ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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今回はかなり頑張って書いた話です。
ヒーローの設定って考えるのマジで難しいですね(^_^;)

東宝や円谷の人達はマジで凄いんだなと思い脱帽してしまいますマジで。



第64話 スーパーヒーロータイム

アイリ「ちょっと待って、先にお花を摘みに行ってくるね!」

 

アリス「作者がトイレに行くために家に戻った描写を忘れちゃってたから今から行くことになりました☆」

 

リョウ「いらんこと言わんでええ」

 

アイリとアリスがトイレに行っている間に、リョウは自分用と観戦するレア用のコーヒーを淹れ再びベランダへと出る。

 

シャティエル「おかえりなさいリョウさん。 其方の方々は、リョウさんのお知り合いですか?」

 

タクト「ああ。 エンジェロイドの嬢ちゃんだよな? 俺はタクト・オオガミだ。 よろしくな」

 

レア「あーしはレア。 よろよろ~」

 

シャティエル「はい、よろしくお願いします。 私はシャティエルと申します。 私のことを既にご存知なのですか?」

 

タクト「ああ、まあ、リョウから話は聞いてたからな。 今日は久々に仲間であるリョウの顔を拝みに来たってところだ」

 

リョウ「拝みにって。 墓参りやないんやから」

 

サジタリウス「なんだか凄い奴が来てるな」

 

待ちくたびれたのか、背伸びをしながら欠伸をするサジタリウスがベランダへと歩いてきた。

テーブルに置かれたクッキーが盛られた皿を見るなり手を伸ばし一枚拝借し口に放り投げる。

 

レア「サジッ君もいんじゃん。 どしたの今日は?」

 

タクトとレアとは顔見知りのようで、サジタリウスは天界へ来た理由を一通り話し終えると、団欒して和気藹々と会話を始めた。

サジタリウスは十二星座神官の職務に日々を送っているため、異世界で会い談話できる機会は稀有なことで、思った以上に話に花を咲かせていた。

 

数分経過した頃、アイリとアリスの用を足す時間が異様に長いことに疑念を抱いた。

リビングに視線を移した丁度その時、アイリとアリスがリビングへと入室しリビングへと向かっている姿が目に入った。

 

アイリ「折角だから勝負服を着てみた!」

 

リョウ「ただのコスプレやないか」

 

藍色のミニスカートに『SUGOI DEKAI』と文字が描かれた長袖Tシャツを着こなしており、堂々と胸を張っている。

何処がとは言わないが目を見張る程のものをお持ちではないため違和感があるが敢えて追及はしなかった。

 

一方アリスもアイリと違い戦闘を行うわけでもないのに勝負服、もといコスプレをしている。

因みにキュ○エールの衣装を着ており、両手には応援するための黄色のボンボンが握られてある。

此方もアイリ同様、誰も追及しなかった。

 

アイリ「さて、ザギバスゲゲルを始めようか!」

 

サジタリウス「ザギ…なんて?」

 

リョウ「ここではリントの言葉で話せ。 タクト、アイリはやる気満々みたいやから頼むわ」

 

タクト「うっし、いっちょやるか」

 

レア「ダーリン頑張ってー!」

 

カイ「アイリー、がんばれー!」

 

アリス「フレフレ、アイリ! フレフレ、タクト!」

 

アイリとタクトは中庭の中央へと移動する。

アイリはかるく屈伸運動を行い、自信に満ち足りた表情で自慢の武器、ガーンデーヴァを召喚する。

戦闘意欲を顕在するアイリと比べ、タクトは見定めるような相豹で佇んでいる。

 

タクト「…さてと、やるか」

 

アイリ「タクトさんはどんな戦い方をするのか分かんないな。 何か特別な力を感じるわけでもないし…」

 

タクト「俺自体には力はないからな。 だけど、変身すりゃ話は別だ」

 

懐から取り出したのは、一つのベルト。

銀のラインが迸る黒色のベルトで、中央には左右に鍵を挿入するための鍵穴があるバックルがあり、赤い宝玉が施されている。

 

タクトはバックル部分を腰に当てると、ベルトは自動的に腰に巻き付き、外れないよう固定された。

更に懐から一本の黒い鍵を取り出し、鍵を手にした腕を大きく振り上げ天高く掲げる。

 

タクト「変身!」

 

振り上げた腕を下ろし右の鍵穴に差し込み回転させる。

 

