カイ「でたな、しょっかー!」
アイリ「助けてライダー!怪人ヤンキーサンダーに連れ去られる~!」
ラミエル「俺そんな変な名前の怪人なのか…。で、出たなライダー!今日こそ貴様を地獄へ送ってやる!」
シャティエル「天使なのですから、物騒な言葉を迂闊に口に出さない方が良いのでは?」
ラミエル「お遊戯だからオッケーなんだよ!」
花笑「うふふ、結構悪役も似合ってますね」
ラミエル「天使としちゃ複雑な気分だぜ…」
シャティエルに様々な世界を知りたいという想いと願いに答え、翔琉達の住む世界に訪れたアイリ達。
早くも1日が経過しており、更に自然を堪能するために玉桜寺の外へ出ていた。
花笑の案内で、玉桜寺の近辺に位置する妖怪が寄り付かない開けた場所で、菜の花等の色彩溢れる花が咲き誇っている美景が広がっている。
ラミエル「ふははははは!貴様にやられるなんてまっぴらごめんだ!この娘を預かり、我が組織の改造人間の実験体になってもらう!」
アイリ「ぎにゃぁぁぁぁ!散々使い倒してボロ雑巾のように捨てられる~!エロ同人みたいなことされても、心までは変えられると思うなよー!」
カイ「だいじょーぶ!カイがたすける!おりゃー!」
ラミエル「ふっ、その程度かライダー!…随分可愛らしい攻撃だな」
ラミエルの脛あたりをポカポカと殴り続ける様は大変可愛らしく、微笑ましいものだった。
無論、幼子に殴られるラミエルは全く痛みを感じていない。
カイ「おりゃおりゃー!なんできかないのー!」
アイリ「ラミエル君、ここはわざとやられたフリをしないとだよ」
ラミエル「負けてもねえのに負けたフリしなきゃならねえのか?流石にそれは嫌だぜ」
アイリ「子供の相手してるんだから多少のプライドは捨てないと大人げないよ。そんな大人、修正してやる!」
ラミエル「いや、俺まだ大人じゃねえし」
アイリ「でも何百年も生きてるんでしょ?じゃああたしにとったら大人だね!(確信)」
ラミエル「そりゃお前が人間の頃の基準だろ?」
アイリ「あたしの言うことは?」
シャティエル「ぜったーい!…でしたよね?」
アイリ「さっすがシャティ!あたしの教えたことをしっかり覚えてるね!」
ラミエル「また変な知識叩き込んでるのかよ。リョウにまた叱られてもしらねえぞ?」
アイリ「あたしは滅びぬ!何度でも蘇るさ!おっとっと、話が脱線しちゃった。脱線するのは某機関車だけでいいから…ん?」
会話をしていると、ふと優しげな春風が撫でるように通り過ぎた。
それだけならまだ良かったのだが、下から上に吹いた風はアイリのスカートを捲り上げ、履いていた下着を露にした。
正に言葉通りの春風の悪戯にアイリは反射的に手で捲り上げられたスカートを抑えるも、時既に遅し。ラミエルの脳内には履いていた下着の映像が嫌でも刻み付けられた。
アイリ「いや~んププッピドゥ!!………ラミエル君、ミタナ?ミタヨネ??ミテルヨネ???」
ラミエル「み、見てないぜ!見てはないぞそうとも何も見ちゃいねぇよ!」
花笑「その割には大分慌てていますよ?」
シャティエル「心拍数の上昇、皮膚の温度の上昇、発汗量の増加、呼吸の乱れを検知できます。92%の確率でラミエルさんは虚言していると思われます」
ラミエル「いや、見てない!決して黄色い布なんて見てねぇ!」
花笑「…自白しましたね」
ラミエル「あ、いや、違う……カイ助けてくれ!」
花笑「そこでカイさんを頼るのはどうかと思いますが…」
カイ「カイもみたよ!ラミエルとおんなじきいろだったよ!」
アイリ「……命日が2つもあったらややこしいでしょ?今日にしてあげる」
ラミエル「おいおい待て待て見てしまったことは謝るが不本意だぜ!見たくて見たわけじゃねえ!」
アイリ「見たという事実に変わりはないよ。涙と鼻水の覚悟はよろしいか?」
ラミエル「お、やんのか?実力行使で来るならいいぜ。相手になってやる」
花笑「ラミエルさん、乙女に拳を振るうのはよろしくないですよ。ここは自分の罪を認めて断罪されるべきですよ」
ラミエル「え~…俺は悪くねぇ!」
アイリ「あたしのパンツを見るのは死罪に値するんだよ。そう岡本太郎も言っていた」
ラミエル「いや誰だよそいつ…」
アイリ「歯を食い縛れ!蝶野ビンタの10倍以上の力はあるかもだけど死にはしない!ちぇりお!!」
