ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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ゴールデンウィークは楽しめてますか?

自分は最高にハイってやつです!


第67話 美少女とン我が魔王

アイリ「いや~楽しんだー! 我が故郷である現実世界はいいものだね!」

 

アリス「いつ来ても飽きないからこの世界は堪らないんだよね~」

 

時空防衛局の局員の目を目を晦ますためゲームセンターで遊び尽くした二人は千日前商店街にある551蓬莱である豚まんを買い、南海電鉄や地下鉄御堂筋線なんば駅に直結する難波を代表する老舗のデパート、髙島屋の前で豚まんを頬張っていた。

 

アリス「おっかしいなー。 この辺りから気があったんだけどなー」

 

アイリ「アリスちゃんの妖怪レーダーでもダメなのかー」

 

アリス「私は人間だからそんなレーダーないよ! 私を妖怪みたいに呼ばないでよーこれでも人間なんだから!」

 

アイリ「ええー? ほんとにござるかぁ?」

 

アリス「バカみたいに凄い魔力持ってるけど人間だよ! アルシエルの方がよっぽど人間離れしてるよ! ってか人間じゃないしあいつ!」

 

アイリ「アルシエルって誰? 女神○生で出てきそうな魔王の名前だけど」

 

アリス「魔王ってのは間違ってないね。 実際に魔王だし」

 

アイリ「ひえ~、アリスちゃん魔王とも知り合いなんだ。 ン我が魔王って呼んだりするわけ?」

 

アリス「直ぐにネタだとバレて頭を殴られたよ。 マジで頭が割れるかと思った」

 

アイリ「やっぱり魔王って呼ばれるだけあってどの世界の魔王はヤバヤバなんだね」

 

アリス「世界を滅ぼそうとしてるわけじゃないしまだまともな方だよ。 …あっ」

 

アイリ「え、今度は何?」

 

再び何かを見つけたアリスが声を発した。

吉兆が起きる予感を察知したアイリだったが、大した問題ではなかった。

 

アリスの目線の先で、艶のある黒髪を三つ編みにした少女がチャラそうな三人組の男に絡まれていた。

大した問題ではないと言ったが、見るからに気弱そうで対抗策がない少女にとってはこの上なく問題で、周囲に助けを求めようと困惑した表情で佇んでいる。

見るからに美少女に分類される少女の救いを求める視線など露知らず、と言うより黙認しているのか、周囲の人々は厄介事に巻き込まれまいと視線を前に戻し素通りしている。

 

アイリ「なんだただのナンパか。 にしてもあの女の子美人だね~」

 

アリス「でしょでしょ。 お人形さんみたいでしょ?」

 

アイリ「え、知り合い?」

 

アリス「そうそう。 んじゃ、お助けしようかな。 おうおう待ちなよあんちゃん達!こにゃにゃちわー!」

 

わざとらしくドスの聞いた声で話し掛けるアリスに対し、男達は邪魔されたことに不快感を表したが、美少女だと気付くや否や、鼻を伸ばし始めた。

美人と話せるだけで満足するのは男の性だろうが、あからさまに表情に表れては呆れの溜め息を吐いてしまう。

 

「何だお嬢ちゃん。 俺達と遊びたいのか?」

 

「丁度良かったぜこの子を誘って喫茶店にでも行こうと思ってたんだ。 君めっちゃ可愛いから大歓迎だよ」

 

アリス「お兄さん達に用はないよ。 私が用があるのはその子だよ」

 

?「アリスさん!」

 

アリス「恵梨花ちゃん、やっはろー!」

 

恵梨花と呼ばれた少女は知人であるアリスの顔を見ると安堵の表情となる。

 

「この子と知り合いだったんだ。 なら丁度いいぜ、一緒に行こうぜ」

 

アリス「だーかーら、私達はあなた達とトゥラッタッタするつもりはないんだってー」

 

「絶対楽しくなるからさ。 な、ほらほら」

 

恵梨花の腕を掴み強引に連れていこうとする男達に流石に堪忍袋の緒が切れたのか、青筋を浮かべたアリスは男の腕を掴み足を払い地面に転がした。

 

