Life Will Change -Let butterflies spread until the dawn-   作:白鷺 葵

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【諸注意】
・各シリーズの圧倒的なネタバレ注意。最低でも5のネタバレを把握していないと意味不明になる。次鋒で2罪罰と初代。
・ペルソナオールスターズ。メインは5系列<無印、R、(S)>、設定上の贔屓は初代&2罪罰、書き手の好みはP3P。年代考察はふわっふわのざっくばらん。
・ざっくばらんなダイジェスト形式。
・オリキャラも登場する。設定上、メアリー・スーを連想させるような立ち位置にあるため注意。
 名前:空元(そらもと) (いたる)⇒ピアスの双子の兄。武器はライフル、物理攻撃は銃身での殴打。詳しくは中で。
 名前:霧海(むかい) (りん)(旧姓)⇒影時間終了後の巌戸台で出会った少女。現在の本名や詳細については中で。
・歴代キャラクターの救済および魔改造あり。オリキャラ同然になっている人物もいるので注意してほしい。
・一部のキャラクターの扱いが可哀想なことになっている。特に、『普遍的無意識の権化』一同や『悪神』の扱いがどん底なので注意されたし。
・アンチやヘイトの趣旨はないものの、人によってはそれを彷彿とさせる表現になる可能性あり。他にも、胸糞悪い表現があるので注意してほしい。
・ハーメルンに掲載している『Life Will Change』をR・S・グノーシス主義要素を足してリメイクした作品。あちらを読んでいなくとも問題はないが、基本的な流れは『ほぼ同一』である。
・ジョーカーのみ先天性TS。名前は有栖川(ありすがわ)(れい)
・徹頭徹尾明智×黎。
・歴代主人公の名前と設定は以下の通り。達哉以外全員が親戚関係。
 ピアス:空元(そらもと) (わたる)⇒有栖川家とは親戚関係にある。南条コンツェルンにあるペルソナ研究部門の主任。
 罪:周防 達哉⇒珠閒瑠所の刑事。克哉とコンビを組んで活動中。ペルソナ、悪魔、シャドウ関連の事件の調査と処理を行う。舞耶の夫。
 罰:周防 舞耶⇒10代後半~20代後半の若者向け雑誌社に勤める雑誌記者。本業の傍ら、ペルソナ、悪魔、シャドウ関連の事件を追うことも。旧姓:天野舞耶。
 キタロー:香月(こうづき) (さとし)⇒妻・岳場ゆかりが所属する個人事務所の社長であり、シャドウワーカーの非常任職員。気付いたらマルチタレントになっていた。
 ハム子:荒垣(あらがき) (みこと)⇒月光館学園高校の理事長であり、シャドウワーカーの非常任職員。旧姓:香月(こうづき)(みこと)で、旦那は同校の寮母。
 番長:出雲(いずも) 真実(まさざね)⇒現役大学生で特別調査隊リーダー。恋人は八十稲羽のお天気お姉さんで、ポエムが痛々しいと評判。

・一部の登場人物の年齢が、クロスオーバーによる設定のすり合わせによって変動している。

・普遍的無意識とP5ラスボスの間にねつ造設定がある。
・【改心】と【廃人化】に関するねつ造設定がある。
・春の婚約者に関するねつ造設定と魔改造がある。因みに、拙作の彼はいい人で、春と両想い。名前は宝条(ほうじょう)千秋(ちあき)、外見は原作の『春のフィアンセ』と同じ。詳しくは中で。



黒猫潜入、或いは決意

「吾郎、今日も忙しくて会議に参加できないって」

 

 

 【怪盗団】絡みの案件――もとい、黒幕である獅童正義の元でスパイ活動をしている恋人・明智吾郎からの連絡を受けた【怪盗団】のリーダー・有栖川黎の表情は晴れない。

 

