Life Will Change -Let butterflies spread until the dawn- 作:白鷺 葵
・各シリーズの圧倒的なネタバレ注意。最低でも5のネタバレを把握していないと意味不明になる。次鋒で2罪罰と初代。
・ペルソナオールスターズ。メインは5系列<無印、R、(S)>、設定上の贔屓は初代&2罪罰、書き手の好みはP3P。年代考察はふわっふわのざっくばらん。
・ざっくばらんなダイジェスト形式。
・オリキャラも登場する。設定上、メアリー・スーを連想させるような立ち位置にあるため注意。
名前:
名前:
・歴代キャラクターの救済および魔改造あり。オリキャラ同然になっている人物もいるので注意してほしい。
・一部のキャラクターの扱いが可哀想なことになっている。特に、『普遍的無意識の権化』一同や『悪神』の扱いがどん底なので注意されたし。
・アンチやヘイトの趣旨はないものの、人によってはそれを彷彿とさせる表現になる可能性あり。他にも、胸糞悪い表現があるので注意してほしい。
・ハーメルンに掲載している『Life Will Change』をR・S・グノーシス主義要素を足してリメイクした作品。あちらを読んでいなくとも問題はないが、基本的な流れは『ほぼ同一』である。
・ジョーカーのみ先天性TS。名前は
・徹頭徹尾明智×黎。
・歴代主人公の名前と設定は以下の通り。達哉以外全員が親戚関係。
ピアス:
罪:周防 達哉⇒珠閒瑠所の刑事。克哉とコンビを組んで活動中。ペルソナ、悪魔、シャドウ関連の事件の調査と処理を行う。舞耶の夫。
罰:周防 舞耶⇒10代後半~20代後半の若者向け雑誌社に勤める雑誌記者。本業の傍ら、ペルソナ、悪魔、シャドウ関連の事件を追うことも。旧姓:天野舞耶。
キタロー:
ハム子:
番長:
・一部の登場人物の年齢が、クロスオーバーによる設定のすり合わせによって変動している。
班目を【改心】させた【怪盗団】は、次のターゲットを探して情報収集を行いつつ、怪盗家業の下準備や学生生活を送っていた。僕の場合、そこにメディア出演や密偵業が付随される。いくら本業のためにセーブしているとは言えど、大衆操作およびメディア露出は大変ハードスケジュールであった。
『明智くん。僕はキミが有能であることは知っているし、その有能さを買っている。……だが、だからと言って、キミが無能な連中に使い潰されることを許容するわけにはいかない』
『最近の警察や検察、メディアの持ち上げっぷりは異常だ。探偵として有名人と言えども、明智くんはまだ未成年だぞ? 本業が学生であることも考慮して貰わなければ』
『子どもに頼らなければ何もできないのは、大人としておかしいことだと僕は思う。キミの担任教師として、キミを導く大人として、このまま黙っておくことは出来ないな』
そんな僕の有様を見かねた小田桐先生は、僕をこき使う各所――主に警察・検察・各メディアに苦言を呈していた。近いうちに各機関に苦情の連絡を入れそうな気配がある。僕のメディア進出や探偵活動の煽りを喰らっているというのに、小田桐先生は僕への態度を変えない。それどころか、普段にも増して便宜を図ってくれているようだった。
小田桐先生の采配やアシストにはいつも助けられている。僕もそれに応えるために、学業と探偵業のバランス配分を考えなくてはならない。勿論、どちらも疎かにするつもりは無かった。「いつか小田桐先生に何かを返せたらいいな」と思っていたが、その機会は思った以上に早いタイミングで訪れた。
何かを思い悩んでいる小田桐先生を見かけて声をかけたのは、ある昼下がりのこと。
『以前から気になっていた生徒がいるんだ。3-D組の
小田桐先生は、僕の隣のクラスの女子生徒――烏丸六花を気にしているようだ。先生曰く、烏丸六花は優秀な女子生徒であった。テストの点数は常に3位以内をキープしているという。しかしここ最近になってからは、“授業中に眠ったまま起きる様子がない”、“常に体調が悪そうでフラフラしている”という素行不良や、体調不良による早退や欠席が目立ってきたらしい。小田桐先生が集めた情報から類推するに、烏丸六花は母親から『家に金を入れなければ高校を中退しろ』と強要されているようだ。
元々彼女の両親は高校入学前に離婚しており、長らく父子家庭で育ってきたという。しかし、今年の初めに父親が亡くなってしまった。その後、紆余曲折を経て、烏丸六花は母親と共に暮らすことになったが、母親との関係はあまり良くなかったという。さもありなん。『両親の離婚原因が“母親の浮気”で、烏丸六花の父親が残した財産を狙って転がり込む形になった』のだから。僕は思わず眉間に皴を寄せてしまった。小田桐先生も深々とため息をつく。
娘への要求は更にエスカレートしており、今では所謂“夜の仕事”――特に風俗関係――だけでなく、母の恋人の相手をするよう脅される程になってしまったという。
風俗堕ちの未来を避けるため、母親の恋人の玩具にされる未来を回避するため、烏丸六花は数多のバイトを掛け持ちし、稼いだ金を納めているそうだ。
この状態が続いてしまえば、烏丸六花の未来は母親によって踏み躙られてしまうだろう。肉体関係を強要するという点では、母親の恋人も危険人物であった。
小田桐先生は方々に掛け合っているのだが、行政も学校も身動きが取れないでいるようだ。そんな現状に憤っている。僕は少し悩む素振りを見せた後、小田桐先生に向き直った。
『小田桐先生。烏丸さんのお母さんのお名前、分かりますか?』
『……明智くん。キミが何を思ってその情報を必要としているかは分かりかねるが、キミが信頼に値する人間であることは知っている。――母親の名前は烏丸ひよりだ』
烏丸ひよりを【改心】候補にリストアップした僕は、その日のうちに烏丸六花に接触。
裏取り調査をしながら、母親の恋人の名前も聞き出した。
『奴の名前は
『それは守秘義務だね。でも、悪いようにはしないと約束するよ』
『……だといいけど』
僕と非常に似通った外見の少女――烏丸六花は、何処か薄暗い自嘲を浮かべて鼻を鳴らした。探偵王子・明智吾郎のことなど信じていないようだ。
丁度そこで、彼女が持っていたスマホが鳴り響いた。着信相手を確認した途端に、烏丸六花は花が咲いたように表情を綻ばせる。
幸せそうに破顔した少女の様子からして、“限界でもギリギリ踏ん張っていられる理由”があるらしい。……それでも、長くはもたなさそうだ。
該当者2名のパレスが存在しているか、該当者2名がメメントス内部を徘徊しているかで攻略方法は大きく変わってくる。
【怪盗団】が狙うべきターゲットとして相応しい相手であることは確かなので、烏丸ひよりと白井安考の改心を進言した。
吾郎:――これが、僕の担任教師と、担任教師が気にしている生徒から聞き出した情報だ。【改心】するターゲットとして相応しいと思うけど、どうだろう?
竜司:離婚の原因になった張本人以外肉親がいないのも、その肉親が相変わらずクズなのも、ソイツの恋人もクズなのも、救いがなさすぎるだろ……。
杏:風俗行きや最低野郎に体を売るの強要するとか、母親としても女としてもクズ中のクズじゃん! 自分の娘を何だと思ってるの!?
