ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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焼き肉に行きたい!
できれば叙々苑…誰か奢って!


第25話 夜は焼き肉っしょ!

アイリ・アリス「夜は焼き肉っしょ!」

 

約30分後、リョウ達の驚異的な効率の良い作業により、庭はパーティー会場へと変化した。

白い大きめのテーブルが数個置かれ、幾つかの料理とデザートが所狭しと並べられている。

第一時空防衛役員のメンバーはアイリの提案に快く了承し、全員がこの場に集結していた。

更にはリョウが持参していた大きめのサイズのバーベキューコンロを取り出しため急遽バーベキューが開始され、リョウとラミエル、シギルが率先してトングを手にし肉と野菜を焼いている。

実際には焼き肉ではないのだろうが、アイリとアリスは上半身を後ろに大きく仰け反るようにしハイテンションで声を上げている。

 

ピコ「今日は楽しい夜だね」

 

睦月「あぁ、まったくだぜ! あっはっはっは!」

 

睦月はグラスに入った赤ワインを一気に飲み干し高笑いする。

地面には既にワインが入っていたビンが3本転がっており、酔いが完全に回り始めていた。

 

リュート「相変わらずお前は飲みまくってるね。 俺は酒は強いとは言えないからな」

 

理緒「宴会みたいな機会なんて滅多にないんですから、飲まないと損ですよ! 私はまだまだいっちゃいますよ!」

 

リュート「お前は飲むとキャラが変わって面倒だからあっちに行け」

 

アイリと初めて会話していた時の気弱そうな姿は何処へやら、頬を赤く染めた理緒は缶ビール片手にリュートに寄り掛かっていたが、暑苦しく思ったリュートは魔法で彼女を宙に浮かせ向かいの席へ移動させた。

 

リュート「アイリにしては、なかなか良い娯楽企画を立ててくれたな」

 

リョウ「たまには仕事なんか忘れて楽しまないといけないからね。 アイリが第一時空防衛役員のメンバーともっと打ち解けたいっていう心情もあるんだろうけど、リュート達にも楽しんでもらいたいと思っとるんやろうね」

 

リュート「ふっ、子供の思考だな。 だが、その純粋な気持ちは嫌いではない」

 

結愛「本当に素直じゃないんだから」

 

凶ノ助「こいつはいつでもそうさ」

 

アイリ「イェーイ! 時空防衛局のみんな、盛り上がってますかー!? あたしはもうテンションフォルテッシモだよ!」

 

アリス「最高にハイってやつだー!!」

 

アイリは未成年のため飲酒はしていないにも関わらず、泥酔した時と同等のテンションの高さになっている。

恐らく場の雰囲気で高ぶっているのだろう。

アリスは未成年であるにも関わらず白ワインが入ったビンをラッパ飲みし、ほろ酔い状態となっている。

 

リョウ「テンションが天元突破してるな」

 

シギア「アイリも楽しんでるみたいだね。 打ち上げに僕達第一時空防衛役員を招いてくれたことに改めて礼を言うよ。 ありがとう、アイリ」

 

アイリ「お礼なんていいですよ。 皆さんが楽しんでもらえばぜんぜんいいんですから」

 

リュート「今回の行いは好意に値するぞ」

 

睦月「自由に酒が飲める時間を設けてくれたアイリには頭が上がらないぜ~。 よっ、女神アイリ様!」

 

アイリ「そんな、あたしが女神だなんて、そんなこと…あるけどもー!」

 

リュート「ふん、調子いいぜ」

 

アイリは上機嫌にスキップしながらリュートと結愛の間の席に座り、焼けたばかりの肉をタレにつけ食べ始めた。

余程空腹だったのか、獣の如く貪るようにして食を進めている。

 

サリエル「いい食べっぷりね。 ニャミイに負けてないんじゃないかしら?」

 

アイリ「ドラゴンボール並に食べるね」

 

ニャミイ「サリエルもアイリもそれは失礼にゃー!」

 