『Engage! Let's go Mighty! Pay the darkness with the power of justice!』

 

音声が鳴り響くと同時に、力強け輝く光がタクトを包む。

眩い光と同時に生じたエネルギーの余波にアイリは顔を手で覆う。

暫くして余波の放出が収まり、手を下ろし目を見開くと、そこには装甲で体を覆った戦士が立っていた。

 

紅のラインが迸る漆黒の装甲。

光に反射し輝きを放つ額に装飾された赤色の宝玉。

睨みを利かせたような鋭い黄色の複眼。

後ろに湾曲した触覚に似たデザインが左右にある頭部。

一部に銀のラインが迸る胸部アーマーと肩パルト。

 

瞬時にしてタクトは特撮ドラマに登場しそうな外見へと変化し、アイリは目を白黒させている。

 

タクト「驚かせちまったな。 これが戦う時の俺のもう一つの姿、『ジャスティスエミッサリー』だ」

 

装甲により表情は視認することはできないが、恐らく自身の力を誇示したことに歯を見せ微笑んでいるのだろう。

 

リョウ「相変わらずかっこいいこと」

 

レア「ダーリンはいつだってかっこいいって。 そんなことも分かんないって、マ?」

 

カイ「かっこいいー!」

 

アリス「マジで仮○ライダーみたいだよね。 私も初めて見たときは興奮してギャラクティカファントムを繰り出しそうだったし。 …あれ? アイリ動かなくなってただのカカシになっちゃったよ?」

 

アイリは変身を遂げたタクトを凝視したまま固まってしまい、動く気配がなかった。

屡叩くことすらしないアイリを心配したのか、タクトは伺うように一歩近付き手を振る。

 

アイリ「………い」

 

タクト「ん?」

 

アイリ「やっべええええええええ!!!! ちょーーーーかっこいいいいいいいい!!!!」

 

タクト「うおっ!?」

 

短時間の間、沈黙を貫いていたアイリは箍が外れたのか、大声で叫んだ。

目をキラキラと輝かせる姿は子供が憧れの対象を見るものと全く同様だった。

実際には勿論見えないが、目から星のエフェクトが出ているような錯覚をしてしまうほど純粋な瞳でタクトを舐めるように眺めている。

 

アイリ「もうまんま特撮ヒーローじゃん! かっこよすぎてヤバいよー! ベルトで変身するなんて仮○ライダーと同じだしデザインも良い! スーパー○隊やウ○トラマンも好きだけどあたしはやっぱり仮○ライダーだね! 人々の笑顔と夢と希望を守るために身を身を挺して戦う姿はかっこよすぎる! 本物のヒーローに会えるなんて、あたしもう昇天しそう…」

 

タクト「テンションたけぇー。 アレクやアリスみたいだぜ」

 

レア「たしかしー。 アイリってバリッバリのガチオタじゃん。 勢いとかがマジやばたん」

 

リョウ「おいアイリ少しは落ち着け。 二人が引いてるぞ」

 

アイリ「いけないいけない、テンションがフォルテッシモしてた。 ちょっと待ってね。 心を落ち着かせるために激凍心火してるから。 吸ってー、吐いてー」

 

リョウ「冷やしてるのか燃えてるのかどっちかにしろよ…」

 

興奮し乱れた呼吸を整えたアイリは渇を入れるために頬を叩き、戦う姿勢を取る。

先程まで騒がしかった雰囲気が消え、いつ何時でも襲撃されようと対応できる戦士としての顔付きへ変化している。

昂然たる表情を見るなりタクトは仮面の内側で密かに笑みを浮かべる。

 

タクト「良い顔付きだ。 自信に満ち溢れている。 自信は勝利へ近付くために必要不可欠だからな。 うっし、俺もアイリに応えるためにやりますか」

 

背中に携えていた剣と銃が合体した武器、『ジャスティスライサー』を手にし、刀身をアイリに向け、高らかに決め台詞を言い放つ。

 

タクト「さあ、ジャスティスタイムの始まりだ!」

 

アイリ「やっぱりかっこいいなー! あ、ヒーローって絶対勝つ流れだからあたし負けちゃうんじゃないの?(察し)」

 

タクト「勝負ってのはやってみねえと誰にも分かんねえもんだぜ」

 

アイリ「確かに一理ある。 やっぱヒーローの言うことは違うなー! そこにシビれる! あこがれるゥ!」

 

サジタリウス「駄弁ってないでさっさと始めろー」

 