祐介:度し難いな。班目に搾取されていたときの俺とは別ベクトルで危険だ。このまま放っておくわけにはいくまい。
竜司:早く助けないと、鈴井んとき以上にヤバイことになるな。俺は【改心】賛成!
祐介:俺もだ。
杏:アタシも! このままじゃ取り返しがつかなくなっちゃう!
黎:モルガナも【改心】に乗り気だ。これで全会一致だね。
吾郎:決まりだ。次の【メメントス】攻略時に、他の依頼主と一緒に纏めて【改心】させよう。
黎:そろそろ依頼も溜まって来たからね。支持率の影響も確かめたいし、行けるところまで行ってみよう。
烏丸ひよりと白井安考は全会一致で【怪盗団】の【改心】対象者となった。後は【メメントス】攻略日を調整し、行ける場所全てを回って該当者たちを【改心】させるだけである。
他にも、冴さんと足立の2人と作戦会議に興じる時間も増えた。警察の捜査は相変わらず難航しているらしい。【怪盗団】に目を付けたのはいいものの、ペルソナ使いの力や異世界の証明が出来なければ【廃人化】や【精神暴走事件】を解決する手段がないのだから致し方ないだろう。基本的に“僕を鉄砲玉として最前線に送り込む”くらいの手段しかないのだ。
一般人の冴さんに出来ることは、ペルソナ使いである僕を【廃人化】や【精神暴走事件】の最前線で動きやすくする程度。そのことに対して、冴さんは多少の申し訳なさを感じているようだ。同時に、“異世界やペルソナの存在を公にすれば、世界の秩序は滅茶苦茶になってしまう”ことも想像がついたらしい。僕や足立のことを気にしていた。
『貴方達の存在が公になれば、ペルソナ能力を悪用せんとする連中が湧いて出て来るわね。下手すれば、一生“監視下に置いて使い潰す”なんて危険性もあり得る』
『……私個人でどうにかできる範囲なんて、とうに超えているわ。――勿論、だからと言って約束を違えるつもりは無い』
『安心して頂戴。貴方達や、貴方達の同胞の身の安全は保障する。出来る限りのことはさせて貰うわ』
冴さんは僕達ペルソナ使いの今後も憂いているようで、そっち方面でも便宜を図ってくれるようだ。
新島さんが蔑ろになりがちなのは、【廃人化】や【精神暴走事件】のせいだけではなかったらしい。
何だか申し訳ない気持ちになった僕が口を開くより先に、足立が真顔になる方が速かった。
『以前も言いましたけど、僕等のために頑張ってくれるのはいいんです。……いいんですけど、僕言いましたよね? 『妹さんのことも気にかけてあげてください』って』
『新島さんも冴さんと同じような状況に置かれてて、誰にも助けを求められずにいるみたいなんです。そのことでずっと思い悩んでいました』
足立の言葉を引き継いで、僕がすかさず付け加える。冴さんは目を丸くした。
冴さんの性格上、自分が一度引き受けた案件を誰かに引き継がせるようなタイプではない。最後まで責任を持って、自分の手で解決しようとする完璧主義者だった。そこがエリート女検事として出世コースに乗った理由であり、新島さんが『姉の為にも“いい子”で居なければならない』と自分を押し殺す原因となったのだろう。
僕と足立の進言を聞いた冴さんは暫し沈黙した後、「ここ最近、真とまともな会話や団欒をしていなかった」と零した。新島さんが思い悩んでいることに気づいてやることも出来なかったし、何か言いたげな様子で話しかけられようなものなら『自分は今忙しい。邪魔をしないでほしい(要約)』とあしらってばかりだったという。
足立が新島さんを気にしたのは、八十稲羽にいた頃の堂島一家を重ねた――本人的には“重ねてしまった”という表記が妥当か――ためだろう。遼太郎さんは菜々子ちゃんのために、妻のひき逃げ事件を解決しようと躍起になって仕事に打ち込んでいた。菜々子ちゃんも、そんな父親の邪魔にならないよう、幼いながらに“いい子”でいようとした。
巌戸台から八十稲羽へやって来たばかりの凛さんは、いい人だらけの環境に馴染もうとするも上手くいかなかった。自分のことで手一杯な凛さんでは父娘の仲を取り持つなんて至難の業だったろうし、それを成す以前の問題だったから致し方ない。……足立が八十稲羽へ左遷されたのは、丁度その頃だったか。
足立は足立なりに奔走したけれど、後から来た真実さんに全部掻っ攫われる形で堂島一家の問題は解決してしまった。そのことに対して足立には思うところがあるようだが、遼太郎さんから『お前も背中を押してくれた人間の1人なんだぞ』、菜々子ちゃんから『足立さんも、私にとっては大事なお兄ちゃんだよ』と言われて照れ臭そうにしていた。真実さんとも奇妙な友人関係を築くに落ち着いている。閑話休題。
『……仕方ないわね。ここ最近は『少し休みを取ったらどうだ』と上が煩かったし、特捜部長の目を欺く手段としても使えそうだから、それに便乗しようかしら』
冴さんはそう言ったが、言い訳が下手なだけだと僕は思った。足立も同じことを考えていたようで、苦笑しながら肩をすくめている。
つい奴と目が合ってしまい、顔を見合わせてため息をついていたら、また冴さんから『仲良し』扱いされてしまった。解せぬ。
――そうやって、冴さんと足立の作戦会議をしていたある日のこと。
今回は足立の奢り――尚、本人はとても不本意そうだった――で回る寿司屋にやって来た。その日は作戦会議よりも雑談の方がウエイトが大きかったことを覚えている。
主に上層部への悪口で盛り上がっていた冴さんと足立、2人の会話に相槌と寿司に舌鼓を打っていた僕であったが、直後に来店した家族連れ――男性・女性・少年――の姿を見た足立が突如目を剥いた。
途端に、彼は家族連れに背を向けて沈黙したが、家族連れ――特に男性は足立の存在にすぐ気づいたらしい。鋭い眼差しを保ったまま、こちらに歩み寄ってきた。
『透か』
『……』
男に呼びかけられた足立は、酷く緊張した面持ちで、ゆっくり男性の方に振り向いた。道化師の仮面を被る余裕すらない足立の顔を見たのは初めてである。
いつもの僕ならそれをからかうネタに使っただろう。だが、畏怖や怯えの色合いを含めた横顔を見てしまえば、玩具にしていいネタとは思えなかった。
『八十稲羽に左遷されたと聞いていたが、いつ戻って来たんだ?』
『……今年の5月。本庁の公安部へ異動した』
『ほう? 出世したということか。ならば何故、私の方に連絡しない?』
『……八十稲羽に行くことになったとき、『もう二度と連絡してくるな』と言ったのはそっちだろ。だからあそこにいるガキを引き取った。――違う?』
それでも、奴もペルソナ使い。『世の中クソだな』と叫び散らしながら、マガツイザナギを駆ってシャドウの群れをしばき倒してきた男だ。あの頃の暗い炎を滾らせて、彼は男性――父親を睨みつける。
しかし、奴の父親はそれをどこ吹く風で流していた。彼は本庁時代にミスをして左遷される羽目になった息子を『優秀じゃなくなったからもういらない(要約)』と勘当し、そのまま存在無視を決め込んだ。極めつけは、里親制度を使って何処かから優秀な子どもを引き取ることで、足立透の帰る場所を潰してしまったらしい。