ラミエル「なっしー!?」
春風の悪戯により不本意にも下着を見てしまったラミエルはアイリの渾身のビンタの一撃を受け、理不尽にも吹き飛ばされ茂みの中へ墜落していった。
アイリ「思ったより飛んでいっちゃったな。それは舞い散る桜のように…」
シャティエル「アイリさんは何故怒りの感情を露にしたのですか?」
アイリ「シャティ、女性っていうのはね、身に着けている下着を異性に見られると恥ずかしいもんなんだよ」
シャティエル「そういうものなのですか?恥ずかしくなると怒ってしまうのですか?」
アイリ「羞恥心と同時に僅かに怒りの感情も沸き立っちゃうんだよね。恥ずかしさを隠そうとしている行動なのかもしれないけどね」
シャティエル「成る程。羞恥心…私にはまだ分からない感情です」
アイリ「シャティにはまだ恥ずかしいと思える事柄がないってのもあるからね~。いつか分かる時が来るかもしれないね。ゆっくり焦らず色んな感情を知っていけばいいよ!」
シャティエル「了解しました」
アイリ「さて、お遊戯に戻ろう。ごめんねカイ君、結局あたしがヤンキーサンダーをやっつけちゃった…って、あれ?」
振り向き視線を下に向けるも、先程までいた筈のカイの姿はなかった。
辺りを見回すも無邪気な少年の姿はなく、神隠しにでもあってしまったのではないかと思ってしまう。
アイリ「カイく~ん!何処行ったのー!」
花笑「先程まで確かにいた筈なんですけど…」
シャティエル「何者かが連れ去った形跡もありません。カイさん自身で何処かに行ったと推測できます」
シャティエルの言うように何者かが連れ去ったとは到底思えない。
だが誘拐されたわけではないと分かり安堵できたわけではない。
妖怪の類いとはいえ、カイは人間の幼子と何ら変わりはない程にまで非力。
獣や妖怪に出くわす可能性や、自然豊かだからこそ有り得る崖や川からの転落も想定できる。
アイリ「どうしよう…あたしがもっとしっかり見ていればカイ君は…」
花笑「アイリさん、後悔するのは後にしましょう。今はカイさんの捜索をするのが最優先ですよ」
アイリ「そ、そうだよね!」
花笑「カイさんの運動能力的にも遠方に行ったのは考えにくいと思うので、まだ近場にいる筈です。手分けして探しましょう」
シャティエル「了解しました。足跡を追跡、赤外線モードに移行します」
最悪の事態を想像してしまい血の気が引いてしまうアイリだったが、いつもはにこやかなとしていた表情が消え去り凛々しい顔付きとなった花笑の言葉に直ぐ様捜索する行動へ入った。
アイリ「カイ君!カイ君!聞こえてたら返事してー!!」
即座に上空に飛び探索し始めるも、目に写るのは様々な花が咲き乱れる華々しく美しい光景のみ。
自然が生み出した目を奪われる美しさだが、今はその美景に看取れている余裕はない。
家族同然のカイを探索するのに一心不乱に宙を駆け回る。
アイリ「お願いカイ君…無事でいて…!」
自分が注意深く見ていれば行方不明にならずに済んだのにと深く後悔し、涙が溢れそうになる。
アイリ「泣いちゃ、ダメ!絶対に…!」
赤く腫れる勢いで両手で頬を力強く叩き湧き出そうになった涙を無理矢理にでも引っ込めた。
泣いてはいけない。涙を流してはいけない。
物心付いた時から、辛い時も、苦しい時も、涙を流してはいけないと自身に言い聞かせ堪えてきた。
何故なのかは分からないが、そうしないといけない気がした。
誰かと約束したような、そんな気がするから。
アイリ「泣いてる場合じゃない……カイ君を探さないと!」
少し潤った目を擦り、カイを見つけ出そうと大自然の中を目を凝らし一帯を見つめる。
アイリ「………っ!カイ君!!」
白色の花が咲き誇る中に、黒色が混じっていることに気が付いた。
風に吹かれ揺らめく花と違い、不規則に動く黒色に違和感を覚えたが、それがカイの髪だと理解した。
凄まじい速度で急降下し、着地した衝撃により足裏に痛みを感じるも、意に介せず焦燥しながらもカイの元へと走り寄る。
アイリ「カイ君!!」
カイ「あ、アイリ~!」
此方が必死に探していたことなど知らぬカイは、いつもと変わらず無邪気な笑顔をアイリに向ける。