 ここ最近、【怪盗団】人気と【怪盗お願いチャンネル】の支持率は鰻登り。街を行けばどこもかしこも【怪盗団】の話題で持ちきりだ。それと同じくらい、【怪盗団】の対抗馬として担がれていた探偵王子の弟子・明智吾郎に対する批判や罵詈雑言が目立っていた。彼の支持者がいないわけではないが、その声援はアンチによってかき消されつつある。

 【怪盗団】が有名になればなる程、その対抗馬として活動している吾郎が多忙になるのは致し方のないことだ。特に、授業が無くて比較的フリーだった夏休みの大半が、警察への捜査協力と獅童の命じた強行軍によって潰れている。数少ない自由時間は1学期の出席日数稼ぎのために使われ、実質的な休み期間は雀の涙程度だった。

 

 

「そりゃあ忙しいよな。【廃人化】が発生する件数、4月のときより増えてるんだろ?」

 

「しかも、その大半が奥村邦夫の関係者だ。神取のヤツがわたしたちに齎した情報通り、獅童と子飼いの『駒』が暗躍してるっぽい」

 

 

 竜司はしかめっ面を浮かべてスマホの画面を見つめる。配信で放送されていた討論番組には、司会者と共演者からキツい言葉を向けられている吾郎が映し出されていた。

 吾郎本人は苦笑するだけで留めているつもりなのだろう。だが、親しい者が見れば、口元が戦慄いているのが良く分かる。彼は今、苛立ちと疲労を色濃く滲ませていた。

 そんな映像をBGMにしつつ、双葉はPCを操作していた。画面には“ここ最近で発生した【廃人化】事件と思しき案件の被害者達”の名前がリストアップされている。

 

 獅童派の人間として暗躍していた神取は、奴等が次に狙うであろう人物の名前を教えてくれた。1人はつい先日バスジャックの余波で事故に巻き込まれ、意識不明に陥っている秀尽学園高校の校長。もう1人が、現在獅童と警察から別ベクトルで目を付けられているオクムラフーズ社長・奥村邦夫だ。

 前者の【改心】は既に成功しており、【廃人化】による死を回避することができたはずだった。それを把握していたからこそ、獅童の『駒』は外部的な要因で校長を葬り去ろうとしたのであろう。後者は未だ手つかずの状態である。このまま放置すれば【廃人化】されて死に追いやられるだろうし、【改心】に成功しても校長の二の舞になる可能性があった。

 

 祐介、杏、真が憂いを募らせる。3人はスマートフォンのネットニュース――内容は『バスジャック事件の被害者』関連――を眺めていた。

 

 

「俺達【怪盗団】が出来ることは、異世界を介した【改心】だけだ。残念ながら、それ以降は手を出すことが出来ない」

 

異世界(あっち)ではペルソナで戦えるけど、現実世界のアタシ達はフツーの高校生だもんね……。現実世界(こっち)側からもアプローチしないと、校長みたいにされちゃうってことでしょ?」

 

「校長の件は本当に『運が良かった』としか言えないケースなのよね。奥村邦夫を【改心】させたとしても、校長と同じような目に合わされるのは確定でしょう。――けれど、校長のように生き残るとは限らない」

 

「現実世界でペルソナを顕現できる能力者は、ワガハイ達の知っている限り、第1世代から第2世代だけだ。3世代と4世代目は特殊な条件下じゃないと顕現できない代わりに、“現実世界の身体能力が常人より大幅に上昇している”らしいが……」

 

 

 「現実関係は“大人達に託す”ってのも手だろう」――黎や吾郎、或いは空元兄弟含んだ先輩達から聞いた話を諳んじたモルガナは、現状を分析しながら締めくくった。

 実際、異世界では今を時めくペルソナ使いとしてブイブイ言わせている【怪盗団】だが、現実世界では普通(ただ)高校生(子ども)。モルガナに至っては(外見が)猫である。

 いつかは人間に戻ることを目的としているが、未だにその目途は立っていない。勿論、人外故に、人間よりも出来ることは限られている。……それが酷くもどかしい。

 