足立の父親はそれを悪びれることなく語った後、改めて足立と向き直る。親子の対面と言うより、異例の出世で本庁・公安部へ舞い戻って来た(?)足立透を値踏みしているかのようだ。第3者である僕や冴さんも、足立の父親が足立に向ける眼差しに対して不快感を抱くのだ。当事者である足立の心情の荒れ具合は如何程だろうか。
『――傷がついても
足立の父親はそれだけ言い残し、妻と里子を伴って奥の席へと向かった。義息子――黎が男だったらこんな感じではないかと思うような外見なのが印象的だった――はちらちらと足立や僕達を見ていたが、無言で会釈した後、里父母を追いかけて行く。そんな家族の背中を見送った足立は、忌々しさを押し殺すことなく舌打ちした。
奴は自分の家族に触れて欲しくなさそうな空気を纏っていたため、僕と冴さんは敢えて話題を変えることにした。足立は暫く表情を硬くしていたものの、小声で何かを呟いた後、普段通りの調子に戻った。お代がてら本マグロを追加注文した僕と冴さんに対し、アイツは頭を抱えて『僕の財布が!!』と嘆いていたが。
あの後、僕や冴さんが足立の家族と顔を合わせたことはない。だが、あの一件がきっかけで、足立はその両親+里子との関りが出来てしまったらしい。両親から再び干渉が始まったことを、非常に面倒臭がっていた。
その翌日、僕は青い服を着た双子と連れ立っていた黎を見つけた。双子は黎のことを『囚人』と呼び、彼女を更生させる看守であると主張していた。
右目を隠している看守がカロリーヌ、左目を隠している看守がジュスティーヌと言うらしい。黎は彼女達の特別刑務を受け、ビックバンバーガーを食べに行っていたそうだ。
『この囚人は見所があるぞ! 最大サイズのビックバンバーガーを1人で全部食べ切ったんだ!』
『『晩御飯に影響がなければお代わりしたい』とまで言ったのです。……かくいう私達は、囚人が食べている姿だけでお腹いっぱいになってしまいましたが……』
特別刑務という物騒な字面であるが、やっていることは普通のお出かけではなかろうか。僕はそう言おうと思ったのだが、2人から漂う雰囲気が許してくれなかった。
いつぞや巌戸台や八十稲羽で見かけた【力司る者】一同――エリザベス、テオドア、マーガレット――が拗ねたりしょげたり不機嫌になったときの姿に近しい既視感を抱いたためである。
だから代わりに、僕は別なことを聞いてみることにした。彼女や彼等と同じ青い服を身に纏い、銀髪に金色の瞳を持っているのだ。何かしら関係がありそうだと思ったためだ。
『ねえ看守さん。【力司る者】という単語に覚えは無い?』
『『???』』
『じゃあ、この3つの名前に覚えは? エリザベス、テオドア、マーガレット』
『『???』』
『もしかしたら、キミたちのお姉さんかお兄さんに当たる人の名前かも知れないんだけど……』
『何を言っているのですか? 私達にきょうだいなどいませんよ』
『おい囚人。お前の恋人、頭大丈夫か? コイツと付き合い続けたら更生に悪影響を及ぼしそうだぞ』
『囚人、貴女の為に進言します。この人間とは、なるべく早めに恋人関係の解消を行うべきです。――簡潔に言うなら、別れるべきかと』
……とっっても失礼なことを言われたので、後で【力司る者】の面々――エリザベス、テオドア、マーガレットの3人――に双子のことをチクろうと決めた。
あの3名のヒエラルキーがマーガレット>エリザベス>テオドアであることは、3人の会話や彼女/彼の担当者だったワイルド達から伺っている。尚、リア充的な順番にするなら、テオドア>エリザベス>超えられない壁>マーガレットだ。長女が一番強いのは、自分がリア充じゃなかったことも影響しているのかもしれない。
僕に『黎とは別れろ(意訳)』と言ってきた双子のヒエラルキーがどこに位置するかは不明だが、最低でもマーガレットを超えることは無さそうだ。八十稲羽に伝わる怪事件――八十稲羽の青コート喪女は、今日もリア充への呪詛をまき散らし、高笑いしながら高速で空中移動しているんだろうか。僕はそんなことを考えた。
『ごめんね。最近は仕事が忙しくて、直接会って話すことが難しいんだ』
『大丈夫ですよ。気にしないでください』
獅童の懐刀である智明は僕以上に多忙で、SNSや電話でしか接することができない。テレビ画面に顔を出すあいつを見ることが増えた。同時に、俺が大人しくしている間にも、【廃人化】による【精神暴走事件】はずっと続いていた。早く獅童を止めなくてはと思えば思う程、何もできない自分が嫌になる。役に立てない自分が嫌になるのだ。
あと、智明から『有栖川黎に貼り付け』という指示が出た。“【怪盗団】を炙り出す”という名目だが、ピンポイントで黎を指名するあたり勘も鋭いらしい。社会見学で顔を合わせ、言葉を交わしたと言えども一瞬だけなのに。……本当に油断ならない相手だ。慎重にならなければ。
吾郎:黒幕がキミに目を付けた。暫く『キミを見張る』という名目で接触するからよろしく。
黎:了解。不謹慎だけど、吾郎と一緒にいられるのは凄く嬉しい。
さて、智明からの指示を受けた僕は、大手を振って黎と接する時間を確保することができるようになった。
まずは駅で顔を合わせ、ルブランにも顔を出し、放課後や夜は別な場所で顔を合わせる。
折角なので、予てから黎を誘いたいと思っていた行きつけのジャズバーに彼女を招待した。ペルソナ使いの面々と駆け抜けていた頃はまだ子どもということで夜の街に繰り出せなかったから、こういう場所に黎と連れ立って来たのは初めてである。
『ああ、キミが明智くんの……。『東京に彼女が来たら、いつか絶対ここに招待する』って言ってたから、いつになったら連れてくるのかなと思って楽しみにしていたんだ』
『そうなんだ。照れるなあ』
『マスター! しーっ、しぃーっ!!』
余計なことを口走るマスターを嗜めたが、時すでに遅し。マスターと黎はニヨニヨ笑っていた。特に後者は、照れると言いながらも堂々とした有様である。顔を真っ赤にしているのは僕だけだ。
気恥ずかしさを誤魔化し、なけなしの格好を付けようと思った僕は、いつも贔屓にしているノンアルコールカクテルを注文する。とてもお洒落な見た目なので、黎もきっと気に入るはずだ。
果たして僕の予想通り、煌びやかなカクテルを目にした黎は感嘆のため息をついた。後は談笑や話し合いをしながらカクテルを飲みつつ、ジャズシンガーの歌やピアノ演奏等に耳を傾ける。
その時間は僕にとって癒しの時間であり、相手側の情報を流すための作戦会議でもあった。奴が狙いそうな相手を予めピックアップしたり、【怪盗団】側に関する情報をどれ程黒幕に提供するか協議したり、黒幕に提供した情報と黒幕から提供された情報をすり合わせて対策を練ったりした。
智明には“【怪盗団】関係者に接触成功。密偵として張り付く”とだけ報告しておいた。奴は了承の返事をした後、“できることならそいつを篭絡しろ”と指示を寄越す。電話を切った後、俺は1人で震えた。爆笑を堪えるので。
