謎の世界で生き残るために傭兵団作った   作:全力執奏

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マイラスさん

第2文明圏 列強国 ム―

 

 

 

 

 

晴天、雲は遠くに少し浮かんでいるのが見えるのみであり、視界は極めて良好である。

 

 

 

気候はあたたかくなってきており、鳥たちはのんびりと歌い、蝶の舞う季節。

 

 

 

技術士官マイラスは軍を通じて伝えられた外務省からの急な呼び出しに困惑していた。

 

 

 

外務省からの呼び出しは、空軍のアイナンク空港だった。

 

 

 

列強ムーには、民間空港が存在する。まだ富裕層でしか飛行機の使用は無く、晴天の昼間しか飛ぶ事は出来ないが、民間航空会社が成り立っている。

 

 

 

民間の航空輸送は私の知りうる限り、神聖ミリシアル帝国とムーでのみ成り立つ列強上位国の証である。

 

 

 

機械超文明ムーの発明した車と呼ばれる内燃機関に乗り、技術士官マイラスは空軍基地アイナンク空港に到着した。

 

 

 

しかし、わざわざ急遽空軍基地に呼び出すとは、いったい何だろうか?

 

 

 

控え室で待つこと20分、

 

 

 

軍服を着た者と、外交用礼服を着た者2名が部屋に入ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「彼が技術士官のマイラス君です」

 

 

 

 

 

 

 

軍服を着た者が外交用の礼服を着た者に紹介する。

 

 

 

 

 

 

 

「我が軍1の、技術士官であり、この若さにして第1種総合技将の資格を持っています」

 

 

 

 

 

 

 

「技術士官のマイラスです」

 

 

 

 

 

 

 

マイラスはニッコリと笑い、外交官に答える。

 

 

 

 

 

 

 

「かけたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

一同は椅子に腰掛け、話が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

「何と説明したら良いのか……」

 

 

 

深刻な表情をしながら、外交官がゆっくりと口を開く

 

 

 

 

 

「今回君を呼び出したのは、正体不明の武装集団の技術レベルを探ってほしいのだよ」

 

 

 

 

 

マイラスは一瞬、第八帝国の事かと思い、武装集団? と思い直して首をかしげる。まさか、と考える。

 

 

 

 

 

「暁の傭兵団、ですか?」

 

 

 

マイラスの言葉に、外交官は頷いた。

 

 

 

 

 

「本日ムーの東側海上に船が2隻現れた。海軍が臨検すると、暁の傭兵団の特使を名乗る者が乗っており、アルタラス王国とフェン王国はパーパルディア皇国との戦争をする。だから、我が国の国民がパーパルディアに住んでいるのなら、住んでいる場所を教えてほしい、可能や限り配慮する、と言ってきた。それと、パーパルディア皇国から、ムー国人を避難させるように、とね。

 

 

 

普通なら、何を言っているんだ。と一蹴するのだが。

 

 

 

彼等が乗ってきた船が問題だった」

 

 

 

「まさか……」

 

 

 

「彼女達の船は2隻とも魔力感知器にも反応が無いので、魔導船でもない。機械による動力船であると思われる」

 

 

 

「やはり、そうですか……」

 

 

 

 

 

一つ目の鉄の巨人を思いだすマイラス。

 

 

 

 

 

「更に問題なのは、彼等の船は……ラ・カサミ級を越える大きさだ」

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な!?」

 

 

 

 

 

「本当だ。これがその写真だ。急いで現像させた」

 

 

 

外交官が提示した、数枚の写真。

 

そこに写っている船は隣に写っている自国の船と比較して、計算するとラ・カサミを越える大きさ。主砲もラ・カサミ級を越えた戦艦だった。

 

 

 

もう1隻は空母だった。一緒に写っている我が国の船と比較すると、いかに巨大かが分かる。

 

 

 

 

 

「私は軍事技術に疎い、だが傭兵団にムーが外交的に負けるわけにはいかない。故に会談場所をアイナンク空港に指定した。相手には空母がある、分かってはいたが飛行許可を願い出て来たよ。

 

 

 

正直、嫌な予感がしていたよ。船は負けている。素人目でも分かる。だが、飛行機械なら負けぬ。飛行許可を出してみたら、飛行機械を使用して飛んで来たのだよ。

 

 

 

 

 

彩雲という名前の使者を乗せた単葉機と護衛のDOLLSという種族の少女達身に付けていた人間サイズの飛行機械は、我が国のマリンを越える速度で飛んだのだ」

 

 

 

 

 

「DOLLSですって!?」

 

