因みに、私は「白い束」とか「白い亡国企業」といった訳の分からない事を言っているのは苦手です。説明は後程。
「ほう、理由はなんだ?」
「はい、オルコットさんはイギリスの代表候補生です。その実力は間違いなくこのクラストップであり、クラス代表として十二分な素質だと思うからです」
セシリアを推薦した理由を千冬に問われると戒は事も無げにそう述べた。希少性で言えば、自身や一夏の方が圧倒的に上ではあるが普段であれば代表候補生もそれなりに稀有な存在だ。彼女たちの感覚がマヒしているのか、それとも戒自身が考え過ぎなのかは分からないものの、勝つことを前提とすればコレが最良手だろう。
しかし、理性的な選択もこの年頃の少女たちには通じない。希少性、話題性に目が行き勝率からそらしてしまっている現状では、セシリアには失礼だが代表は一夏になるだろう。
そう戒が過去の記憶と照らし合わせながらそう考えていると、黒板に桜井戒と書かれた。はて、自分以外に同名の人は居ただろうか…。そう考え、首を傾げながら辺りを見回すとセシリアと目が合った。
「…」
「…!」
目が合うと、少し考えた後セシリアはウインクした。そして、その行為に戒は否応なく確信した。コイツ、推薦しやがった…と。
それはもう戦慄した余りに作画が変るんじゃないかと言うほどだった。この時期のセシリアは男性へのあたりが強く、この後推薦された
前回の問題を事前に潰せるならありとあらゆる手を使って潰してきた。この身に宿った異形の力すら利用して手の届く範囲の事を全て行った。
だが、それは断じて見返りを求めた訳でも無ければこうして目立つ為でも無い。全ては贖罪の為。この世界とは全くかかわりが無いとはいえ、自身の気持ちの整理の為に、自分と同じ結末を辿らない為に。
しかし、こうやって候補に挙がってしまえば戒に抵抗する手立てはない。何せ、かつて姉だった千冬は拒否権を此方に与えてくれないのだ。こうなれば、記憶と少しばかり相違点のある代表決定戦が起きるだろうと戒は当たりを付ける。
そして、その予想は的中し元々予定に無かった為、急遽一週間後に代表決定戦を行うこととなった。
この時、千冬から一夏に専用機が受領されることを告げられ、もう一度クラスが盛り上がったのは余談である。その際に、戒にも専用機は無いのかと言われ無いと言われたことにまた少しばかり騒がしくなった。
「その、申し訳ありません。まさか、此処迄大ごとになると思いもしませんでしたわ」
「いや、僕もなんだかごめんね。専用機もちと量産機だったらスペック的にも君たち二人には勝てる筈が無いのに…」
「そんな事仰らないで下さいな。いくら専用機を持とうと、技量が追い付いていなければ幾らでも勝ちようはありますわ。少なくとも、織斑さんには勝てるかもしれませんわよ?」
授業が終わった後、こちらに近づいてきたセシリアは少しばかり頭を下げ謝罪した。それに対し、戒もちょっとばかりの愚痴を吐きながら談笑した。
その後は、特に当たり障りのない授業が続き一夏が必読の教科書をタウ〇ページと間違え捨ててしまったことにより千冬に制裁されたりしたが、いたって普通の日常風景だった。
放課後になると、他クラスや多学年からやってきた女子生徒達で教室の外は溢れかえり、一夏は
そんな中、荷物を片付けている戒に一夏が近づいていった。
「なぁ、戒」
「ん?なんだい、一夏君」
戒は名前を呼ばれ振り返るとそこには、真剣な表情でこちらを見つめる一夏だった。
「俺と戦ってくれないか!?」
~~~
場所は打って変わってIS学園内にある剣道場。一夏の突然の科白に一瞬たじろいだ戒はその後、微笑みそれを了承。場所として、道場を選択した。この時、初の男性IS操縦者が戦うということに興奮していた女子生徒達は気が付かなかったが、意外にも冷静だったセシリアや本音は戒が剣道場がこの学園にある事を
しかし、パンフレットか入学後に誰かに教えてもらった等の可能性もあるのでその疑問はそのままとなった。
制服から道着へと衣装を変え、互いに向かい合った。両者共に顔が整っている為、外野からの黄色い悲鳴が絶えない。しかし、二人の間には沈黙が流れる。ただ、研ぎ澄まされた雰囲気のみが場を支配する。何時しか外野も静まり返り、まるで無人であるかのような静けさになった。
「っ!」
「…」
次の瞬間、一夏が動いた。現状の打破が目的か、それは分からない。だが、少なくとも場を動かすことは成功した。一夏の手はそのまま戒の道着を掴み、背負い投げをしようと考えたが次の瞬間、掴んだと思った手は虚空を切り何もつかめていなかった。
「甘いよ、一夏君」
「なぁ!?」
状況の把握すら出来ずに一夏はそのままその場にのされていた。自身の視界に見えるのは、道場の天井と戒の顔。苦笑い気味に此方に手を出してきた戒に一夏もつられて笑いながらその手を握り、立ち上がった。
「強いな、戒は何かやっていたのか?」
「昔、篠ノ之道場で剣道を少しだけ。他はジムとか行ってたかな」
「え、戒もあの道場行ってたのか!?」
戒の言葉に嬉しそうに話しかける一夏。腐女子が喜びそうな構図ではあるが、何故か一夏の姿に懐き始めた子犬を思わせ、どうにも滾らなかったと後に腐女子は語ったという。何を語っているのだろうか。阿保なのか。暇なのか。
暫くの間、一夏と戒は同じ道場出である事からエピソードを語っているとそこに一人の女子生徒がやって来た。
「一夏、それに………桜井」
「お、箒!久しぶりだな!」
「僕の事は、
「分かった…だが、ならばお前も私の事を箒と呼ぶがいい」
「うん、わかったよ。箒」
「…!」
「顔が輝いている」
やって来たのは一夏の幼馴染である篠ノ之箒だった。同名の道場があるので、関係性はお察しの通りであり戒が関わった人物でもある。
一夏はこの時の箒の反応から「もしや箒の奴、戒に惚れてるな?」と何処かのお節介BBAの様に何かにつけて二人をくっ付けようと決心するのはまだ少し先の未来の出来事である。
「所で、一夏君。もう一度やるかい?」
「あぁ、頼むよ!俺って中学頃のは帰宅部で授業以外であんまり体動かしてなかったしさ!」
こうして戒と一夏は道場の担当の教師が閉める為に来るまで組手や柔道、剣道と幅広く戦った。翌日、一夏は全身筋肉痛に襲われ授業を休んでしまい千冬に雷を堕とされるのは完全に余談である。
・読み飛ばし推奨
『白い束』や『白い亡国企業』って何をもって白いって言ってるんですかね?慈善活動してたり、NGO的な活動してるんですかね?ただ単に、主人公の味方で敵対した原作キャラや敵キャラと戦ってくれたり、強力なアイテムくれる人達ですよね?主人公に都合の良い存在を『白い』と言ってるだけな気がしますよ。まぁ、そもそも原作がガバガバな上に設定矛盾も多いのでそこを突かれると弱いんですが。
アンチ、アンチじゃない以前に束と亡国企業、シャルロットの産業スパイと言った事柄は完全に地雷ですよね。ラウラはそもそも、倫理観って言葉を辞書で調べる所から始めないといけませんけど。WW2は存在しなかった?まぁ、それ以前に、クローンやら人体実験って生命の神秘への冒涜だと言う事で固く禁じられていると思うんですけけどねぇ…。