レア「あーし達観客を楽しませてよねー」

 

リョウ「外野が騒がしいから始めるか。 では双方、いざ尋常に…始め!!」

 

審判役を買って出たリョウの掛け声により、アイリとタクトの戦いが始まった。

 

先に攻撃を仕掛けたのはアイリ。

相手の出方を疑うように旋回するように飛翔し、地面と触れ合うのではないかという間際の低空飛行で『ストレートアロー』を連射する。

 

タクトは回避行動を取らずその場に留まっている。

対応できなかった訳ではなく、回避する必要が皆無と判断した結果の行動。

手にした剣、ジャスティスライサーの刃に纏うようにエネルギーが収束されると同時に真横に一閃する。

自身に直進してくる光の矢を一本残さず斬り落とされ地面へと転がる。

 

アイリ「計画通り! 『グラスアロー』!」

 

地面へ落ちた矢は新たな矢として生まれ変わり、天へ突き出す勢いで矢が地面から生え、タクトの逃げ道を塞ぐように包囲する。

タクトが剣で矢を斬ろうとしたが、アイリが上空へ飛び真上に来たことを確認すると、剣の切っ先にある砲身の標準をアイリに合わせ、柄に付いている引き金を引く。

赤色に輝くエネルギー弾が砲身から発射され、射るために構えていたアイリは華麗に身を翻し回避し、再度矢を引きながら急降下していく。

 

タクト「ほお~勇気あるな。 おもしれえ!」

 

タクトは更に引き金を引き続け光弾を発射し続ける。

アイリの勢いは止まらず、的確に光弾を回避しながら急降下を続ける。

 

アイリ「『アロービーム』!」

 

双方の距離が3メートルになった時、アイリは至近距離で『アロービーム』を放った。

タクトは剣で光線を防ぎ新たな行動に取ろうとした直後、異変を気付いた。

自身を包囲するように地面から生え出た光の矢が仄かに爛々としていたことに。

そして反応できたが対応に時間がないということに。

 

アイリ「あたしはデコイさ! 『アローエクスプロージョン』!」

 

技の名を叫ぶと、矢は光の爆発を起こした。

地面が軽々と吹き飛ぶのが威力が絶大なのを語っている。

技を放ったアイリも技の威力に押し負け土砂と共に吹き飛ばされ尻餅を着く。

爆発を真面に受けてしまったタクトは空中に放物線を描きながら玄関前のスロープに墜落した。

 

リョウ「やることが派手だねぇ。 お陰で庭とスロープがボロボロに………」

 

シャティエル「矢の数量が多かったため爆発は凄まじいものでしたが、タクトさんは御無事なのでしょうか?」

 

レア「心配しなくてもダイジョブよ~。 あーしのダーリンはこの程度じゃくたばらない」

 

愛しの人を思うレアはタクトの無事を確信していた。

恋い慕う彼女に呼応するように、煉瓦に埋まっていたタクトが這い出てきた。

先程の一撃で再起不能にはならないと確信を抱いたとしても、タクトが無事だったことにレアは破顔して喜んでいる。

 

タクト「痛てて…ビックリしちまったぜ。 まさか小細工してない矢が爆発するとはな」

 

小言を漏らすタクトは少なからず痛みを感じているが、装甲には傷一つ付いておらず、太陽の光に反射し光沢を放っている。

 

タクト「次は俺の反撃タイムに入らせてもらうぜ!」

 

足に力を込め跳躍しアイリの近くへと降り立ち、深緑色の鍵を取り出す。

 

アイリ「ま、まさか特撮ヒーローあるある、フォルムチェンジ!?」

 

タクト「ご名答だ。 空を飛ぶ相手ならこっちも空を支配する姿にさせてもらうぜ!」

 

『Engage! Let's go Windy! Those who are given wings run in the sky like a gale!』

 

深緑色の鍵をベルトの左側に空いた鍵穴に差し込み回転させると、体全体が再び光に包まれた。

光が消えた時には、赤色だった部位が深緑色を基調とした装甲に変化した姿となっていた。

更に背中には銀色のラインが迸るデサインの深緑色の翼が装備されている。

 

最初に変身した通常フォルム、マイティフォルムから、風を操り大空を駆けるウインディフォルムへと変身した。

 

アイリ「やべーやっぱりかっこいいー!! う、鼻血出そう」

 

