。

 

アイリ「うわ、ムカ着火ファイヤーだね。 でも、怒りに身を任せていると身を滅ぼすだけだよ! 荒れるよ~! 止めてみな!」

 

アイリの言う通り、怒りに身を任せた簡素な攻撃を難なく見切り、『ファイブストレートアロー』を光速とも言える速度で放ち、空中へ飛来し再び矢を召喚し矢に番えた。

放たれた5本の矢は背中に直撃し、ベルゼブブは痛みに顔を歪めるが、攻撃を受け怒りが増幅されたのか、獣のように咆哮を上げ、アイリの元へ跳び上がった。

紫色の波動を纏った拳、『デスペラードクラッシャー』が迫る中、アイリは屈することなく一回深呼吸をし心を落ち着かせ、力強く弦を引き始める。

 

アイリ「よっし、ぶっぱなすよ! 『パーフォレーテッドアロー』!」

 

矢先が青く輝く矢がベルゼブブの拳に目掛け放たれ、勢いよくぶつかり徐々にだがベルゼブブの体ごと押し始める。

 

ベルゼブブ「なっ!? 馬鹿な!? ぐわああああああああ!!」

 

放たれた矢はベルゼブブの拳を貫き、ベルゼブブごと地面へと真っすぐ飛んでいき地面に突き刺さった。

 

アイリ「よーしトドメいきますか! いくよ! あたしの必殺技! パート…決めてないから別にいっかな。 『ロイヤルストレートアロー』!!」

 

弓に番えられた矢が今までの比にならないほど眩い光を帯び、ベルゼブブ目掛け放たれた。

回避行動が取れなかった、否、回避行動を取ろうとする思考が追い付く前に矢は体に突き刺さっていた。

正に光速と言える速度と威力を兼ね備えた矢は体に突き刺さった後も止まることなく直進し続け、ベルゼブブの体は為す術もなく地面を抉りながら吹き飛んでいき、砂塵を巻き上げながら壁に激突した。

アイリは強力な技を使用した反動なのか、肩で息をしている状態だった。

 

アイリ「えへへ…あたしにしては、頑張った方、だよね?」

 

他の技を使用できないほどまで疲労し、満身創痍ではあったが、警戒を緩めることなくふらつく足を動かしベルゼブブの元へと近付いていく。

 

ベルゼブブ「ごはっ…! この俺が、戦闘不能にまで追い込まれるとは…。 ましてや、元人間の小娘に、やられちまうなんてよ…」

 

ベルゼブブは口から大量に血を吐いており、アイリ以上に傷を負っていた。

素人から見ても分かるほど、戦闘の続行は不可能だった。

 

ベルゼブブ「けっ…油断大敵とはこのことなのかね。 今日のところは退かせてもらうぜ。 次会うときが、お前の命日だと思えよ?」

 

心底悔しそうな表情を浮かべたままベルゼブブは黒い霧になったかと思うと、その場から姿を消していた。

脅威が過ぎ去り安堵したアイリは大きく息を吐き、ガーンデーヴァを消しその場に座り込んだ。

 

アイリ「か、勝てたの、かな? あたしに勝とうなんて、2万年早いぜ!…ってね」

 

余程安堵していたのか、自然と笑みが溢れてしまった。

改めて思うと、一人では初の戦闘で、命の危機に晒されていたのだと実感し、僅かだが初めて戦うことの、死の恐怖を味わった。

リョウや結愛には言い聞かされてはいたが、戦闘ではいつ如何なる時でも油断してはならないのだと身を持って知ることができ、アイリにとっては精進していくための良い実戦経験になった筈だ。

 

アイリ「でも、流石に疲れた、かな。 もう、限界かも…。」

 

瞼が徐々に落ちていき、身体中の力が抜けてゆく。

立っていることすらままならなくなってきてしまい、数秒後には膝から崩れ落ちるように倒れ、気を失ってしまった。

ベルゼブブを撃つ決定打となった、自分の出せる全ての力を乗せた『ロイヤルストレートアロー』を放ったのは勿論だが、極度の緊張から解き放たれた安心感が大きかったと言うのもあり気を失ってしまったようだった。

