ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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今年のプリキュアのピンクの子かわいいですよね


第6話 シビれるが憧れはしない天使

リョウ「まぁ家の鍵は後々わしがフォオン様と話をしとくから練習に入ろうか。 家の庭でやるんやし盗っ人がいたところですぐに分かるし、天界には盗人するような心が汚れた者はおらへんからな」

 

アイリ「やっぱり天使のみんなは清らかな心を持ってるの?」

 

リョウ「全体的に見たらそうやね。 人間と同じ様に個性はあるから、悪戯好きなのもいれば喧嘩っぱやいのもいるし、アイリみたいにちゃらんぽらんなのもおるよ」

 

アイリ「その言い方じゃあたしの心が汚れてるみたいな言い方じゃん!」

 

リョウ「え、アイリの心って綺麗だったの?」

 

アイリ「もう!リョウさんの意地悪!はっぷっぷ~」

 

あまりにも下衆な顔で言われ機嫌を損ねた様で、頬を膨らませ口を尖らせ某笑顔の伝説の戦士の様な仕草をする。

 

アイリ「まぁいいや。 パパッと終わらせちゃお。 今からすぐにでもピーターパンみたいに飛べるようになるから!」

 

リョウ「期待せずにしとくわ。 アイリの熱意に応えて指導はしっかりするけどな。 さて先ずは、…ん?」

 

練習を開始しようとした直後、冒頭にも入っていない状況で何かを察知したリョウが斜め上の空を見上げた。

アイリも何かの気配に気付きリョウと同じ方向を向き正体不明の何かが分からず首を傾けた。

 

ピコ「誰かが飛んでこっちに来てるみたい」

 

アイリ「えー、あっ、ホントだ!鳥だ!飛行機だ!」

 

リョウ「いや人だっ !敵じゃなさそうやな。あれは…天使みたいやな」

 

家の庭目掛けて一直線に飛来してきていたのは天使だった。

相当スピードが出ており、姿が見えるまでは数秒と掛からなかった。

姿が視認できたのも束の間、一気に距離を縮め庭へ隕石の様に突っ込んできた。

 

リョウ「まずい! アイリ伏せろ!」

 

アイリ「えー!そんなこと急に言われても!ぜ、絶対回避!!」

 

アイリは横に飛び退く様に回転し回避したと同時に、何者かが庭の地面へ着地した。

着地した時の衝撃で浮いている島全体が揺れ、砂煙が舞い上がり視界を奪う。

 

アイリ「あーびっくりした。ゴルゴムの仕業?」

 

アイリは翼を羽ばたかせ宙に逃げたことで被害を受けずに済んでいた。

 

リョウ「お前はなに平然と空を飛んでるんだよ。 咄嗟の危機回避で空を飛べてるじゃないか」

 

砂煙の中から服に付着した砂を払いながらリョウが姿を現した。

髪に付着してしまった砂が不快だったのか、頭を横に振るい砂を振り落とした。

 

アイリ「あれ? あっ、ホントだ! あたし飛べてる! やった! YATTA!」

 

アイリは飛べたことに歓喜し空中でアクロバティックな動きをし喜びを表していた。

その様子を見ていたリョウは、自分の役目がなくなってしまった悲しさもあったが、初めて飛ぶにも関わらず俊敏な動きで飛び回る離れ業をするという才能があることを悦楽し、思わず笑みが溢れた。

 

?「おーい、俺のことスルーしないでくれよ、世界の監視者さん」

 

砂煙が晴れた頃には、周囲の状況が見渡せるようになっていた。

何物かが着地した場所にはクレーターができており、クレーターの中心には一人の天使が仁王立ちしていた。

 

上に逆立っているツンツンした茶髪に、額には赤い鉢巻きを巻いてあり、黒色のシャツに赤いジャケット、両手には手の甲に黄色の十字架のデザインがある赤い手袋をした青年だった。

 

アイリ「筋肉モリモリマッチョマンの変態じゃなかったみたい。クレーター見たときターミネーターかと思ったよ」

 

?「たーみ、なんだ? まぁいいや。 俺は世界の監視者、あんたに用事があって来たんだ」

 

人差し指を突き付け真っ直ぐな瞳でリョウを見る。

 

リョウ「わしに? まぁお前のことやから何をしに来たかは聞くまでもないけど。 どうやってわしが天界にいるのが分かったんだ、ラミエル?」

 

