プレイヤーキラー伝説! ~死神プレイの最強PK~   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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25 『サクリファイス』復活

「───で、どうだったの? リア充パーティーに参加してみた感想は?」

 

 剣聖達との冒険の翌日。

 再びギルドに顔を出した俺は、サクラに詰問されていた。

 

 鼻先に刀を突きつけられながら。

 

「久しぶりにまともな冒険をした気分になった。……まあ、悪くはない体験だったな」

「そう。つまり、リア充ライフを満喫してきたって事ね。死になさい」

「断る」

 

 本気で振るわれた紅桜を、腰に差したグラムを抜いて受け止める。

 そのまま、ギルド内の備品を壊しながらの殺し合いに突入した。

 戦況は、やや不利。

 俺が少し押されている。

 やはり、本来の装備もなしに、怨念でパワーアップしたサクラと戦うのはキツいな。

 

「フハハハハハハ!! 待たせたな! リアルで少しばかり用事が出来てしま……って、何をしている!? 殺るのならば、表で殺れ!!」

 

 そして、遅れてやって来たカタストロフに仲裁された。

 

「……まさか、あなたにまともな事を言われる日が来るとは思わなかったわ」

「まったくだな」

「貴様らはいったい、私を何だと思っているのだ?」

 

 変人。

 だが、そんな変人カタストロフの珍しい姿に毒気を抜かれたのか、サクラは刀を収めた。

 俺もグラムを腰の鞘に戻す。

 戦うのは好きだが、こんな勝っても負けても不毛なだけの戦いは、俺の好みではない。

 サクラが引き下がってくれて、正直助かった。

 

「なんだ、やめるのか? この前のリベンジついでに、俺も交ざりたかったんだがな」

「私はもっと見ていたかったですね! ぶつかり合う『紅桜』と『グラム』はとても綺麗でした!」

「……や、やめておけ。……な、仲間同士で争っても得る物はない。……そ、そういうのは『演習場』を手に入れてからでも遅くはないだろう」

 

 そして、カタストロフに続いて他のメンバーもギルドに入って来た。

 今日もまたカタストロフに召集された訳だが、ウチのギルドがこう何度も全員集合するのは、非常に珍しい。

 まあ、今回は要件が要件だから、集まるとは思っていたが。

 

「キョウよ。マインは来ないのか?」

「あいつは王道騎士団の一員だ。今日は来ないだろう」

「そうか。ならば、これで全員集結だな! 早速、始めるとしよう!!」

 

 ギルドマスターのその言葉に従い、全員がメニューを操作する。

 それが終わった後、カタストロフはマントを翻して外へと歩いて行った。

 俺達はそれぞれの変装スタイルへと装備を変更し、カタストロフの後を追う。

 今回の目的はカタストロフの護衛だ。

 今回ばかりは、目的を達する前にカタストロフに死なれでもしたらシャレにならないからな。

 今日は非戦闘員の武器子ですら完全武装している。

 

 

 そうして俺達は護衛対象であるカタストロフを中央に配置しながらスラム街の道のりを歩く。

 スラム街と一口に言っても、その面積は意外にも広い。

 俺達のギルドがある場所は、スラム街の入り口から少し裏道を通って奥に行った場所。

 今目指しているのは、スラム街の中心だ。

 

 幸いにして、今回はチンピラNPC以外に絡まれる事はなく、目的地に到達した。

 全体的に雑多で汚いスラム街の中で、唯一の大きくて立派な建物。

 ここは、犯罪者プレイヤーにとっての中央ギルドとでも言うべき場所。

 

 ───通称『組合』。

 

 犯罪者にアングラなクエストを紹介したり、闇ギルドの設立を斡旋する場所だ。

 基本的に、中央ギルドの下位互換のようなものだと思っておけばいい。

 

 そんな組合の扉を開いて中に入る。

 そこには、俺達と同じように顔を隠した連中が数人と、人相の悪い受付が数人いた。

 中央ギルドとは天と地の差だな。

 

「おい、あれって……」

「『死神』だよな……」

「しかも、『妖刀』に『剛力』、『深淵』までいるぞ……! なんだ、あのドリームパーティー……!」

 

 おそらく同業者と思われる連中がざわめき出す。

 俺達が同じギルドに所属しているという事を知らないという事は、正規版からの新参か。

 まあ、どうでもいい。

 組合の中は、ギルドホームを除けば、スラム街の中で唯一の非戦闘エリア。

 絡んで来る事はないだろう。

 

