謎の世界で生き残るために傭兵団作った 作:全力執奏
時は少しだけ巻き戻る。
ロウリア王国 ワイバーン部隊 本陣 竜騎士 待機室
出撃が迫った時、新人のひとりが不安からか、クワ・トイネ公国の噂を話し始めた。
「鉄の巨人ねぇ、よくそんなデマを信じられるな」
「いや、行商人の叔父さんが言ってたんだよ。興奮しながら、それに買ってきた日本刀とか時計とかす
げぇ高品質だったんだって!」
「だからって、鉄の巨人はねぇよ。巨人じゃなくて、人が動かす鉄の巨人って」
「お前等、いつまでもくっちゃべってる。いくぞ」
「「「はっ」」」
「それと、貴様もあり得ないことを言いふらすな。次は処分しないといけないからな」
「は、はっ、申し訳ありません!」
「うむ、ではいくぞ!」
この時、俺は隊長として正しい態度だった。
だが、あんな化け物がいると分かっていたら、家族を連れて、クワ・トイネ公国に亡命していた。
▼△▼△▼△
Bクラス将軍パンドールは、ギムに攻め込む先遣隊約3万の指揮官の任を与えられていた。
歩兵2万、重装歩兵5千、騎兵2千、特化兵(攻城兵器や、投射機等、特殊任務に特化した兵)1500、遊撃兵1000、魔獣使い250、魔導師100、そして、竜騎兵150。
数の上では歩兵が多いが、竜騎兵は1部隊(10騎)いれば、1万の歩兵を足止め出来る空の覇者である。それが150騎もいる。
パンドールは、満面の笑みを浮かべ、部隊を見つめていた。
ワイバーンは高価な兵器である。ロウリア王国の国力であれば、本来国全てをかき集めても、200騎そろえるのがやっとである。しかし、今回は、対クワトイネ公国戦に、500騎のワイバーンが参加している。
先遣隊に150騎のワイバーン、この明らかに過剰な戦力に、パンドールは、満足だった。
「ギムでの戦利品はいかがしましょうか?」
副将のアデムが話しかける。彼は、冷酷な騎士であり、ロウリア王国が、領地拡大のために、他の小国を統合した時代、占領地での残虐性は語るに耐えない。
「副将アデムよ、お前に任せる。」
「了解いたしました。」
アデムは、将軍に一礼すると、後ろを振り返り、すぐさま部下に命じる。
「ギムでは、略奪を咎めない、好きにしていい。女は嬲ってもいいが、使い終わったらすべて処分するように。一人も生きて町を出すな。全軍に知らせよ」
「はっ!!!」
アデムの部下は、すぐさま天幕を出ようとする。
「いや、待て!!!」
アデムに呼び止められる。
「やはり、嬲ってもいいが、100人ばかり、生かして解き放て、恐怖を伝染させるのだ。それと・・・、敵騎士団の家族がギムにいた場合は、なるべく残虐に処分すること」
アデムはこの時、すぐ近くで姿を消して、潜んでいる者がいることに気づかなかった。
更に、アデムの恐怖の命令を録音していることにも、当然気づかなかった。
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「進軍せよ!!」
号令とともに、74騎のワイバーンが空へと上がり、高度を上げる。
同時に歩兵も、進軍を開始。
ロウリア王国軍が国境を越えて、しばらくして。
「楽しみだな」
「ああ!」
歩兵の中でも、悪名高く精鋭の彼等は今回の戦いでも、何時ものように、色々と楽しめると思っていた。
だが、そうはならなかった。
「あん?」
「どうした?」
「いや、先行しているワイバーン、何か様子がおかしく」
声を上げた彼は山育ちのためか、目が良い。だからこそ、先行した多少距離のあるワイバーンの異変に気づいた。
「様子が?」
と、隣にいた仲間が呟いた瞬間だった。
ピンク色の光が空を切り裂いた。
「「「は?」」」
そして、ピンク色の光りが次々と空を切り切り裂き、ワイバーンを消し去っていく。
「なんだぁ!?」
