ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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コロナのワクチン二回目射ってきました。
副作用が酷くて、オデノカラダハボドボドダ!


第55話 星空の守り人

アイリ「本日はみんなにあたしのとっておきの恋バナを聞かせてあげちゃうよ!」

 

リョウ「だが断る」

 

アイリ「ちぇー、じゃあまた今度でいいや。 えっと、今はイスカンダルに向かってるんだっけ?」

 

リョウ「行くなら一人で行ってくれ。 星屑ロンリネスになるのがオチやろうから」

 

アイリ「しくしく。 リョウ君が辛辣だよ。 カイ君、哀れなあたしをヒーリングっとして~」

 

カイ「アイリ、よしよ~し」

 

テュフォン「テュフォンもやるー! よしよ~し」

 

アイリ「あぁ~…癒しの煙筒を置かれてる気分…。あたし昇天しそう。 リョウ君もされてみる? 癖になるよ?」

 

リョウ「わしはロリショタじゃないから遠慮しとく」

 

アイリ「あたしは…ロリショタどっちも好きだった。 全裸待機してでも抱き付いてくれるのを待ってるくらい好き」

 

リョウ「おまわりさん、こいつです」

 

アイリ「…ニフラム」

 

リョウ「おい、消そうとするな」

 

アイリ「世界の監視者は消滅しました。 銀河の歴史が、また1ページ…」

 

リョウ「お前が消えることもその1ページに加えてもええんやで?(暗黒微笑)」

 

アイリ「サーセンした!」

 

リョウ「…受け取って貰おう。 わしの、悪と正義のマリアージュを」

 

アイリ「ちょ!? さっきみたいに許してくれないの!? 許してヒヤシンス!」

 

リョウ「調子に乗る前に実力行使で黙らせんとアカンからなぁ」

 

アイリ「リョウ君、許して↑やったら↑どう↑や↓」

 

リョウ「…はぁ、わしが寛大な心の持ち主ってことで見過ごすとしよう。 今回は特に何かしたわけじゃないし」

 

テュフォンと邂逅を果たし旅路を共にし宇宙空間を飛行すること数十分。

幾千という数の星々の輝きを目に焼き付けながら、目的地であるゾディアック宮殿へと辿り着いた。

 

藍色を基調とし、星の輝きを具現化したかのような、力強くも儚い、神秘的な雰囲気にアイリ達は息を呑んだ。

十数メートルはあろう巨大な入り口を通ると、床に黄道十二星座が描かれたエントランスホールが出迎えた。

 

奥へ進もうと歩みを進めた瞬間、アイリは何かの気配を感じ取り立ち止まった。

テュフォンの時と同様に強力な気配だった。

全身の毛が逆立ち、進んではいけないと本能が警鐘を鳴らしている。

リョウ達も既に察知していたようで、その場に止まり周囲を警戒している。

 

ラミエル「……上だ!」

 

張り上げるような声を上げた時には、攻撃は始まっていた。

何かがリョウの胸部に目掛け流星の如く速度で放たれた。

佩剣を手に取ることなく、人智を凌駕する反射神経で放たれた何かを素手で掴み受け止めた。

衝撃が手から腕、全身へと迸る。

顔を顰めながらも、受け止めた何かである巨大な槍を

見て義憤し床に投げつけた。

天井を見上げ槍を投げた張本人に向け叱咤する。

 

リョウ「おいカプリコーン! わしやテュフォンじゃなかったら危なかったじゃろうが!」

 

?「貴様にしか狙いを定めてはおらん。 他の者に直撃するなどあり得ん」

 

天井から舞い降りた人物、カプリコーンが仏頂面で答えた。

頭部から湾曲した角が生えている、顔が黒山羊になっている、獣人と呼ばれる種族の男。

白と金を基調とした服を着こなす、清廉という言葉が相応しく、毅然とした態度で佇んでいる。

その表情は歓迎しているとは程遠く、炯眼を向けており、明確な敵愾心があった。

 

シャティエル「何故リョウさんを襲撃したのか、理由をお聞かせ願いますか?」

 

大切な人であるリョウが致命傷を負うような事態に陥り、静視している筈がなく、『光粒子ライトソード』の切っ先をカプリコーンに向けリョウの前に出た。

 