『黒幕がキミを篭絡しろと指示を出してきた』
『馬鹿だなあ。私はもうとっくに、吾郎に篭絡されてるのに』
『馬鹿だよね。僕だってもう黎に篭絡されてるのに』
『それでも、吾郎は黒幕について何も語ってくれないよね』
僕は思わず言葉を詰まらせた。何か言わねばと口を開いても、情けない吐息が漏れるばかり。やっと紡げた言葉は、誤魔化すためのものであった。
『ごめんね、黎。でも、もう少しだから』
『分かってるよ。信じてるから』
黎はそう言うだけで、特に追及はしなかった。僕が自分の口から告げるのを待ってくれるらしい。その優しさが嬉しくて、けれど苦しかった。
覚悟を決めなくてはと思うのに、『情報が集まらない』と誤魔化してばかりだ。そんな僕に愛想をつかしてもいいはずなのに、仲間たちは見捨てないでいてくれる。
……新島さんは、そういう相手はいなかったのだろうか。いい子じゃなくても、成果を出せなくても、何も言えなくて沈黙していても、大丈夫だと笑って受け入れてくれる人はいなかったのだろうか。見捨てないでいてくれる人はいなかったのだろうか――僕がそんなことを考えつつ、仕事を終えて【怪盗団】に合流したその日。
「――さて、これはどういうことなのか聞かせてくれない? “【怪盗団】のライバル、正義の名探偵”明智吾郎くん」
鬼の首取ったりと言わんばかりの形相で仁王立ちする新島さんが、【怪盗団】の前に現れた。
……どうしてこうなった。本当に。
***
さて、今回の【怪盗団】の集合場所は、班目パレス攻略時に利用した渋谷の展望台ではない。あそこは警察がうろつき始めたため、以後は僕と至さんの家を利用することにしていた。
気負わず家に上がる僕、勝手知ったるノリで家に上がる黎、家主へ気さくに挨拶して受け入れられる他の面々に対し、新島さんはちょっと引き気味になっていた。
まさか明智吾郎の家に上がり込む羽目になるだなんて予想していなかったし、大人の前で【怪盗団】を詰問することになる可能性を考慮しあぐねている節もあったようだ。
「どうしたの新島さん。そんなところで棒立ちして」
「そ、空元さん……」
「そんなところで突っ立ってないで、キミも上がんな」
玄関に入って来たのに、そこから先に進もうとしない新島さんを見るに見かねたのか、至さんが促しに向かった。彼の右手は軽食用の焼き菓子、左手はバタフライピーの紅茶が乗ったお盆で塞がっている。
家主に促されて、新島さんはようやっと僕の家/【怪盗団】のアジトへ足を踏み入れた。新島さんは至さんの存在を非常に気にしている。至さんの前で【怪盗団】の話題を振っていいのか悩んでいる様子だ。――成程。“【怪盗団】としての活動が大人にばれたら大変なことになる”と考え、気遣おうとする神経はあるらしい。
至さんはそれを察知したようで、「じゃあ、邪魔者は退散するんでごゆっくり」と言い残して家から飛び出していった。まさか家主を追い出す展開になるとは思わなかった新島さんはおろおろした様子で至さんを呼び止めようとしたが、去り際の至さんが何かを囁いた途端、弾かれたように目を見開く。至さんは小さくウインクし、そのまま出かけて行った。
何とも言えない空気というか、沈黙が漂う。折角至さんが置いていってくれた焼き菓子だけど、新島さんに詰問される立場故、非常に食べ辛い。
特に祐介は焼き菓子を凝視したまま口を半開きにしている。奴の目は飢えた獣が獲物を狩る算段を立てているかのようだった。
尚、それは新島さんにも当てはまるらしい。恐る恐ると言った様子でバタフライピーの紅茶を手に取り、そのまま動きを止めてしまった。
「………………」
「……祐介。僕等の分を残してくれるんだったら先に食べな」
「本当か? 感謝するぞ吾郎! ここ数日はもやしで凌いでいたんだ!!」
「一皿全部持って行こうとすんな馬鹿!!」
「数日分の不足カロリー」等と咽び泣きながらマドレーヌを皿ごと奪い去った祐介。洸星高校の寮は自炊が原則だと本人から聞いていたが、相当腹が減っていたのだろう。
奴は芸術への才能に特化しすぎた結果、芸術が絡むと金銭感覚が狂い気味になる悪癖があった。優先順位は『今日の飯より、今気に入った画材』を地で行くタイプ。
「祐介ズルい! アタシも食べる!!」
「俺も俺も! ――あ、その前におふくろの分!!」
「竜司に至さんから伝言。『小型冷蔵庫にゼリーとムース入ってるから、好きなの選んでお母さん用のお土産にしなさい』って」
「至さんあざっす! 今度美味しいラーメン店紹介します!」
数日分の飢えを癒そうとするが如く焼き菓子を貪り食う祐介に触発されたのか、杏と竜司も大急ぎで茶請けへ手を伸ばす。しかし、竜司は自分が食べることよりも、母親に分ける用のジップロックを引っ張り出した。僕が至さんからの伝言を告げれば、竜司はその場にいない至さんへ律儀に礼を述べていた。
小型冷蔵庫へ向かった竜司に釣られて立ち上がった祐介も、「数週間ぶりの甘味」と叫んですっ飛んでいく。2人がぎゃあぎゃあ言い争う声は一旦遠くなったが、最終的にはゼリーやムースを大量に抱えた祐介と「おふくろごめん」と嘆き続ける竜司が戻って来て終了した。
その間にも、杏は幸せそうな顔をしてシャルロートカ――元々はフランスの林檎ケーキ・シャルロットで、そこから派生したロシアの林檎ケーキだ――を頬張っている。酸味の強い林檎とカスタードクリームの甘さは、杏のお気に召したらしい。「おいひい」を連呼していた。
黎はチョコレートブラウニーに舌鼓を打っていたし、僕もスコーンに適当なジャムを添えて口に運ぶ。僕の保護者の作った食べ物は今日も美味しい。
新島さんは呆気にとられた様子で僕達のやり取りを見つめていたが、程なくして噴き出した。堪えきれなくなったのか、彼女はくふくふと笑っている。
「世間を騒がす【怪盗団】と聞いていたから身構えてたけど、やっぱり、どこにでもいる普通の高校生なのよね。……そう思ったら、緊張してたことが馬鹿みたいに思えてきたの」
「新島さん、緊張してたの? 全然そんな風には見えなかったけど」
「そうよ。貴方達にそう思われないよう気を張ってただけ。――正直、ちょっと怖かったんだから」
僕の指摘を受けた新島さんは苦笑する。心なしか、紅茶のカップを持つ手が小さく震えているように見えた。
新島さんは切り分けられたアマンディーヌを口に運ぶ。彼女のリアクションは杏と比べて控えめではあったが、目を輝かせて「レシピが知りたい」と言ったあたり、気に入ってくれたようだ。
しかし、マフィンの食べ比べを始めようとしたモルガナを視界に捕らえた途端、顔を真っ青にしてそれらを回収していた。無体を嘆くモルガナの声は、哀しいがな、新島さんには届かない。
「あああ! ワガハイのマフィンがー!」
「あ、有栖川さん! 人間用の食べ物を無暗に与えちゃいけないわよ!?」
「大丈夫ですよ。モルガナはそんじょそこらの猫とは違うんで」
黎の返答に対し、新島さんは眉間の皴を数割増しした。一般人である彼女から見れば、モルガナはどこからどう見ても単なる猫でしかない。懐疑的な眼差しを向けるのは当然である。