ファルク「なら横に積まれた大量の皿はなんだよ」

 

ニャミイのテーブル付近には紙皿が山のように積まれており、彼女がどれほどの量を食したのかが分かる。

気恥ずかしくなったのか、ニャミイは頬を染め頭の後ろをポリポリと掻いていた。

 

シギア「アイリ、飲み物は選り取り見取りだけど何がいい? 」

 

アイリ「酒はダメなんで、オレンジジュースください」

 

何故か低音且つイケボで注文をした事に違和感を抱きつつも、氷水で冷やしておいたオレンジジュースの瓶の蓋を開けアイリに手渡した。

アイリが発したセリフがどういったものなのか知っていたリョウは苦笑いを浮かべている。

 

リュート「年齢なんか気にせず酒なんて飲めばいいじゃないか」

 

凶ノ助「飲酒は夫婦になってからという話も聞いたことがあるが…?」

 

リョウ「凶ノ助、それは絶対間違った知識だと思うぞ」

 

結愛「アイリの世界では二十歳になるまでは飲酒は法律で禁止されているのよ」

 

アリス「ここは天界なんだから気にしなくたっていいさ~。 幻想郷に住んでる人達だって年齢なんて関係なしに飲んでるんだから、気にしないで、なんくるないさ~」

 

アイリ「まぁ、お酒は気が向いた時に飲むね~。 記憶が吹っ飛んだりしたら怖いし」

 

それがいいわ、と結愛は優しく述べ、グラスに入ったハイボールを飲み干した。

飲み終えたグラスをテーブルに置いた時に、アイリは結愛の手首に付けてあるブレスレットが偶然目に入った。

細い右手首に付けられたそのブレスレットは、桃、青、黄色、緑の四色の小さなビーズが紐に通された鮮やかなものだった。

 

アイリ「綺麗なブレスレットですね。 誰かからの贈り物ですか? 見たところ手作りっぽいですけど」

 

結愛「え、えぇ、ありがとう。 そうよ、私の大事な友達からの、最高のプレゼント。 私の誕生日の日に作ってくれたものなの」

 

アイリ「いい友達ですね。 その友達は今も元気にしてるんですか?」

 

結愛「っ……えぇ、きっと、変わらず元気にしているわ。 当分、会ってはいないから、分からないけれど…きっと…」

 

結愛は左手でブレスレットを優しく撫でながら何処か遠くを見つめるような目で語った。

 

理緒「ブレスレットと言えば、リョウさんも付けていらっしゃったよね?」

 

リョウ「ん、あぁそうやで」

 

今までは黒いコートを羽織っていたため視認することができなかったが、今現在は手首が露になっている。

バーベキューコンロの前に立ちトングを手に肉や野菜を焼いており、加熱による暑さに耐えきれずコートを脱ぎ白いシャツを肘まで捲り上げていたためブレスレットを間近で見ることができた。

リョウの右手首に付けているのは水色の宝玉が幾つか装飾された金属製のブレスレットだ。

 

アイリ「リョウ君も誰かから貰ったプレゼントだっとたりするの?」

 

リョウ「まぁそんなところやな。 あまり詮索しないでくれるとありがたい」

 

アイリ「ティン、ときたよ~。 こいつは匂うぜ~」

 

サリエル「詮索するなって言われたばかりでしょ」

 

アイリ「大丈夫、流石のあたしでも人のプライベートを無理矢理聞き出そうとなんかしないから。 これでもあたし天使だもん」

 

リョウ・リュート・ファルク(どの口がほざいてんだ)

 

シャティエル「私の知る限りでは、アイリさんは立派な天使だと推測していますよ」

 

アイリ「そこは100%思ってると言ってほしいところだよ。 そういやシャティ、どうしてシャティはシェオルの街に来ることができたわけ?」

 

ラミエル「あ、それ俺も思ってたんだ。 教えてくれよシャティエル」

 

シャティエル「皆さんにはお教えしてませんでしたね。 では、シェオルに来るまでの経緯をお話します」

 