 連中を無視して、俺達は人相の悪い受付の所へと進んだ。

 

「これはこれは『深淵』の旦那。本日はどのようなご用件で?」

 

 人相の悪い受付が、媚びるような声で対応してきた。

 ……中々に気色悪いな。

 だが、カタストロフは慣れているのか、普通に対応した。

 

「決まっているだろう。ギルド設立の件だ。金が用意できたのでな」

「へい。かしこまりやした。では、設立に必要な金額を頂戴しやす」

「うむ」

 

 そうして、カタストロフはメニューを操作し、ギルド設立に必要な金額を支払う。

 さっき、ここに来る前に俺達が渡した分も含めての金だ。

 

「確かに頂戴いたしやした。では、ギルドホームの立地とオプションを選択してくだせぇ」

 

 受付がそう言うと、カタストロフの前に透明なディスプレイが現れた。

 カタストロフはそれを操作し、まずは立地の項目に俺達がいつも集まっているあの酒場の場所を。

 そして、オプションの項目で『作業場』と『ポータル』を選択した。

 

 これは、事前にメンバー全員で相談して決めていた事だ。

 このオプションというのは、いわゆる増築のようなもので、追加料金を払えば、ギルドホームの性能を向上させられる。

 今回選んだのは、ギルドの生命線の一つである武器子の専用作業場と、移動に便利なポータル。

 武器子は今まで、始まりの街の中にあるレンタルの作業場を使っていた。

 そこはあまり設備が整っていない上に、使用時間ごとに料金を取られるシステムだったらしい。

 武器子には、マックス以外の全員が世話になっている以上、そこに金をかける事に異論はない。

 

 ポータルは普通に利便性を求めての事だ。

 これがあれば、一々始まりの街まで歩かなくとも、ギルドホームから直通で他のポータルがある場所まで移動できる。

 ちなみに、ギルドホームに設置できるポータルは、通常のものと違って許可のある者にしか使えない仕様になっている為、他の連中がギルドホームに襲撃してくるという事はない。

 

 そして、設定が終わる。

 

「では、最後にギルドの名前を入力してくだせぇ」

 

 カタストロフは、透明なディスプレイに『サクリファイス』と入力した。

 

「ギルド『サクリファイス』の設立を組合の名の元に認可しやした。どうぞ、これからもご贔屓にお願いしますぜ旦那」

「うむ」

 

 そうして、ギルド設立クエストは終了したのだった。

 

 それを確認して、俺達は組合を後にした。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

「さて、諸君!! こうして正式に『サクリファイス』は再結成された訳だが、まだまだこのギルドには足りないものが多い! 『演習場』に『金庫』! 内装も弄りたいし、バーテンダーも雇いたいな! 金はいくらあっても足りん!! これからも金策に励んでくれたまえ!!」

 

 そんなカタストロフの演説を聞いている者など誰もいない。

 武器子は早速、酒場の地下室に設立された作業場に籠ったし、マックスとハンターとサクラは自分の狩りに行く為にポータルに乗って去って行った。

 この纏まりのなさ。

 実にウチらしい。

 

 俺は、正式にギルドホームとなり、非戦闘エリアとなった酒場のカウンターに座って、少し余韻に浸っていた。

 今回のギルド設立クエストを終えて、ようやくこの酒場は、正式に闇ギルド『サクリファイス』の本拠地となった訳だ。

 今までは、β版の頃にギルドホームだっただけの跡地に不法侵入しているようなものだったからな。

 これからは、堂々と居座る事ができる。

 

 この先の事を考えると心が踊る。

 剣聖率いる『王道騎士団』との戦い。

 新たに台頭してきた闇ギルド『ダークマター』も良いライバルになるかもしれない。

 イベントも何度も開催されるだろう。

 実に楽しみだ。

 このゲームは、【アドベンチャーズ・オンライン】は、これこらもっとおもしろくなる。

 

 さて。

 それはそれとして、今日は何をして遊ぼうか?

 

 宣言通り、剣聖を探して勝負を挑んでみるか。

 それとも、新しいライバルになりそうな奴でも探しに行くか。

 あるいは、組合で適当なクエストに手を出してみるのも良いかもしれない。

 

 そうして俺は余韻に浸るのをやめ、今日の楽しみを探してギルドを後にした。

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