だが、「モルガナも【怪盗団】のキーパーソンなんです」と黎が付け加えれば、何とも言い難そうな顔をしつつ――暫し躊躇った後――、ひったくったマフィンを彼の前に並べ直していた。
新島さんは“黎が猫を鞄に入れて連れ回している”情報を耳にはしていたらしい。しかし、周囲は黎の悪い噂に怯えていたから聞き出せず、新島さんは「流石に嘘だろう」と思って調べなかったという。
「――さて。腹ごしらえも終わったところで、新島先輩の要件を聞きましょうか」
茶請け――マドレーヌ、シャルロートカ、チョコレートブラウニー、スコーン、アマンディーヌ、フライドポテトの大半が皿から消えた後、【怪盗団】の面々は新島さんと向き合った。新島さんも、眦と態度をきりりと引き締め、話を始める。
「明智くんと有栖川さんにはこの前も話したけれど、私は、学校関係者――いいえ。
ここ数日の間に、新島さんは校長に対する評価を大幅に下方修正したようだ。【怪盗団】と校長を天秤にかけて前者を選ぶくらいには、校長への不信感を募らせていたらしい。
まさか依頼主の名前を明かすとは思ってもみなかった僕達は目を見張る。特に、竜司と杏は、自分の学校の校長が【怪盗団】の情報を欲していたことに驚いていた。新島さんは話を続ける。
鴨志田事件の顛末、及び明智吾郎との交流により、新島さんは校長への不信感を募らせた。そこに舞い込んできたのが【怪盗団】の調査依頼。新島さんは校長の命令に従いつつも、校長のことも並行して調べていた。結果、校長が大物政治家と繋がっているところまで自力で突き止めたのだという。
だが、新島さんが【怪盗団】よりも校長に注視していることが本人にバレてしまった。結果、校長は新島さんに苦言を呈した上で、報復措置――素行不良をでっち上げて保護者の冴さんに苦情を入れた。しかも、冴さんの仕事に支障が出るような長電話をして。
【廃人化】事件を追って忙しい冴さんは、新島さんに足を引っ張られたと感じたのだろう。身内から裏切られたような気持ちも抱いていたのかもしれない。冴さんは新島さんを責め立てたし、新島さんは校長への不信感や疑惑をさらに強めていったという。
そこに飛び込んできたのが、更なる依頼――“秀尽学園高校の生徒を騙して犯罪に加担させる、渋谷のヤクザ”に関する調査と解決だ。何度聞いても、新島さんの手に負えるような問題ではない。
「……しかし、いいのか? 俺達に依頼主のことまで全部喋ってしまうとは」
「いいのよ。私、今回の一件を最後に、校長とは手を切ることにしたから」
祐介の問いかけに対して、新島さんはきっぱりと言い切った。その横顔に迷いはない。
ルブランで頼れる大人達と会話をしたことが、彼女をこの道へと進ませたようだ。
「――そこまで手の内を晒したってことは、それに見合う対価を支払ってほしいってワケだね?」
僕の問いかけに、新島さんは真剣な面持ちで頷く。
「そうね。……ただ、本題に入る前に、貴女達の力を試したい。貴女達【怪盗団】が、正義を体現できる存在なのか」
「……具体的には?」
「【改心】のやり方を開示してほしいの。どのような手段を講じて、鴨志田や班目の心を変えたのか。――手順やその現場を見せてくれるなら、力を示す方法として最良だと言っておくわ」
新島さんの目は本気だった。自らの意思で、【怪盗団】の懐に飛び込んで、僕や黎達を見極めようとしている。一般人であることを捨てて、茨の道へと踏み出そうとしているのだ。
一般人が認知世界――シャドウが跋扈する【メメントス】や【パレス】に飛び込むことの危険性は、【怪盗団】であれば誰もが知っている。竜司と杏は慌てて声を上げた。
「ダメだって! 普通の人間じゃ危ないんだぞ!?」
「アタシたちだってたまに危ない目に合うんだから、会長さんはもっと危険だよ!? アタシだって実際、普通の人だったときにヤバい目にあったんだから!」
「大丈夫よ。これでも私、合気道を嗜んでいるの。自分の身くらい守れるわ」
「いやいやいや。武術がどうこうって問題じゃないんだって! 特別な力がないと、本当に命に係わるんだっての! 瞬殺されるんだって!」
「俺もそれで死にかけたことがある。……本当に危険なんだ。俺とは違って、キミには帰りを待つ家族がいるだろう?」
ペルソナ使いとして認知世界の危険性を知っている竜司や杏と、完全な一般人故に何も知らない新島さんとの会話は完全に平行線である。そこに祐介が加わったが、新島さんは頑として忠告を受け取らない。僕等は彼女達のやり取りを横目に、顔を見合わせた。
このまま平行線となった果てに話し合いが決裂した場合、新島さんは【怪盗団】の敵として立ちはだかるだろう。竜司の迂闊な電話内容によって尻尾を掴まれてしまったことを考えれば、警察志望の新島さんが証拠をスルーするはずがない。黎に確かめれば、案の定、証拠となる会話を録音されてしまっていたようだ。
校長と手を切ることは決めていただろうが、そこに追加で【怪盗団】を大人達――校長や冴さん――に売り飛ばす/突き出すことも追加されるだろう。特に前者は獅童と繋がりがある。秀尽学園高校の校長を経由で、【怪盗団】の正体は獅童の元へと届くだろう。そうなってしまえば最後、僕等は全員息の根を止められてしまう。
……冗談ではない。奴をぶちのめして【改心】させることも、奴によって着せられた黎の冤罪を注ぐこともできないまま、むざむざと死んでたまるものか。
僕はバタフライピーの紅茶を煽った後、押し問答を続ける面々の方に向き直った。
彼女達の議論を断ち切るように、僕は口を開く。
「僕は新島さんを【メメントス】に連れて行くべきだと思う。それが一番手っ取り早く彼女の願いを叶えられるからね」
「はあ!? お前、それ本気で言ってるのか!? あそこがヤバイ場所だってのは、ペルソナ使いの戦いを見てきたお前が一番知ってるんじゃないのかよ!?」
「このまま交渉が決裂した後の方がリスクが高いって話だよ。新島さんは【怪盗団】の証拠を握っている。僕等が断れば、それらは即座に関係者にばら撒かれるだろう。そうなったら最後、僕等は【廃人化】や【精神暴走】を引き起こしている黒幕によって息の根を止められる」
僕に反論してきた竜司であったが、交渉決裂が自分たちの死と直結していることを聞いて目を剥いた。
それは、校長に僕等の情報を献上しようとしていた――その件を交渉材料に使おうとした新島さんも同様だろう。
姉の冴さんが【廃人化】や【精神暴走】関係の事件を追いかけていることから、新島さんはハッと息を飲む。
「まさか、貴女達、【廃人化】の黒幕と戦うために活動しているって言うの……!?」
「最終的にはそうなる予定かな。黎含んだ【怪盗団】は、僕の協力を取り付ける対価として、そいつの【改心】を約束してくれてる」
「……その話が本当だと仮定するなら、ウチの校長もその黒幕とグルって訳なのね……」