ラミエル「そりゃ勿論ミカエルに教えてもらったんだよ」

 

リョウ「流石、四大天使の一人だ。 わしが来たことをもう知っているとは。 で、それを聞いたラミエルはわしと勝負をしに来たと?」

 

ラミエル「御明察だぜ!さぁ、俺と勝負しろ! リョウとは一度も戦ったことがないからな。初陣を飾らせてもらうぜ!」

 

ラミエルは指をポキポキ鳴らし闘志を燃やしている。

指を鳴らす度に手の周囲に電撃がビリビリと流れていた。

 

リョウ「相変わらずだな。 まぁせっかく来てくれたんやし、お前の熱情を無視するのも悪いからな。 ええよ、相手になろう」

 

リョウは肩を回し体をほぐし始め戦闘をする準備に入る。

リョウの上着の胸ポケットに入っているピコは正々堂々と戦闘をする二人の邪魔にならないようポケットから出て距離を取った。

 

アイリ「二人ともここで戦うの!? ラミエルさん、だっけ? リョウさんに勝てる力があるの? リョウさんってあのフォオン様に勝ったことあるんだよ」

 

リョウ「アイリ、フォオン様がどこまでわしのことを話したかは知らんけど、わしはその当時よりは力が半分は落ちているからね?」

 

声を低くしていっているあたりで、アイリにはリョウが体に秘めてある力を高めてあるのが能力を使用し分かっていた。

 

リョウ「表情を見る辺り、わしのパワーが上がってるのが能力で分かってるみたいやね。 力も読み取れるようになってるあたり、能力が開花されてるみたいやな。 試しにこのラミエルの能力を読み取ってみてや」

 

突然言われ困惑したが、アイリは空中から観察するようにラミエルを凝視する。

アイリはまだ能力を上手く使用できない、と言うより使用方々を知らないため、感覚的にやってみるしか効率の良い方法がなかった。

 

ラミエル「な、なんだよ俺の方をジッと見つめて」

 

ラミエルの体から相当大きなエネルギーが感じ取れる。

実際に目に見えるものでもなければ触れられるものでもないため、感覚的なことなのだが、確かに感じる。

肌を電流が迸るピリピリと疼痛にも似た感覚。

 

確証できる根拠もないため自信はなかったが感覚を頼りに答えた。

 

アイリ「うーん、たぶんだけど、雷属性の力を使うんじゃないかな? 強さ的には今力を出しているリョウさんと同等くらいの力だとは思うんだけど…」

 

ラミエル「初めて会うのにそこまで分かるんだな。 雷を使うってところは正解だ。 強さまでは俺には推測なんてできやしないけど、俺はリョウと同じくらいなんだな。おもしろいぜ!今からお前を抜いてみせるからな!」

 

拳を握り締め戦闘体制に入ると、更に強い電気が大気中に走り始め、空中にいて尚且つ距離があるにも関わらずアイリの肌は電気がピリピリと走るのを感じ取っていた。

 

アイリ「リョウさん頑張ってー! 間違えて世の中までぶっ壊さないようにねー!」

 

リョウ「どこの映画の題名だよ。 んなことするかよ」

 

ラミエル「こっからはお喋り瞬き厳禁だぜ! 先手必勝!『雷拳』!」

 

体から放出していた電気の何十倍の電気を帯びた拳を振り翳し一気に距離を詰めリョウに殴り掛かる。

リョウは反射的に腕でラミエルの拳を防ぎ後方に一歩だけ下がると、右足を後ろに振り上げ、思い切り足をラミエルの横腹目掛けて振るう。

ラミエルは辛うじて防ぐことはできたが、鉄柱で殴られたような凄まじい威力のある蹴りを受け思わず苦痛な表情を見せた。

戦いの冒頭を最初から見ていたアイリだったが、先程の蹴りを見てリョウのあることに気が付いた。

 

ラミエル「いってぇ、でもこの程度じゃまだまだ! 『エレクトリックブラスト』!」

 

片手の手の平から電撃を纏った突風が放たれ大きくバランスを崩される。

 

ラミエル「『スタティッククロウ』!」

 

電撃を手の全体に纏わせ獣の様な巨大で鋭い爪を生成し、電光石火の速さで接近する。

 