「いっててて…何しやがんだこのアマ!」

 

アリス「当然の対応っしょー。 これ以上恵梨花ちゃんを桃姫のように攫おうってんなら、あなた達のうち、誰か一人……死ぬよ、 もうすぐ……」

 

「訳分かんねえこと言ってんしゃねえぞ!」

 

逆上した男は二人に拳を振るおうとしたが、突如として男の体は一回転し再び地面へ倒れ伏した。

男は一瞬すぎて何が起きたのか理解できず、地面に叩き付けられた痛みすら感じていなかった。

 

?「貴様等…何をしている…?」

 

声がした方向を見た途端、男達は金縛りにあったかのように固まった。

 

そこに居たのは、2メートル近い身長をした巨漢だった。

ショートヘアーの癖毛のある白髪、鍛え抜かれた筋骨隆々な体。

黒いシャツに黒いズボンにサングラスを掛けた格好は何処にでもいる男性だが、ただ者ではない異彩な雰囲気を滲み出している。

 

目元が見えないが、睨みを利かされている気がした男達は蛇に睨まれた蛙の様にその場から一歩も動けなくなってしまっていた。

 

?「……もう一度、問うぞ。 貴様等は、何をしている…」

 

氷点下をも下回る低い声に男達は身震いする。

 

側にいたアイリでさえも、圧倒的な威圧感に戦き身震いする程で、一目でただ者ではないと理解できてしまった。

抑えているだけなのか、何か力を感じるわけではなく、男達を屈服させるだけの威圧感を放っているだけ。

それだけなのに、武辺者とは格が違いすぎる雰囲気を醸し出している。

一目で理解した。

理解せざるを得なかった。

 

───あたしじゃ、絶対に勝てない。

 

息を呑み目頭に涙を溜め始めた男達とは違い、楽観的な態度を崩さないアリスが寄り添い呟く。

 

アリス「私が手を下すとは言ってないからね~。 お兄さん達、今逃げないと…比喩でもなんでもなく、殺されちゃうよ?」

 

アリスの声で我に返ったのか、男達は情けない声を上げながらその場から走り去った。

 

?「ふん…弱者が…」

 

恵梨花「アルさん!」

 

恵梨花が笑顔でアルシエルさんと呼ばれる男性へと背中に手を回し抱き付いた。

 

アルシエル「恵梨花、我の側から離れるなと言った筈だ」

 

恵梨花「ごめんなさい、人が多すぎて気付いたらアルシエルさんの姿が見えなくなってて…」

 

アルシエル「…何にせよ、無事で何よりだ」

 

抱き付く恵梨花の頭に手を置く。

表情には出ていなかったが、恵梨花が無事なことに安堵していた。

 

アリス「いやーアルさん助かったよー!」

 

笑顔で寄るアリスに気が付いたアルシエルは声を頼りに顔を向ける。

アリスの知人なので問題はないだろうと判断したアイリはアリスの隣へと並ぶ。

 

アルシエル「恵梨花を助けてくれたようだな。 ……礼を言う」

 

アリス「アルさんが素直に礼を言うなんて…! 明日は雪が降るかもしれない。 若しくはメテオを連発して天から降り注ぐものが世界を滅ぼすみたいな展開に…」

 

アルシエル「……我を侮辱するな」

 

アリス「きばご!?」

 

剛腕が降り下ろされアリスの脳天に拳が直撃した。

鈍い痛みにアリスは頭を押さえ悶絶した。

 

アリス「痛い~…ちょっとは手加減してよ!」

 

アルシエル「死にはしない程度だ」

 

アリス「だとしても痛いよ! 何処の星から来ようとも痛いものは痛いよ!」

 

アイリ「アルさんって、もしかしてこの人がさっき話してた…」

 

アリス「そうそう。 この野蛮なのが私が話してた魔王のアルシエルだよ」

 