カプリコーン「無知な少女には関係のないことだ」

 

シャティエル「関係あります。 私にとってリョウさんは大切な仲間です」

 

カプリコーン「ほう、仲間か。 ではこの闖入した愚者と同様の扱いと受け取ってもいいという訳だな?」

 

ピコ「硬派なのは相変わらずだよ。 リョウの事は討つべき敵として捉えてるみたいだね」

 

カプリコーン「貴様もリョウと同類だ。 貴様等の下等な脳味噌で思考する善良な行いは藪蛇に成りかねん。 早急にここを、いや、この世界から去ってもらおう」

 

アイリ「ちょ、ちょっと待って!」

 

出会い頭に悪口雑言を飛ばすカプリコーンに痺れを切らしたアイリが怒気を含んだ声を発し詰め寄った。

アイリ「何でリョウ君をそこまで蔑むの? 出会い頭に罵詈雑言を飛ばして、いきなり殺そうとして、異常としか思えない」

 

カプリコーン「貴様も無知か。 何も知らぬならば口を挟むな」

 

アイリ「何も知らないから挟ませてもらうよ。 きっとリョウ君の過去の事に関係してるんでしょ? 何があったかは知らないけど、いつまでも過去の事に捕らわれて引摺ってばかりじゃ「アイリ、よせ」…え?」

 

アイリの言葉を遮り、リョウが反目する間に入った。

 

リョウ「カプリコーンがわしを忌諱している要因はわしの過去にあるのは間違いない。 今だけはわしは席を外すことにするよ」

 

?「その必要はない。 カプリコーンが過剰に忌み嫌っているだけだからな」

 

廊下の奥から何者かが歩みを進め、痛罵するのを宥めるかのようにカプリコーンの肩に手を置いた。

焔のような朱色の逆立った髪に、金色と黒色を基調とした半袖の服を纏い、逞しい鍛え抜かれた腕が露出している。

肩や手、足に金色の防具が装備されており、カプリコーンの毅然なものとは違い、勇猛な戦士を思わせる貫禄があった。

 

テュフォン「サジット! 久し振りー!」

 

?「よおテュフォン。 元気そうだな」

 

テュフォンが無邪気な表情で駆け寄りサジットと呼ばれた男性の足に抱き付いた。

 

?「先ずは自己紹介だ。 俺は十二星座神官射手座担当のサジタリウス。 気軽にサジットって呼んでくれ。 で、この堅物が俺と同じ十二星座神官で、山羊座担当のカプリコーンだ」

 

気さくに話すサジタリウスと裏腹に、カプリコーンは未だに警戒心を露に睨みを利かせている。

 

アイリ「十二星座とかちょーかっこいいじゃん!いーじゃん!いーじゃん!スゲーじゃん!?」

 

サジタリウス「テンション高い嬢ちゃんだな。 アレクやアリスみたいだ。 で、今回は何の用で来たんだ? 観光目当てに来たとも思えねぇし」

 

サジタリウスの介入により険悪な空気は霧散され、漸く本題である話へと移ることができた。

 

一通り話を聞き終えたサジタリウスの顔は難険の色を示していた。

 

サジタリウス「お前達も悪いタイミングでその剣を求めて来たな」

 

ラミエル「どういうことだ?」

 

サジタリウス「お探しのクラウソラスの場所はアクエリアスの能力で場所は特定はできているんだが…」

 

ピコ「何さ勿体振らないで言いなよー」

 

サジタリウス「場所はアンドロメダ星雲のド真ん中にある岩にぶっ刺さってる。 行くのは難儀じゃないが、最近その周辺に悪魔が蔓延るようになってな」

 

ラミエル「悪魔が? でも何でだ? この世界に用なんかねぇ筈だろ」

 

カプリコーン「目的も無しに訪れるほど馬鹿な低俗ではない。 奴等の悪巧みを我等でも阻止しているのだが、中々に渋い」

 

サジタリウス「双子座担当のカストルとポルックス、乙女座担当のヴァルゴが悪魔の殲滅に向かっている」

 

天使にとって天敵である悪魔がどのような目的で星空界に現れたのか不明なのでどれだけ考察しようと無意味だろう。

 

