謎の世界で生き残るために傭兵団作った 作:全力執奏
パーパルディア皇国 皇都エストシラント
第1外務局は混乱の極みにあった。
原因は皇国よりも西の中央世界、そしてそれより更に西の第2文明圏に2つ存在する列強国、その一つ、レイフォルが、正体不明の国家、グラ・バルカス帝国に敗れた事にある。
列強レイフォルとパーパルディア皇国は、規模で言えば皇国の方が遥かに上だが、海軍の武器の性能は良く似ていた。(帆船加速のための風神の涙の質は皇国の方が上)
しかも信じられない事に、列強レイフォルは、グラ・バルカス帝国のグレードアトラスターと呼ばれる超巨大戦艦たった1隻に艦隊を全滅させられ、ワイバーンロードの波状攻撃を防がれ、さらに首都レイフォリアを攻撃され、首都は灰燼に帰したという。
超列強国が西の果てに突如として現れた。
第1外務局長 エルト の脳裏に嫌な予感が駆け巡る。
第3外務局所属の皇国監査軍が東のフェン王国に対し、懲罰的行為を行った際、敗戦している。
もしも……グラ・バルカス帝国の息がかかっていればとんでもない事に……。
「とにかく情報を集めよ!!!」
第1外務局長 エルト は部下に強く指示するのだった。
そんな中、一つの情報が彼の元に入る。
「なにぃっ!? そんな馬鹿なことがあるか!!」
アルタラス王国を攻め滅ぼす為に送った、栄光あるパーパルディア皇国軍の艦隊、324隻が全滅!?
「間違いありません! 暁の傭兵団が写真付きのビラを周辺諸国に大量にばら蒔いています。写真には捕虜には、我が国の幹部も確認されました!! 」
「あ、あり得ない! いったいどうやって!?」
「大変です! アルタラス王国に向かった艦隊の捜索に向かったワイバーンロードが戻ってきません!」
「……今すぐ、暁の傭兵団のことを調べろ!徹底的にだ!!」
後日、集まった情報が凄まじく、現実離れしていて、
第一外務局はふざけるなと怒号が響き渡るが、艦隊は全滅した可能性が高く。頭を抱えることになる。
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局
第1外務局長エルトの指示により、暁の傭兵団の新たな情報がかなり集まってきていた。
皇国監査軍を退けたのは、複数の国家から暁の傭兵団が単独で退けたことは間違いは無いと思われる。
監査軍のワイバーンロード部隊が全て未帰還となっているが、どうやったのかは詳しいことは不明。
少女達が空を飛んで、剣でワイバーンロードを一刀両断したと言う信憑性の低い情報しか手に入らなかった。
また、敵の主力艦はムー国の船よりも巨大という話もあるが、文明圏外の傭兵団にそのような物を建造出来る訳がない。
だが、グラ・バルカス帝国のこともあり、我が国に匹敵する船を所持している可能性があるとして、警戒はすることになった。
監察軍、アルタラス王国へ送った艦隊を撃破したことから、質は高いのだろうが、文明圏外から現れた傭兵団がそれほどまでに強力な船を持っているとは考えにくい。
この事から、未確認の風竜のような種族、または生物を保有するしているのでは? という意見が出た。
グラ・バルカス帝国のグレードアトラスターと呼ばれる魔艦は、たった1隻でレイフォルを滅ぼすに至ったというが、列強の力を考えれば、この情報はやはり何かの間違いだったのではないかと思えてくる。
どう考えても盛りすぎである。ただし、グラ・バルカス帝国がレイフォルを滅する力があるのは事実であるため、今後帝国には気をつけなければならない。
それと、第3国経由で情報が入った。
暁の傭兵団の本拠地のある大陸は小さく、その小さな大陸の8割以上が未開拓だという(代わりにクイラ王国を開発中)。
暁の傭兵団は質は高いが、少数の可能性がある。
二度も皇国を退けたが力は称賛にあたいするものだが、フェン国王とアルタラス王国の支援があるとはいえ、戦力はかなり落ちていると可能性が高い。
「恐らく、歴史に名を残すほどの将と軍師が複数いるのだろう」
暁の傭兵団と我が国の二度の敗北の話を聞いた軍人達のこの言葉に、第1外務局は成る程と納得した。
少数の軍で、名将と名軍師が大軍を退ける。
歴史を振り返れば幾つもある。
される側からしてみれば、堪ったものではないが。
暁の傭兵団には、優秀な人材が多くいる。
保有している兵器または生物は、我が国に匹敵する可能性がある。
二度の戦いで暁の傭兵団は戦力が低下している可能性が高い。
次は勝てる。
第1外務局はこのように結論付けた。
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パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇城
国の重臣たちが平伏し、重苦しい空気が張り詰める。
皇帝ルディアスが出席する最高会議が始まろうとしていた。
「それでは、これより帝前会議を始めます」
議長があいさつし、その後皇帝が話し始める。
「アルタラス王国の一件は聞いた」
地獄のそこから聞こえてきそうな、怒気が混じった声に重臣達は大量の冷や汗を流す。
「どういうことだあぁっっ!!!!!!!!」
ビリビリと空気を震わせる怒号。
荒い息を吐き出す皇帝ルディアス。
ギロリと軍の最高司令官アルデを睨む。
アルデは震えながらも、皇帝ルディアスに答える。
「あ、暁の傭兵団は我が国が保有する兵器の性能を越えるようです」
その言葉に、皇帝ルディアの怒りが膨れ上がり爆発する直前で、アルデが発した言葉に皇帝ルディアスは固まる。
