ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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今回はちょいと短め。


第39話 就寝前の会話

一段落し終え、アイリ達はイリーラが調理した料理をいただいた。

アイリはアレクとイリーラとは初対面だったため、改めて自己紹介を行った。

 

アレク「ピースハーモニアの世界に来る前、翔琉のいる世界にいたときに俺の詳細は次回に話すと言ったな。 あれは嘘だ」

 

リョウ「…誰に向かって言ってるんだ?」

 

アレク「誰だか分かってるだろ?」

 

 

~~~~~

 

 

アレクはアリスやリョウ、ピコとは長年の付き合いのようで、アイリは晩餐で交わす彼等の会話の中にそれを頷ける友情を感じた。

 

アリス同様、世界を巡る旅をしており、時折立ち寄った世界で助けを求める者がいれば手を差し伸べたり、今回の件のようにディーバの護衛や時空防衛局の活動の支援を行っている。

自由闊達な彼だが、戦いの実力は茫洋な世界の強者の中でも群を抜いており、時空防衛局の腕の立つ者が挑もうと、全くと言っていいほど歯が立たないので、世界によっては危険視されている。

『偽りの聖剣士』という二つ名を持っている、と言うより時空防衛局等に勝手に命名されたものが膾炙したのだが、これには彼の能力に由来している。

アレクの能力は、茫洋な世界に存在している伝説の剣を召喚し使用できるというチート染みたもの。

とは言え、全世界に存在する全ての剣を使用できるほど万能でなければ豪奢でもなく、限られた11本の剣しか扱えない。

 

時空を斬り裂き、歪ませる能力を持つ剣、グラム。

 

大空を支配する、疾風を司る風をも斬り裂く剣、バルムンク。

 

絶対零度を越える全てを凍てつかせる氷の剣、ミスティルテイン。

 

黒点をも焼き尽くす業火の剣、レーヴァテイン。

 

大地を揺るがし、大陸を斬り裂く剣、カラドボルグ。

 

水を操り激流を生み出す大海の剣、アロンダイト。

 

全ての物質に電撃を迸らせる稲妻の剣、エッケザックス。

 

暗黒を消し去り希望を照らす光の剣、クラウソラス。

 

光を呑み込む絶望を撒き散らす闇の剣、ティルフィング。

 

光速を越える神速の剣、リジル。

 

あらゆる傷を瞬時に治す癒しの剣、フラガラッハ。

 

様々な効果を持つ多種多様の剣を駆使し、あらゆる環境に適応する能力は脅威と言わざるを得ない。

世界を股に掛ける大悪党ではないので、時空防衛局の立場からすれば毎度望外な働きを見せてくれているので頭が下がる思いにあるという事と、アリス同様に強力な力を持ちながらも世界を支配、滅亡させる意欲が全くないため、相構へる必要もないと判断している。

自由奔放に旅を行う旅人という立場を尊重し、自身から局に就こうとしない限りは強制的に入局させてはいないそうだ。

 

猖獗を極めている訳ではないのだが、アリスとアレクの二人が揃うと、強大な力故に、何かしらのトラブルがつきものなのが多少厄介なところではある。

なので基本、世界の監視者であるリョウが二人を監視しているのが現状であり、今回アレクが翔琉やピースハーモニアの住まう世界に訪れたのは偶然ではなく、リョウに懇願され快く駆けつけ、惨事は免れたものだった。

 

リョウやピコ、時空防衛局は二人に全幅の信頼を寄せているため、決して行わないと委細承知ではあるが、二人が力を合同させれば、数多の世界を滅ぼすことなど造作もないほどの力を持ち合わせている。

 

 

~~~~~

 

 

イリーラ・ラランはフェアリルに住む妖精属の一人で、喫茶店『T・フラワー』の店主だ。

オシャレな店内の雰囲気と、ほんわかとした雰囲気の彼女の愛想も相まって、老若男女問わず人気があり、年中繁盛している名店を営んでいる彼女だが、アレクが発言した通り、元ピースハーモニアでもある。

 

イリーラはデスピアとの戦闘で持てる全ての力を使い果たし、ピースハーモニアに変身する能力を失ってしまった。

ピースハーモニアとして戦っていたのは数百年ほど前の話で、この事実を知る者は少ない。

イリーラ本人は喧騒な事を嫌い正体を公に公開したくないため、一般人は勿論のこと、現在ピースハーモニアに選ばれた優華達にも知られてはいない。

イリーラの正体を知る者はアレクやアリス、リョウ、結愛等の親睦が深く最も信頼できる者達だけに正体を明かしている。

 

最も、アリス、アレク、リョウ、ピコ、結愛はイリーラがピースハーモニアになった頃から知っているため明かす必要は皆無なのだが。

何故、数百年前にも関わらずアレク達が存在していたのかは、また後に話すことになるだろう。

 

