謎の世界で生き残るために傭兵団作った 作:全力執奏
フェン王国 港
「綾波ちゃん!」
「ジャベリン、ラフィー、ニーミ、愛宕(艦これ)さん、マヤさん、お久しぶり、です」
「綾波、ひさしぶり……Zzz」
「寝ないで下さい! 久しぶりですね」
「ふふ、久しぶりね、綾波ちゃん。元気だった?」
「はい」
「綾波、カーニバルなんだって? 楽しみ!」
はしゃぐマヤを眺めながら、高雄は少し困った顔で呟く。
「いや、マヤ殿が考えているような祭りではないのだが」
「ねぇ、400、何て伝えたの?」
「はい、瑞鶴さん、そのまま、教えましたが。どうやら、伝達ミスがあったようです」
「「「「「またですか」」」」」
DOLLSの零戦の声がユニゾンする。
「しかし、愛宕殿も含めて4隻か。やはり我々も船を出すべきでは?」
「いえ、協力関係を築いてない国には、非常時以外は艦船形態と武装形態は見せないようにって、指揮官に言われてますし」
「はい、瑞鶴さんの言う通りです。明日行われる軍祭のことは、パーパルディア皇国にも情報が入ります。暁の傭兵団の戦力が多いと、パーパルディア皇国がビビってフェン王国を襲わない可能性があります」
伊400の言葉に高雄が考える。
「ビビる、のか? 話を聞く限り、パーパルディア皇国はプライドが高そうだが」
「可能性の問題です。傭兵団ですから、雇われたのに戦争にならないのは、困るのです。傭兵団ですから、国に宣戦布告する訳にもいきません。まあ、名指しで襲われたら、アドミラルは殺っちゃうでしょうが」
無表情の伊400に同意するように、瑞鶴が言う。
「魔帝のことがありますから、派手に暴れているパーパルディア皇国は邪魔になる可能性が高いので、今のうちに黙らせたいと思っているようですよ、高雄」
「ふむ、おや」
高雄が考え込もうとしたとき、フェン王国の高官と護衛達が慌てたやって来た。
用事はもちろん、恐らく沖居合いに浮かぶ4隻の艦船だろう。
船員として、完全装備のホムンクルス達が各艦に乗っている上に、海中にはマヤの船体が待機しているし。中を見せろと言われても断れと言われているから、揉めても問題はない。
そもそも、力を見せろと言ったのはフェン王国だ。こちらは傭兵。機嫌を損ねて帰られても困るだろうから、求められるのは説明だけだろう。
「だが、明日、何事も無く終われば良いが……」
何故か、面倒な事が起こりそうな予感がする高雄だった。
▼△▼△▼△
剣王シハン
「あれが暁の傭兵団の戦船か……まるで城だな」
正直な感想を洩らす。
「どんな戦船が来るかと思ったが、これほどの大きさの金属で出来た船が海に浮かんでいるとは……」
騎士長マグレブが同意する。
「私も数回、パーパルディア皇国に行った事がありますが、これほどの大きさの船は見た事がありません」
彼らの視線の先には、暁の傭兵団の4隻の船が並んでいた。
「剣王、そろそろ我が国の廃船に対する暁の傭兵団の艦からの攻撃が始まります」
重巡洋艦の愛宕、駆逐艦のラフィー、ジャベリン、ニーミが並び、沖合いにフェン王国の廃船が4隻、標的船として浮かんでいた。
距離は愛宕達から2km離れている。剣王シハンは望遠鏡を覗き込む。
愛宕から、順番に主砲を発砲した。暁の傭兵団の船の大砲から火と煙が吹き出る、僅かな時間の後、音が聞こえる。
「おや、珍しい。ラフィーが初弾命中させましたね」
「ラフィーは、やる気を出せば、凄く強いのです」
伊400の言葉に、綾波が答える。
剣王は二人の話している姿を見て、昨日の夕食時に顔を合わせた少女達を思い出す。
彼女達が艦長だと聞いて驚き、冗談だろう。と告げると。
彼女達は、自分達の乗る艦船の具体的な運用方法を説明した。
