ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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オーズ風のサブタイトル
今から10年ほど前とは信じられん


第29話 暴れん坊と恋と夢

 

ーアイリside

 

轟「悪い悪い! 俺達の力が強すぎたみたいでよ!」

 

リョウ「手加減しろっつっとるじゃろーが!!」

 

うわーリョウ君激おこ。

轟さんは笑いながら話してるけど、あたし達の周囲はとんでもない有り様になってる。

 

近隣の木々は薙ぎ倒され、地面には複数の穴が開き、自然豊かな筈の光景は見るも無惨な絵になってしまった。

これには自然軍を統べる神もお怒りになること間違いなし。

無駄な森林伐採、ではないとしても、ダメ、絶対。

 

裏庭に着いた時には二人はもう戦っていて、周囲にはぶつかり合う余波が飛び交っていて既にヤバい状況になっていた。

拳と拳をぶつけ合うだけで周囲が吹っ飛んでいくって、最早ドラ○ン○ールだよ。

 

家が崩壊しないよう玉さんが周囲に結界を張っていてくれていたからあたし達は二人を止めに入った。

でも案の定(?)アリスちゃんがエヴァン○リオン並に暴走しまくって轟さんやラミエル君より厄介な存在になっちゃったんだよね。

 

アリスちゃんの放ったトランプカードの技に轟さんは大人しく引き下がるを得ない状態になっちゃったし、『スートメテオ』に直撃したラミエル君は体の半分が地面に埋まってハリケーンミキサーを食らったウォーズマンみたいになっちゃうし、二人を止めるというよりアリスちゃんを止めないといけないという趣旨が変わってきちゃうような状況。

 

ア○レンジャーもびっくりな暴れっぷりを見て怒り心頭に発したリョウ君は白い悪魔ことピコ君と協力しアリスちゃんを止めに入った。

近付いたら間違いなく消し炭にされる未来が未来視(ビジョン)により見えたような気がしただけだったけど、ディバインバスター並の威力が常に飛び交う戦地に飛び込む勇気がなかったから、あたしは大人しく遠距離攻撃で支援してました、はい。

 

数分後、戦闘を中断させ始めたばかりでこの始末☆

アリスちゃんを連れてきたらごらんの有様だよ!!

 

轟さんとラミエル君の戦闘の余波とアリスちゃんの力により周囲は上記の通りの悲惨な光景に。

玉さんの結界があったおかげで被害は最小限に済んだけど。

 

因みにアリスちゃんはリョウ君の『ソードスパーク』とピコ君の放った『ピコビーム』、そしてあたしの放った『アロービーム(20連発)』を諸に受け目を回し気絶してしまっている。

ってか、ピコ君ってビーム出せたんだね、消しゴムの概念がゲシュタルト崩壊してるよ。

そしてあれだけの攻撃を受けて気絶で済むアリスちゃん、東方不敗とタイマン張れそうなくらい強いんじゃないの?

 

ラミエル「い、痛ぇ…アイリ、俺を引っこ抜くの手伝ってくれ」

 

仕方ないな~、もう。

ピクミンを引っこ抜く勢いで引っ張ると割りとあっさり抜けた。

これが大きなカブだったらきっと抜けなかっただろう。

 

玉「はぁ…また派手にやってくれたな…」

 

リョウ「すまん玉、助かったわ。 引き続きで悪いんやが、ここら一帯を再生しといてもらえへんか?」

 

玉「言われなくても、今から実行するつもりじゃ。 轟、貴様も私に力を送れ」

 

轟「昼飯食って一杯やってからでいいか?」

 

リョウ「首斬り落とすぞワレ」

 

うわぁ、声のトーン下げてアルティメットマスターを何度も地面に叩き付けてるあたり、めっちゃ怒ってるのが嫌でも伝わる。

体全体から白いオーラみたいのが沸き上がってるのが目視できる。

轟さんが一瞬苦渋の表情に変わると思ったら頭をポリポリと掻きながら玉さんに助力するために歩みを進めた。

 

玉「やはりお主は実力行使をせずとも恐ろしいと感じるのは私だけなのだろうか?」

 

ピコ「いや、僕も思ってる」

 

リョウ「ふん。 さて、翔琉達が飯を作り終える頃やろうから家に戻ろうや」

 

アルティメットマスターを鞘に戻し気絶し横になっているアリスちゃんの片足を鷲掴みにし引き摺るようにして家の中へと入っていった。てか運び方雑ぅ!