 

 

~~~~~

 

 

アイリが気を失ってから数分経った。

誰一人として立ち入ってないため沈黙がこの場を支配していたが、突如としてそれはやって来た。

コンクリートの瓦礫の山を歩いてくる音が徐々にアイリの元へと迫ってきていた。

現れたのは、数人の悪魔兵だった。

ベルゼブブ達が開けた天井の穴から地上で行われてるであろう戦闘の混乱に紛れ侵入したようで、アイリの姿を見つけるや否や、全員が不気味な笑みを浮かべ、それぞれの武器を構え殺めようとせんばかりにじりじりと歩みを進める。

 

「こんな寝心地の悪い冷たい地面で、一人で寝てるとはなぁ」

 

「馬鹿な女だ。 いい夢を見てるうちに、永遠の眠りにさしてやろうぜ」

 

悪魔兵の一人が剣を携え歩みを進めていく。

静かにゆっくりと剣を振り上げ、何時でもアイリの首を刎ねる状態になった瞬間、悪魔兵の体に凄まじい衝撃が走った。

巨岩がぶつかってきたような衝撃が真横から直撃し、悪魔兵の体がくの字に折れ曲がり目にも止まらぬ速さで吹き飛び絶命した。

 

「なっ!? き、貴様は…!」

 

突如現れた人物に悪魔兵達は無意識に後ずさっていた。

目の前にいたのは、人間サイズはあるであろう、身長約140㎝程の白い消しゴム、ピコだ。

手という部位が存在しないためどのようにして所持しているかは不明だが、ピコピコハンマーを持ちアイリを守るかの様に立っている。

 

レミーネとの戦闘を終えたピコはリョウと合流するため辺りを捜索していたところ、アイリが危機に陥っている状況を目にし、自慢の武器を取り出し瓦礫の影から飛び出していき、現状に至るということだった。

 

ピコ「もう、リョウは何やってるのさ。 しっかりアイリを守らなくちゃいけないのに」

 

「監視者の相棒がまだ残っていたとは…」

 

ピコ「僕を見て怖気付いちゃったの? 悪魔の中でも僕は強いって認識なのかな? だとしたら嬉しいかな~」

 

「ふん、貴様のような後先考えずに一人で立ち向かってきたガキ一人に何ができる? ここで逃げた方が己の身のためだぞ?」

 

ピコ「強気に言ってる割には、さっき僕のこと見るなり後ずさっていたみたいだけど?」

 

「っ、黙れ! お前ら、悪魔の恐ろしさを骨の髄まで思い知らせてやるぞ!」

 

ピコが発した言葉が事実なのかは反応を見て察するが、苛立ちを覚えた一人の悪魔兵の声と共に、一斉に武器を携え声を荒げながら走り始める。

 

ピコ「後先考えてないのはそっちじゃん。 四方八方から攻め立てれば何とかなるって考えなのかな?」

 

ピコは悪魔兵達の愚劣極まる行動と思考力に思わず溜め息をついてしまった。

 

ピコ「僕がこんな見た目だからって、なめないでくれるかな?」

 

ピコの両目の瞳が瞬時に黄金色に染まったと思うと、その場から消えてしまっていた。

 

「な、何処に…!?」

 

ピコ「後ろだよ、う~しろ」

 

声に気付いていた時には、数人の悪魔兵がピコピコハンマーにより薙ぎ倒されていた。

ピコピコハンマーをまるでおもちゃを振り回すかのように扱い、悪魔兵達を次々と突き飛ばしていく。

倒された悪魔兵の中にはあまりに強烈な打撃を受け、体が本来なら曲がることのないようなありえない方向に屈曲している者もいれば、顔を殴打され首が飛ばされる者もおり、無惨な状態の死体が地面に転がる、正しく死屍累々とはこの事だろう。

 

ピコ「アイリはリョウにとって大切な人なんだよ。 殺そうとするなんて、僕が許さないよ」

 

黄金色に輝く瞳が薄暗い空間ではとても不気味に見え、ピコが無表情でいるところを見ると一層不気味に見えてしまい、恐怖すら感じてしまう。

 