王は専門知識がないので、知識がある者を呼び。確認させると、家臣はいくつか質問をし、答えをもらうと少し悔しそうに「剣王よ。この者達は間違いないかと」と告げた。
「そんなに強いのか?」
「はい、駆逐艦では、五指にはいりますです」
剣王の言葉に綾波はそう答えた。
直後、最後の標的船が猛烈な爆発を起こし、水飛沫をあげて、船の残骸が空を舞った。
標的船4隻は、轟沈した。
「…………なんとも凄まじい」
剣王シハン以下フェン王国の中枢は、自分たちの攻撃概念とかけ離れた威力を目の当たりにし、唖然としていた。
たった一発の攻撃で、あっさりと沈める。
更に、パーパルディアの戦列艦の攻撃ではダメージを受けないとまで言っている。
「すぐにでも、暁の傭兵団を雇いたいと思う」
剣王は満面の笑みで宣言した。
愛宕達のレーダーは、西側から近づく飛行物体に気がついていた。
時速にして約350kmで、20機ほどが近づいてくる。
「愛宕さん、何か近づいてくます」
「えぇ、此方も確認しているわ。みんな、フェン王国からは事前に何も聞いていないから、警戒を」
ジャベリンの通信に、愛宕は全艦に通達する。
「高雄さん? 聞こえる」
「ああ、聞こえている。何か来るな」
「王国に確認を」
「分かった」
愛宕の通信に、高雄は猛烈に嫌な予感がした。
「剣王、こちらに飛行物体が20機ほど近づいてきますが、フェン王国のパフォーマンスか何かでしょうか?」
「なんだと!?」
▼△▼△▼△
パーパルディア皇国の皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーンロード部隊20騎は、フェン王国に懲罰的攻撃を加えるために、首都アマノキ上空に来ていた。
軍祭には文明圏外の各国武官がいる。その目前で、皇国に逆らった愚か者の国の末路はどうなるか知らしめるため、祭りに合わせて攻撃の日が決定されていた。
この攻撃で、各国は皇国の力と恐ろしさを再認識することだろう。そして逆らう者の末路、逆らった国に関わっただけでも被害が出ることを知らしめる。
ガハラ神国の風竜3騎も首都上空を飛行している。
風竜が皇国ワイバーンロードを見ると、ワイバーンロードは、不良に睨まれた気の弱い男のように、風竜から目を逸らす。
「ガハラの民には、構うな。フェン王城と、――なっ、何だ、あのデカイ船は!?」
「た、隊長、ど、どうしますか?!」
「うーむ、列強が軍祭に参加している情報はない。ムーなどの列強の船ではないな! 攻撃しろ!!」
ワイバーンロードは上空で散開した。
西側から飛行してきた、ワイバーンは、隊を2つに分けフェン王国王城に向け、急降下を始めた。
「なんだ!? デモンストレーションか!?」
誰もが疑問に思った時、急降下していた竜が口を開け、口内に火球が形成され始める。
「!!!!!!!!!!!」
次の瞬間、10騎のワイバーンから放たれた火球は、王城の最上階に着弾し、木製の王城は炎上を始める。
▼△▼△▼△
「敵襲!?」
瑞鶴が声を上げると、
「愛宕さん達の方にも、向かっているのです!」
「ちぃっ、零!!」
「ひぃ、緊急事態なのは分かりますが、せめて道で発進を」
「市民がパニックを起こしている。使えないから諦めろ!」
高雄は一番近くにいたDOLLSの零戦の首根っこをむんず!と掴むと、零戦は悲鳴を上げる。
戦闘機のDOLLSは滑走路無しでも、飛ぼうと思えば飛べるが、飛行が安定するまで時間が掛かる。
そこで色々考え、偶然見つかった方法が、怪力でDOLLSを斜め上に投げ飛ばす方法だ。
実は仕事で缶詰になり、魔帝と言う未知の存在に不安が募り、ストレスで深酒した古城が勢い余って、止めに入った零戦を力加減を間違えて投げ飛ばして、安定して飛べたことで、生まれた緊急時の発進方法だ。