「知っているのかね?」

 

「あ、はい。その報告書は出したはずですが……?」

 

 

 

マイラスの言葉に、外交官は眉を潜める。

 

 

 

「……後で確認しよう。

 

 

 

それで、先導した空軍機によれば、最初は向こうに合わせるつもりだったらしい。だが、向こうが速度を上げ始め。あっという間に加速し、マリンを越える速度になったそうだ。

 

 

 

部下が試しに彼女達と空戦したら、勝てそうか聞いてみたが、彩雲は追い付けず。DOLLSと呼ばれる少女達は文字通り、空中で剣を使う格闘戦が出来るようで、勝つのは難しいと。空軍パイロットは答えておったよ。更に着陸後に新たな事実も分かった」

 

 

 

「な、何でしょうか」

 

 

 

「DOLLS達の飛行機械も魔力感知器に反応しなかった」

 

「え……?」

 

「プロペラが、DOLLSの飛行機械には付いていない。なので、魔力感知器を使ったのだが、反応しなかったのだ。つまり、暁の傭兵団は、科学的な飛行機械においても我が国の技術を上回っている。という可能性がある」

 

 

 

外交官はそっと、彩雲とDOLLSの三人の零戦、ワイルドキャット、ハリケーンの写真を見せた。

 

 

 

ロデニウス沖海戦の写真では小さくて、分かり難かったが、この写真ならハッキリと分かる。

 

 

 

DOLLSの少女達の飛行機械には、プロペラがない。なのに、魔力感知器は反応しない。

 

 

 

何だ、これは!?

 

 

 

 

 

マイラスは写真を見ながら、絶句した。

 

 

 

ちなみに、何故か彩雲のパイロットのホムンクルスと、DOLLSの少女達は笑顔でピースサインをしている。

 

 

 

「……撮影許可をもらえたのですか?」

 

「ああ、何でもロデニウス大陸には、暁の傭兵団の艦隊司令官や艦長のブロマイドもあるらしい、撮影されても問題ないとのことだ」

 

 

 

外交官の言葉に、ブロマイドを販売? なんじゃそりゃ。と思ったが聞き捨てならない単語があった。

 

 

 

「艦隊司令官?」

 

「私も思わず聞き返してしまったよ。2隻の写真を見る前なら、どれだけの艦隊かと、上から目線で聞いただろう。まあ、流石に詳しくは教えてもらえなかったが、……暁の傭兵団はあのサイズの戦艦を複数持っている可能性がある」

 

 

 

目眩がしてきたマイラスだったが、ふと思い付く。

 

 

 

「あの、DOLLSという種族の飛行機械は、撮影は問題ないのですよね?」

 

「ああ、そうだ。だが、身に付けているのは少女達だ。記念になら一枚二枚問題はないが、変な場所を撮らないようにと、代表が言っていたが……」

 

 

 

 

 

外交官は、ニヤリと笑う。

 

 

 

 

 

「だが、見ることは許可をされた。暁の傭兵団の人間サイズの飛行機械、是非とも見せてもらおうではないか、マイラス君」

 

「は、はい、もちろんです!」

 

「暁の傭兵団の技術力は、ハッキリ言えばパーパルディア皇国を越えている可能性が高い。そして、この国を訪れた目的を考えれば早急に会談したいが、そうもいかない。幸い、一週間はパーパルディア皇国には攻撃しないと言ってきた。

 

 

 

そんなことを他国に教えても良いのかと思ったが、彼女達の態度を見ている限り、問題ないのだろう。

 

 

 

マイラス君は、彼女達を待たせてしまっている間に、この観光案内し、暁の傭兵団の技術レベルを探ってほしい」

 

 

 

「解りました。……ところで、1つ気になったのですが」

 

「なんだね?」

 

「彼女達は、MSに乗って来なかったのですか?」

 

 

 

マイラスの言葉に、外交官は眉を潜める。その表情はまだ何かあるのか、という顔だった。

 

 

 

「……なんだね、その……もびるすーつ、とやらは」

 

 

 

声のトーンが低くなった外交官に、マイラスは迷ったが、MSについて教えることにした。

 

 

 

「報告書は上げたのですが、高さ17メートル近い大きさの水中を動き回れる鉄の人型兵器です。強力な魔導砲を両手に装備しています」

 

 

 

「……………………」

 

 

 

外交官が、能面のように表情が抜け落ちた。

 

 

 

「マイラス君、それは何か証拠があるのかね?」

 

「しゃ、写真があります。そ、それをお持ちしましょうか……?」

 

