世界英雄譚   作:仮面ピコ

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折角の三連休ということでUSJに来ております!
そしてアトラクションの待ち時間で暇すぎて小説を投稿することにしました笑


第75話 アイリと愉快な仲間達vsアンドロマリウス

アンドロマリウスは牽制のつもりなのだろうが、アイリにとっては手加減なしの威力を誇る『狂舞蛇撃』が次々に襲い掛かる。

闇の力で生成された蛇達が一斉に迫りシャティエルが迎撃しようと魔方陣を展開するよりも早くリョウが前に躍り出る。

『天使の加護』を発動させ、広範囲に白い粒子を拡散させ蛇達の侵攻を阻止すると同時に動きを封じる。

 

リョウ「二人とも今のうちに!」

 

アイリ「ありがとうリョウ君!」

 

シャティエル「リョウさん、感謝致します」

 

礼を告げた二人は蛇達の間を縫うように進みアンドロマリウスと対峙する。

アイリは『トリックアロー』を数発、シャティエルは『多連装多目的誘導ミサイル』のユニットを数個出現させ一斉に発射した。

遠距離からの数の暴力とも言える攻撃に怯む様子がないアンドロマリウスは表情一つ変えず 『コンティネン卜アンガー』を発動させ、闇の力により大地を粉砕する。

闇のエネルギーと軽々と弾け飛んだ地面の破片が矢とミサイルを落としていき、二人にも容赦なく襲い掛かる。

アイリは一度上昇し被弾を回避し、シャティエルは『クリスタルミラーバリア』を展開しながら距離を詰めていき片手に持った『光粒子ライトブラスター』の引き金を引き、銃口から光弾が放たれる。

瞬時に行われた精密な計算により的確に狙いを定められた外れることのない百発百中の光弾はエネルギーや破片に直撃することなく突き進む。

 

アンドロマリウス「次こそは貴様を粉々にしてやろう」

 

回避行動を取ることはせず、巨大で強剛なる右腕を盾とし光弾を受け止め、『狂舞蛇撃』でシャティエルの体を巻き取ろうと蛇達が躍り出る。

シャティエルを覆うバリアに噛み付き、至近距離から光線を放つことで強引に強固なバリアを砕こうとしてくる。

バリアに徐々に亀裂が入っていくが、シャティエルが反撃を行う様子は窺えず、アンドロマリウスは疑義の念を抱いていた。

その刹那、アンドロマリウスの側面に魔方陣が展開され、『拘束電流装置』が姿を見せた。

電流が流される前にアンドロマリウスは腕を振るい容易く装置を破壊するが、一本しか間に合わず片方の側面に出現した装置の電流に捕らえられ、体を貫く電流により動きを封じられる。

 

シャティエル「アイリさん!」

 

アイリ「了解道中膝栗毛! ここで決めなきゃ女が廃る! 『レインアロー』!」

 

アイリが光を凝縮した矢を番えた状態で上空に滞空していた。

シャティエルの合図と共に全身全霊で引いていた矢を離し、空中で分散した矢が光の雨となる。

身動き一つ取れない相手に外すことのない運命にある矢の雨注がアンドロマリウスの体に突き刺さる。

束手無策であると思われたが、『狂舞蛇撃』により蛇達が降り注ぐ矢の盾となるべく動き、次々と矢の餌食となっていく。

何本かは防ぎきることが叶わず体に深々と刺さり、光の力が体内から身を焦がしていく。

アンドロマリウスが僅かに表情を歪めるも、戦闘不能に陥るには程遠く、余力は有り余っている。

 

電流により動きを封じられた体を力任せに無理矢理動かし、『拘束電流装置』を完膚なきまでに破壊した。

翼を広げ闇の気を纏ったパンチ、『愚者殺し』でシャティエルのバリアを砕き、『光粒子ライトブラスター』を掴み握力だけで破壊し『狂舞蛇撃』で追撃を行い、『ソニックプラズマ』を辛うじて反撃の際に射つことの出来たシャティエルは蛇の猛攻を受け後方へ吹き飛び地面に強く叩き付けられる。

『ソニックプラズマ』を胸部に受けるも火力に欠ける一撃は大したダメージにはなっておらず、受けた反動を利用し体を捻りながら上昇しアイリを縊り殺そうと腕を伸ばす。

 

リョウ「『テオ・ソードスラッシュ』!」

 