タクト「俺がフォルム変えただけで勝手にダメージ受けてるぜ。 お前だいぶ変わった奴だな」

 

アイリ「いやーそれほどでも~」

 

タクト「褒めてねえよ。 さて、いくぜアイリ!」

 

アイリ「かかってこいや喧嘩上等!」

 

二人は同時に地を蹴り翼を広げ大空へと羽ばたく。

アイリは撹乱するかのように飛行し『ファイブストレートアロー』を連発する。

剛腹な性格なタクトは退くどころか、アイリに向かい飛行し矢を避け時に腕で弾き飛ばしていく。

ある程度の距離を保つと、ウインディフォルムの専用武器、『ウインディツヴァイショット』を手にする。

 

ウインディフォルムの専用武器は回転式と自動式の拳銃で、二丁で一つの武器となっている。

一発の威力はジャスティスライサーのエネルギー弾と比較すると劣るが、連射速度は倍以上となっており、素早い敵を撃ち抜くのに適している。

 

二丁の拳銃の引き金を引き、銃弾を止めどなく撃つ。

迫り来る矢の豪雨は次々と小さなエネルギー弾により撃ち落とされていく。

アイリは更に矢を射る数を増すために撹乱飛行を止め、宙に留まり矢を射続ける。

数量が物を言う攻防戦が膠着する状態にあったが、互いに無意味に撃ち合っている訳ではなかった。

 

アイリ「そろそろいくよ! 『アロービーム』!」

 

タクト「『フルウインディバスター』!」

 

アイリは以前アリスに放ったことのある技法を行使した。

撃ち落とされ矢の全てを操り矢先をタクトへ向け、一斉に光線を発射する。

対するタクトは二丁の拳銃を合体させ一つの大型の銃へと変え、砲口から風を纏った強力なエネルギーを体を四方八方へ回転させながら放った。

 

放たれた二つの技は空中で激しく衝突し閃光が幾つも走る。

ただ、互いの技の威力を比較すると、どちらが高いのかは一目瞭然だった。

 

風のエネルギー波は四方八方から迫るアイリの技を紙屑同然に消し飛ばしていく。

星空界から帰還し、一ヶ月の間に技や体術を研鑽してきた。

刻苦精進してきた努力を容易く打ち破られたことに気落ちする暇など与えられない。

アイリは直ぐ様『エンジェルリフレクション』を展開しエネルギー波を防ぎ、『トリックアロー』を数発放ち牽制する。

追尾機能がある矢を回避するため技を中断、上昇し蜿々たる動きで回避行動を取りつつ的確に矢をエネルギー弾で落としていく。

 

アイリ「もうこれは突っ込むしかないね!」

 

翼を羽ばたかせアイリも上昇する。

途中『スプレッドアロー』を数発放ち、矢に合わせて編隊飛行することにより、自身を守る鎧の役割を果たすようになった。

 

タクト「策としてまずまずってところだな。 『ウインディハリケーン』!」

 

回転しながら銃から風のエネルギーを放ち収束させていき、竜巻が生成された。

周囲の物体を根こそぎ吸い込み食らおうとする竜巻に飛行していたアイリはバランスを崩し吸い寄せられていく。

 

アイリ「うっわ吸引力の変わらないダ○ソン並だね! 打開策はあるから敢えて進むよ!」

 

アイリは吸引されるがままに竜巻に向かい風の流れに乗る。

体を引き伸ばされ千切れるのではないかと思うほど想像以上に風力が強い。

目を開けていられるのも困難だったが、気力を振り絞り体勢を保ちつつ矢先が青く輝く矢をつがえる。

 

アイリ「あたしの美技に酔いな! 『パーフォレーテッドアロー』!」

 

暴風を物ともせず竜巻の風の壁を貫き、タクトに向け一直線に進んでいく。

鋭い反射神経で二丁の銃を交差することにより防御するが、盾等の強固な代物ではないため、銃本体に僅かだが皹が入る。

即座に矢の軌道を逸らすため手にした銃を上に振り上げると、矢は遥か上空へと飛んでいき、徐々に視界で捕らえない場所まで上昇していった。

 

アイリ「チャンス! 新技いくぜ! 『レインアロー』!」

 

一ヶ月という期間の中、サジタリウスから教わった技の一つであり真骨頂とも言える技。

サジタリウスが最も得意とする技であるそれには未だに及ばないが、心血を注ぎ教え叩き込まれた技が今、実戦の場で放たれた。

 