リョウ「悪い、シャティエル、またの機会にしてもらってええかい?」

 

ミケナ「え、なんでにゃ?」

 

アリス「えー何で~? 私もシャティエルと会うの久しぶんぁ~!」

 

アリスが発言しようとしたところをリョウは神速の速度で近寄り後ろから口を全力で塞いだ。

口どころか鼻まで押さえ付けられてしまっており、アリスは呼吸ができずリョウの腕の中で踠いている。

アリスが苦しんでいる事などお構い無しと言った表情で耳元に顔を近付け暗く冷たい口調で周囲に声が漏れないよう小声で話し掛ける。

 

リョウ「あまり過去に関係する話をするな。 色々とバレると厄介な事だってあるんや。 シャティエルがわしらの事を思い出すとは思えんが、心を持った今の状況では思い出しかねん気もするからな」

 

アリス「んー! んー!」

 

気付かないうちに口を防いでいた手に力を込めすぎていたようで、アリスは顔色を変えより一層苦しそうに踠いていたので、手を離し拘束から解放した。

アリスはその場で深呼吸を繰り返し体中に酸素を送り込んだ。

 

リョウ「他の世界でもうっかり口を滑らせて吹聴してるんやなかろうな?」

 

アリス「ごめんごめん。 お酒でやられててうっかりしてたよ。 大丈夫、口が滑らしたことは今回を除いてはないからさ」

 

リョウ「ホンマかいな。お前以外と鷹揚なところあるから不安やわ」

 

アリス「もし仮に私が、私達やリョウ過去を話したのなら、虚空の彼方へ飛ばすなりしてもらって構わないよ」

 

リョウ「できたら、の話やろ?」

 

アリスはいつになく真剣な面持ちで落ち着いた口調で、透き通るような群青色の瞳でリョウの目を見詰めている。

リョウは強みを帯びたアリスの視線を捕らえていたが、真面目に振るっている姿が滅多に見ない、と言うより似合わない姿勢に思わず吹き出してしまった。

 

アリス「あっ! 何で笑うのー! この私が真面目に話をしているというのに!」

 

リョウ「悪い、似つかわしくなかったからよ」

 

アリス「目と目が合う瞬間に笑うなんて酷いもんだよ。 プラチナむかつく !」

 

いつの間にやら小声から周囲に聞こえるほどの声量になっており、二人の声は嫌でもアイリ達の耳に入っていく。

 

ファルク「二人して内密な話してるみたいだったな。 デートの話でもしてんのか?」

 

アリス「んな訳ないじゃんこんなのと」

 

サリエル・ミケナ「こんなのwww」

 

リョウ「率直に言うと傷付くの他にないぞ。 わしはルルーシュ並にメンタル弱いんやから」

 

ニャミイ「絶対嘘にゃ。 まぁ秘密の話は置いといて、何でシャティエルの話を置いとくのかにゃ?」

 

今まで皿に盛られた肉や野菜を食べ進め食事に無我夢中となっていたニャミイは口に含んでいた物を水を飲むことで無理矢理体内に流し込み、リョウとアリスの会話を半ば強引に話を切り上げた。

 

リョウ「サンキュー、ニャミイ」

 

リョウはニャミイを一瞥し口角を少し上げ小声で礼を述べた。

猫の獣人族であるニャミイは人族よりも視覚、嗅覚、聴覚が発達しており、人間が通常なら反応できないものを感知することが可能であるため、先程のリョウの声は聞き取る事ができていた。

ニャミイはウインクをすることで応答した。

 

アリス同様、ニャミイも過去について何かを知っているようだ。

 

因みにミケナも獣人族なのでリョウの声は聞き取れてはいる筈だったのだが、テーブルに並べられた料理に目を奪われ、夢中でガツガツと口一杯に料理を詰め込み食べていたため、リョウの言葉が耳に入ってくることはなかった。

 