剣を巨大化させたリョウがアイリの前に立ち塞がりアンドロマリウスの腕を斬り払う。

鋭利な刃による一撃でもアンドロマリウスの腕は斬ることはなく、強固な物が掠れる金属音が響いた程度で、掠り傷一つ付いていない。

更なる一撃を加えようと構えたところで、リョウの体は突如飛来した赤い流星に衝突し地上へと戻された。

ここぞと言わんばかりに悪魔兵が撃墜されたリョウに群がり次々と武器を振り下ろす。

短剣や槍等の刃物が体に突き刺さり、体中に刺し傷が出来上がり鮮血により衣服が深紅に染まっていく。

絶えず襲い来る痛みに耐えながらも、一瞬だけ『力』を使用し左目が黄金色に染まる。

 

リョウ「邪魔じゃ。 『ダンシングソードカッター』!」

 

防御を捨て悪魔兵の止まらぬ猛攻を受けながらも立ち上がったリョウは三日月型の斬撃を四方八方に飛ばし悪魔兵の体を斬り刻んだ。

一頻り続いた有利だった戦況が一変した悪魔兵は己の命を守るため逃走を図るも、殺意を醸し出すリョウはそれを許さない。

視界に入る一帯の悪魔兵を纏めて始末するため更に『ダンシングソードカッター』を繰り出し、悪魔兵の命を刈り取っていく。

一通り始末し終えたリョウは刺された箇所の止血をすることなく自分を撃墜した張本人に視線を移す。

真紅色のタキシードを纏った悪魔、ベレトが一瞬にして数十の数の悪魔兵を葬ったリョウに対して拍手を送っていた。

周囲にはグレムリンが数十体羽ばたいており、指示を受ければいつでもリョウに襲撃できる体勢を取っている。

 

ベレト「お久し振りですね世界の監視者。 アンドロマリウスの邪魔はさせませんよ」

 

リョウ「先ずお前から始末せなあかんみたいやな」

 

アイリ一人ではアンドロマリウスの相手をするにはあまりにも分が悪すぎるため、即刻にでも助太刀しなければならない。

『力』を使用すれば即座にけりが付くのだが、長時間無闇に使うことは極力避けたい。

力が半減されていることを呪いながらも、兎に角素早くベレトを倒すため突破口を見つける手立てを考案しながら駆け出した。

 

ベレト「あなたには誰も守れやしませんよ。 あなたが一番分かっていることでしょう?」

 

リョウ「わしに煽りは通用せえへんで」

 

見え透いた挑発に乗らないリョウに対し舌打ちをしたベレトはフルーレを取り出し、剣先を前に突き出す。

それを合図にグレムリン達が一斉に群れを成してリョウに向かっていった。

 