タクトが真上へ弾き飛ばした矢は一瞬輝くと弾け、数十本の矢へ変化し降り注ぐ。

矢の存在に気付いたタクトは銃の引き金を引いたが、先刻の『パーフォレーテッドアロー』を諸に受けてしまった際に故障してしまったのか、弾が発射されることはなかった。

対抗する手段を失ったタクトは幾許の矢の中を掻い潜ろうとしたが、数の暴力に押し負け一発が背中に被弾。

立て続けに一発、また一発と矢を受けていき、合計数十本の矢を受けてしまったタクトは急降下していき、勢い良く地面に激突した。

 

一矢報いることのできたアイリは心の中で歓喜していたが、安堵した瞬間に力が緩んでしまったのか、竜巻の流れに呑まれてった。

暴風により殴られる痛みを耐えながらも吹き飛ばされ、アイリは地面に叩き落とされた。

 

アイリ「あたたたた…気の緩みが出ちゃった。 でもダメージは与えられたから良しとしよう!」

 

己の失態を反省しつつも、持ち前のプラス思考で気にすることなく立ち上がった。

アイリの目線の先にはタクトが地面に激突したことによりできたクレーターがある。

未だに這い出てこないあたり、ダメージが大きかったのかと思われていた。

 

レア「まだまだこの程度じゃあーしのダーリンはやられないよ。 もっと力を見せたげなよ! フレフレ、ダーリン!」

 

『Engage! Let's go Earth! It is a huge iron mallet that resonates and shakes the earth!』

 

レアの声援に答えるように電子音が鳴り響いた。

同時にクレーターから地面が盛り上がり、土砂が周囲に降り注ぐ。

盛り上がった地面の上には茶色と灰色を基調とした装甲に変化したタクトが仁王立ちしていた。

大地の力を有するアースフォルムに変身したタクトはアイリ目掛け大きく跳躍した。

手にした巨大な鉄槌、『アースミョルニル』を振り上げ大技を繰り出す構えを取る。

 

アイリ「新しいフォルム!? 技を出される前に仕留める!」

 

技を発動をされる前に戦闘不能にさせるために『ファイブストレートアロー』を連発する。

放たれた数十発に及ぶ矢は正確に、確実にタクトの体に直撃した。

全ての矢が装甲に当たると金属音が響く。

先程まで通っていたであろう矢は弾かれ、虚しく宙を舞って消滅した。

 

アースフォルムはパワーと防御に優れた形態で、装甲も他の形態に比較すると強固なものとなっている。

移動や跳躍力はやや劣るが、防御面に関しては他の形態に比べ群を抜き高いため、生半可な攻撃は一切通用しない頑丈さを誇る。

 

アイリ「えーーー効いてないの!? ライダーでよくあるパワー重視の形態ってやつ!? これ流石にヤバイよ!」

 

タクト「くらいやがれ! 『アースギガントクラッシュ』!」

 

鉄槌の左右にあるブースターからジェット噴射が火を吹き、振り下ろされる速度が何倍にも増す。

大地のエネルギーが収束された豪快且つ強大な重々しい一撃が振り下ろされた。

耳を劈く轟音が響き、砂塵や土が舞い上がり、地面に亀裂が幾つも入り、凄まじい衝撃により浮遊する島全体が大きく揺れる。

 

サジタリウス「や、やりすぎじゃねえのか?」

 

レア「タクトにしちゃ手加減できてるほうっしょ」

 

アリス「相変わらずすっごい威力。 ダイナミックチョップよりダイナミックだね」

 

リョウ「あーあー庭がボドボドに…。 いや、それより、アイリは………無事みたいやな」

 

砂塵が舞い視界が開けていなかったが、現状を把握出来たのか、アイリの無事を確信していた。

 

大技を繰り出したタクトもアイリが致命傷を負っていないことに気付いてはいたが、とある違和感を抱いていた。

急所は外したとは言え、直撃した感覚に妙な違和感を覚えその場から退かず、追撃を試みようとした。

 

タクト「あ? なんだこりゃ?」

 

砂塵が風に吹かれ、その違和感は視界に映った。

鉄槌の下敷きになり潰されていたのは、顔に『へのへのもへじ』と書かれた人形だった。

頭に疑問符が浮かんだのは束の間、人形は大爆発を起こし地面ごとタクトを吹き飛ばした。

 

タクト「いってえええええええ!?」

 