 

まぁ辺り一面悲惨な光景に包まれてるけど玉さん達の力で元に戻るならめでたしめでたし…だよね?

 

無駄に疲れてハラヘリヘリハラだし、早く昼ごはんを食べたいでござる。

腹が減っては良い糞は出ない、 じゃなくて戦はできぬ。

…今のセリフは撤回しよう。

天界唯一の美少女の言うセリフじゃないからね。

 

え、美少女なのかって?

そんな愚問なことを言う人には後でガイアフォースをお見舞いしてあげるね☆

 

 

~~~~~

 

 

アイリ・アリス「レッツ変身!」

 

お昼ごはんを食べ終えたあたし達は最初に案内された部屋に戻りカイ君と変身ごっこで遊んでいる真っ最中。

お昼ごはんを食べハイラルの魔王の如く復活を遂げたアリスちゃんの他に、暇そうにしてたリョウ君、ラミエル君、シャティ、翔琉殿、真琴ちゃんを誘い横一列に並び特撮映画でありそうなワンシーンを再現した。

 

変身ポーズは以下の通りで~す。

アイリ→1号

アリス→電王

カイ→フォーゼ

リョウ→ZX

ラミエル→ストロンガー

シャティエル→BLACK

翔琉→ゴースト

真琴→オーズ

 

ああ^〜いいっすね^〜

きっとあたしの瞳は間違いなく椎茸になっていることでしょう。

こんなことノリでやってくれる機会なんて録にないだろうから今この瞬間が最高です!(カープ並感)

 

アイリ「ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ! おっと、喜びの思いがつい声に出てしまった」

 

カイ「かっこいい! ライダー!」

 

ラミエル「…俺達、何やってんだろう」

 

翔琉「カイ君が喜んでるのならいいんじゃないかな。 言いはするけど、ラミエルも割りとノリノリだったし」

 

ラミエル「バーロー、んな訳ねぇだろ!」

 

真琴「主の勇ましい姿、この目に確と焼き付けたよ! 流石私の婚約者…❤️」

 

翔琉「勝手に婚約してることにしないでよ」

 

真琴ちゃんは翔琉殿の変身ポーズ見て骨抜きにされちゃってる。

どんだけ惚れてるんだよ。

 

アイリ「次は何する? 踊ったりしてみる?」

 

カイ「おどりたい!」

 

アリス「どんな曲が喜ぶだろ…。 『Daisuke』とか?」

 

リョウ「真面な曲にしろよ。 カイが踊れるわけあらへんやんか」

 

アイリ「じゃあ…ようかい体操第一で! みんな、準備はいいかい?」

 

アリス「もちろんさー! …って、私だけかい!」

 

真琴「私はもう付き合わないわよ。 主とは付き合ってもいいよ?」

 

翔琉「…僕は倉の整理をしてくるからこれで」

 

翔琉殿は顔を赤くしながらも逃げるように足早に部屋を出て行っちゃった。

 

あれはもしかして、真琴ちゃんの事を意識しちゃってるかんじなのかな~?

んっふっふ、恋の予感がしますぜ。

 

真琴「もう、直ぐにどっか行っちゃうんだから。 主と恋仲になりたい…でも…」

 

下を俯いて消え入りそうな声で呟いてる。

何か悩みを抱えているのは確定的に明らか。

大丈夫だよ真琴ちゃん。

探偵ナイトスクープに依頼なんて出さなくても、なんとなく察したあたしが悩みを解決してあげよう!

 

アイリ「ねぇ真琴ちゃん。 ちょっとO☆HA☆NA☆SHIしたいから、裏庭に出ない?」

 

真琴「話? うーん、良いけどどんな話なの?」

 

アイリ「来てみれば分かるよ。 ほらほら、裏庭に向かってGO MY WAYだよ! あ、アリスちゃん、カイ君の遊び相手お願いね!」

 

アリス「いいですとも! ここで決めなきゃ女がすたる!」

 

半強制的に真琴ちゃんを連行する。

リョウ君はあたしの考えに賛同したのか、特に何も発言しなかった。

まぁ着いてくると言っても今回は断ってたよ。

今からは乙女同士の会話なんだから、男子禁制だよ。

 

さ~て、あたしは無事真琴ちゃんの悩みを解決することができるのか!?

続きはwebで!

 

 