外傷は何もなく、無事であることがその目で確認できたアイリは急激な安堵感に包まれ、緊張が解かれたことによりその場にへたり込んでしまった。
カイ「アイリ、どうしたの?」
アイリ「良かった~……何かあったんじゃないかって本気で心配したんだから」
カイ「しんぱい?」
アイリ「突然いなくなっちゃうんだもん、そりゃ心配するに決まってるよ!いきなりいなくなっちゃダメだよ!この世界には妖怪が蔓延ってる危ない世界なんだから!カイ君の身に何かあったらどうするの!」
カイ「うん…ごめんなさい…」
心配だからこそ、大切に思っているからこそ、大声で叱ってしまう。
普段怒ることのないアイリの凄みに縮み上がり涙を浮かべながら謝罪するカイを、アイリは優しく抱擁した。
アイリ「無事で本当に良かった。もう勝手に何処かに行ったりしないでね」
カイ「うん……やくそく、するよ」
アイリ「じゃあ指切りしよう!」
カイ「ゆびきり?こわいこと?」
アイリ「そのままの意味じゃないのよね~。約束するためにするおまじないみたいなもんだよ!さあ、小指を出して!」
ゆびきりげんまんを知らないカイは疑問符を浮かべながらも小指を差し出し、アイリはその小さな小指に自身の指を絡ませる。
アイリ「ゆびきりげんまん嘘ついたら針千本飲ます♪ゆびきった♪」
カイ「やくそくできたね!カイ、がんばってやくそくまもるね!」
アイリ「あたしも守れるように頑張るからね!ところでカイ君は何でここにいたの?」
様々な色の花が咲き誇る以外は特に突出して目立ったものはない花畑の中心地。
様々な物に興味を惹かれる年頃のカイだが、何をしにここまで来たのかアイリは疑問に思った。
カイ「えっとね…アイリにこれを、プレゼントしたくて…」
そう言って差し出したのは、花で作られた冠だった。
幼い割には慣れているかのようにしっかり作り込まれており、鮮やかな花が豪華できらびやかさを出している。
アイリ「あたしのために作ってくれたの?」
カイ「アイリにあげたらよろこんでくれるかなって、おもったの…」
アイリに喜んでもらいたい純粋な思いで作ろうと行動したのだが、結果的にアイリ達を心配させることになってしまった。
言葉も掛けず勝手にいなくなってしまい心配を掛けたことに罪悪感を感じ、次第に声が小さくなっていく。
アイリ「……ありがとう、カイ君。あたしのために作ってくれたんだよね?なら、あたしの頭に被せてもらってもいい?」
カイ「あ、えっ…おこらないの?」
アイリ「怒るより安堵感の方が大きいし、もうさっき叱ってカイ君はちゃんと謝罪して反省してるんだから、怒ったりなんかしないよ。あたしのために行動してくれてるのは素直に嬉しいしね。さあさあ、早くそれ被せてよ!」
カイ「っ……うん!」
カイの表情は益々明るくなり、花の冠を渡すことができることに喜んだ。
アイリは頭に被せてもらうために屈み、カイは冠が壊れないように慎重に艶のある髪を崩さぬよう静かに置いた。
アイリ「どうかな?似合ってる?」
カイ「うん!にあってるよ!えほんにでてくるおひめさまみたい!」
アイリ「ホント?えへへ…ありがとう!」
アイリの眩しい程に輝かしい喜びの笑顔を見れて、カイは満足そうに向日葵によく似た笑顔を浮かべた。
二人を見守るかのように、涼しく穏やかな風が撫でるように過ぎ去っていった。
花笑「カイさん!良かった、アイリさんとご一緒だったんですね」
シャティエル「発見致しました。カイさん、お怪我はございませんか?」
カイ「カイはへいきだよー!あと、その…しんぱいかけてごめんなさい」
花笑「気にしてませんよ。無事だったのなら何よりですから」
シャティエル「花笑さんと同意見です。カイさんがご無事なだけで私は……何という感情や心情なのでしょうか?全力を注ぎ早急に捜索しなければならない警鐘が鳴り止み、自然と笑みが作り出されるような、温もり…だと思うのですが、それに類似したものを確認できます」
アイリ「多分、きっとそれは安心したんだと思うよ。カイ君が無事に見つかって曇っていた気持ち、不安が晴れたみたいな気持ちになってない?」
シャティエル「気持ちが晴れる……確かに、先程までカイさんが無事でいるか常に考慮し、馳突する勢いで探索し、動力炉が、心が締め付けられるような、妙な感覚でした。不安、だったんですね。そして、カイさんが発見したことに、安心、安堵したんですね…」