リョウ「まぁ何故置いとくのかと言うと、今回はギャグ回のつもりだからあまり重たくなる話はやりたくはないということなんや」

 

リュート「自分の都合じゃねぇか。 まったく、お偉い身分にあることだ」

 

アイリ「あたしは早くもメタいことに慣れた気がするから敢えてツッコミはいれないよ」

 

リョウ「っつーことで、今日は楽しめ! さぁ、素敵なパーティしましょうや!」

 

アリス「リョウの仰る通りで! 同じ阿呆なら踊らにゃ損々♪」

 

凶ノ助「…お前ほど阿保ではないので遠慮させてもらおう」

 

アリス「何をー! まぁいいや、アイリ踊ろうよ!」

 

アイリ「あたしは阿保ってこと!? でも細かいことは今はいっか。 レッツダンシング!」

 

アイリは踊るための曲を流すため自らのスマートフォンを取り出し音楽アプリを使用し、数ある曲の中から偶然目に止まった『ハートキャッチ☆パラダイス』を流し曲に合わせ二人は踊り始めた。

 

結愛「二人とも可愛らしいわね」

 

シギア「驚いたね、見事に連携が取れたダンスだ。 いつ練習なんてしていたんだろうね?」

 

リョウ「いや、あいつらは特に練習したわけやないから。 現実世界にある踊りを何回か見て覚えただけやろうから。 まぁそれにしては再現度は高いけど」

 

苦笑いを浮かべつつリョウはトングを置き席に着いた。

紙コップに冷えた烏龍茶を注ぎ一気に飲み干す。

炭火による熱で火照っていた体が芯から冷やされる。

 

結愛「お疲れ様」

 

リョウ「労いの言葉どうも。 いやー、以外と体力使うもんなんやな。 暫く休憩したらまた焼き始めるつもりじゃけえ頑張らんとな」

 

シャティエル「リョウさん、私が変わりに焼いておくので休息の時間を取ってください」

 

リョウ「いや~、シャティエルに悪いから大丈夫やで」

 

シャティエル「私はアンドロイドなので食事を取る必要もなければ疲労を感じることもありません。 リョウさんには宴を満喫してもらいたいので、是非私に任せてもらいたいのですが、宜しいでしょうか?」

 

リョウ「…あぁ、分かった。 じゃあお言葉に甘えるとしようかね。 ありがとうシャティエル」

 

シャティエル「いえ、喜んでもらえて何よりです」

 

シャティエルはうっすら笑みを浮かべトングを手にし、初めてとは思えない手つきで肉や野菜を焼き始める。

 

炭火の火力を短時間で完璧に覚え込む、と言うより己のコンピューターにより計算し割り出しているため、焼き加減がどれほどになれば美味しくいただけるか完全に熟知できてしまっていた。

実際にシャティエルの焼いた肉を食べると、ラミエルやシギアが焼いた肉よりも、歯応えや肉汁の溢れ具合が違い、口に入れた瞬間に分かるほど絶妙な焼き加減だった。

 

睦月「うめぇー! 流石、的確に焼けてるな」

 

ファルク「もうシャティエル一人で焼いたらいいんじゃないのか?」

 

ラミエル「泣けるぜ」

 

リョウ「びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛!!」

 

理緒「ひゃあああ!? い、いきなり大声でどうしたんですか?」

 

リョウ「いや、あまりの美味さについね」

 

リョウは一息つくと烏龍茶を一口飲み再び皿に盛られた料理に箸をつけ始めた。

先刻の戦いにおいて強豪揃いの敵との長時間の戦闘により疲労困憊と言った状態で、空腹にも関わらず幾分食事の速さも薄鈍くなっていた。

極力顔には出さないように心掛けてはいたが、隣に座る結愛はリョウの表情の微々たる変化に気付き声を掛けた。

 

結愛「今回も大分お疲れのようね」

 

リョウ「まぁ多少の無理はしたけぇのう。 …改めて礼を言わせてくれ。 ありがとね結愛。アイリと一緒に行動してくれてありがとうな」

 