強固な装甲を持つアースフォルムでも爆発のダメージは多少通ったようで、タクトは驚きと痛みによる絶叫を上げ倒れた。

 

アイリ「あっぶなかったー! もうちょっと『カワリミ』の発動が遅かったらやられてたよ!」

 

隆起した地面の陰に身を潜めていたアイリが顔を僅かに出しガッツポーズを決めていた。

 

タクト「っつう~!『カワリミ』ってピコと同じ技が使えんのかよ。 こりゃ俺もちょいと強めにいっとくか!」

 

起き上がるなり転がっていたアースミョルニルを拾い、大きく後ろへ振り上げ、上体を後方へ倒れんばかりに仰け反らせた構えを取る。

 

タクト「『ミョルニルオンスロート』!」

 

エネルギーを纏った鉄槌をジェット噴射による加速を加え放つ全力の投擲。

単純であり豪然たる一撃、直撃を受ければただでは済まない。

巨大な磐石と同等の物が凄まじい速度で向かい来る。

アイリは回転し迫り来る鉄槌を受け止めるのは不可能と判断し、上空へと避難する。

回避できたと胸を撫で下ろしたが、鉄槌は先程まで立っていた場所から突如として方向転換、アイリへと再び迫ってきた。

 

アイリ「ちょっ!? 追尾機能あるの!?」

 

焦りつつも『光弓三日月斬』を繰り出し鉄槌を真っ正面から受け止める。

今まで戦ってきた中でも最上級の威力に、体が悲鳴を上げ始める。

 

弓を掴む腕に痛みが走り、骨の髄まで伝わり徐々に感覚がなくなっていく。

視界に火花が散り脳内が真っ白に染まっていき、意識が飛びそうになる。

いっそこのまま力を抜いてしまえば楽になれるだろうと頭に浮かびその考えに寄り添い甘えたくなる。

 

アイリ「諦め…たくない……!」

 

転生して以来、再三命の危機に遭遇した。

戦闘を放棄し諦める、それは死を意味する。

今回は模擬戦闘だからと言って、決して油断してはなあらないし、諦めていいわけがない。

何より、負けたくないという強い思いとどのような困難が立ち塞がろうと諦めたくない強い意志がある。

 

内に秘められた心の強さが体現したのか、アイリの体から白い光の粒子が出始め、光の力が大幅に上昇していく。

大剣と化したガーンデーヴァも淡く輝きを放っており、光の刃も肥大していく。

 

アイリ「せいやあああああああ!!」

 

声を張り上げ、力を振り絞りガーンデーヴァを振り下ろす。

光の刃に斬られた鉄槌は重力に従い落下し、地面へとめり込み着地し完全に動きを停止させると消滅した。

 

アイリ「はあ、はあ、はあ……ど、どんなもんじゃい!」

 

タクト「おっと、まだ俺のターンは終了してないぜ!」

 

肩で息をしながら声を発した主であるタクトを探す。

地上にはタクトの姿はなかった。

嫌な予感を察したアイリは視線を下から上げると、タクトは空中にいた。

基本形態であるマイティフォルムに戻っており、大きく跳躍することでアイリのいる空中へ躍り出ていた。

 

タクト「決めてくぜ!」

 

『OK! Hissatsu! Go Go Let's Go!』

 

ベルトに差し込まれた鍵を再び回すと、右足に赤色のエネルギーが収束されていく。

とんぼ返りで体勢を整え、背中にあるブースターからジェット噴射が翼が展開されたかのように火を吹く。エネルギーが収束された右足を大きく前に突き出し、アイリに向かっていく。

 

タクト「『ジャスティスストライクキック』!」

 

アイリ「あ……これあたし絶対やられるやつじゃん。 ヒーローが必殺技のキック放つって敵側からすれば死亡フラグが立ったも同然。 但しオーズは大丈夫、メイビー」

 

アイリの体力は先程の一撃を受け止めるのに全力を尽くしていたため、回避することは出来そうにない。

更に、今までの技に比較すると迫力に欠けるものがあるが、何故かこの一撃だけは回避も許されなければ勝利さえ遠退いて見えてしまう謎の威圧とプレッシャーを感じてしまう。

 

高速で向かい来る蹴りの威力を軽減させようとアイリは無我夢中で『エンジェルリフレクション』で防御するが、バリアの表面に直撃すると瞬時に罅が入り、秒で砕け散り、足裏に収束したエネルギーを解放させ、凄まじい大爆発を起こした。