「是非頼む、出来れば複数枚、新しく現像をしてほしい。それと欺瞞情報ではないのだね?」

 

 

 

「は、はい、写りは悪いですが、小さくDOLLSも一緒に写っていますから、MSは存在している可能性があります。写真はロウリア王国とクワ・トイネ公国が戦争した時の、ロデニウス沖海戦で撮られた物です」

 

 

 

「分かった。それと今度からは、君が重要な報告書を出す時は手間をかけさせるが、私にも是非教えてほしい。……外交官はね。無知では駄目なのだよ。外交官の一言で国益を損ねる」

 

 

 

そして、足を引っ張る馬鹿は要らん。と外交官は出て行こうとして、

 

 

 

「ああ、暁の傭兵団が使用した飛行機械は、今空港東側に駐機してあるから、まずは見ておいてくれたまえ」

 

「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、DOLLSの飛行機械の実物を見られるとは」

 

 

 

 

 

技術士官のマイラスは、久々に技術者魂の震えを感じた。未知の飛行機械、どのような原理だろうか?

 

 

 

 

 

5分後――

 

 

 

「初めまして、零です」

 

「ワイルドキャットです」

 

「ハリケーンです」

 

「「「ホムです」」」

 

「マイラスと、申します。……その皆さんは姉妹でしょうか?」

 

 

 

DOLLSは4人ずつ、彩雲は3機で来たので、ホムンクルス3人なのだが、並ぶと姉妹にしか見えない。

 

 

 

「いいえ、違いますよ」

 

「そ、そうですか」

 

 

 

マイラスは、戸惑いながらも、プロペラ機の白い機体を見て、DOLLSとホム達に見学の許可を求める。

 

 

 

「あの、彩雲でしたか? 見せてもらっても?」

 

「触れるのは駄目ですが、見るなら大丈夫です」

 

 

 

それから、マイラスはざっとだが、彩雲を見て。

 

 

 

単座ではなく3人ほど乗れる。それに爆弾を積めそうにない。武装も貧弱だが、機体細身ということは、彩雲は偵察機か?

 

 

 

「やはり気になりますか?」

 

「え、あ、すみません」

 

 

 

声をかけたのは、ワイルドキャットだった。

 

 

 

「あ、気にしないで下さい。見られても本当に問題ないのですから」

 

 

 

マイラスは、見られても解析出来ない。と捉えたが。ワイルドキャットの表情を見て、挑発などでは無いと察した。

 

 

 

「あの、ところで、皆さんが付けていた飛行機械は?」

 

「ん? ああ、武装形態のことか」

 

 

 

DOLLSと紹介された少女達は、全員飛行機械を身に付けていなかった。

 

 

 

どこに置いたのかと思い、マイラスは周りを見渡すが飛行機械はどこにも無い。

 

 

 

「ここにありますよっと、武装形態」

 

「うわっ!」

 

 

 

突然、ワイルドキャットが光ったと思ったら、一瞬で飛行機械を身に付けていた。

 

 

 

「そ、それはっ!?」

 

「DOLLS特有の種族特性です。科学的でも魔法でもなく、種族の……魂によって使える技(偽装の説明)です」

 

「えっ!?」

 

 

 

魂!? 何だそれは、とマイラスは唖然とする。

 

 

 

「だから、いくら調べても問題はないですよ? 魂に触れる技術がなければ、私達のコレは真似出来ませんから」

 

「そ、そうなのですか?」

 

「ええ、ですので、参考にするなら、彩雲の方が良いかと。ただ、そろそろ」

 

「ああ、確かに」

 

 

 

ワイルドキャットの指摘に、マイラスは彩雲をチラリと見て後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にした。

 

 

 

移動中、マイラスは彩雲の方は問題ない。だが、DOLLSの方は何て報告すれば良いのか頭を抱えることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マイラスは暁の傭兵団の使者が滞在する部屋の扉をノックした。

 

 

 

――コンコン

 

 

 

 

 

「どうぞ」

 

 

 

 

 

幼いが威厳のある声がドアの向こうから聞こえ、マイラスは嫌な予感がしながらも、扉をゆっくりと開ける。

 

 

 

部屋の中には威厳と気品のあるケモノミミの黒髪の美少女がソファーに座り。

 

 

 

その少女の背後には、白い異国の衣類を纏うクールな雰囲気の白髪の美少女と、ケモノミミの黒髪で白い軍服に似た服を着ている美女が立っていた。

 

 

 

どうやら、ソファに座っていない2人は、ソファに座る少女の護衛らしい。

 

 

 

「こんにちは、マイラスと申します。私が一週間ムーの事をご紹介させていただきます」

 

 

 

 

 

 

 

ソファに座っていた、黒髪の美少女は立ち上がり挨拶をする。

 

 

 

マイラスは思う。何だろう、迫力のある少女だと感じた。

 

 

 

それと、少女の護衛の2人の眼力が凄い。

 

目の前の少女も後ろの2人も雰囲気がただ者ではない気がする。

 

と言うか、この子物凄く自然体だ。まったく緊張していない?