「この消しゴム野郎が! 死ね!」

 

ボウガンを構えた何人かの悪魔兵がピコの体目掛けて弓を連続発射する。

ピコは避けようとはせず、その場に佇んだままで、口を大きく開けエネルギーを溜め始めた。

 

ピコ「跡形もなく消し去るよ! 『ピコビーム』!」

 

ピコの口から光線が放たれ、直撃を受けた悪魔兵達は光線の中で悲鳴を上げながら塵となり消えてゆき、跡形もなく消え去っていった。

光線を吐き続けたまま体を回転させ、アイリに当たらないよう細心の注意を払いながら悪魔兵達を攻撃していった。

 

ピコ「……ふぅ、よし、僕の大勝利だね」

 

数分もしないうちに、何十人と存在していた悪魔兵達はたった一人の消しゴムにより全滅させられた。

警戒を解こうとしていると、頭に何か違和感を感じ目を上に向けると、一本のナイフが深々と刺さっていた。

後ろを振り返ってみると、満身創痍となった悪魔兵の一人が気力を振り絞りピコにナイフを突き刺していた。

 

「は、ははは…貴様も一緒に、地獄に落ちる…!」

 

ピコ「…ごめんけど、僕は地獄には行かないよ。 と言うより、行くことはできないから」

 

ピコは相変わらず無表情のまま悪魔兵を見下ろしながら、どのようにしているかは不明だが、頭のナイフを抜き取り、悪魔兵の額に投げ飛ばした。

悪魔兵はピコの脳天にナイフを突き刺したのに無傷なのか不明確なまま、意識が遠退いていき絶命した。

 

ピコ「今の僕にはあの力がない限りどんな攻撃も効かないよ」

 

黄金色に輝いていた瞳は元の瞳の色に戻っていき、表情も少しは出るようになった。

 

ピコ「うーん、とりあえずドーム内の医務室に運ぼうかな。 エクリプスは退散したし、悪魔兵は侵入してないみたいだしね」

 

ピコはアイリを担ぎ上げ頭に乗せ、早々とドーム内を目指し走りだした。

元が駐車場とは思えない程の惨憺たる有り様になってしまい、瓦礫が散乱しまともに身動きが取れないであろう足場を跳ぶようにして走りながら、ふと言葉を漏らし始めた。

 

ピコ「リョウの気配がぜんぜんしないところをみると、エクリプスを追って行ったんだろうけど…自分の本当の目的を忘れちゃダメだよ、リョウ。 相変わらず猪突猛進なんだからさー」

 

走りながら気を失っているアイリに目を向け、まるで目の前にリョウがいるかのように淡々と言葉を続ける。

 

ピコ「アイリを守るのを第一に考えとかないと、後で悔やむ事になるのはリョウ自身なんだから。 でも、リョウなしでももう十分、とはまだ言えないけど、それなりの力は着実に付いてきてるっぽい。 最初の時とは比べ物にならないくらい大きな力を感じ取れるし。 …ん、あれは?」

 

移動している最中、コンクリートの柱の裏に人影を見つけた。

とても小さな人影だったので、悪魔兵ではないだろうが警戒しつつ接近し確認すると、寝息を立てているカイが横になり眠っていた。

カイは緊張や恐怖からか、そのせいで気を失うように眠ってしまっていたようで、怪我らしき損傷は見られず無傷だった。

 

ピコ「良かった、カイも無事だったんだね。 じゃあ一緒に運ぼうか。 よっこらしょ」

 

カイをアイリの上に乗せ、足早にドーム内に入っていった。

 

それから約30分後、シェオルに進行してきた悪魔達は天使達や時空防衛局員達の活躍により、殲滅することができた。

 

 




主人公のアイリよりピコの方が目立っちゃったかも
まぁいいよね☆
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