リョウ「バランスを崩したからといって隙ができたわけではないんやで、ラミエル?」

 

ラミエル「んな!?」

 

体制を崩していたリョウの右足裏から突如青い光弾が放たれた。

予想外の攻撃に一瞬焦りの表情が出たが、巨大な爪と化した左手で光弾を防ぐ。

防いだ拍子に技の効果が切れ爪が喪失したのをリョウは見逃す筈はなく、腕を伸ばしラミエルの左を掴み自身の方へと引き寄せ右足で強力な膝蹴りを腹にくらわせた。

この技には其処らの天使達より強固な体を持つラミエルにも答えたようで、身体中の空気が全て出されたような一撃を受け体がくの字に折れ曲がる。

 

リョウ「悪いけどこれで終わりね。 早いところ終わりしたいから。 あと新居の庭を滅茶苦茶にしたわしのほんの少しの怒りね」

 

青筋を浮かべ怒りを露にしているリョウの右足のふくらはぎの左右が横に展開、数発の小型ミサイルがラミエルの体にゼロ距離で放たれた。

爆発が起きラミエルの体は紙切れの様に吹き飛び固い地面に落ち倒れた。

アイリは戦闘の一部始終を見ていたが、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

アイリ「え、もう終わったの? カップラーメンがまだ出来上がるまでの時間も立ってないのに? っていうかリョウさんさっきの右足は何なの? 悪魔兵と戦ったときにもやってたけど」

 

リョウ「あー、えっとねぇ、話そうと思ったけどちょいと待ってね。 まだラミエルは戦えるみたいやから」

 

アイリの方へと向けていた視線をラミエルの方へ移すと、そこには足を震わせながらも立ち上がるラミエルの姿があった。

 

ラミエル「勝手に終わりにすんじゃねぇよ。俺はまだいけるぜ。そう簡単に負ける俺じゃないぜ。 自分をぶん殴ってでも俺は立ち上がるぜ」

 

ミサイルを諸に受けてでも立ち上がり、拳を構え戦闘を続行しようとする。

 

自分自身に敗北と言う二文字を刻みたくないが故なのか、熱い闘志が彼を動かしているのかもしれない。

 

リョウは立ち上がるラミエルを見て腰にあるアルティメットマスターに右手を伸ばしたが、途中で使用するのを拒むように左で右手を掴んだ。

リョウも武器を使用せず、正々堂々と直接ぶつかり合うべく拳を構えた。

ミサイルや光弾を先程使用しておいて、とは思ってはいたが、相手が生身であるのに剣等のリーチがある武器を使うのは相手の意に反したと思ってはいたようで、リョウなりに考えた結論だった。

 

ラミエル「アルティメットマスターは使わないのか? 俺は本気のリョウと戦いたいんだけどな」

 

リョウ「まぁ先ずは拳で行かせてもらうわ。 これもわし自身の修行みたいなもんやから、付き合わせてもらうで」

 

ラミエル「いいぜ、リョウの言う修行ってやつに付き合ってやるぜ!」

 

ラミエルは再び電光石火の速さで接近し電撃を帯びた拳を振るう。

リョウは拳を腕で凪ぎ払うようにして防ぎ、手の平を前に突き出し掌底をラミエルの腹に叩き込む。

強烈な一撃を受けたのにも関わらず怯むことなくリョウの顔面に電撃を帯びた拳が直撃した。

リョウの体は横に大きく揺らぐが、振り返り様に裏拳を放つがその一撃も防がれてしまい横腹に電撃を帯びた拳を当てられ怯んでしまう。

ラミエルは更にパンチの連打をリョウに放ち反撃の隙を与えず攻撃を繰り返す。

リョウは防戦一方で、素早い殴打の全てのを防ぎきる事は出来ず、何発かは命中しじわじわとダメージを負っていた。

 

アイリ「うわぁ凄い。ドラゴンボールみたいになってるよ」

 

アイリはいつの間にかベランダに移動しており、椅子に座りリビングの棚にあったおにぎり煎餅をバリバリと食べながら観戦していた。

ピコはアイリの肩に乗りリョウとラミエルの戦いを観戦していた。

 

リョウ(見せ物じゃないんだぞおい…)

 

ラミエル「『ギガスパーククラッシュ』!」

アイリを横目で一瞥した刹那、ラミエルは両腕に今まで見せた技の何十倍もの電撃を纏わせ、後ろに両腕を下げた後に、勢い良く前に突き出し構えて溜めていた力を勢い良くぶつける。

