プレイヤーキラー伝説! ~死神プレイの最強PK~ 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
「破壊王! 前回のイベント4位のプレイヤーか! 相手に取って不足なし!」
カタストロフが嬉しそうに叫んだ。
強敵との対決。
いかにもこいつが好きそうなシチュエーションだからな。
わからなくもない。
かく言う俺も燃えている。
前回のイベント4位。
予想外の大物が出てきた。
カタストロフの言う通り、相手に取って不足はない。
俺は大鎌を握り締め、誰よりも早く飛び出した。
狙うは当然、大将の首。
「おっと、いきなりですね」
そんな俺の前に糸目の男、サーベルが立ち塞がった。
お供に大盾使いを一人連れている。
邪魔だ。
「ガードンさん。よろしくお願いします」
「任された。《フルガード》!」
サーベルの斜め前に立った大盾使いが、アーツを使って守りを固めた。
俺は、あえてガードの上から大鎌を叩きつけた。
「ぬぅ!?」
それを防ぎきれず、大盾使いはたたらを踏んで数歩後退した。
だが、目立ったダメージはない。
やはり、こんな力任せでは駄目か。
いかに入賞特典とは言え、さすがに、ゴリ押しだけで勝てる程の性能は有していないようだ。
まあ、当たり前だが。
「《スティンガー》!」
俺が大盾使いを攻撃した瞬間を狙い、サーベルが突き技のアーツを使ってきた。
首筋を狙った一撃を、首を傾げる事で避け、そのままバックステップで距離を取る。
そして、牽制代わりにナイフを投擲。
サーベルを狙ったそれは避けられるも、投擲されたナイフに意識が向いた一瞬を狙って再接近。
だが、あえてサーベルは狙わない。
破壊王も狙わない。
サーベルと逆方向にいた魔法使い。
完全に傍観者となっていたプレイヤーを狙い、意識を隙を突いて一瞬で首をはねた。
「へ?」
首を飛ばされた魔法使いが呆然と呟き、光の粒子となって消える。
そして、脱落者が出た事で、戦況は一気に動き出した。
「恐れるなぁ! 突撃!」
「迎え撃て!」
破壊王とカタストロフ。
両陣営のギルドマスターが号令を発し、メンバー達がそれに応える。
破壊王が先陣を切り、ダークマターの連中がカタストロフ達へと突撃していく。
マックスが壁としてそれを防ぐが、さすがに人数が違う。
長くは持たないだろう。
カタストロフと、隠れたハンターが援護射撃をしても、結果は同じだ。
ここは、機動力と攻撃力のある俺が、敵の戦線をかき乱すのが最善なんだが……
「なるほど。お前らが俺を足止めする訳か」
「そういう事です」
サーベルとさっきの大盾使いが俺の進路を塞ぎ、カタストロフ達と分断する。
無視して違う方向から突破しようとしたが、二人ともそれなりに速度が速い。
俺程ではないが、無視して強行突破すれば、追い付かれて背中から斬られるだろう。
ならば、さっさと殺すしかないな。
俺は再度二人目掛けて突撃した。
「来ますよ」
「何度来ても止める。《フルガード》!」
構える大盾使いの前で、俺はサイドにステップを踏んだ。
正確には、サイドではなく斜め前。
そして、姿勢を低く、一瞬で大盾の影に入り、敵の視界から外れた。
「消えっ……!?」
「《デスワルツ》」
「ぐぉっ!?」
アーツによって大鎌を回転させ、高威力の一撃を相手の死角から振り抜いた。
構えた盾をすり抜けるように、横方向から伸びた曲刃が、大盾使いを真っ二つに斬り裂く。
やはり、こういう時に大鎌は便利だ。
「《ソニックブレイド》!」
だが、大盾使いが光の粒子となって消えた頃、そこには剣を振りかぶり、アーツの発射準備を完了させたサーベルの姿が。
あのアーツは、飛ぶ斬撃。
回避できるタイミングではない。
ならば、防ぐ。
デスサイズの束で飛ぶ斬撃を受け、その威力に逆らわずに、両脚の力を抜いて衝撃を受け流した。
後方へと吹き飛び、地面に叩きつけられるが、すぐに一回転して起き上がる。
ダメージはあるが、30秒もあれば《HP自動回復》で治りきるだろう。
だが、直撃すれば死んでいた。
「今のは決まったと思ったんですがね……さすが死神。パワー、スピード、反射神経、判断力、どれを取っても凄まじい」
「……お前も悪くはない策だった。まさか味方が殺られる事前提の攻撃とはな」
「おっと、皮肉ですか?」
「いや、純粋に褒めている」
今の攻撃、大盾使いが殺られて消滅しなければ、サーベルの攻撃は大盾使いに命中していた。
フレンドリーファイアはないだろうが、攻撃は不発に終わっていただろう。
……いや、あるいは大盾使いごと斬るつもりだったのか?
パーティーの上限人数は6人。
襲撃者の数は約10人。
大盾使いとあえてパーティーを組まず、俺の攻撃でHPが減ったところをもろとも斬るというのは、考えられなくもない。
だとすれば、ますます感心する。
剣聖あたりなら憤慨するやり方だろうがな。
まあ、感心したからといって、殺す事に変わりはない。
いや、むしろ、より警戒し、より確実に殺らせてもらう。
俺はナイフをサーベルに向けて投擲し、それを避けて少しでも体勢を崩してから斬りかかった。
縦横無尽に振るわれる死の刃が、サーベルを襲う。
「ッ……! 大鎌というのは初めて相手にしまたが、なるほど。独特の形状でやりづらいですね。あなたが愛用するのもわかります」
余裕そうな口振りだが、サーベルの全身は一秒ごとに削られている。
デスサイズの刃を防ぎきれず、避けきれず、身体にダメージが刻まれていく。
自慢になるが、俺と一対一で戦って勝てるプレイヤーは、ほぼいない。
だからこそ、『死神』は対人戦最強と呼ばれるんだ。
デスサイズの刃が、サーベルの片腕を斬り落とした。
「ああ、これは駄目ですね。もう少し粘れるかと思いましたが、それはあなたを舐めすぎていたようです。反省しましょう。
━━レオンさん! 作戦変更です!」
「ああ!? もうかよ! 情けねぇな!」
サーベルの言葉に、マックスと互角以上の戦いを繰り広げていた破壊王が反応する。
そして、片腕を失ったサーベルは、仲間の元へと下がった。
追撃しようとしたが、一斉に放たれた魔法が、俺の足を止める。
「野郎ども! お綺麗な決闘は終わりだ! 本気で殺るぞ!」
『了解!』
破壊王がダークマターの連中に号令を下す。
そして、奴らの動きが変わった。
俺達にとって、致命的にマズイ方向へと。