場所を特定できただけでも大きな進歩ではあるのだが、クラウソラスを探索するのは進捗が遅れるのは明らかだった。

行けば戦闘になるのは当然なので、アイリやカイに危険が及ぶのでリョウは顔に不安の色を浮かべていた。

心配するリョウを余所に、アイリはまだ見ぬ新天地へと向かえることに胸が高鳴っていた。

 

アイリ「アンドロメダ星雲…現実世界にいたらまず行くことは到底叶わない。 あぁ~楽しみ! ワクワクもんだぁ!」

 

リョウ「やれやれ…敵が徘徊する戦地とも呼べる場所に向かうのに気楽なもんや。 恐怖でビクついてた頃が嘘みたいやわ」

 

期待に胸を膨らませてはいるが、戦地へと赴く覚悟が目の奥に宿らせており、緊張感がないわけではなかった。

 

テュフォン「ヴァルゴ達が戦ってるなら、テュフォンは行く! ほっとけない!」

 

アイリ「あたし達も行くつもりだったんだし、悪魔との戦闘は避けられないから、お助けしようじゃないか!」

 

カプリコーン「その必要はない。 異世界の者達の手を借りるほど十二星座神官の力は衰えてはいない」

 

サジタリウス「堅苦しいこと言うなよ。 対処してくれるのならありがたい限りだ」

 

ラミエル「悪魔の悪行を止めるのは天使の役目だ。俺達の目的の場所に悪魔がいるのなら、天使の使命として駆除してやるぜ」

 

アイリ「簡単に辿り着けちゃ面白くないし、一つの困難として受け入れるとしましょうかね。 一匹残らず駆逐してやるんだから!」

 

リョウ「気合いは充分やし、クラウソラスを探す序でに悪魔も葬ってやるかのう。 アイリ、勿論わしは守護するつもりだが、狙われやすいから特に気を引き締めるんやで」

 

アイリ「イエス、マイロード!」

 

リョウ「サジット、情報の提供ありがとな。 それじゃ、また」

 

カプリコーン「二度とこの世界に来訪してほしくはないものだがな」

 

テュフォン「カプリコーン! そんなにリョウ兄のことを悪く言わないであげて! テュフォン怒るよ!」

 

カプリコーン「貴様もこいつの過去の行いを知らない訳ではないだろう。 何故庇う?」

 

テュフォン「決まってるじゃん! 大事なテュフォンの家族だもん! 傷付けるんなら許さないよ! 昔にリョウ兄がしたことはいけないことかもしれないけど、あれはリョウ兄の意思とは関係なく…!」

 

リョウ「テュフォン、ありがとう。 わしは大丈夫やから、気にせんといてくれ」

 

カプリコーンの言葉に怒りを露にし握り拳を震わせているテュフォンをリョウは背後から抱き締めた。

包まれるかの様な温もりに、テュフォンの怒りは徐々に鎮まっていった。

 

幼いが故に、感情の抑制が自身でも利かない時が多々ある。

アレクとアリスが出会った当初と比較すれば大分成長はしているが、それでも未だに幼いことに変わりはない。

怒りを鎮められず、テュフォンが怒りのままに力を振るえば、宮殿は一分と経たぬ内に崩壊し瓦礫の山と化す。

十二星座神官の頂点に君臨するサジタリウスでさえ、怒りに満ちてしまったテュフォンには太刀打ち出来ない。

 

優しく言葉を掛けたことにより、大惨事に至る事はなくなり、リョウとピコは心の底から安堵していた。

 

テュフォン「リョウ兄が良いって言うなら、テュフォンは何も言わないよ。 ごめんなさい、向きになりすぎちゃって…」

 

リョウ「わしを思いやっての行動なんやろ? 嬉しかったよ。 ありがとう」

 

ピコ「よく我慢できたね。 偉いよテュフォン」

 

テュフォン「リョウ兄、ピコっち…えへへ」

 

抱き締められながら頭を撫でられ、優しい言葉の温もりを与えられ、テュフォンは目を細め嬉しそうに抱き返した。

無論、力加減がされていないため、ミシミシと骨が悲鳴を上げていた。

 

リョウ「てゅ、テュフォン。 そろ、そろ…力を、緩めてもらっても…いい、かな?」

 

テュフォン「へ? あわわわわ!? ご、ごめんなさい! テュフォン、またうっかり…!」

 