リョウは腕を体の前で交差しラミエルの二つの拳を真っ正面から防ごうとするが、強力な電撃を纏ったラミエルの最大級の威力の技を完全には防ぎきることは出来ず、交差した腕はいとも簡単に崩され、二つの拳を胸に受け地面に激突し、地を削りながら吹き飛んだ。

 

アイリ「決着! ってか、リョウさん大丈夫~?」

 

アイリはおにぎり煎餅を一つ口にくわえ翼を羽ばたかせリョウの元へと飛んでいく。

このくらいの事で世界の監視者であるリョウはやられないと軽い気持ちで考えていたので、アイリは特に心配という思いは特になかった。

 

リョウ「大丈夫やけど今のは痛かったわ」

 

地面の方から声がしたのでアイリはその地点に着地する。

盛り上がった地面からリョウが姿を現したが立ち上がったが、足取りが覚束ないようだった。

それもそのはず、先程のラミエルが放った一撃で吹き飛ばされたダメージで、リョウは頭部に傷を負い出血しており、胸も強い電撃を浴びたことにより火傷を負いそれなりのダメージを受けていたからだ。

 

アイリ「うわっ!? た、大変!! 治療しないと! ピコさーん! 110番して!!」

 

アイリはリョウの損傷した姿を見て、くわえていたおにぎり煎餅を落としたのにも目も暮れず慌てはじめる。

 

リョウ「110番は警察だから。 あとこれくらいの怪我なら自然に回復するから大丈夫やって」

 

アイリ「これくらいって、頭から血が出てるんだよ!? そ、そりゃいつもふざけてるあたしでも心配しちゃうよ!?」

 

リョウ「心配してくれるのはありがたいんやけど、これくらい、わしにとっては日常茶飯事なんだよ。 安心せい」

 

アイリはリョウの安否を心配しているが、杞憂だと諭す。

 

今まで人間として争い事のない何気ない日常を過ごしていたアイリには、まだ人が血を流し傷付くのに当然だが耐性がない。

況してや見知った人が酷い傷を負っているのだから、心配と同時に大事になったらどうしよう等の気持ちが溢れ不安になるのは当然だった。

 

リョウ「本当はこんなこと言いたくなんてないけど、いずれ慣れてくる」

 

ごめんな、とアイリの頭を撫でその横を通り過ぎラミエルとの戦闘を続行しようとする。

 

リョウは今言った事を後悔していた。

 

何故あの様な言い方しかできなかったのか。

 

もっと良い言葉を掛けることはできなかったのか。

 

アイリが自分の力を開花したいということは、戦闘は決して逃れられない道だ。

いずれ何度も誰かが傷付き、血を流し倒れていき、最悪な場合、死を目撃することにもなるかもしれない。

 

戦いになれば必ず目にすること、そんなのは当たり前、と言えばそれまでだが、アイリにはこれから何度も自らの目の前で起こる惨劇を見続けて心が保つことができるだろうか?

 

ただの高校生だった一人の少女がショッキングな出来事を見るのはなかなか酷な事ではあるが、いつかは慣れてくる、慣れなければならなかった。

 

自分は慣れているからお前も慣れろ、と言っているようなものだと思い深く反省した。

 

ラミエル「まだやれるなんて流石だなぁ。わりと本気の技だったんだけどなぁ」

 

ラミエルが両手をブラブラと揺らせながら近付いてくる。

最大級の技を放った影響か、手からは白い煙が立ち込めていた。

 

ラミエル「本気の一撃与えたつもりだったのに殆ど効いてないあたりみると俺もまだまだってところだな」

 

揺らしていた手を上に上げ降参といった仕草をする。

真剣に勝負をしていたときの堅い表情は消え、朗らかで明るい表情へと変わっていた。

 

ラミエル「っつーか、お前本気を出さずに戦ってただろ? 本気のお前だったら俺の高速のパンチくらい防げた筈。 だろ?」

 

表情は崩してはいなかったが、少々不安そうに眉を寄せリョウに質問をする。

 

リョウ「出してあげたいところだったけど今は無理なんだよ。 色々あって力が制御されてるんだから勘弁してくれよ。 わしは訳あって弱体化してるのを、四大天使の誰かから聞いてたんじゃないのか?」