 

~~~~~

 

 

アンドロマリウス「大したものだな元人間の娘。 以前とは見違えたような力だ。 愚鈍なことに変わりはないが」

 

アイリ「一言余計だよ!」

 

片や光、片や闇の力に覆われた二つの流星が空を翔けていた。

光と闇、相反する力が交差する度に激しい衝撃波を生み、大気を震わせている。

素人からでは目で追うのもやっとであろう、尋常ではない速度で絡み合うような複雑な飛行を繰り返しながら戦う様子は一種の芸術のように見える。

 

アイリは『ストレートアロー』を始め多種多様な技を繰り出し自分が優位な距離を保ってはいるが、どの技も打撃力に欠けており、アンドロマリウスの体力は未だに有り余っている。

アンドロマリウスは幾多の迫り来る矢を瞬時に見極め回避し、追尾機能があるものも取り溢しなく弾き飛ばしている。

 

アンドロマリウス「貴様の技は見飽きた。 次は私から行かせてもらう」

 

アイリ「おっと、まだあたしのターンは終了してないよ!」

 

諦めるという文字はアイリの辞書に載っていないようで、絶えず矢を射続ける。

軽忽とも見て取れる技で反撃を行うことが軽侮されているのではないかと捉えることもでき、怒髪天を衝きそうになるもがここまで足掻かれると呆れの溜め息が出てくる。

気を乱そうと嘲弄しようと悪知恵を働かせていたが、光の力とはまた別の気を察知し素早く体を捻り回避に専念した。

 

視界に映ったのは数個のエメラルドグリーンの刃が生えたユニット。

獲物を逃すまいと執拗に追い続けてくる刃はシャティエルの武器の内の一つ、『永久追尾式浮遊ライトソード』だ。

アイリは地上に目線を移すと、人目につかない岩盤の陰に身を潜めるシャティエルがいた。

『可変式長距離プラズマライフル』を手にアンドロマリウスに照準を合わせ正に引き金を引く瞬間だった。

 

シャティエルが無事なことに安堵する暇はなく、アイリは数発の『スプレッドアロー』を射つと即座に『光弓三日月斬』を発動させ、アンドロマリウスに一直線に突貫した。

矢が拡散され、花火のように空を黄金色に染め上げ煌めかせる。

 

悪魔族にとってはただただ忌々しいものでしかない光を避けるためアンドロマリウスは『狂舞蛇撃』で一掃しようとしたが、自身の翼が何かに焼き斬られ空中で大きくバランスを崩した。

翼を貫いた何かは地上にいたシャティエルが放った『可変式長距離プラズマライフル』の光弾。

見事な支援により、滞空することが維持できなくなったアンドロマリウスは蹌踉けながら地上へと低速で落ちていく。

空中を彩る『スプレッドアロー』がアンドロマリウスに容赦なく降り注ぎ始めるも、巨大な腕を盾とし数多の矢を全て防ぎきる。

弱者の悪足掻きに過ぎないであろう攻撃に呆れ混じりの失笑を漏らすが、その余裕は瞬時に霧散する。

 

腕に突き刺さった無数の矢が突如爆発を起こした。

アイリが突貫する前に放った矢の中に着弾すると同時に爆発する効果を持つ『アローエクスプロージョン』を紛れ込ませていたのだ。

予想外の攻撃に怯むも、アンドロマリウスは体勢を立て直し『ヘルタワーポール』を発動させる。

闇の柱が天高く聳え立ち、残る矢を根刮ぎ消滅させられ、浮遊する『永久追尾式浮遊ライトソード』も撃墜させられる。

闇の柱が道を遮り進むのに刻苦するアイリだが、攻撃が止んだ訳ではない。

 

集中力を極限にまで高め、残る僅かの矢を全て『トリックアロー』へ変換させ、目標であるアンドロマリウスへ柱を掻い潜り進んでいく。

再度襲う矢の嵐にアンドロマリウスは体勢を崩さぬよう気を使いつつ対処していくも、アイリが練った策略が露呈する。

アンドロマリウスに着弾する直前に矢は爆発を起こし、光の粒子と共に硝煙が周囲を覆い尽くす。

目眩ましに一切動じる素振りを見せないアンドロマリウスはアイリが来るであろう方角を予知し、『フールイーター』を繰り出した。

エネルギーで生成された蛇の頭部は硝煙を斬り裂きながら進み、目標を丸呑みにした感触を確かに感じた。

先ず敵の一人を始末したことを確信したアンドロマリウスは闇のエネルギーを飛ばし地上の物陰から遠距離射撃を行っているシャティエルに攻撃を始める。

シャティエルは転がるように移動し、翼を展開させ地面と接触する紙一重の高度で飛行しながらアンドロマリウスに照準を合わせる。

 

シャティエル「アイリさん、いきますよ!」

 

防御を解きながら行われた決死の射撃。

秒で照準を合わせ終えたシャティエルは引き金を引いた。

同時に展開された翼に闇のエネルギーが命中し、バランスを崩したシャティエルは激しく地面を横転してしまう。

放たれた光弾は空を斬りながら直進し、アンドロマリウスの右肩を貫いた。

常人を凌駕する反射神経により体の軸を反らしたため急所に着弾することは免れたが、アンドロマリウスの最大の武器となる巨大な右腕の力は大きく減退する。

 

アンドロマリウス「機械人形の分際で…。 だが、元人間の娘は始末した」

 

悪魔の脅威になり得る対象を抹殺したことに達成感に浸りつつ、残るシャティエルを始末しようとが、ある違和感に気が付く。