結愛「私は警護兼哨戒していただけよ。 でも、私が付いていながら、アイリを危険な目に遭わせてしまったわ。 アイリにもリョウにも迷惑を掛けてしまったわ」

 

リョウ「もう終わったことやし気にするなよ。 アイリも気にしちゃいないようやしな。 引き摺りすぎると己を苦しめてしまうだけやで」

 

結愛「…ありがとう」

 

俯き儚げな声で礼を述べ、光に反射し色鮮やかに光るブレスレットに目線を移す。

4色のビーズの表面に移る結愛の目は悲しみに満ちているようにも見えた。

 

リョウ「……その一件だけは、引き摺らない訳にもいかない、よな。 ごめん、嫌なことを思い出させて」

 

結愛「大丈夫よ。 思い出すのは辛いけど、決して忘れてはならないことでもあるし、同じ悲劇を繰り返さないためだから」

 

リョウ「悪い、やっぱり事の発端を作り上げたわしがどうこう言える立場じゃない気がしてきたわ」

 

結愛「もう、私はあなたを責めたりしないし恨むこともないって何度も言ってるじゃない。 私は忍耐強いんだから、簡単にはへこたれたりしないわ。 友人達を失って辛いことに変わりはないけど、いつまでも気持ちが沈んだままいると、愛美ならきっと、落ち込んでちゃハッピーはやって来ないよ、笑顔で前に進んでいこうって、言う筈だわ」

 

リョウ「ふふ、確かに愛美なら言いそうなことやな。 ホント、結愛は強いな。 あと、ありがとう。 こんな禁忌な力を得た存在相手にも接してくれるなんて」

 

結愛「もう昔とのあなたとは違うんだし、一切気にしてないわ」

 

リョウ「ホンマ恩に着る「イエェェェ~イ!!」ピギィ!?」

 

後方から喉がはち切れんばかりの大声が発せられた。

心臓が跳ね上がるほど驚き素っ頓興な声を上げ振り返ると、アイリが満面の笑みを浮かべ立っていた。

躍り終えたアイリは息が上がり体を動かしたことにより体温も上昇したせいか頬も赤く染まっている。

 

アイリ「二人とも~楽しんでましゅか~!」

 

結愛「いつもの事とはいえ、やけにテンションが高いわね」

 

アイリ「あたしは、いつでもテンションフォルテッシモだよ~! 最初からクライマックスでぇ~す!」

 

アイリは基本元気溌剌なのは嫌と言うほど知ってはいるのだが、リョウはと結愛は異様なほど高いアイリのテンションに違和感を抱いていたが、その疑問は早々と払拭された。

 

アイリ「いや~気分いいね~ふわふわしゅる~」

 

カイ「アイリ、なんかへん?」

 

ファルク「呂律が回ってねぇじゃないか。 ラリってんのか?」

 

アイリ「んなぁわけないじゃ~ん。 ちょっと、ほんのちょっとだけぇ、お酒飲んだだけだよ?」

 

リョウ「な、酒ぇ!?」

 

シギア「たしかアイリの世界では二十歳になるまで飲酒は法律で禁止されているんじゃなかった?」

 

アリス「ここは天界なんだから年齢なんか気にしなくていいんだよ! 幻想郷と同じようなもんだよ! ねぇ睦月?」

 

睦月「アリスの言う通りー! あっはっは!」

 

リョウ「……ムッキー」

 

睦月「な、何で分かったんだよ!?」

 

リョウ「まだ何も言うてへんやんか」

 

睦月「あっ、しまった……」

 

リョウ「やっぱり、お前アイリに酒を飲ませたな?」

 

睦月「……てへっ☆」

 

リョウ「可愛げに誤魔化してんじゃねぇ! なに未成年に酒勧めてんねん!」

 

睦月「あぶそる!?」

 

後頭部を容赦なく殴ると睦月は気を失った、と言うよりアルコールが体に回り睡魔により眠ってしまった。

 