部隊長の叫びと共に、遠くから甲高いひゅるるるという音が聞こえてきた。
「逃げろ!」
それは、今まで修羅場を潜ってきた経験からの本能的な叫びだった。
しかし、叫びは無意味だった。前方を進軍していた味方の歩兵達は爆音
真っ赤な花に変わった。
降り注ぐ人間だったもの。
地獄が始まった。
▼△▼△
「ロウリア王国軍のワイバーンが国境を越えたにゃ!」
「コンゴウより各部隊へ。手はず通りにやれ」
『『『『『了解』』』』』
『DOLLS第一部隊、零戦04が、手はず通りにロウリア王国のワイバーン部隊へ警告! 攻撃されました。これより戦闘を開始します!』
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『味方への攻撃を確認。ルルア・マムより、 ルルア中隊、全機起動してください』
カモフラージュされていたMS用の大型トレーラーから、12機のジムスナイパーが立ち上がる。
『ルルア・マムより、各機、防衛目標に接近している敵、ワイバーン部隊を排除してください』
『ルルア01より、ルルア中隊各機へ。初仕事です。グランドマスターに誉めてもらうために奮励努力せよ』
『根絶やしにします』
『07、物騒ですよ。気持ちは分かりますが』
『ネコミミを虐げる者は死んで良いのです』
『05、07。私語をって、どこの部隊ですか? アニソンかけているのは!』
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『警告! こちら、クワ・トイネ公国。貴軍は我が国の国境を、越えてって、危なっ! DOLLS第一部隊! 敵の攻撃を受けました』
『了解した、私!! いくぞ私達!! DOLLSと私達の実力を見せてやる!』
『零戦に負けるな、此方も出るぞ!!』
国境近くに秘密裏に作られた即席の二つの滑走路に並ぶ、合計80人の少女達。
だが、その顔は複製したかのようにそっくりであった。
DOLLSの零戦とF4Fの二人、製造された少女達は全力で空へ上がる。
『予定通り、対地攻撃を行いながら、後方にいるはずの、敵将を探し出せ! ワイバーンはロロナ中隊とルルア中隊が倒す!』
『零戦に遅れるなよ、あたし!』
『『『『『了解!』』』』』
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『ロロナ・マムより、ロロナ中隊各機へ。敵ワイバーン部隊が、国境を越え警告を無視して味方を攻撃しました。ロロナ中隊、全機起動。まずは、敵ワイバーンを攻撃してください、その後、ルルア中隊と連携して、地上戦力を殲滅せよ』
『『『『『了解!』』』』』
先にギムの町周辺の地面を掘り、その時がくるまで交代していたとはいえ、カモフラージュをして、地下でじっと待っていたかいがあった。敵ワイバーン部隊は突然土砂を巻き上げながら、地中から出てきた陸戦型ガンダムに驚いている。だが、致命的な隙だ。
『ロロナ01より、各機へ。今夜は手羽先です。胸肉は美味しくないので、胴体を狙ってください』
『06より01へ。ワイバーンは美味しくないそうですよ。グランドマスターがそう言ってました』
『……残念です』
本当に残念そうに、呟く。
だが、淡々とワイバーンをビームライフルで、撃ち落としていた。
敵、ワイバーンは必死で飛び回り、果敢にもMSに突撃、その内の一騎が、ロロナ10に火球を吐き出すが。
「馬鹿な! 効いていないなんて!!」と驚愕しながら、陸戦型ガンダムのバルカンで、撃ち落とされていく。
『10、油断し過ぎです』
『いいえ、実践におけるワイバーンからの攻撃によるデータ収集を目的とした行動です。問題ありません』
この日、ロロナ中隊長とルルア中隊はワイバーンを5騎以上撃墜して、エースが沢山誕生した。