 

シャティエル「アイリさん!」

 

戦闘が開始されて以来、憂虞していたシャティエルが居ても立ってもいられなくなり翼を展開し飛び出した。

アイリはタクトの技を受け戦闘不能の状態に陥り、重力に従い落下していくが、シャティエルが地面に衝突する寸前で受け止め惨事には至らずに済んだ。

 

シャティエル「アイリさん、大丈夫ですか!?」

 

アイリ「あはは…なんとか大丈夫、みたい。 ヒーローには勝てない設定…じゃないね。 あたしの実力不足、だったみたい…」

 

タクト「いや、そんなことはないぜ」

 

身体中傷だらけで満身創痍といった様子のアイリに地に降り立ち変身を解いたタクトが歩み寄った。

 

タクト「自分で言うのもなんだが、俺は相当の修羅場を潜り抜けてきた歴戦の戦士だ。 そんな俺でもアイリは強いと感じたぜ。 元々戦うことに無縁な奴が短期間で俺にダメージを与えられる時点ですげえことなんだ。 リョウやサジタリウス、その他の奴等に学び研鑽を積んで奮励努力してきた日々は決して無駄なんかじゃねえ。 自分の力を誇っていいと思う。 これからも精進し続ければ、自分が描く自分になれる筈だぜ」

 

自信に満ち溢れた笑顔で矜持を持ち歩み続けろと鼓舞し励ます好漢は、偶像ではない、正しく本物のヒーローと言える輝きを放っていた。

敗北したことに悔しさが無いわけではなかったが、それ以上に自身の実力を僅かでも認めてくれたことが素直に嬉しかった。

 

アイリ「ありがとう、タクトさん。 やっぱり、ヒーローの言葉は、重みがある、ね…」

 

戦闘で過剰に体力を使用してしまったせいか、アイリはシャティエルの腕の中で眠りについてしまった。

 

タクト「よっぽど疲れちまったんだな。 お疲れ様だぜ、アイリ」

 

全力を尽くし挑んできた華奢な少女の頭を優しく撫でた。

暫し寝顔を見つめ撫で続けていると、後ろからどす黒い気配を感じ、冷や汗が額から流れた。

機械のように首を動かし後ろを振り向くと、鬼の形相で睨みを利かし修羅と化したレアが立っていた。

怒りが具現化されたかのように艶のある銀髪が不気味に揺れている。

 

レア「あーあーもう。 ホントーーーに女癖が悪いねタクトは。 何年経っても変わらないなんてマジないわ~。 付けるシャブもないわ~」

 

タクト「わ、悪かったって。 ナンパしてるわけじゃねえし許してくれよ。 俺がこの世で、無限に存在する世界の中でも愛してるのはお前だけだ。 分かってるだろ?」

 

怒りを鎮めるためではなく、一人の女性を愛する純粋な本心で言葉を掛け、レアの頭を撫で始める。

 

レア「こ、こんなことして、怒りが収まると思ったら、大間違いだかんね…!」

 

タクト「ほお? その割には頬が赤くなってるみてえだけど?」

 

レア「う、うるさいバカ! べ、別に、嬉しくなんか…ないから…///」

 

タクト「そっか、ならやめるぜ」

 

頭から手を離すと、レアは名残惜しそうな目をするのをタクトは見逃さなかった。

 

タクト「素直じゃねえな、まったく」

 

レア「うぅ…バカ………///」

 

再び頭に手を置き撫でられ始めると、更に頬を紅潮させ俯いてしまった。

気恥ずかしがる彼女が愛おしく感じ、撫でていた手を頭部の後ろに回し、片方の手で腰に手を回し抱き寄せた。

 

タクト「嫉妬してくれて俺は嬉しいぜ。 俺を愛してくれてなきゃ、嫉妬なんて感情は生まれないからな。 愛してるぜ、レア」

 

レア「っ…あーしの方が、何倍も愛してるっつーの…」

 

サジタリウス「はいはいお二方、ごちそうさまだぜ」

 

レアに続いて観戦していたリョウ達も歩み寄ってきた。

 

リョウ「作者は恋愛描写書くの苦手なんだからそれくらいにしといてくれ」

 

ピコ「リョウ、メタいよ」

 

タクト「よおピコ、居たのか」

 

ピコ「だから居るってば! リョウのポケットに入ってたの! 作者が僕の存在を忘れてたわけじゃないからね!?」

 