花笑「シャティエルさんは発見されないことを畏怖していたんですね」
シャティエル「畏怖、とも捉えられると思います。今日も様々な感情を認知することができました」
カイ「カイ、やくにたった?」
シャティエル「はい。カイさんのお陰です。感謝致します」
カイ「やったー!ほめられたー!」
花笑「カイさん、でも次からは勝手に一人で他行するようなことはしないでくださいね。皆さん心配してしまうので」
アイリ「そうだよカイ君。あたし達物凄く『しんパイン』だったんだから。ちゃんと『うちゃー』してね。反省してくれないと『べそきゅー』だよ」
花笑「聞き慣れない単語が沢山出てきましたね。他の世界にいるとされる、ぎゃる…という民族が使っていそうな言葉ですね」
アイリ「ギャルは民族じゃないんだけど…いやでも当たらずとも遠からずかも。この言葉はハム語と呼ばれている可愛い言語なんだよ」
カイ「カイもしりたい!」
シャティエル「折角ですので、私にも御教授お願いします」
花笑「皆さんが教えてもらうのであれば、私もお願いします」
アイリ「よし来た任せなさい!アイリのパーフェクトはむご教室、は~じま~るよー!あたしみたいな天才目指して、頑張っていってねー!」
鮮やかな花々に囲まれ、暖かな日差しを受けながら、四人は日が暮れるまで穏やかで平和な一時を楽しんだ。
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ラミエル「いってぇ~……アイリのやつ、それなりの力で叩きやがったな。頬がヒリヒリするぜ…」
アイリの正義の鉄槌(?)を受け、茂みの奥まで吹っ飛ばされたラミエルは赤く腫れた頬を擦りながら起き上がった。
ラミエル「ちょっと下着が見えたくらいでぶつなんて野蛮にも程があるっつーの」
アレク「元祖無差別格闘流の師範が見れば120%の確率で飛び付く貴重なものを見れたんだぞ。もっと喜べよ」
ラミエル「うおぉびっくりした!?いきなり出てくるのやめろって言ってんだろーが!!」
アレク「神出鬼没が俺の売りだからな。特許を申請したら必ず通るくらいにはな」
ラミエル「んなもんどの世界でも丁重にお断りさるに決まってるっつーの。で、神出鬼没のメシア様の一人が何でこの世界にいるんだ?」
アレク「いや特に理由はねえよ」
ラミエル「エクリプスやヴィラド・ディアの殲滅やらユグドラシルの警護で忙しいんじゃねえのか?」
アレク「たまには息抜きもしねえとやってられねえからな。ユグドラシルメシアはブラック企業じゃねえんだ。一週間前なんて気分転換に適当に訪れた世界で偶然にも新宿地獄阿波おどりに遭遇したり、逃げてきたと思ったら惑星クバーサだったし。しかもエクリプスの連中が隠れてたから相手しなくちゃいけないし、時空防衛局にも報告しなくちゃいけねえし、ユンナからのラブコール(お叱り)も聞かなきゃいけねえし…あれ?ぜんぜん休めてない?」
ラミエル「日頃から自由にしてるんだから多少は頑張れってこった」
アレク「働きたくないでござる…。癒しの時間を得るために俺は桜が丘高校の軽音部に行って放課後ティータイムをしてくるぜ。サラダバー!」
グラムを召喚し、時空の裂け目を作り今いる世界を去っていった。
何をしに来たのか全く分からず、嵐のように過ぎ去っていった後はとても静かに感じられる。
穏やかな風に吹かれ揺られる木々や葉が奏でる自然の音が心地好く、他の世界に行くよりも充分癒しを得られる。
ラミエル「さてと、そろそろ戻りますかな。アイリにも謝らないといけねえしな」
アレク「乙女の怒りを鎮めるには相応の態度を示さないといけない。そう岡本太郎も言っていた」
ラミエル「うわあおぅ!?お前異世界に行ったんじゃねえのかよ!?あと岡本太郎って誰だよ!」
アレク「番外編はこれにて終了!困った時のオチ担当、アレク様でした!自分で言ってて悲しくなってきちまうぜ。でもちっちゃい事は気にするな!それ!わかちこ!わかちこ!」
ラミエル「うるせぇしなげぇいい加減終われって!」
アレク「ごめんねごめんねー!というわけで、さよならbyebye」
気休めでも6000文字超えててびっくりした笑