『ロロナ・マムより、各機へ、敵ワイバーンは全滅。これより敵歩兵の掃討を開始します。武装は180㎜キャノンに交換してください』
『了解』
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『トトリ・マムより各機へ』
『メルル・マムより各機へ』
『『敵、陸戦兵力が国境を越えました。作戦通りに砲撃を開始してください』』
『『『『『『『『了解』』』』』』』』
迷彩柄のシートを括り付けるだけの、簡単なカモフラージュだったが、敵は此方に気づかず、攻撃をしてきたことに、トトリ・マムは静かに安堵した。
ロウリア王国の兵器では、MSを撃破するのは難しい。だが、腕の良い魔法使いはかなり強いと聞く。それを警戒していたが、杞憂だったようだ。
『トトリ01、砲撃開始』
『メルル01、砲撃開始』
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「いったい何が起こっている!?」
進軍を開始したとたん、クワ・トイネ公国側から、先遣隊のワイバーンと陸戦部隊が激しい攻撃に晒され、魔通信からは、悲鳴と怒号が聞こえたかと思えば通信が途切れた。
「くそっ、全軍に――」
彼が伝令兵に指示を出そうとした瞬間、彼は違和感を覚えた。
伝令兵が直立不動で、項垂れながら立っていたのだ。そして、ゆっくりと前のめりに倒れ。
パシュッと言う音が自分の首筋から聞こえ、咄嗟に動こうとするが、全身から力が抜け、彼はその場に倒れ込んでしまう。
何が起こった?! と何とか目線を上にあげると、そこには、誰も居ない。だが、声だけは聞こえてきた。
「アドミラル、敵将を捕らえました」
「迎えをお願いします」
そして、彼の視界にピンク色のドアが現れると、「まだ、意識がありますか」と声が聞こえ、彼は意識を失った。
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国境を越えたロウリア王国軍へ対し、暁の傭兵団は量産型ガンキャノンは240㎜キャノンで、量産型ガンタンクは120低反動キャノンで、容赦なくロウリア王国軍を挽き肉に変えていく。
宣戦布告無し、事前の戦争のルール決めも無い。
なので、徹底的に叩き潰すことが決められていた。
『メルル・マムより、各機へ。国境を越えていないロウリア王国軍への砲撃も許可が出ています。撤退する敵にもたっぷりと砲弾をプレゼントに上げてください。宣戦布告も無しに襲ってくる奴等は野盗です。野盗はモンスターです。やっちゃって下さい』
『撃ちますよ』
『楽な任務ですね』
『コンゴウから、全部隊へ。伊400と伊401が敵将、敵副将を捕らえた。後は烏合の集だ蹴散らせ』
『『『『『『『『了解』』』』』』』』
こうして、ロウリア王国の先遣隊は、指揮官級が多数無傷で捕らえられ、ほぼ壊滅状態となった。
▼△▼△
空の覇者と言えばワイバーンだ。
ワイバーン一騎でも、乗り手と戦い方次第で、歩兵一万は足止めできるだろう。
だから、手段は問わないが生身の人間がワイバーンに勝つのは世界に誇れることだ。
そう、普通ならば。
「チェエエエェァァエエッッッッストオォォッッ!!!!!!!!」
空を白い髪の少女達が空を舞っていた。
ピンク色の光りが最初のワイバーンを消し飛ばして、直ぐに彼女達はやって来た。
金属の翼を持つ彼女達は、偶然が重なりピンク色の光りから逃げられたワイバーンを、持っていた剣で首を両断した。
「零、女の子なんだから、叫ばない!」
少し遅れて、褐色の肌金属の翼を持つ彼女達が合流した、白い金属の翼を持つ少女を注意しながら、金属の棒を俺達に向けて、
「敵だよ! さぁ、私達、掃射開始!!」
ガガガガガガガガガガという甲高い音が鳴り響き、仲間達が赤く染まった。