「詳しくスパイに調べさせたところ、暁の傭兵団の船には兵器には魔力感知器は反応しませんでした」
「なんだと……」
「はい、優秀な部下達はフェン王国に雇われた暁の傭兵団の部隊に近づくことに成功。欺瞞情報も多くありましたが、暁の傭兵団が文明圏外から来た話などを考慮しまして、この度の二度に渡る我が国の敗北は……」
「暁の傭兵団の背後には、列強ムー国が関わっている可能性があります」
アルデの言葉に、重臣達が騒ぎだす。
「馬鹿な!」
「何を言い出す!」
「ムー国との関係は良好の筈だ」
「静まれぃっ!!!」
皇帝ルディアスの一喝に、誰もが黙り混む。
「アルデよ……、何故その様な考えになった?」
「はっ、我が国はここ十年で、飛躍的に領土を手にし発展いたしました。
ですが、かの国は、それを面白く思わないなかった可能性があります」
「仮にそうだとして、何故新兵器を所持した傭兵団をわざわざ作った? 我が国の邪魔をするのであれば、ムー国ならば、宣戦布告は無理だとしても、外交ルートでの抗議。フェン王国やアルタラス王国に直接な支援を……、そう言えば永久中立だったな」
「はい、それ故に、傭兵団を結成し、我が国への妨害工作を行っているのでは、と。更に新型であろうと、船ならば、最悪海に沈めれば証拠は残りません」
「むぅ……、フェン王国の軍祭に参加した理由はなんだと思う?」
「文明圏外の国への新型戦艦の宣伝、それと我が国の懲罰は偶然が重なった為かと、監察軍のワイバーンロードが、傭兵団の船を攻撃したようですので」
「……では、アルタラス王国の一件は?」
「アルタラス王国の魔石鉱山シルウトラスを含む資源です。鉱山を我が国の物になれば、更に我が国は発展させられます。それと、先のフェン王国での一件で、新型戦艦の性能を確認出来、傭兵団で我が国の戦力を削り、弱体化させる意図があるのでは? と考えております」
アルデの言葉を聞いて、皇帝ルディアスは腸が煮え繰り返しそうになるのを必死に堪えながら、考えを巡らせる。
まず、文明圏外から現れた傭兵団が、我が国の艦隊を全滅させられるか?
軍事知識は習ってはいるが、軍人より劣るルディアスでも、無理だと断言する。
文明圏外の船は大砲すらない無い場合もある。
それ故に、アルデの説明にルディアスは納得した。
流石に、異世界からチート能力を持った男がこの世界に降り立ち無双の傭兵団を率いるなど、想像出来る訳がない。
「分かった。では、これからどうするつもりだ?」
「はっ、海戦では、勝てたとしても、多くの犠牲が出ます。ですので精鋭を送り込み。アルタラス王国の国王を含む王家人間を狙います。雇い主が居なくなれば、契約を打ち切るしかなくなります。何より補給を考えればそろそろ苦しい筈」
アルデは重臣から、傭兵団と戦わないことを批判されたが、皇帝ルディアスが一喝して黙らせた。
これ以上ムーの息がかかった集団と戦い、無駄な被害を出すわけにはいかない。
「出来るのか?」
「はい」
自信のある表情を見て、皇帝ルディアスは頷いた。
「ムー国相手なら、正面からぶつかるのは確かに下策。これ以上は、負ける訳にはいかぬ。やってみるが良い。」
「ははっ!!」
「――エルトよ」
「ははっ!」
「ムー国に、探りを入れよ。恐らくシラを切るだろうが、落とし所を探れ。腹立たしいが、今はまだムー国には勝てん」
「ははっ!!」
「皆の者……」
皇帝ルディアスは、深く息を吸い、怒りを爆発させるように、重臣達へ告げた。
「余は、この屈辱は決して忘れん!!!」
「「「「「ははっ!!!!」」」」」
こうして、勘違いが生まれた。
この後、外交ルートにて、ムー国の外交官は、身に覚えの無いことを言われ、パーパルディア皇国の外交官達からの当たりがキツくなったことで、少なからずムー国とパーパルディア皇国との関係は徐々に悪化。
しばらくして、ムー国の外交官は本国からムー国人の撤収準備の指示が送られてきて、困惑するのだった。
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アカギ 艦内 食堂
モグモグとコックアイルーが作ったオムライスを食べるアカギ。
メンタルモデル達も最初は誘われなければ食事をしなかったが、最近では自分から食事をするようになった。
そんなアカギがコンゴウにネットワークを使い話しかける。
『で? コンゴウ、売り込みの方はどうだった? 今日は砲撃を見せたのでしょう?』
『長門達の話では、かなり驚いていたようだ。それと女艦長と女の船員は珍しいようだ』
『へー、それで?』
『永久中立だから、雇われることは無いだろうが、と長門がパンフレットを手渡し、中身を読んで絶句していたらしい』
『まあ、この国の兵器の性能では、驚くだろうね』
『どうでも良い。必要な情報は、粗方集まった。そろそろ帰還準備を』
『了解、コンゴウ』
翌日、ムー国上層部はマイラスの報告書、コンゴウの実弾砲撃を見て、危機感を持ち。
情報を得るために、マリンとDOLLS達の模擬戦を提案。
運が悪いと言うか、たまたまと言うか、模擬戦の前にマリンのパイロットの下品な挑発に零戦は激昂。
模擬戦はマリンの完敗で終わった。
これにより、ムー国はパーパルディア皇国とアルタラス王国の戦争が激化する前に、ムー国人の引き揚げを決定する。
これが、更なるパーパルディア皇国の勘違いを生んだ。
軍、第1外務局、第3外務局は連携が取れていません。
仮に取れても、情報は信じられなかったかと。
感想ありがとうございます(^_^ゞ
誤字指摘、助かります!
返信については、控えさせていただきます。すみません( ノ;_ _)ノ