 

(マコト(クイーン)は【怪盗団】のブレーンとして作戦立案能力に秀でてるし、フタバ(ナビ)はペルソナや母親の研究内容も相まって異世界に対する造詣が深い。アナライズはマコト、ナビゲートはフタバが、ワガハイのペルソナよりも圧倒的に優れている。今の【怪盗団】には欠かせないメンバーだ)

 

 

 夏休みが明けてから、モルガナは何度も自身にそう言い聞かせてきた。だけど、2人がメンバーに加わる前――【怪盗団】が発足した頃は、モルガナがアナライズとナビゲートを兼任して【怪盗団】を導いてきた。あの頃の方が、自己肯定感や充足感は遥かに上だった。

 戦闘だけでなくアナライズにも優れる真や、ナビゲート役に特化した双葉の存在を否定したいわけではない。けど、2人の加入によってモルガナの立ち位置が“【怪盗団】のマスコット”――もとい、お飾りになってきたことに焦燥感を覚えるようになってしまったのだ。

 

 相棒の黎はモルガナのことを「大切な仲間だ」と惜しみない賛辞をくれる。それがとても嬉しいのも事実だ。

 ……ただ、それに甘えてばかりの己に対して嫌悪感や無力感を覚えてしまうだけで。

 

 

「被害者の大半が奥村邦夫の関係者ってことは、それ以外の人間もいるってこと?」

 

「うん。件数は少ないけど、共通点は“【怪盗団】の熱烈なシンパ”だ。【怪盗お願いチャンネル】にもアクセスした記録がある」

 

 

 パソコン画面を覗き見た黎に対し、双葉が二つ返事で頷いて内容を示す。表示されているのは【怪盗お願いチャンネル】の書き込みとアクセス解析画面だ。

 

 双葉の解説から内容を纏めると、今画面に表示されている書き込み――内容は『【怪盗団】こそが正義』、『自分達も、正義を示した【怪盗団】に続け』等――は、【廃人化】事件に関わった“【怪盗団】のシンパ”によるものらしい。

 現在、【怪盗団】の支持率は6割強~7割弱を前後している。民衆の多くが【怪盗団】を支持しており、【改心】を肯定的に捉えていた。彼や彼女達の熱狂は凄まじく、【怪盗お願いチャンネル】には日夜【改心】の依頼と【怪盗団】への熱狂っぷりが書き込まれていた。

 この様子を見ていた双葉は件の狂乱っぷりを『祭り』と称したが、まさしくその通りだ。中には『悪人は全員【怪盗団】に【改心】して貰えばいい』や『誰でもいいから偉い奴の謝罪が見たい』という過激な書き込みもある。

 

 【怪盗団】の発足と初志を見ていたモルガナには薄ら寒い光景だった。

 背中を走る悪寒に慄くだけでなく、憎悪にも似た憤怒が沸き上がってくる。

 

 

(レイが【怪盗団】を始めたのは、こんなヤツ等のためじゃない。こんな、()()()()()()()()()()()()()()達のためなんかじゃ――!?)

 

 

 ずきり、と、頭が痛む。モルガナの中でフラッシュバックしたのは、ノイズ塗れの断片的な光景だ。

 逆光で顔が見えない老紳士。闇の底から何かの影を象って現れた生き物と、金色に輝く双瞼。

 そして――機械仕掛けの巨大な“何か”とその“御使い”や、白銀の光を放つ“聖なる杯”。

 

 【改心】専門のペルソナ使いたるモルガナには知り得ぬ光景だった。故にモルガナは確信する。『今見えたのは、失われてしまった過去――嘗てのモルガナであれば理解できたであろう光景だ』と。

 

 しかし、モルガナが思い出せたのはそれだけだった。

 後はただ、強い痛みを感じるばかり。

 

 

「っぐ……!」

 

「モルガナ、大丈夫?」

 