リョウ「お前もメタいこと言っとるんよな~。 まあ忘れられるのは伝統芸みたいなもんやろ」

 

アリス「アイリのパンツが見えてるのも伝統芸かな?」

 

タクト「ほお、白か」

 

リョウ「今すぐ忘れるか視界に入れるのをやめろ。 さもなくばレアと協力して頭と胴体がくっついている場所を吹き飛ばすで」

 

レア「あーしがタクトをボコボコにするわけないじゃん。 でも他の女のパンティを見たのは…許さないかんね☆」

 

タクト「ちょ、レア、頼むから爪を立てないでくれ痛いっつーの! 変身してない俺には超絶痛いからやめてくれー!!」

 

アリス「絆ptがMax Heartだねー。 二人を見てると恋愛がいいものだって、はっきりわかんだね」

 

リョウ「それは同感。 さて、アイリの治療をしたいし、部屋に戻ろう」

 

リョウはアイリを抱えたシャティエルと共に家に戻ろうとすると、戦闘後の静寂に包まれた場に大きな赤子の泣き声が聞こえた。

 

レア「あーしとタクトの愛の結晶のマナがガン泣きしちゃってんじゃん! タクトとアイリが戦闘でバカでかい音出すからー!」

 

サジタリウス「いや、静かに戦えってのも無理な話じゃないか?」

 

タクト「サジット、代弁ありがとよ」

 

赤子の声を耳にした途端、レアは翼を展開し家へと飛んでいってしまった。

その速度は先程まで戦っていたアイリとタクトの飛行速度を凌駕していた。

 

リョウ「愛娘が心配なのは親として当然のことだよな」

 

シャティエル「私達も戻りましょう。 命に別状はないとしても、アイリさんを治療しなければなりません」

 

リョウ「シャティエルの言う通りやな。 戻ろうか。 …タクト、アイリと手合わせしてくれてありがとうな」

 

タクト「いいってことよ。 にしても以外だな。 お前のことだから、あの子をボコボコにしたら怒り心頭になると思ってたんだがな」

 

リョウ「戦いと言ったのはアイリじゃ。 敵ならまだしも、信頼できる仲間なら問題なかったし、アイリの意思を尊重したかったからな。 あとは実戦で学ぶのも大事なことやからね」

 

タクト「流石と言うか当たり前か。 あの子のことをしっかり考えてるんだな」

 

リョウ「タクトやレアが言う娘のような存在やからね」

 

タクト「当たらずと雖も遠からずってやつだな」

 

リョウ「そうやな。 他言無用やからな?」

 

タクト「分かってるっつーの」

 

タクトとリョウが真面目な表情で話し合っている中、アリスが後ろから間に入り二人の腕に自身の腕を絡まらせて話し掛けてきた。

 

アリス「ちょっとタクトー。 愛しの彼女のせいで私がアイリのために用意したコスプレ衣装が破れちゃったんだけどー」

 

タクト「俺に言われてもなー」

 

リョウ「コスプレ衣装はどうでもいいけど、わしの家の庭を破壊したのは許すまじ」

 

見渡す限り、地面に凹凸が幾つも出来ており、戦闘の過激さを物語っている。

原型を止めていない悲惨な光景にリョウは怒りを通り越し悲痛な想いに浸っている。

 

タクト「…時空防衛局に修繕依頼出しとくぜ」

 

リョウ「投げ槍やないか。 まあ一人でなんとかなるようなもんでもあらへんし、フォオン様が用意して下さった家なら申請は通るやろ」

 

アリス「じゃあ私のコスプレ衣装も…」

 

リョウ・タクト「自分で買え」

 

アリス「何でー!? 折角あの服本人から貰ったのにー!」

 

後日、ユンナという最強のコネを使い庭は無事に復旧された。

アイリも大した怪我を負ってはおらず、更に力を付けるためにサジタリウスからの特訓を再開した。

 

アイリ「リョウ君、あたしもヒーローになりたいからBOARDかスマートブレインに連絡してベルトを作ってもらってよ!」

 

リョウ「そんなとこにコネはないし録なことにならんから嫌じゃ」

 

アリス「じゃあ私の知り合いに怪盗やってる戦隊がいるから、財団Xからガイアメモリ盗んでもらえるよう頼もうか?」

 

リョウ「色々とややこしくなるからやめてくれ!」

 




そろそろ書き貯めてた話が尽きそう…。
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