「ならば猶更、校長とは手を切る必要がありそうね」と、新島さんは真剣な面持ちになった。この様子からして、内心は既に校長を敵認定したことは確かであろう。
竜司と杏は顔を見合わせる。祐介も難しい顔をして俯いた。怪盗団の掟は全会一致である。仲間たちの様子を見守る黎とモルガナを含めた4人と1匹が同意してくれなければ、話は平行線を辿るままだ。
ペルソナ使いとして実力を付けてきたとはいえ、【メメントス】で一般人を護衛しながら【改心】を行うというのは、【怪盗団】でも未知の領域である。戦線の影響に不安が出るのは当然の話だった。
「――なら、護衛役がいれば問題はないってことか?」
不意に聞こえてきた声に振り返る。そこにいたのは、新島さんに気を使って家を出て行ったはずの至さんだった。その隣には、スーツを着こなしたアイギスが佇んでいる。
「お久しぶりです、黎さん。吾郎さんも」
「アイギス!? なんでここに!?」
「第5世代シャドウに対する有効性を確認するための起動実験のため、暫くの間、こちらに出向することとなりました」
静かな微笑を湛えて会釈するアイギスは、対シャドウ用の人型兵器である。心を持つ――或いは、ペルソナを使うロボットと言ったほうが正しいか。
元々は桐条財閥が保有していたロボットであったが、ムーンライトブリッジで発生した事故で損傷。一度は眠りについたものの、香月姉弟が保管先の屋久島を訪れたことが理由で再起動している。
以後は【放課後特別課外活動部】――【S.E.E.S】を経て、後継組織の【シャドウワーカー】に所属するペルソナ使いとして、今日も元気に戦いを繰り広げているようだ。
御影世代のペルソナ使いと、巌戸台世代のペルソナ使いという手練れ/強力な護衛がついた――これなら、【怪盗団】は何の不安も抱かず己の仕事を全うできる。それならば、と、杏と竜司が「賛成」と元気良く宣言する。祐介も頷いた。間髪入れずモルガナと黎も頷く。全会一致の掟は果たされた。
ならば、躊躇いや憂う必要はない。急にテンションが上がった面々に付いていけなくて首を傾げる新島さんを引っ張り、【怪盗団】と僕の保護者・対シャドウ用決戦兵器を引き連れて家を出る。
新島さんの護衛役として控える位置についたアイギスだが、彼女は首を傾げて僕に問いかけてきた。
「ところで、先程は何故揉めていたんですか? 昔の吾郎さんなら、黎さんか至さんの同意さえ取れれば、周りの反応に興味関心が薄かったように思うのですが」
「僕もあの頃より成長したってことだよ、アイギス」
「なるほどなー?」
「……ちょっと待って。なんで疑問符付けた!?」
「全会一致の掟を“成長”で誤魔化した吾郎さんなら、予想はつくと思われますよ?」
……彼女はしばらく会わないうちに、中々お茶目な性格になっていたようだ。
◇◇◇
「――アテナ、アカシャアーツ!」
高威力の物理技を叩き込まれたシャドウの群れは、あっという間に蒸発していく。ここが現実だった場合、周囲が瓦礫の山になってもおかしくない破壊力だ。
アイギスのペルソナ――アテナの物理攻撃から逃げ延びたシャドウ達だが、四方八方を飛び交う銃弾――しかも、全てが曲射や跳弾だ――によって掃討される。
「ナイスです、至さん! 腕は落ちていませんね!」
「アイギスに褒められるなら、俺もまだまだ現役頑張れそうだな!」
聖エルミンのシモ・ヘイヘと呼ばれた銃の腕前を惜しみなく披露して、僕の保護者はアイギスと共に新島さんの護衛を遂行する。新島さんは傷一つ負っていない。彼女は呆気にとられたままだ。
認知世界【メメントス】に足を踏み入れてからずっと、新島さんは驚きっぱなしである。喋るマスコットから迷宮探索の脚として車に変化したモルガナ/モナの姿を皮切りに、今日だけで何度驚いたのか。
迷宮内を進めば進むほど、新島さんの表情はどんどん疲れで満ちていく。現物を目の当たりにして、新島さんはスカルやパンサーたちが言った“危険”の意味を知ったのであろう。
現在、僕達は新島さんを連れて【メメントス】を散策しつつ、溜まっていた【改心】依頼をこなしている真っ最中。残すはあと一件――小田桐先生から受けた依頼を残すのみだ。
【改心】対象者の名前は烏丸ひよりと白井安考。前者は自分の娘を脅して金を納めさせる毒親、後者は前者の恋人をしつつも娘も手籠めにしようとするクズ男だ。奴らの爆心地にいる烏丸六花は、バイト三昧で体を壊すか風俗やクズ男に体を捧げるかを選ばされ、必死になって前者の選択肢に縋り付いている状況であった。
肉体面は既にズタボロ、精神面の支えだけを頼りに生きている状態なのだろう。精神面の支えすら支えとして機能しなくなれば最後、彼女は力尽きてしまうだろう。『金を稼げなくなった』ことを引き合いに出されてしまえば、風俗堕ちかクズ男の慰み者として踏み躙られる。そうなってしまったら、本当の意味で、烏丸六花は壊れてしまう。
「煩いあの男もいなくなった。後はあの子をどうにかして、残った遺産を手に入れれば……!」
「アンタに付いて来て正解だったぜ! アンタの娘だけあって、いい顔と体してるよなあ。俺は金だけじゃなく、娘の“初物”をいつ“味わえる”かが楽しみで仕方ないんだ」
烏丸ひよりと白井安考のシャドウは、僕等が今現在探索可能なフロアにいた。奴らは恋愛関係ではなく、利害関係で結びついた外道同士の組み合わせだったらしい。
特に白井安考は、汚い欲望を烏丸六花にぶつける瞬間を今か今かと待ちわびている。「前菜程度の“つまみ食い”は何度かした」と言うあたり、何らかの理由を付けて性的な嫌がらせ――あるいは暴行をしていたのだろう。……“純潔が散らされていないだけマシ”な状況だったのか。
【改心】のタイミングがもう少し遅かったら、烏丸六花は白井安考の玩具にされていたはずだ。取り返しのつかない、一生ものの傷を負っていたかもしれない。新島さんを連れてでも、今【メメントス】に乗り込んだのは、烏丸六花を救うという点では良かったのだと思う。
「なんて奴等だ……」
「度し難い。反吐が出るとはこういうことか」
思春期の高校生と言えども、“嫌がる少女を組み敷いて壊す”だなんて、エロ同人じみたことを現実にしようと画策する馬鹿はここにいない。スカルとフォックスは嫌悪感を露わにした。
勿論、男ですら引くのだから、女性陣の殺意が天元突破するのは当然であろう。ジョーカーもパンサーも、セクハラや性的暴行という言葉に対して強い怒りを燃やしている。
僕だって、女を食い物にするクソ野郎は地雷中の地雷だ。実父の獅童を思い出して腸が煮えくり返る。母も、ジョーカーも、アイツに踏み躙られて苦しんできた人たちだから、余計に。
そんな僕達の存在に気づいた烏丸ひよりと白井安考は、自分たちの企みが露呈したことに気づき、血相変えて振り返る。
「だ、誰!? 今の話、聞かれてたの!?」
「マジかよ! さっさと口封じしないと、後で面倒なことになっちまう!」
「そうはさせるかっての!」
「――その汚い欲望、頂戴する!」
パンサーとジョーカーが息巻けば、烏丸ひよりと白井安考のシャドウは弾けるようにして姿を変えた。