アイリの体を握り潰したにも関わらず、独特なぬめりのある鮮血の感触が感じ取れなかった。

技を解き手中に存在する死体を確認するため開き視界に映す。

映っていたのは、『へのへのもへじ』の顔となったアイリに瓜二つの人形。

直ぐ様異変に気付いたが、時既に遅し。

目の前で爆発が起こりアンドロマリウスは急速に落下し地面へと打ち付けられた。

地面に体が着いた途端、両足に痛みを覚え見てみると、地面から生えた光の矢が足に深々と突き刺さっていた。

 

アイリが事前に『ヘルタワーポール』により消滅を免れ地面に落とされた矢を『グラスアロー』に変え、アンドロマリウスが地面へと降り立つタイミングで発動するよう細工していた。

アンドロマリウスが細工した矢がある位置まで『トリックアロー』で攻撃し誘導させ、最後に『カワリミ』により追い込むという、緻密に計算された戦法。

功を奏したアイリは『ヘルタワーポール』の裏から姿を現し一時的に身動きの取れないアンドロマリウスに止めの一撃を食らわすため急降下する。

 

アイリ「かかったなアホが!」

 

一か八か、一縷の望みをかけて全力を注いだ一撃。

流石のアンドロマリウスも限界まで高めた光をまともに受ければただでは済まない。

アンドロマリウスは『フールイーター』を発動させアイリの『光弓三日月斬』を受け止め、両者の間で光と闇のエネルギーがぶつかりエネルギーが火花のように散る。

右肩を貫かれたにも関わらず、アンドロマリウスの膂力は凄まじく、アイリの全力を受け止めるだけでなく押し返し始めた。

僅かに力を緩めれば逆転されるだろうが、自分で敷いた背水の陣、引くことなど有り得ない。

 

アイリ「はああああああああああああ!!!!」

 

己を鼓舞する怒涛の声が喉が枯れる勢いで吐き出されると同時に、体から溢れる白い粒子の量も増していく。

死に物狂いで掴み取った千載一遇の時を逃さぬため、闇に押し返され引き裂かれそうな体に鞭を入れ更に光を増幅させる。

 

アイリの華奢な体から出ているとは到底思えぬ力は確かに闇の力を打ち返そうと押してはいるものの、もう一押しが足りていない。

アイリのスタミナが切れてしまうのも時間の問題。

アンドロマリウスはいち早くそれに気付き対休戦に持ち込むことにしていたが、アイリ本人も自身のスタミナ切れとアンドロマリウスの企みに勘づき、呼吸が乱れぬ内に速攻で決着を付けようと更に力を込める。

 

歯を食い縛り一心不乱に光を注ぐ最中、突如背後からどす黒い何かを感じ取り鳥肌が逆立った。

普段ならば気配で即座に察知出来たのだが、アンドロマリウスを打倒するのに夢中となり気付くことが出来なかった。

どす黒い何かは、紛れもなく闇。

敵の接近を許してしまう程に背後ががら空きになっていたようで、対応しなければ攻撃を諸に受けてしまう。

だが今背後にいる者の対応をすれば、間違いなくアンドロマリウスに隙を生み出してしまい、折角追い込んだ好機を無にしてしまうのは目に見えて明らか。

 

アイリ(覚悟を…決めなきゃ!)

 

アイリは背後から迫る者の対応を諦め、アンドロマリウスに必ず一撃を叩き込むことに傾注することにした。

つまり、背後からの一撃を防御なしで受けるということ。

致命傷を負う可能性もあるが、戦う以上は覚悟の上だった。

今までも死に直面する状況に直面したせいか、この行動に至るまで不思議と恐怖心や戸惑いはなかった。

 

凄まじい激痛が襲い来る覚悟をしていたが、アイリを襲う筈だった一撃は真横を通過しガーンデーヴァの上に重なるように叩き付けられた。

 

リベリオン「私を忘れられては困るわ…!」

 

悪魔兵を殲滅し終え、額から血を流すリベリオンが厭悪の色を浮かべた瞳でアンドロマリウスを俯瞰しながら愛用の鎌であるブラッディハントを振り下ろしていた。

思わぬ援護に微笑みを浮かべるアイリに対し、予想外の加勢に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるアンドロマリウス。

 

リベリオン「地獄に落ちて己の未熟さを嘆きなさい。 『ダークネスヘルファイア』!」

 

アイリ「いっけえええええええええ!!!!」

 

漆黒の炎が光を蝕むことはなく、融合し強力な一撃へと生まれ変わる。

相対する力が混合した奇跡の一撃は、アンドロマリウスの技を軽々と粉砕した。

 

回避しようにも、矢が深々と刺さり地面に膠着したアンドロマリウスに最早逃げ場など存在しない。

アイリ達の実力を軽侮し、リベリオンを破ったと蔑ろに捉え、打ち遣っていたのがアンドロマリウスの敗因となった。

 

裂帛な声と共に振り下ろされた猛烈な一撃が炸裂し、大地が剥がれ粉々になり砂のように舞い、空気を揺るがすほどの衝撃が響く。

光の粒子と共に漆黒の火の粉が空中に漂い、幻想的な風景を生み出す暫しの沈黙は、戦いの終わりを告げていた。




ハロウィーンナイト楽しいです♪

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