理緒「うわぁ、リョウさん野蛮です」

 

リョウ「死ななきゃ安いもんよ」

 

アイリ「あたし今体温何度あるのかなーッ!?」

 

アリス「勧めちゃった私が言うのもあれだけど、滅茶苦茶うるさいね」

 

リョウ「お前も勧めたんかい!」

 

アリス「そーなんす!?」

 

機械である右足の足裏をアリスに向け光弾を発射。

避ける間もなくアリスは光弾を諸に受け数メートル先まで吹き飛んでいった。

 

アイリ「リョウ君、乳酸菌摂ってるぅ?」

 

リョウ「うん摂ってる摂ってる(棒)」

 

ピコ「アイリお酒に弱いんだね。 しかもいつもの倍以上のやかましさになるね。 口にガムテープでも巻いときたいくらい」

 

アイリ「余計な事を言うピコ君をゴミ箱へシュゥゥゥーッ!!」

 

ピコ「いやああああああああ!?」

 

アリス「超!エキサイティン!!」

 

アイリはピコを鷲掴みにすると、生ゴミを捨てる黒いポリ袋に向け思い切り投げつけた。

吸い込まれるようにポリ袋に入っていったピコは生臭さにより踠き苦しんでおり、ポリ袋がガサガサと音を立て動いている。

一部始終を見ていたファルクとリュートはピコに起きた悲劇に抱腹絶倒していた。

 

アイリ「これで悪は滅びた。 ざまぁカンカン!」

 

リョウ「ほらアイリ、取り敢えず水飲んで座ってろって」

 

アイリ「うわぁ! な~にしゅんのさ!なっ、ちょ、ちょっと、HA☆NA☆SE!」

 

リョウ「暴れずにじっとしてろってば」

 

アイリ「リョウくぅん、暴れた数だけ優しさを知るんだよ?」

 

リョウ「やかましいわ。 ほら、大人しくしないと病的かつ冒涜的な禍々しい混沌とした痛みを与えるぞ」

 

アイリ「リョウくぅ~ん、ちゅっちゅらびゅらびゅしようよ~」

 

リョウ「んなっ!? そんなことするかアホ!」

 

酒に酔ったアイリはリョウの腕を抱き締め猫なで声で語り掛ける。

アイリは頬を赤く染め潤った目を細めており、子供のように元気に騒ぐ姿とは反対に、女性としての色気を出す妖艶な雰囲気が漂っていた。

だが、大人の雰囲気の中に子供のように甘える仕草が残っている。

そんじょそこらの男性が、今のアイリの蕩けるような声色と甘えるような行動をされると惚れてしまうのではなかろうか。

 

リョウ「大事な時にそういうのは取っとけ! ほら早く離れろよ」

 

アイリ「うぅ…ふええぇぇん! リョウ君にフラれたよ~!」

 

理緒「ふえっ!? 私に泣きつかれても」

 

リョウの腕を離したアイリは理緒の元へと駆け寄り胸に顔を沈め背中に腕を回し嘘泣きを始めてしまった。

 

ミケナ「泣いたり笑ったり忙しいにゃ」

 

サリエル「アイリがここまでお酒に弱いとは思わなかったわね」

 

リョウ「知らんかったわ。 飲酒できるような年齢やないからコア・ライブラリにも表記されてるわけないもんな」

 

アイリ「もうりったんでもいいかにゃ~って。 ちゅっちゅらびゅらびゅしてよ~」

 

理緒「ええぇ!? アイリちゃん積極的すぎます。 私、ファーストキスは愛する人としたいですし…」

 

アイリ「ごちゃごちゃ言ってないでやっちゃうよ! バァァァニング、ラァァヴ!!」

 

アイリは背中に回していた腕を解き、理緒の顔を両手で掴み自らの顔を近付け無理矢理接吻した。

唐突すぎる奇想天外な行動にその場にいる者は目を丸くして呆気に取られていた。

理緒は抵抗するものの、天使であるアイリに、況してや非戦闘員である人間の理緒では力で勝てるわけもなく、腕を締め付けられた状態で抱き締められ接吻の激しさも増していく。

