思いついたので初投稿です。
「えっ! マジでお前が帰ってきた理由ってそれだけなの!?」
「おうそうだよ。 悪いかコノヤロー」
床に転がされた酒瓶が4つを超えた頃、ようやく俺は村に帰ってきた本当の理由を告げた。
「おほほほっ! 情けねええ! いやあー情けない! あんなに勇んで村を飛び出したのに!」
「笑うなクソっ! やっぱり言うんじゃ無かった!」
お互い物心つく前からの付き合いだ。 血の繋がりは無いとはいえ、実の兄弟に負けず劣らずの時間を共に過ごしたコイツとの間に遠慮という二文字は存在しない。
「わ、悪い悪い、クッ、アハハハ! で、でもよお別に喧嘩別れした訳じゃ無いんだろ? その2人になんて言ってパーティ抜けてきたんだ?」
「…… 村の幼なじみと結婚するって」
「ギャハハハハハ!! か、母さんにお前が結婚するって伝えといてやろうか!?」
「うるせえっ!」
酒のつまみにしていた木の実を顔面めがけてぶん投げた。
完全にツボに入ってしまったようで腹を抱えて笑う親友の姿にむかっ腹が立つが、まあ、それ以上に笑い飛ばしてくれた事に感謝した。 後者は絶対に表に出してやらないけれど。
「いやー笑った笑った! まっ! 気を落とすなってトーフさんよ! きっといつかお前と想いが通じ合ういい女と巡り会うって!」
「絶対お前より先に結婚してやるよ、モーブ」
そう、俺こと『トーフ・ヒャヤッコ』は失恋したことを切っ掛けに、今日生まれ育ったこのド田舎の村へと帰ってきたのだ。
「おらっ今日はとことん呑むぞ! 付き合えよな」
「おう! ドーンとこい! こっちも積もる話があるからよー」
あれからさらに3本のワインを空けた頃、すっかり酔いつぶれ、テーブルに突っ伏したモーブに毛布を掛けてやる。
もうじき朝日が昇るだろう。 その前に夜風に当たりたくなり、コートを羽織って一人散歩へと向かった。
「全然変わらないなあ、この村は」
辺りを森に囲まれた小さな村。
中央で村を分断するように流れる川へと向かい、川辺に腰を落とす。
相も変わらず自然以外は何も無い村。
俺がこの村を飛びだしたのは、そんな退屈な生活を変えたかったからだ。 結末こそ情けないモノではあったけど、それなりに濃厚な時間を過ごせた事は確信している。
冒険者なんていう体が資本の世界に身を置く事で、身も心も成長できた。 剣の腕だって随分と上がった。
それに、魔法だって簡単なモノならいくつか使えるようになった。 もう、十分だろう。
我ながらこんな意気地なしがよく6年も耐えれたと思うよ、しかも五体満足で生まれ故郷に帰って来れたんだ。 大した額じゃあ無いが貯金だってある。 万々歳じゃあないか。
……でもなあ。
「今世も灰色の青春時代かよ、くそったれ」
せっかく生まれ変われたのだから、今度こそ彼女を作りたかった。
「結局、魔法剣も身につけられなかったなあ……」
せっかく魔法なんて素敵なモノが存在している世界なのだ、漫画やゲームの主人公みたいな強さを身につけたかった。
どれだけ前世の世界と、あの日本という国とは違っていたとしても、現実は現実。
「ほんっとーに思うようにいかねえなあ、人生って」
ああ、今更ながら俺ことトーフ・ヒャヤッコは転生者って奴です。
読んで頂きありがとうございます。
ゆっくりと自分のペースで投稿していきたいと思っています。