 

ラミエル「んなこと俺は聞いちゃ…あ、そういや俺がリョウの所に行こうとした直前にガブリエルが言ってたような、言ってなかったような…」

 

冷や汗をかきながら頭をポリポリとかき苦笑いをするラミエルを見てリョウは溜め息をついた。

 

リョウ「直球一本槍で脳筋は相変わらずなのが良く分かったわ。 まぁそういうことだから、今のわしと戦ったところでおもしろくはないからさっさと帰ってくれ」

 

ラミエル「確かに、本気のリョウと戦えないのなら、俺としては戦う意味はないな。 でもせっかく来たんだから何かしないとな! 庭をぶっ壊した詫びとして晩飯作ってやるからよ!」

 

ラミエルは勝負を諦め、リョウと肩を組み笑顔で話し掛ける。

本当に詫びる気持ちがあるのかとツッコミを入れたいところだが、こういう奴なんだと分かっているリョウは特に何も言うことなくラミエルに家へ連れられていく。

 

アイリ「リョウさーん庭はどうすんのー?」

 

リョウ「後でラミエルに整備させとくから置いといていいよ」

 

ラミエル「ちょ!? なに勝手に決めてんだよ!」

 

リョウ「ここまでした原因はお前なんだから、当たり前やろ? 飯作る程度の償いでこのわしが許すとでも?」

 

下衆な笑みを浮かべ語り掛けるリョウを見てラミエルは肩を掛けていた腕を離し距離を取る。

 

ラミエル「お、俺はやりたくてこうなった訳じゃないんだから知らないぜ!」

 

リョウ「ほう、偶然起こった事にして逃げ切ると? 天使がそんな弁解してええんかなぁ?」

 

下衆な笑みを浮かべたまま近付いてくるリョウに対し、苦笑いをしながら一歩ずつ下がりながら距離を取るラミエル。

事情を知らない外部の人がこの状況を見たら、一般人に迫る不審者に見えてしまうだろう。

 

それを見ているアイリは、リョウが本当に怪我が大丈夫かどうかはまだ心配はしていたが、下衆な笑みを浮かべられる冗談ができる元気があれば惨事にはなってないと勝手に自分の中で判断していた。

大分落ち着いたのか、先程落としてしまったおにぎり煎餅を広い、付着していた砂埃を息で吹き飛ばし口にくわえるという余裕まで見せていた。

 

皆さんは落ちてしまった食べ物を無闇に食べないようにしましょう。

 

ラミエル「しょうがないなぁ! こうなったら俺が本気を出して作るデミグラスソースが掛かったハンバーグを作ってやる! 最近できた新作なんだZE☆」

 

リョウ「反省する気はなしか。 仕方ない。最大級の技である『ソードスパーク』をぶっ放してやる」

 

アイリ「ラミエルさんハンバーグ作れるんですね! あたしも作れるけどどんなの作れるか見たいし食べてみたいな~。 でもあたしはハンバーグより、ハンバーガーが大好きなんだ♪」

 

リョウ「教祖様がやって来そうだな。 因みに、わしの気の短さはハンバーガー4個分だ」

 

アイリとリョウは互いに現実世界にあるネタを披露し始め意気投合、笑顔でハイタッチをする。

何のことかさっぱり分からないラミエルは頭にクエスチョンマークを浮かべていた。

 

ラミエル「は、ハンバーグ作りはまたにしとくぜ! そういうことで、じゃあな! 庭の整備もまた来たときにしとくからよ!」

 

純白の翼を広げ、家に来たときと同じ豪速の勢いで飛び立って行く。

天使であるにも関わらず自らの罪を償わず逃走するラミエルをリョウは許すはずがなく、冷たい目線を向けながらアルティメットマスターを鞘ごと掴み、ラミエルが飛び去った方角へと向け構える。

 

リョウ「さっき言ったようにやらせてもらうからな? わしが今出せる最大級の技を」

 

アルティメットマスターを構えている手に黄金のエネルギーが電撃の様にバチバチと音を立て溜まっていく。

アイリは今までに感じたことのない力量を感じ取り、身の危険を感じリョウと距離を取り庭にある岩の後ろへと隠れる。

 

リョウ「『ソードスパーク』!」

 