 

リョウ「あら^~ 」

 

アリス「キマシタワー」

 

ミケナ「ニャミイ、何で目を覆ってくるのにゃ?」

 

ニャミイ「ミケナにはまだ早いにゃ!! ///」

 

ニャミイはアイリと理緒の接吻を間近で見る恥ずかしさに赤面しつつも、まだ幼いミケナに刺激が強すぎるものを見せないために必死に手で顔を覆っている。

結愛はカイを膝の上に乗せ、ニャミイと同じように手で顔を覆い視界を塞いでいた。

 

暫くするとアイリは唇を離し、恍惚な笑みを浮かべ口元に付いた唾液を手の裏で拭き取る。

 

アイリ「えっへへ~。 カ・イ・カ・ン」

 

理緒「ふえぇ~、私の初めてがアイリちゃんとだなんて…しくしく…」

 

リョウ「勘違いしそうだからそのセリフはやめい」

 

アイリ「次は~、誰としちゃおっかな~。 えへへへへ~楽しみぃ~」

 

リョウ「駄目だこいつ早くなんとかしないと…」

 

ファルク「俺のスマホでどう対処するか調べるか?」

 

凶ノ助「いや、情報の検索を行っている最中に更なる被害者が出る可能性もあり得る。 急ぎ家に連れ戻し寝かすのが良いのではないか?」

 

サリエル「それが一番適切な対処だと思うわ」

 

リョウ「そうしよう。 ほらアイリ行くで」

 

アイリ「あたしに触れちゃぁうとぉ、『スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー 』が炸裂しますぞ~」

 

リョウ「はいはい」

 

アイリ「ぶ~。 リョウ君冷たい。 いつだってあたしの味方でいてくれてるのに」

 

リョウ「ケースバイケースって言葉を知らんのか」

 

アイリ「あたしを裏切るなんて…オンドゥルルラギッタンディスカー!! 360度も」

 

リョウ「オンドゥル語を言いたかっただけやろ。 あと180度だこの歴史的バカモンが」

 

アイリ「ぐぬぬ…。 はぁ、今日は疲れたし~、リョウ君の言う通りに大人しく帰りま~しゅ」

 

アイリは両手を後ろに跳ね上げるお辞儀をして家の方へ振り返り覚束ない足取りで歩いていく。

 

アイリ「……と、油断させといて、馬鹿め、死ね!」

 

リョウ「老若男女無差別拳!」

 

アイリ「もうかざる!?」

 

不意を突こうと踵を返したアイリはリョウに飛び掛かるが、多少加減された拳が脳天に直撃、悲鳴を上げその場へ倒れてしまった。

 

アイリ「ふにゅ~…暴力反対ぃ」

 

サリエル「相変わらずあなたは飲酒した人には実力行使で黙らせるのね」

 

リョウ「この手に限る」

 

アリス「この手しか知りません」

 

アイリ「もう立てな~い。 おやすみプンプン…」

 

泥酔状態に陥り、芝生という自然のベッドの程良い弾力により睡魔が襲い掛かったようで、直ぐ様深い眠りについてしまった。

 

リョウ「やれやれ、困った奴や。 あとパンツ見えてるんだっつーの」

 

アリス「アイリがパンチラ系ヒロインになりつつあるね」

 

リョウ「メタいこと言うんやない。 ん? カイ、どうした?」

 

カイが転げそうになりながらも熟睡しているアイリの元へと走り寄り小さな手で優しく撫で始めた。

 

カイ「アイリ、だいじょうぶ?」

 

心配そうな目付きでリョウを見て呟く。

どうやら酔い潰れ気を失ったのかと勘違いし、心配して駆け寄ってきたようだ。

リョウはカイの目線に合わせるようにしゃがみこみ優しい口調で話す。

 