~~~~

 

 

ー三人称side

 

 

リョウ「アイリの奴、大丈夫かな…」

 

シャティエルと共に自然溢れる庭を散歩していたリョウは空を仰ぎながら懸念からか、溜め息を漏らした。

相談する程度なので何かしら悪化するわけではなかったのだが、何故だか無性に憂えの念を抱いてしまう。

 

リョウ「只の心配症、なんやろうな。 窮状に陥った人を看過せずに助けるのは天使として素晴らしいことやし」

 

シャティエル「リョウさん、どうかされましたか? 先程から一人で何かを発言されていたようですが」

 

リョウ「いや、何でもあらへんよ」

 

庭の中心に設けられた小さめの池をしゃがみながら眺めているシャティエルの隣にリョウも同じようにしゃがみ池の中を覗き込んだ。

 

池には色彩豊かな錦鯉が数匹泳いでいる。

人に慣れているのか、シャティエルが水面に軽く触れる程度で逃げることはなく、水中を飛び回るように自由に泳いでいる。

色鮮やかな錦鯉達が泳ぐ様子にシャティエルは視線を逸らすことなく見つめている。

 

シャティエル「美しいです。 まるで泳ぐ宝石のようです。 錦鯉は遊泳しているだけだというのに、優美な画が出来上がりますね」

 

リョウ「体の表面の色が違うだけなのにね。 不思議なもんよ」

 

シャティエル「私はこの世界に来たのが未だに信じられません。 今、私が見ている光景、肌に感じる風、穏やかな雰囲気、全てが現ではないような感覚がするんです」

 

リョウ「これは正真正銘、現実で見ていることやで。まるで夢みたい、やろ?」

 

シャティエル「夢? 夢とは、どんなものなんでしょうか?」

 

難しい質問だった。

当たり前にあるようなものなだけに、いざ説明するとなると困難でしかない。

顎に手を付け瞑目すること数秒考えると口を開いた。

 

リョウ「夢ってのは二種類の意味があるんよ。 一つは、将来、自分が実現させたいと思っていること。 もう一つは、睡眠中にあたかも現実の経験を感じる幻覚みたいなもんやね。

今回は後者に当てはまるね」

 

シャティエル「睡眠中に見て感じることができる? 私のスリープモードが人間にとっての睡眠になるのでしょうが、そのような現象は起きたことはありません。 睡眠中なのに幻覚を見るという現象が起こる、私には解読不能な事です」

 

リョウ「夢は形があってないようなもんやし、その人にしか見ることができない。 曖昧な記憶でしかないから人には伝えるのは難しいことやし」

 

シャティエル「…私にも、心を持った私にも、夢を見ることは可能なのでしょうか?」

 

リョウ「いつか、きっと見れる時が来るかもしれないな。 この場所のように美しい景色が広がる素敵な夢が。 信じてれば、叶うかもしれないよ」

 

リョウの優しい言葉と包容力に心が温まるような気がし、自然と笑みが零れ頷いた。

 

シャティエル「もし、リョウさん達のように夢を見ることがあれば、夢の内容をお話してもいいですか? 素敵な夢を見れたなら、夢で感じた歓楽をリョウさんと共有できればと思ったので」

 

リョウ「あぁ、その時は是非聞かせてくれ。 わしもシャティエルがどんな夢を見るのか楽しみやわ」

 

シャティエル「ありがとうございます。 今からでもスリープモードに移行し夢を見れるか試してみたいところですが、起動している今と言う時間に、このレンズで見ている美しい景色を焼き付けておきます」