 

お飾りではないらしい。

 

 

 

 

 

「暁の傭兵団 重桜連合艦隊、司令官の長門。今回ムー国をご紹介いただけるとのことで、感謝いたします。

 

 

 

後ろにいる2人、右側にいるのが江風。左側が愛宕」

 

 

 

マイラスは思った。今この子とんでもないことを言わなかったか?

 

 

 

「江風です」

 

「愛宕です」

 

 

 

と、兎も角、後にしよう。暁の傭兵団の使者は、すでに出発準備を整えていた。

 

 

 

 

 

「では、具体的にご案内するのは、明日からとします。長旅でお疲れでしょうから、今日はこの空港のご案内の後に、都内のホテルにお連れします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マイラスは、空港出口へ行く前に、空港格納庫内に使者を連れて行く。

 

 

 

格納庫に入ると、白く塗られた機体に青のストライプが入り、前部にプロペラが付き、その横に機銃が2機配置され、車輪は固定式であるが、空気抵抗を減らすためにカバーが付いている複葉機が1機、駐機してあった。

 

 

 

ピカピカに磨かれており、整備が行き届いた機体だと推測される。

 

 

 

マイラスは彩雲を見ている。

 

 

 

高い技術を持っている暁の傭兵団が、マリンを見てどのような感想を持つのか聞いてみたくなった。

 

 

 

 

 

「この鉄龍は、我が国では航空機と呼んでいる飛行機械です。

 

 

 

これは我が国の戦闘機「マリン」です。最大速度は、ワイバーンロードよりも速い380km/h、前部に機銃を装備、1人で操縦出来ます。メリットとしては、ワイバーンロードみたいに、ストレスで飛べなくなる事も無く、大量の糞の処理や未稼働時に食料をとらせ続ける必要も事もありません。空戦能力もワイバーンロードよりも上です。」

 

 

 

少し、不安げに説明すると。

 

 

 

 

「ほぉ」

 

 

 

長門が面白そうにマリンを眺める。

 

 

 

「九五式艦上戦闘機よりも速いな」

 

「九五式艦上戦闘機?」

 

「うむ、重桜で使われていた最後の二葉機の艦上戦闘機だ。最高速度は352km/hだったか」

 

「はい、それくらいだったかと」

 

 

 

長門の言葉に江風が肯定する。

 

 

 

2人のやり取りを見ながら、マイラスは長門との「最後の」と言う言葉を聞いて、やはり二葉機の発展性は限界なのだろう。

 

単葉機を作らなければ、と考えた。

 

 

 

「……暁の傭兵団の航空機はどのくらいで飛べるのですか?」

 

 

 

それ故に、マイラスのこの質問は暁の傭兵団を目標にしながらも、追い抜いてやる。というマイラスの技術官のプライドが混じった質問だった。

 

 

 

「航空機か……ふむ、バルキリーも含めるか?」

 

 

 

長門の頭の中に暁の傭兵団が保有するこの世界ではトンでも兵器が思い浮かび、何気なく呟いた言葉に護衛のモードの愛宕が反応した。

 

 

 

「長門様!」

 

 

 

その鋭い声と圧にマイラスは背中から汗が吹き出る。

 

 

 

「む、すまぬ、愛宕。マイラス殿、今のは聞かなかったことにしてくれ」

 

「い、いえ」

 

「まあ、驚かせた詫びとして、教えておこう。我が重桜艦隊の空母が運用する戦闘機は最高速度は500km/hを越えるぞ」

 

「!!!!!」

 

 

 

驚きくマイラスを、長門は子を見守る母のように見つめ、

 

 

 

「そろそろ、ホテルへ案内してくれぬか?」

 

「あ、も、申し訳ありません。ご案内します」

 

 

 

そう告げて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ムー国が異世界から飛ばされてきた。という話を聞いて、長門達も驚いたが、簡単な資料を貰うだけにとどまった。

 

 

 

後日、長門から話を聞いた古城は「……もしかして、ムー国が主人公勢力?」と頭を悩ませることになった。

 

 

 

 

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