「……悪い、平気だ。過去の断片を思い出しただけだから。――最も、『今のワガハイじゃ分からない』ことが殆どだがな」

 

 

 「オクムラの件とは関係無さそうだから、気にしないで話を続けてくれ」と促せば、黎達は心配そうな面持ちを浮かべて顔を見合わせる。それをどうにか説き伏せれば、彼女や彼等は議論を再開させた。

 

 

「いつもは裏取りしてから【改心】するけど、奥村の場合はどうする? 『悪人かどうかはさておき、大至急【改心】させる必要がある』なら、今回は省くか?」

 

「方針に関しては竜司の言う通りだが、裏取り調査はしておくべきだろう。世間が悪人と認識していたとて、実際に悪人であるか否かは分からないからな」

 

「あ、そっか。双葉のときみたいに『悪人ではないけど【パレス】が出来た』場合もあり得るもんな」

 

「……流石に直近の話なんだから、覚えてるのが普通だろ」

 

 

 祐介の話を聞いた竜司は納得したようにポンと手を叩く。それを聞いた双葉はジト目で竜司を見返していた。

 

 “【パレス】持ち”や“【パレス】を形成するであろう【オタカラ】の予備軍”を有するシャドウの多くは、大なり小なり心の歪みを抱えている。多くの場合、心の歪みは悪意や悪事という形で発露されることが多い。実際、【パレス】を有していた連中や【メメントス】を徘徊してたシャドウ共も、悪事に手を染めて無辜の人々を虐げていた。

 しかし、『心に歪みを抱えている人間』だからと言って、そいつが『悪党である』とは限らない。具体的には、双葉のようなケース――当人は悪党ではないが、何らかの事情で心が歪んでしまったために【パレス】が形成された――もあり得る。その場合、【パレス】側の仕掛けが暴走するのだ。シャドウ本人でも制御できないとなると、それはそれで厄介である。

 黎達が修学旅行で羽を伸ばしている間に、双葉とモルガナは奥村について調べていた。その一環で、『奥村が【パレス】を有している』ことまでは突き止めている。但し、【パレス】へ侵入するためのキーワードまでは入手できなかった。これについては、奥村邦夫本人、或いはその関係者から情報を聞き出して類推するしかない。

 

 【怪盗団】の掟は全会一致。この場にいる全員は、『奥村邦夫を【改心】させる』という方針で一致している。

 この場に来てはいないものの、神取から情報を齎された当人である吾郎も、この方針に同意するはずだ。

 

 

「掟に関しては、暫定または推定での全会一致ってことになるよね。後で吾郎に確認してみるよ」

 

「うん。お願いね」

 

「方針については決まったけど、どうやって裏取りするの? 奥村社長の懐に飛び込むには、アタシ達、ツテもアテも持ってないよね」

 

 

 黎と真が吾郎への伝言について話を付けていた横で、杏が顎に手を当てて俯いた。彼女の懸念はごもっともである。今までの【パレス】攻略には、ターゲットと関りを持つ協力者や繋がりがある人物がいた。

 鴨志田のときは被害者生徒である竜司と杏、或いは三島や鈴井志帆。班目のときは唯一残った弟子の祐介、或いは元弟子の中野原。金城のときは調査を依頼されていた真。

 双葉のときは双葉本人、或いは彼女の養父にして黎の保護観察をしていたルブランのマスター・佐倉惣次郎。――協力者の多くがペルソナ使いとして覚醒し、【怪盗団】に加わっている。

 

 今まではなし崩し的な形で、協力者やその関係者と縁を結ぶことが多かった。それが上手い具合に嚙み合ったからこそ、例えギリギリの状態であっても、【改心】を成功させることが出来たのだ。

 しかし、今までが上手くいったからと言って、今回もターゲットと関係が深い協力者を得られるとは限らない。『奥村邦夫の内部事情を知る人間とどうやってコンタクトを取るか』が問題となる。

 

 やはりそう易々とはいかないか――モルガナがそう思って肩を竦めたとき、PCを操作していた双葉が得意げに笑った。

 