目の前に立つ男性が魔王ならば、先程感じた威圧感にも納得ができた。

常人でも察知できる程の威圧を放ち、体つきや体格差が違いすぎるというのもあり萎縮しながらも口を開く。

 

アイリ「え、えっと、アイリです。よろしくお願いします」

 

アルシエル「…先に名乗れと言いたかったが、アリスに先んじて我の名を言われたのならば、致し方ない。 我の名はアルシエル。 聞いてはいるだろうが、魔王だ。 貴様のことはテュフォン達から話は聞いている。 転生した人間、か……脆弱な種族だった割には、底無しの力を秘めているようだな」

 

アイリ「あ、ありがとうございます…?」

 

アルシエル「天使という器に盛るには、些か勿体ない。 貴様、我の眷属になれ。然すれば、更なる力を引き出すことも可能となる。 種族は天使から魔族に変化するが、我と共に歩むのであれば、致し方ない事だと受け入れ邁進せよ」

 

恵梨花「ダメですよアルさん! 無理矢理にでも眷属にさせようとしそうなんですから…許しませんよ!」

 

アルシエル「この娘を眷属として迎え入れれば、貴様の護衛として使おうと思ったのだが…」

 

恵梨花「嬉しい提案ですけど却下です! 人の意見も聞かずに強制的に眷属にするのは蛮族がすることですよ。 何より私が喜ぶわけないじゃないですか」

 

アルシエル「うむ……確かに野蛮なのかもしれぬ。 魔王であれば、相手の意見も寛大に聞かなければならぬというわけか」

 

唐突な勧誘に戸惑いを隠せずにいたところに、恵梨花が助け舟を出した。

アルシエルの半分の身長にもなる彼女は臆することなくアイリの前に立ちはだかり物申した。

人間であるにも関わらず、恵梨花には滅法弱いようで、アルシエルは口を慎んだ。

 

恵梨花「ごめんなさいアイリさん。 アルさんには私から厳しく言っておくので」

 

アイリ「気にしてないから大丈夫だよ。ちょっとびっくりびっくりBIN BINだったけど。 えっと…」

 

恵梨花「あ、申し遅れました。 私は花咲 恵梨花と言います。アルシエルさんの眷属やってます」

 

アイリ「と言うことは、恵梨花ちゃんもアルさんと親族関係だったりするの?」

 

恵梨花「いえ、私はアルさんとは何の関係もないただの人間でしたよ。 色々あって眷属になったので今現在の種族は魔族に当たるんでしょうけど、私には大した力はないので基本的にはアルさんのお手伝いさんみたいな存在です」

 

アルシエル「我を助力する存在でありながら、現在こいつの買い出しに付き合わされているがな。 眷属でありながら魔王である我を引き回すとは…。 それと貴様、初対面でありながら我をアルさんと呼ぶな。 消し炭にするぞ」

 

サングラスにより目元は視認することは出来なかったが、明らかに睨みを利かされているのが分かる。

目に見えぬ威圧感に全身が震え上がったアイリはアリスの背後へと隠れる。

 

アリス「ン我が魔王、アイリが怖がっているからやめてあげなよ」

 

恵梨花「アイリさんもアルさんの恐ろしさを身に染みたので、抑えてくださいね?」

 

アルシエル「…ふん、理解が早い輩は嫌いではない」

 

珍しくも慇懃なアリスと柔らかな物腰の恵梨花が宥めたため、アルシエルは大人しく引き下がった。

 

アルシエル「…それで、アリスは何故この世界へと赴いている?」

 

アルシエルの問いにアリスは今まで起きた経緯を話すと、一通り聞き終えたアルシエルは不快そうに舌打ちをした。

 

アルシエル「貴様やタクトとレアがいながらなんて体たらくだ」

 

アリス「面目次第も御座いません…」

 

アルシエル「いつ何時でも不遜な振る舞いでいるから悪魔などと言う低俗を逃がしてしまうのだ。 …致し方ない。 恵梨花、悪いが買い物は一人でやれ」

 

恵梨花「何処に行くんですか?」

 

