プレイヤーキラー伝説! ~死神プレイの最強PK~ 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
俺達は現在、第三の街へと繋がる道、つまりダークマターが占拠している場所へと、モンスターを倒しながら進んでいた。
サクリファイスの戦闘員5名。
そして、現在ログイン中の王道騎士団戦闘員、約100名が足並みを揃えて進行する様は壮観だろう。
もっとも、俺達の間には物理的にも精神的にも、結構な距離があるがな。
サクラが血走った目でリア充(この場合はネト充というのだったか?)の王道騎士団を睨み付けているのも原因の一つだが、王道騎士団の中にも、俺達を睨み付けてくる連中がいるのだ。
まあ、当然といえば当然の事。
俺達は所構わずPK行為を繰り返してきた。
王道騎士団の中にも被害者は多数いるだろう。
そいつらが、俺達に対して敵愾心を持つのは当然だ。
これが、俺達と奴らが連携を取れない最大の理由。
だからこそ、お互いに協力するのではなく、利用し合う。
どうせ、敵の敵は味方という理屈に基づいた一時的な同盟でしかないのだから、これでいいのだ。
そうして、ギスギスとした進軍を続ける内、遂にダークマターの布陣が見えてきた。
……やはり、多いな。
向こうも約100人という情報はガセではなかったようだ。
雑魚でも群れると手が出せない。
一撃食らったらアウトの俺は特にだ。
初日に数の暴力をねじ伏せたが、あれは、あくまで装備もスキルもステータスもろくに揃っていない最序盤で、
なおかつ、相手がその場に居合わせただけの烏合の集だったからこそできた事。
ある程度ゲームに慣れ、破壊王やサーベルみたいな強い奴に率いられた『ギルド』が相手では無理だ。
少なくとも、正面から全滅させるのは。
手段を選ばなければ、倒せなくもないんだがな。
だが、こうして見晴らしの良い場所に構えられるとキツイ。
「来たな! 正規ギルドども!」
俺がそんな事を考えていると、ダークマターの先頭に立った破壊王が、大声で話しかけてきた。
それに相対するように、剣聖が王道騎士団の先頭に立つ。
「はじめまして。僕はユリウス。ギルド『王道騎士団』のギルドマスターを務めている」
「知ってるぜ。剣聖だろ?
お前みたいな強い奴が出て来てくれて嬉しいぜぇ。
わざわざ、こんな所で待った甲斐があったってもんだ」
「……一応聞くけど、素直にここから立ち去る気はないんだね?」
剣聖が、本当に一応といった感じで問いかける。
まあ、その答えは決まっていると思うが。
「ある訳ねぇだろ! ここを通りたきゃ、力ずくで俺達を倒す事だな!」
ほらな。
「なら、仕方ないな。
━━皆! 攻撃開始だ!」
「野郎ども! 迎え撃て!」
『おお!』
そして、戦端が開かれる。
両軍の遠距離攻撃が飛び交い、それを壁役が防ぎながら、両軍共に突進して行った。
その後は、すぐに乱戦になる。
壁役の守りを食い破った奴らが暴れ、迎え撃つ奴らと激突。
ダークマターは、破壊王が先頭に立ち、防衛に残った剣聖と戦っている。
王道騎士団は、マインを中心とした攻撃部隊が突入し、サーベル率いる防衛組とぶつかる。
怒号が飛び交い、魔法やスキルのエフェクトが派手に輝くき、
この場は、まさに戦場となった。
「我らも行くぞ! 《エンチャント・アタック》! 《エンチャント・スピード》!」
そして、カタストロフの支援魔法を受け、俺達サクリファイスも参戦する。
狙うはもちろん、大将の首。
破壊王目掛けて突撃を敢行。
「な!? 死神だと!?」
「なんで、王道騎士団と一緒に!?」
「関係ないぜ! 所詮は負け犬だ!」
「その首、貰ったぁ!」
正面から、ダークマターのメンバーの一部が攻撃を仕掛けてきた。
数は5人。
ちょうど俺達と同数。
剣を持った奴が1人、槍を持った奴が一人、拳で戦ってる奴が1人。
それと、後衛に弓使いと魔法使いが1人ずつ。
偶然にも、構成まで俺達に似ていた。
「死ねぇ、死神! 《スパイラルランス》!」
槍使いが俺に向けてスキルを放つ。
対人戦において、無闇やたらとスキルに頼るとは。
素人め。
「邪魔だ」
「へ?」
体を横に倒してスキルを避け、そのまま大鎌を一振り。
槍使いの上半身と下半身が分離し、光の粒子となって消えていく。
「目障りね」
「マッスルパンチ!」
見れば、サクラとマックスも、ほぼ一撃で剣士と格闘家を仕留めていた。
紅桜が剣士の首をはね飛ばし、マックスの拳が格闘家を後衛の所まで吹き飛ばす。
「《速射》」
そして、後衛が飛んできた格闘家に目を奪われた隙に、高速で放たれたハンターの矢が、連中の喉を正確に貫き、絶命させた。
ギリギリ存命していた格闘家も、結局はマックスの巨体に踏み潰されて死んだ。
《レベルアップ! LV21からLV22になりました!》
《ステータスポイントを入手しました》
《スキルポイントを入手しました》
「フハハハハハ! 雑魚など我らの敵ではないわ!」
カタストロフが、いつもの調子を取り戻したように高笑いを上がる。
だが、お前は何もやっていないだろうに。
せいぜい、支援魔法をかけた程度だ。
……まあ、調子が出てきたのなら何よりだが。
他のメンバーもそう思っているのか、珍しく余計な口は挟まなかった。
そうして、俺達は進む。
リベンジを果たす為に、敵の大将を目指して、ただひたすらに直進した。