アルティメットマスターの鍔(つば)の下、縁(ふち)に装飾されてある赤い宝石から黄金色の極太レーザーが放たれた。

豪快かつ高威力な一撃必殺の技なので、反動に耐えられず後方へと下がっていく体を両足を地面に貼り付くような勢いでなんとか保っている。

飛距離がかなりあるらしく、遥か遠くに飛んで去ってしまったラミエルに直撃した。

空の彼方でラミエルの叫びが山彦の様に聞こえた。

 

リョウ「はぁ、流石に今の状態じゃこの技を使うのは疲れる。 程々にしとこ」

 

制裁の一撃を与え満足したのか、エネルギーを出し終え未だにバチバチと音を立てエネルギーが迸るアルティメットマスターを腰に戻した。

 

アイリ「今のヤバすぎでしょ!? 魔理沙のマスタースパークみたいだったよ!」

 

アイリが『ソードスパーク』の威力に興奮しながら岩の後ろから出てきた。

 

アイリ「あたしもいつかあんな攻撃できるのかな!? やってみたいな~。 かめはめ波! みたいにさぁ!」

 

リョウ「さぁどうやろ、できるかどうかは自分次第や。 わしもこれは大事な人の技をまるパクリした技やからね。 悪いけど今日は修行はなしで。 この技、わしの力の7、8割くらい使う半端ないくらい威力ある技だから疲れちゃうのよ」

 

疲労を隠せないようで、額に汗をが滲む引き攣った笑顔を見せ家の方へと覚束ない足取りで歩いていく。

アイリはリョウの横にテトテトと歩いていき自分の肩を貸し、歩くのを補助する。

 

アイリ「一発撃っただけでヘロヘロになるなんて、爆裂魔法を使う紅魔族みたいだね」

 

リョウ「あの子よりはまだ他の技も使えるわしの方がなんぼかマシやろ。 それよりすまないな、今日は色々と教えようとしてたのにこの様で」

 

力を使い果たし醜態を晒した挙げ句、修行をするという約束を破ってしまった。

自身の愚行に冷笑してしまう。

 

アイリ「大丈夫、ぜんぜん気にしてないから! 間近で戦闘を見れてこんな感じなんだなぁって実感できたし。 あたし的には空を飛べることもできたんだし、今日のノルマはクリアってところだよ♪」

 

約束を守れなかった事を気にも留めておらず、向日葵の様な笑顔を向ける。

可愛らしい輝く笑顔に思わず笑みが溢れた。

 

アイリ「さて、とりあえずお腹空いたしご飯の準備でもしようかな。 材料はさっき冷蔵庫の中を漁ってたら色々あるのは分かったことだし、さっき話に出てたハンバーグでも作ろうかな」

 

リョウ「一人暮らしやったから料理もそれなりにできるんやったな」

 

アイリ「もっちろん! 中学生の頃にNHKの料理番組見たりDSお料理ナビを使って一生懸命覚えたから、ジャイアンシチューみたいな料理にはならないから心配しなくて大丈夫だからね!」

 

リョウ「期待しとるで。わしは疲れたからゆっくりしとくわ。 今のわしならアイリにも負けそうだから」

 

アイリ「えっ、そんなに貧弱しちゃってるの? …ふふ、今のリョウさんにならあたしでも勝てるか、ふふふ…」

 

先程のリョウとはまた違う雰囲気で不気味な笑みを浮かべ始める。

他人から見てみれば小悪魔の様な感じで可愛げがあるが、リョウは決して口にはしない。

言えば調子に乗ってしまうから。

 

アイリ「と、言うことで…野郎オブクラッシャー!」

 

リョウ「冗談だってことくらい分かれこのアンポンタンスカポンタン!」

 

アイリ「えあーむど!」

 

襲い掛かってくる前にリョウはアイリの額にデコピンを当てる。

アイリは奇妙な声を上げ額を抑えその場で地団太を踏むようにしてもがいている。

 

ピコ「殴られなかっただけ良かったねアイリ」

 

アイリ「こ、これはこれで痛いんだからね…」

 

アイリの肩に跳び乗ったピコが笑顔で語り掛ける。

リョウは何だかんだ言ってやり取りが楽しかったのか、笑みを浮かべたまま家へと入っていった。

 

 

翌日、ラミエルが泣く泣く庭を直すべく整備をしたそうだ。

 

 

 




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