体格や力がないと出来ない方法で、練習もしないと出来ないし失敗したら、えらいことになるので、滅多に使うことがないと言われていた方法だ。
「いっけええええええええぇぇぇっっっ!!!」
「ひぃやあぁぁぁぁぁっっっ!!!」
突然、ワイバーンが現れて、城を攻撃したと思ったら、次は女の子が空に投げ飛ばされ、投げ飛ばされた女の子が一瞬白く光り、次の瞬間には金属の翼で、空を飛びもの凄い勢いでワイバーンへ突撃した。
突然の出来事に、暁の傭兵団以外はついていけなかった。
「ワイバーンの攻撃力は分かっている! 愛宕達は心配するな! まずは城を襲ったワイバーンを! 瑞鶴、手伝ってくれ!」
「え、またですか?! 空は私一人十分――ひぃぃぃぃやあぁぁぁぁっっ!!!!!」
また、投げ飛ばされた零戦を見ながら、瑞鶴は申し訳ない気持ちになりながらも、腰が引けている一人子零戦の肩に手を置いた。
「ごめんね」
「あ、うん、はい」
こうして、緊急発進した五人のDOLLSは、全力で城を焼いたワイバーンを血祭りに上げた。
彼女達は、憎きワイバーンを真っ二つにし、機銃でミンチにして溜飲を下げたのだった。
彼女達の気迫に目撃した、フェン王国の住人は余計なことをしたワイバーンへの苛烈な攻撃に畏怖をした。
▼△▼△▼△
事前情報の無い未確認機が多数接近中、愛宕達は何時でも動けるようにしながら、上空の監視を怠ってはいなかった。
「ワイバーン、愛宕へ発砲! 愛宕さん!?」
「愛宕さん!!」
「っ!!」
ニーミとジャベリンが聴こえる。
ドーンと爆音が鳴り響く。
「あちゃー、船体後部に被弾!火災発生したけど、大丈夫よ!!」
「こちら、ニーミ! 攻撃の許可を!」
「分かっているわ。全艦、所属不明騎を敵と認定、迎撃開始!!」
▼△▼△▼△
「何!!あのタイミングで、ほとんどかわされただとぉ!!?」
急降下から、水平飛行に移行したワイバーンロード10騎は、必中タイミングで撃ったにもかかわらず、そのほとんどをかわされた事に唖然としていた。
「くっ、なかなか火が消えません!」
乗員として、愛宕に乗り込んでいたホムンクルス達が必死に消火活動を行うが、導力火炎弾が命中したことによる火災は、炎が粘性を持っているらしく、消火活動に手間取る。
「当たれぇっ!!」
「ラフィー、やる気十分っ」
「当たって!!」
愛宕、ニーミ、ラフィー、ジャベリンは一斉に、対空迎撃を開始。
4隻の対空迎撃の弾幕は飛行物体、ワイバーンの改良種、ワイバーンロードを捉え、あっと言う間に紅く染める、ワイバーンロードは、上空でのたうちまわり、竜騎士は振り落とされ、海中へ落下した。
「墜ちちゃいなさ~い!」
「墜ちろ!」
「撃つ」
「いっけぇっ!!」
愛宕達は、ワイバーンロードの動きを先読みし、的確にワイバーンロードを全て、叩き墜とした。
「まったく、酷い目にあったわ。提督に慰めてもらわないと」
「え、エロはいけませんよ! 愛宕さん!!」
「えぇ~、ジャベリンちゃんも」
「ああ~!! 言わないで下さい!!」
「二人とも! 真面目にやってください!」
「ラフィー、頑張った。ねむ……ぃ」
「ラフィーは、寝ないで下さい!!」
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剣王シハン及びその側近たちは、開いた口が塞がらなかった。
飛行物体。ワイバーンロードは、間違いなくパーパルディア皇国のものだろう。
フェン王国が、ワイバーンロードを追い払おうと思ったら、至難の技だ。
1騎に対して一個武士団でも不足している。そもそも、奴らは鱗が硬く、弓を通さない。
バリスタを不意打ちで直撃させるか、我が国に伝わる伝説の剛弓を使うしか無いが、剛弓は硬すぎて、国に3名しか使える者はいない。
戦闘態勢にあるワイバーンロードを仕留めるのは、事実上不可能に近い。