2人とも同じ形状の異形――クラゲのような外見をした生き物だ――に変貌し、僕等に襲い掛かる。
「“旅するもの”か……!」
「クトゥルフ神話に登場する架空のクリーチャーで、肉体に寄生する生き物ですね。尚、場合によっては、宿主の意識を甚振ることもあるようです」
「肉体に寄生するって点も、宿主の意識を甚振る点も、まんまそれじゃない……! 魔物化した際のモチーフは、そう言う点から決まるのかしら?」
至さんの説明を補足したアイギスに、新島さんは所感を述べた。その姿が、戦場でアナライズをしていたときの山岸風花さんや久慈川りせさんの様子とよく似ているように感じたのは気のせいだろうか。
その疑問を解決する前に、旅するものどもは触手を伸ばして攻撃を繰り出してきた。モナ曰く、「奴らは触手から体力を奪い取ることを得意としている」らしい。「それも原典の“旅するもの”と深い関りがある」と零す新島さんの声をBGMに、僕達も奴らに反撃を仕掛けた。
奴らは祝福属性を弱点に持っていたため、僕のロビンフッドや黎のペルソナを主軸にして攻撃を繰り出す。他属性にも明確な耐性を持っていなかったことから、仲間たちも自分が得意な分野の攻撃を繰り出した。新島さん側に飛んでいった攻撃の余波は、アイギスのアテナや彼女の装甲、及び至さんの銃撃で相殺されている。
他のシャドウより少し固めだが、今まで相対してきたパレスの主たちと比較すれば格段に弱い。攻撃の応酬を繰り返した果てに、旅するものたちは断末魔の悲鳴を上げてはじけ飛んだ。魔物の姿を保っていられなくなった烏丸ひよりと白井安考のシャドウが再び姿を現す。奴等にはもう戦意は無くなっていたが、無様に喚き散らす程度の元気は残っていたようだ。
烏丸ひよりは嘆いていた。元々は好きでもない相手と見合い結婚をする羽目になり、子どもはできたが夫婦・家庭共に円満とは言い難く、つい浮気に走った結果、転がるように転落していった己の人生を。
白井安考は嘆いていた。禄でもない親や歴代恋人たちによって散々な人生を歩む羽目になり、金や女絡みの出来事が理由で、世間一般の幸福とは縁遠い生活を送って来たことへの不平不満を。
「あの男のせいで、あの娘のせいで、私がどれだけみじめで苦しい思いをしてきたか……! 我慢する生活なんてウンザリなのよ!!」
「幸せになるためには金が要るんだ。男として満たされるためには女が必要なんだ。両方手にしたいと望んで何が悪いんだよ!?」
「……だからって、それが“自分の娘を不幸にしていい”理由にはならないだろう」
「分かってるわ! でも、ずるいじゃない……。私達はずっと苦しんできたのに、あの子ばっかりが幸せになるなんて!」
僕の指摘を受けても、2人のシャドウは「烏丸六花が自分を差し置いて幸せになることが許せない」と叫ぶ。「烏丸六花も、自分たちと同じ――不幸にならなければ割に合わない。不平等である」との主張を曲げない。その理屈はどう考えてもおかしい。僕は勿論、【怪盗団】も誰1人として納得していなかった。
“
あまりいい言葉ではないけれど、人が成長するために必要なものの中には痛みが挙げられる。数多の艱難辛苦とぶつかり、荒波にもまれて、それを乗り越える――そうやって人は成長してきた。僕だって、ペルソナ使い達の戦いを観測する旅路を超える中で、いろんな悩みや葛藤とぶつかってきたのだ。良くも悪くも、艱難辛苦は人の在り方を大きく変える。
旅路の中で失ってしまったものがあった。神取鷹久、滅びの夢からの来訪者/『向こう側』の達哉さん、武治さん、幾月のクソ野郎――等々、もう二度と会えなくなった人もいる。だけど、別れや問題を乗り越えて、今の僕達は生きているのだ。彼等の無念や悲嘆を受け継いで、彼らが生きていたことを忘れないで、これからも生きていく。
そしていずれは、僕等も去りゆく瞬間が来るのだろう。思いを託す相手がいるか否かの未来予想図すら描けないままだけれど、いつか戦いに挑むであろう誰かに、一筋の標を残せたらいい――。
そうやって笑っていた保護者の横顔を、そう言って駆け出した保護者の背中を、僕はずっと間近で見てきたのだ。そんな姿に憧れて、そんな姿を尊敬して、僕の旅路は続いていく。
<――お前は、そのままでいろよ>
祈るような声がした。けれどそれを最後に、僕は心の海の向こうへと突き返される。
その直前に見えたのは、黄金の教皇――その影だ。“誰か”が嫌悪し、一抹の恐怖を抱く存在。
「自分の人生の帳尻を合わせるために他人をすり潰したところで、どうにもならないんだよ。精々アンタ達自身の気が済むくらいだ」
「だから――」
「でも、お前等のしたことは、もうその範疇から逸脱してしまったんだ。超えてはいけない一線を越えてしまった。――なら、その分の帳尻合わせとして、罰を受けるのは当然のことだろうよ」
尚も叫び散らすシャドウに対して、至さんは小さく肩をすくめる。“
シャドウ達はハッとしたように目を見張った後、そのまま項垂れて消えてしまった。“他人を不幸にすることで幸せになろうとした”人間の末路と言えよう。
奴らが立っていた場所に残されていたのは、数枚の原稿用紙。烏丸ひよりや白井安考が幼い頃に書いた作文だ。題材は将来の夢――未来に思いを馳せていた頃の、2人の【オタカラ】。
烏丸ひよりの夢は、好きな人と結婚して幸せな花嫁さん――ひいては優しいお母さんになることだった。
白井安考の夢は、医者になって沢山の人を助けたい――ひいては患者を笑顔にできる先生になることだった。
2人がどんな人生を歩んで、その果てに
「……夢に破れたとしても、だ。それを追いかけてた時に積み重ねてきたことまで、無意味にしてどうすんだよ」
作文を拾い上げて検分したスカルは、何とも言えない顔をしてため息をつく。陸上部のエースとして、陸上選手として走り続けるという夢を奪われたスカルだけれど、だからと言って何も残らなかった訳じゃない。彼には鷹司くんがいるし、玲司さんを始めとした頼れる大人達とも交流を重ねている。
鴨志田に借りを返したことで燻っていた過去にひと段落付けた彼だが、それがきっかけで、改めて自分の未来やこれからの在り方を考えるようになった。腐った大人に煮え湯を飲まされてきたからこそ、自分の身の振り方やペルソナ使いとしての戦いに関して色々と考えるようになったのだ。
「辛い過去が無ければ、と思わなかった訳ではない。……だが、俺にだって、受け継いだ思いがある。なかったことにしたくないと思える程、大切な出来事が」
フォックスは沈痛な面持ちで目を伏せる。アイツの手に握られていたのは、滅びの夢の来訪者――淳さんが残したガザニアの花だ。花言葉は“あなたを誇りに思う”。
班目が【改心】する少し前に、フォックスは幾つか新しい作品を描き上げた。そのうちの1つが、淳さんから渡されたガザニアを描いた『あなたは私の誇り』である。
件の絵は、何も知らない橿原さんに贈られたという。……本当に贈りたかった相手は、もう二度と会えない。けど、橿原さんにその絵を手渡したことは、無駄なことではないのだ。