リョウ「安心してええよカイ。 アイリは眠くなっちゃって寝てるだけだから」

 

カイ「よかった! しんぱいした~。 ねむれ~、ねむれ~、いいこいいこ~」

 

子守唄を口ずさみながら再びアイリの頭を撫で始めた。

 

カイは幼いため体も小さく妖怪とは言えど、力も人並み程度なのでアイリを運ぶことはできない。

ならばできることはないだろうかと自分なりに考慮した結果、少しでも安らかに眠れるよう癒すことだったようだ。

幼いながらも優しさに溢れた行動を見てリョウは思わず頬が緩んでしまっていた。

 

リョウ「…ありがとなカイ。 カイはアイリの事が大好きなんだな」

 

カイ「うん! だいすき! あしたも、アイリとあそぶ!」

 

リョウ「あぁ、一緒に遊ぼうな。 でも今日はアイリを休ませてあげないとね」

 

カイは向日葵のように咲き誇る笑顔で頷き結愛達の元へと駆けて行った。

リョウは一息付くとアイリを背負い家の方へと歩み始める。

 

ファルク「卑猥なことするなよ~」

 

リョウ「しねぇよ! 殺すぞ!」

 

ファルク「お~怖ぇ。 世界の監視者は凶暴だぜ」

 

ファルクの口車に乗せられたリョウは眼光を光らせ獣の如く唸り声を上げており、端から見れば正に野獣のようだ。

すぐに正面へ向き直りアプローチを通りドアノブに手を掛け家の中へと入っていった。

 

ラミエル「アイリの世話をするのは大変だな」

 

凶ノ助「文句一つも申さないリョウも寛大ではあるな。 恐れ入る」

 

リュート「俺だったら即座に魔法を叩き込んでいるところだ。 黙らすにはそれで十分だ」

 

理緒「リュートさんも大概野蛮ですよね~」

 

シギア「………」

 

ラミエル「どうしたシギア? 手が止まってるぜ」

 

シギア「ん、あぁ、すまない。 少し不思議に思ったことがあってね」

 

理緒「何がですか?」

 

シギア「リョウはアイリと一緒にいるまではあらゆる世界を転々としながら監視者としての指名を果たしていた。 同じ世界に居座ったりするような事は僕が知る限りはなかった。 何故今回はこの天界に、アイリのために居座るようになっているのが不思議に思ってね。」

 

ファルク「アイリを守護するためじゃないのか? 責任を背負ってるってのもあるだろうが」

 

凶ノ助「時空防衛局に預けるという手段もあった筈なのに、ということだろう?」

 

シギア「そう。 責任を感じているというのもあるけど、彼はいつまでも失敗を引き摺るような性格ではなさそうだし。 何故アイリと言う元人間の少女に執着しているのかなと、不意に思っただけさ」

 

ミケナ「お得意の導きの力を使って真実まで導いてみたらどうにゃ?」

 

シギア「人のプライベートを探ろうとする趣味はないからやめておくよ」

 

アリス「ほらほら、難しい話なんて終わりにして楽しもうよ! まだまだ食べて飲むよ~!」

 

サリエル「こうして集まる機会がないんだから、盛り上がらないと損よね。 よね、ミケナ?」

 

ミケナ「サリエルの言う通りにゃ!」

 

アリス「主催者であるアイリはいないけど、夜はまだまだこれからだよ! ラミエル、シギア、野菜とお肉をどんどん焼いちゃって! O☆KA☆WA☆RI☆DA !」

 

リュート「やれやれ、騒がしくなるのは変わらずだけど、悪くはないな」

 

ニャミイ「この打ち上げっていつ終わるのかにゃ?」

 

サリエル「さあ…みんなの気が済むまでじゃない?」

 

ニャミイ「にゃはは…いつ終わりを告げるのか分からないにゃ」

 

今回の打ち上げの主催者であるアイリが不在の中、宴は佳境に入った。

 




でもやっぱりSUSHI食べたい
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