 

曇りのない透き通ったレンズ、元い、瞳で自然豊かな景色を見渡す。

 

夢の存在を知り、人間のように夢を見てみたいと思う願望が芽生え、自然と心が高揚していた。

 

花笑「自慢の庭が随分気に入ったみたいですね」

 

花笑が小さな筒上の入れ物を手にし歩いてきた。

 

シャティエル「はい、とても美麗な庭だと思います。静謐な一時を過ごせて心が落ち着きます」

 

花笑「称賛されると照れてしまいます。 お客さんに誉めてもらえると、この庭を作り上げてきた甲斐があったと思えますね」

 

花笑は二人の側まで来ると同じようにしゃがみ、筒状の入れ物を蓋を開け、入れ物を細かい動きで振り中に入っていた茶色の丸い物体、鯉の餌を手の平に出し、ある程度溜まると池全体に散布させた。

水面に餌が着水すると、鯉達が待ってましたと言わんばかりに口を大きく広げ餌を食べていく。

 

シャティエル「この庭は、花笑さんが作り上げたんですか?」

 

花笑「7割は、そうですね。 残りの3割は真円さんや翔琉さん、その他の人々による援助があって十年という月日で完成させることができたんです」

 

シャティエル「大勢の人達の助力により立派な庭が出来上がったんですね」

 

花笑「助力してくれた皆さんのおかげで庭が出来上がったと言っても過言ではないです」

 

玉桜寺には今あるような庭は存在しなかった。

落ち葉や腐葉土が底に溜まり濁りきった池があるだけの殺風景だった場所の見栄えを良くしたいと思った花笑は真円と相談した結果、快く了承してもらうことができた。

 

木々の植木や花の種、肥料等の準備をするだけでもかなりの費用と労力、時間を用し、天候の悪さ等により作業が思うように進まず心が折れかけたことも何度もあった。

だが自然が好きな花笑はどれだけ苦境に陥っても諦めることなく作業を続け、その姿に感銘を受けた玉桜寺の付近にある村の村民達も助力するようになり、作業速度が上がり着々と完成へと近付いていった。

現実世界のように重機のない世界なので、全て手作業により庭は十年という歳月を掛け完成された。

様変わりした庭を見物する人々が訪れるようになり、結果的に参拝客が増え、玉桜寺に貢献する形となった。

長年、玉桜寺に住んでいる花笑は何かできないかという思いもあったようで、少しは住ませてもらっている恩返しができ喜んだ。

 

花笑「私はこれからも庭の手入れをして、今現在目に映るこの美しい庭を守っていきたいと思っています」

 

リョウ「良い夢やないか」

 

シャティエル「夢…。 花笑さんが言った夢というのは、リョウさんが先程お話ししていた前者に当たる夢、ですよね?」

 

リョウ「そうやで。 人が必ず一度は持つ、理想を描くものや」

 

理想を描く。

どういったものなのか得体も知れず、シャティエルには検討もつかなかった。

 

描くとはどういう意味なのか?

 

何かを作り出していくことなのか?

 

誰もが持っているとは、エンジェロイドである自分の中にもあるのか?

 

シャティエル「誰もが、私が、持っているもの…理想…あっ…」

 

リョウ「見つけた? シャティエルの持ってる夢を」

 

シャティエル「はい。 私は、心があると知ったあの日、夢を持っていたようです。 私の夢は、博士の成し遂げられなかった研究を続け成果を得ること。 そして博士が願っていたこと。私の幸せと、もっといろんな世界を見て知っていくことです」

 

自らの理想でもある夢に気付いたシャティエルは嬉しさに頬を緩めていた。

また一つ心を持つことで得た夢というものを知り成長できたことをリョウは静かに欣喜していた。

 

リョウ「わしはその夢が実現するようできる限りの範囲で援助していくよ」

 

シャティエル「ありがとうございます、リョウさん」

 

リョウとシャティエルを包む穏やかな雰囲気に、花笑

は優しく微笑みながら見守っていた。

 




今回はちょいと短め
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