「難しいと思うけど、やり直せるといいな。2人に虐げられていた子も、輝かしい夢を持っていたあの2人も」
【怪盗団】が対峙する悪党の中には、パンサーが零した通り、相手の再起を願いたくなるような人々もいる。相手の心情、その断片に触れる【オタカラ】を手にしたときは猶更だ。
「ワガハイには度し難い連中だったな。“痛みを知っているが故に、他人にも痛みを強要する”とは」
「『一緒に不幸になってくれ』ってヤツかな? プロポーズの言葉としては大分情けない気もするけど」
モナは難しそうな顔をして、烏丸ひよりと白井安考の会話を思い返しているようだ。僕はちょっとだけ苦笑する。
そんな僕等を見ていたジョーカーは、何を思ったのか、清々しい笑みを浮かべて一言。
「私が股を開く相手は生涯1人だけと決めている。勿論、クロウだ」
「待って! 待って! 何かもう色々と待って!! 嬉しいけどそうじゃなくて、そうなんだけどそうじゃないんだ!!」
「し、至上最低のプロポーズ……」
「我らがリーダーとその伴侶が起こした“ラウンジの攻防戦”を彷彿とさせますね! 折角なのでライブ中継します!」
「やめてやって!!」
黎が落とした史上最低な(事実上の)プロポーズに、僕の頭内が爆発した。ここから数分間の記憶はよく思い出せないが、ただひたすら『違う、そうじゃない』、『こんなプロポーズは嫌だ』と訴え続けたことだけは確かだ。
記憶の断片で、顔を真っ赤にして狼狽える新島さんと、爛々とカメラアイをぎらつかせるアイギスやそれを止めようと奮闘する至さんの姿が残っている。僕が落ち着いたときにはもう、保護者と恋人と対シャドウ兵器以外が揃って死んだ魚みたいな目をしてモナカーに乗り込んでいくところだった。
そんなこんなで、【イセカイナビ】を起動し、僕達は【メメントス】から脱出する。
新島さんはもう既にへろへろではあったが、今回の来訪だけで、認知世界の仕組みを大体理解していた。彼女の優秀な頭脳は、今回の【メメントス】探訪で“認知世界の仕組みを悪用すれば、昨今を騒がせている【廃人化】や【精神暴走】を引き起こすことができる”と弾き出したようだ。――同時に、僕等のやり方と奴らのやり方は、世間一般で言う『外方』であることも。
今回の【メメントス】探訪で行った【改心】は、新島さんの要望に添えていたと言える。後は数日以内に発生するであろう【改心】の結果を持って、新島さんにその成果/証拠を挙げれば、取引・第一段階の達成である。【メメントス】で行う【改心】のタイムラグは不定期であるものの、【パレス】攻略後の【改心】と比較すれば充分早い。その旨を新島さんに告げれば、彼女は納得したように頷いた。
「ターゲットのいずれかが【改心】したのを確認し次第、次の話に移らせてもらう。それまで、校長のことは適当に煙に巻いておくから」
「そっちの方は任せるよ」
新島さんは満足気に微笑み、黎と握手を交わす。そうして、そのまま意気揚々と帰路についた。僕等も現地解散して帰路につく。
至さんから聞いた話では、「アイギスは桐条財閥関連企業が用意した拠点に身を寄せ、暫くは認知世界で起動実験を行う」そうだ。
……“もしかしたら、またアイギスの力を借りることになるかもしれない”――どうしてか、僕にはそんな予感がしたのだ。
***
――その翌日。
『烏丸の母親が、各機関に虐待の証拠を提出したそうだ。恋人共々、警察に自首したらしい』
小田桐先生が僕を呼び止め、真剣な面持ちでそう告げた。新島さん用に提出する証拠として、僕はこっそり会話を録音しておく。
そんな僕の行動など知ってか知らずか、小田桐先生はふっと破顔した。
『……色々思うところはあるが、僕はキミを信じているからな』
颯爽と去っていく小田桐先生の背中を見送り、僕は高校生としての1日を送る。
『明智くん。わたしの母親と、その恋人に何かしたの?』
小田桐先生の次に声をかけてきたのは烏丸六花であった。時間は放課後に入ってすぐのこと。
彼女は母親とその恋人の豹変っぷりに、強い不信感と嫌悪感を抱いているようだった。
僕がそれを否定すれば、彼女は顎に手を当てて考え込む。……僕の癖とよく似た動作だ。
『あの変わりっぷりは異常だったよ。まるで、誰かに洗脳されたみたいだった。秀尽学園高校の鴨志田の話は“彼”から聞いてたけど、それと同じ感じがしたんだ』
『確かにわたし、母やその恋人との仲は良好ではなかった。……けど、人格や思考回路を無理矢理書き変えられたような姿を見たかった訳じゃない』
『そんな風に作り替えられた2人から謝罪されても、正直言って反吐が出る』
『“彼”は【怪盗団】肯定派だから、今回の一件が【怪盗団】絡みだと思って、わたしが助かったことを喜んでくれた。――それだけは、感謝してもいいかもね』
烏丸六花は、大衆向け用の僕や智明と同じ【怪盗団】反対派のようだ。故に、烏丸ひよりと白井安考の変貌に対して不信感を滲ませるに至ったのであろう。
最終的に、烏丸六花は母親と別々に生活をする予定なのだとか。暫くはその手続きで忙しくなるらしい。――それだけ言い残し、彼女は踵を返して去っていった。
新島さんの言った条件は、これでクリアできるだろう。……さて、彼女が【怪盗団】に望むことは何だろうか。
――これは、どこかの世界線の話。
「以前から気になっていた生徒がいるんだ。3-A組の
――
両親は幼い頃に離婚し、母子家庭育ち。しかし、つい先日に母を亡くし、父方の方へと引き取られる。但し、姓は母親の旧姓のままだ。
それもそのはず、父方の家族は母親や烏丸吾郎のことを“望まない妊娠、及び結婚”と認識しており、2人に対して冷たく当たっていた。
終いには、母を亡くして路頭に迷った烏丸五郎を、祖母の介護や後妻・娘の召使として使い潰している。しかも、後妻も娘も我儘放題のモンスター親子だ。疲弊するのは当然と言えた。
「小田桐先生。烏丸
「……明智
――
―――
金城パレス編、今回は新島真INメメントスパート。原作やリメイク前とは全く違う方向性に舵を切りました。真との仲が良好になった結果、開拓されたルートとなっています。
他にも、魔改造明智の関係者達に関するアレコレがてんこ盛り・すし詰め状態になっています。小田桐先生のメメントスミッション、魔改造足立の家族関係、双子との邂逅等もそれに当たりますね。
原作及びリメイク前とは違ったルートで始まる金城パレス攻略ですが、この路線を保ったまま原作に合流する予定です。――そこに辿り着くまで、沢山紆余曲折するんだろうな。
今回のあとがきSSは別の世界線&可能性のひとつ。別作品で女体化明智を扱っていた際、当時は「唯花」という字面で「いつか」読みの名前を使っていました。
大分昔に、どこかの命名サイトで「
色々考えなおした結果、今回の名前――「
……P5S編、魔改造明智♀と魔改造ジョーカー♂の組み合わせでも楽しそうですよね。いや、魔改造明智♀と原作ジョーカー、魔改造明智と原作ジョーカー♀も楽しそう。