アルシエル「決まっている。 悪魔の討伐だ。 我がいつか征服すべく現実世界を、悪魔などに汚されてはたまったものではない」

 

アリス「そんなこと言ってもう1000年近く征服どころか侵略すらしてないくせに(小声)」

 

アルシエル「…アリス、減らず口な貴様はどうやら本当に塵芥にされたいようだな」

 

都会の喧騒の中で呟いた小声はアルシエルの耳に入っていたようで、青筋を浮かべながらアリスの頭を鷲掴みにしようと腕を伸ばす。

 

アリス「ひいいぃ!? 魔力吸うのだけは勘弁して! 未だにあの感覚慣れないから許してー!」

 

今からされる何かが余程嫌なのか、顔を真っ青にしながら腰を直角に曲げひたすら謝罪の言葉を述べる。

 

後ろで様子を見ていたアイリは、あの自由奔放で破天荒のアリスが頭を下げ震え怯える姿が稀に見る光景だと思うと同時に、アルシエルという存在の強大さを痛感する。

戦闘する姿を見たことがなくとも、魔王と呼ばれるのは肩書きでもなんでもなく、その威厳をこの短時間で肌で感じた。

 

アルシエル「…素直に頭を垂れる姿に免じ許そう。 恵梨花、事が済んだらまた連絡を入れる」

 

恵梨花「なに一人で行こうとしてるんですか? 私も行きます」

 

アルシエル「寝言を吐くな。 大した戦力にもならん貴様を連れて行くことなど出来ん」

 

恵梨花「怖いですけど、一人はもっと嫌です。 もし私が一人でいたら、また先程の様な人達に話し掛けられる可能性があります。 だから私も同行させてください」

 

アルシエル「…好きにしろ」

 

恵梨花の眼差しを真っ直ぐに見続け、渋々ながらも同行する許可を出すと、踵を返し歩み始める。

恵梨花は大きな背中を追い掛ける様に微笑みながら小走りし、アイリとアリスも後に続く。

 

アイリ「アルさんって恵梨花ちゃんには甘くない?」 

 

恵梨花「ふふふ、アルさんにとっては私は大事な存在…らしいですよ。 普段は眷属なら身を挺し粉になるまでこき使うなどと言いふらしてますけど、私を守るためにアルさん自身が身を挺してくれる優しい方なんですよ。悪魔を倒したいのも、現実世界の征服よりも、アイリさんやリョウさんの生まれの世界だから守りたい想いの方が強いんだと思います。 本人の前じゃ決して言いませんけどね」

 

アリス「アルさんは素直じゃないからねー。 言ったら殴られそう…あー怖い」

 

アルシエルという存在を熟知しているようで、本人が決して口に出すことのない心の内の想いを微笑みながら代弁する。

恵梨花やアリスが信頼を寄せているあたり、ただ世界を滅ぼそうとする野蛮な魔王ではなく、知人のためなら行動を起こす仲間思いな善良な魔王だというのが分かる。

 

魔王だからと言って恐ろしいという偏見があり近寄り難かったが、アルシエルの人の良さが分かり親睦を深めれそうだと思っていた矢先、アルシエルが静かに振り向いた。

 

アルシエル「…先程から下らぬ妄言を放っているが、丸聞こえだ。 この件が済んだらどうなるか…楽しみにしておけ」

 

不敵に口角を上げ、正面を向いた。

恵梨花は「あらあら」と微笑むだけだったが、アリスとアイリは冷や汗をだらだらと掻いていた。

 

アイリ「……今から入れる保険はある?」

 

アリス「ないね(諦め)」

 

アイリ「救いはないんですか!?」

 

恵梨花「うふふ…諦めましょう♪」

 

ベルゼブブを倒し事が済んでも、安全の保証がないことにアリスとアイリは居丈高と迫るアルシエルを想像し身を振るわせている。

反対に恵梨花は慣れているからか、怯える二人を見て優しく微笑むのだった。




アルさんで反応したあなた、黒ウィズやってますね?

花咲 恵梨花という名前で反応したあなた、プリキュア知ってますね?
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