 

~~~~~

 

 

二人の経歴に驚きを隠せず興味津々となったアイリが終始質問を投げ掛ける賑やかな晩餐を終え、喫茶店の裏に直結するように建つイリーラの家の浴室を借り手短に汗と疲れを流し、各々就寝した。

 

イリーラは一人暮らしなため、空き部屋が少なく全員の寝床を確保できなかったため、アレクとリョウはリビングで就寝することとなった。

カーペットの上に仰向けになっているリョウは暗闇の天井を見ながら呟いた。

 

リョウ「…ありがとな、アレク。 お前がいなきゃアイリを失っていた」

 

アレク「助けを求めてる仲間の声を右から左に流す人間じゃないんでな。 お前は毅然とした態度でいつも通りのやり方でいりゃいいと思うぜ」

 

リョウ「アレクはエスパーか何かなのか? わしが気にしてることをいとも簡単に分かるとは」

 

アレク「何年の付き合いだと思ってんだ。 お前の考えてることなんて俺の第三の眼によってお見通しなんだよ」

 

リョウ「んなもんねぇだろ」

 

リョウは自身のやり方が正しいのか疑念していた。

世界の監視者と呼ばれているにも関わらず、自分の目が届かず、守らなければならない者を命を落としかねない危険な境遇に合わせてしまっている。

今回は運良くアレクやピースハーモニアがいてくれたので最悪の結末は回避できたが、次は好都合な幸運が舞い降りてくれるとは限らない。

 

やはり異世界に連れ回すのは間違いなのか?

 

天界のシェオルという檻の中に閉じ込めておくだけでいいのか?

 

アイリの主張を尊重したいが、危険を承知で行っていいものなのか?

 

先程も戦えないと言っていた言葉を鵜呑みにし、戦いから遠避けるべきだったのか?

 

自身の考えが生み出す疑問が次々と浮かび、掴み取っていくときりがない。

 

アレク「俺はお前のやっていることは正しいと思ってるぜ。 自身の仕事をこなしてるし、大切な人のやりたいことを優先し率先している」

 

リョウ「だが、傷一つ負わず守りきることはできていない。 守るとか戯言をほざいているだけで結果なんて出せてはいないしな」

 

アレク「もうちょい側にいてやった方がいいんじゃないかと思うのは確かだな。 だけどな、傷一つ負わず一生守り抜く、そんなことは無理だと思うんだ。 大切な者を守る覚悟ってのは持つと同時に、傷付ける覚悟も必要ってことだ。 まあ多少の痛みも必要にはなってくるがな」

 

リョウ「…痛みを知らない者は、強くなれないってことか」

 

アレク「そうだ。 主に精神面がそうだ。 鬱屈を通り越して心が折れ絶望してる様を見りゃ分かったけど、アイリは今回の件で挫折した。 次に失敗を犯さないよう、傷を負わないよう自身を成功へと導けるのは、負った時の痛みを知っているからだ」

 

リョウ「わしはアイリの親でもないのに、寵愛しすぎなのかね」

 

アレク「実際、親みたいなもんだろ。 いつかアイリも一人立ちする瞬間が訪れるが、その後も必ず何処かで傷付くんだ。 たしか、リョウの手助けをしたいんだったよな? だったら尚更痛みを感じる場面が多いだろ。 周りに支えてくれる人がいる間に、痛みを知って泣き喚いてた方がいいんだよ。 どうしても不安なら、今回みたいに仲間を頼れ。 仲間は助け合いだろ?」

 

リョウ「わしも、今までも知らん間に仲間に助けられとったし、その通りやな。 やり方は少し変えなければいけないところはあるけど、信念を貫き進んでいけということやな」

 

アレク「あぁ。 いざとなったら俺達を頼れ。 余程の事じゃなけりゃ、断ることはしねぇよ」

 

自分は辣腕ではないということは重々承知している。

誰かの援助なしには物事を円滑に進められないし、守ると決めた人を守ることも儘ならない。

 

上手くいかないことに助けを求めるのは悪いことではない。

誰の助けも借りず、成果を得られないまま終わってしまえば、後悔しか残らない。

失敗を次に活かせるのならばいいが、生死が関わる力と力がぶつかり合う物騒極まりない世界ならば、一度の失敗で取り返しのつかないことになる。

悲劇を迎えないためにも、一人ではない限り仲間を頼ることも重要なことだということに改めて気付かされた。

 

仇為す者をアイリや仲間達と共に乗り越えようとする決意を再度胸の内に宿し、明日から精進しようと眠りに就こうと瞼を閉じる。

 

リョウ「ありがとなホンマに。 助けられてばかりで申し訳ない」

 

アレク「いいってことよ。 でも本当なら可愛い女の子に礼を言われたいところなんだが。 それに何で一緒に寝るペアがお前なんだよ。 アイリかイリーラが良かったぜ」

 

リョウ「途中までかっこよかったのに。 そんな思考だから色んな世界の人から変態呼ばわりされてるんだよ」

 

アレク「安心しろ、女の子と添い寝するだけで18禁な展開にはしないようにしてる。 もしもの時はモザイクか謎の光によって見えなくするし。 ブルーレイだと光が取れるぜ☆」

 

リョウ「お前、一回死んでこい」

 

アレク「何回もあの世には行ってるけど某派出所の警察官の如く追い返されてる」

 

リョウ「でしょうね…」

 

アレク「男と一緒に寝たって腐女子が喜ぶ展開になるだけだぜ。 アッー!!」

 

リョウ「うるせえってんだ寝ろ!」

 

アレク「眠ったりしたら羊さんみたいな夢魔が来ちゃうからな。 また夢もキボーもありゃしないって言うまでバードミサイルをぶち込んでやろう」

 

真面目に話を聞き助言を与えてくれた幸甚は消え、頗るどうでもいいことを話し出す流れになってきたので、注意する意欲も失せたリョウは背を向け深い眠りへと入った。

 

その後も、忸怩という言葉を知らないと言わんばかりに、『ロズ○ール邸にマシュ・キ○エライト(デミ・サーヴァント)にコスプレして侵入し、鬼がかった動きでゲッダンしているところを双子メイドの姉に目撃され、ゴミを見るような目で見下され興奮した』等といった意味不明で理解不能な話を延々語っていたという。

 




男がマシュのコスプレしてるって普通にキモいな笑
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