リョウ「大丈夫やから気にせんといてな。 さてと、行きますか」

 

カプリコーン「道中、他の星に寄るような身勝手な真似はするな。 お前達がこの世界でどれだけの被害を出したか…」

 

サジタリウス「わーったわーったカプリコーン。 お前の言いたいことは痛い程理解できているから皆まで言う必要はない。 リョウとピコだって重々承知してるだろうしよ」

 

リョウ「すまないサジタリウス、助かるよ。 情報の提供に感謝するよ。 それじゃあ」

 

テュフォン「サジット、またねー!」

 

一悶着あったが、大事に発展することなく情報を入手することができた。

アイリは未だにカプリコーンの対応に納得がいかないようで、不機嫌な態度が顔に露になっていたが、目的を最優先とするよう自らに言い聞かせ踵を返し歩き始めた。

 

アイリ達が去っていく姿を熟視していたカプリコーンは不満を募らせた顔でサジタリウスに向き合った。

 

カプリコーン「奴等を野放しにしておくことに賛同はできない。 奴等は危険な存在だ。 お前も痛い程分かっていることであろう」

 

サジタリウス「何百年前の話だ? 今はあらゆる世界を少しでも平和になるよう尽力してるじゃねぇか。 時空防衛局の連中もリョウやピコの存在を快く受け入れてるし、ユグドラシルメシアであるアレクやアリスも目を光らせてる。 今はテュフォンだっているんだ。 心配しすぎだカプリコーン」

 

カプリコーン「轍を踏むような結果を招きたくないだけだ。 私はあの力を持つ忌々しい奴等を受け入れることなど到底できん。 忘れるなサジタリウス。 牡牛座、天秤座、魚座、蟹座が不在となった要因が、奴等にあるということを」

 

リョウが床に投げ捨てた槍を拾い、宮殿の奥へと姿を消した。

一人残されたサジタリウスは後頭部に手を回しポリポリと掻いていた。

 

サジタリウス「俺だって理解してるつもりさ。 あの力を野放しにしちゃいけないってことを。 でも、あの力を手にしたのは、あいつらのせいじゃない。 引き起こした行動も、操られ傀儡と化してしまったからなのによ」

 

?「私達のことを理解してくれるだけでも、充分救いになりますよ?」

 

いつの間にか、学生服を着た毛先の数センチが白に染まっている桃色の髪の少女、マリーが壁に凭れかかり立っていた。

 

サジタリウス「気配を感じなかった…当たり前か。 どうしてあんたまでここに?」

 

マリー「リョウさんの監視。 また力を酷使しないようにね」

 

サジタリウス「ある意味、ユグドラシルメシアの面々より監視にはうってつけだな」

 

マリー「…さっきの話、少し聞いてちゃったんだけど…私達のこと、やっぱり憎い?」  

 

サジタリウス「その問いの答えは肯定とも否定とも取れる。 十二星座神官の内の四人が不在なのは紛れもなくあんた達のせいだからな。 だが、事情が事情だからな。 割り切ってるつもりだ。 恨みはしねぇ」

 

並々ならぬ事情があると頭の中では理解してはいるものの、心境は複雑だった。

自身や他者が寛恕しているが、やはり仲間を失った要因である人物を前にし、動揺しない方が無理と言うものだ。

だが、リョウ達の力についての事情を知り尽くしているため、憎悪が膨れ上がることはなかった。

 

もし仮に、仲間の仇討ちを行おうとしようものならリョウ達を葬ろうとすれば、返り討ちにあう未来が目に見える。

何より、彼等の持つ力がある限り、倒すことや殺すことは不可能だ。

 

マリー「ありがとうサジットさん。 それじゃあ、私はそろそろ行くね」

 

サジタリウス「あぁ。 気を付けてな。 …お前達相手に心配は無用だったな…って、もういねえし」

 

人智を超越した凄まじい速度。

正に一瞬と呼べる神速の速さでマリーの姿が消えていた。

 

サジタリウス「さてと、異界からの襲撃者達の事は異界からの訪問者達に任せて、俺は俺の仕事に戻るとするか」

 

己に課せられた役目を果たすため、サジタリウスも宮殿の奥へと戻っていった。

 




次回も見てくれないと、オレの体はボロボロだ!
                    by橘さん
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