文明圏外の国で、1騎でもワイバーンロードを落とすことが出来れば、国として世界に誇れる。
我が国は、ワイバーンロードを叩き落すことが出来るほど精強であると……。
それを、暁の傭兵団は、いともあっさりと空を飛ぶハエを叩き潰すかのように、自分は殆んど怪我を負わず、列強の精鋭、ワイバーンロード竜騎士隊を20騎も叩き落してしまった。
しかも半数は、五人の空を飛べる金属の翼を装備する少女零姉妹達による魔法と剣による一刀両断。
暁の傭兵団は、文明圏外の武官が集まっている軍祭で、各国武官の目の前で、各国が恐れる。列強パーパルディア皇国の精鋭ワイバーンロード部隊を赤子の手をひねるように、叩き落とした。
歴史が動く、世界が変わる予感がする。
ワイバーンロードは、おそらく自分たち、フェン王国への懲罰的攻撃に来ていたのだろう。
暁の傭兵団が、この国に来たのは、天運ではなかろうか……。
剣王シハンは、笑いながら燃え盛る自分の城を眺めていた。
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『すごいものだな・・・あの船は・・・』
風竜は感嘆の声をあげる。
『ああ、見た目以上の技術の塊だな』
「そ……そうなのか?そんなにすごいのか!?」
『ああ、特に海の中に潜んでいる2隻はとんでもないな!!』
「え!? 海の中?! どこ!?」
『人間には見えないさ。私でも辛うじて分かったくらいだ。水上の4隻も凄いが、海の中にいる2隻は私でも、理解出来ない』
「おいおい、帰ったら報告書が大変だな」
上空では、ガハラ神国の風竜騎士団長スサノウと風竜の間で、そんな会話が行われていた。
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パーパルディア皇国、皇国監査軍東洋艦隊竜騎士レクマイア
フェン王国懲罰の命、簡単な仕事だと思っていた。栄えある列強パーパルディア皇国のワイバーンロード部隊にかかれば、フェンのような蛮族の国など、自分1騎で、1個騎士団を相手にしても余裕で倒せる。
軍祭などという、各国武官や船まで招いての祭りが行われているのであれば、蛮族どもにパーパルディアの力を再認識させる機会だ。
フェン国などという、パーパルディアに反目する国の祭りに参加していると、痛い目を見るということを解らせるために、目立つ大きな船を狙った。
しかし、その船は必中距離で放った導力火炎弾のほとんどを、信じられない加速でかわし、猛烈な光弾を放ってきた。
その光は弓をも跳ね返すワイバーンロードの硬い鱗を引き裂き、相棒に大きな傷を負わせた。
自分は海へ落下し、海上から上空を見上げたところ、仲間たちはさらなる悲劇にみまわれていた。
仲間たちは、他の巨大船から放たれた光弾に、ズタズタにされてしまった。
彼と運良く生き残った竜騎士は、この後愛宕達に救助され、暁の大陸に送られ。
サキュバス(このすば勢)達による、睡眠ガスも使用した永遠とも言える、快楽尋問によって、彼等が知っているパーパルディア皇国の情報を洗いざらい吐き出した。
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「竜騎士隊との通信が途絶しました」
!!!!!!!!!
通信師の言葉に、艦隊に衝撃が走る。
「いったい何があった・・・。」
提督ポクトアールは嘆きたくなった。いやな予感がする。しかし、これは第3外務局長カイオスの命である。
国家の威信をかけた命である。
実行しない訳にはいかなかった。
皇国監査軍東洋艦隊22隻は、フェン王国へ懲罰を加え、今回ワイバーンロードを倒した皇国にたてつく者を、各国武官の前で滅するために、風神の涙を使用し、帆をいっぱいに張り、東へ向かった。