 

「突破口はあるぞ。奥村社長の娘が秀尽学園高校に通ってる」

 

「マジかよ!? 学年と名前は!?」

 

「奥村春。クラスは3年◇組、出席番号は**番だ」

 

「灯台下暗しってヤツか……」

 

 

 双葉の言葉に釣られてPC画面を覗き見た竜司が「あっ」と声を上げる。どうやら竜司は、奥村春の写真画像に覚えがあるようだった。

 それに釣られてPC画面を覗き見たのは真だ。ターゲットの存在が自身の身近にあったという事実に驚いていた彼女は、写真画像を見て更に驚愕の色を深める。

 

 

「私、彼女を何度も見かけたことがあるわ。修学旅行の引率役としても参加してた!」

 

「そうだよ! この人、ハワイに来てた! こんな形でアテが出来るだなんて!」

 

「奥村さんがオクムラフーズの社長令嬢だったとはね。いい所のお嬢様とは聞いていたけど……」

 

 

 突破口を得たと悟った杏がパッと表情を輝かせる横で、真は真剣な面持ちで考え込んだ。

 

 秀尽学園高校の内部情報に精通していた生徒会長さえ、件の3年生が奥村邦夫の娘――オクムラフーズの社長令嬢であると知らなかったのだ。この情報については、学校全体に箝口令が敷かれていたのだろう。鴨志田の悪行とは別ベクトルで厳重に扱われていたことは明らかである。

 実際、明智吾郎のケース――芸能人として生活した場合のメリットとデメリットについては、すぐ傍で目の当たりにしてきたのだ。奥村春の場合は『奥村社長の関係者=娘』というワンクッションがあるとはいえ、吾郎と大差ない目に合っていることは容易に想像がつく。

 ……いや、『奥村邦夫と関係を持つための踏み台にされる』という意味では、吾郎より厳しい立場にあるのかもしれない。『父親が有する地位と権力のおこぼれに預かるために集って来た人間と対峙させられ続けた』と考えると、心の壁は分厚そうだった。

 

 奥村春の立場について箝口令が敷かれたのも、『学生生活くらいはせめて、そういう連中と対峙して心をすり減らすことのないように』という配慮があったためだろう。

 彼女が置かれている立場的に、そういう人間を見分ける眼力はありそうだ。“自分が奥村邦夫と繋がるためのツテ扱いされている”と察した瞬間、近づいてきた人間をあしらうことは目に見えている。

 

 

「奥村社長へのアテはできたが、娘さんも只者ではなさそうだな。社長令嬢として社交界を出入りしているなら、必然的に、人と接する機会が多くなる。故に、人の本質を見抜く眼力が鍛えられるのは道理だ」

 

 

 「班目も、大なり小なり社交界を出入りしていたからな」と呟く祐介の眼差しはどこか遠い。金のために贋作づくりに励んだ虚飾の殿様は今、自分の余生をかけた長い償いの日々を始めている。

 班目の【改心】から数か月が経過したが、祐介は全てを割り切れた訳ではないようだ。【改心】直後よりは落ち着いた面持ちをしているだけで、心の内には激情を抱えているのかもしれない。

 師匠と過ごした日々の多くがゴミと化したのは事実。でも、彼が憧れた『サユリ』に込められた想い――母が息子へ託した愛は本物だ。ルブランに飾られた絵を見つめる祐介の横顔に迷いはなかった。閑話休題。

 

 有名企業の社長である奥村邦夫もそうだが、彼の娘である奥村春に近づくのも容易ではない。何せ、自身の金や権力を狙う輩とバチバチの腹芸を繰り広げているのだ。

 2人との距離をどうにか縮めて【改心】に成功したとしても、春が“自分は父親に近づくための踏み台にされた”と認識してしまった場合、どう動くかは完全に未知数である。

 

 オクムラフーズの社長令嬢という肩書と、それに付随するであろう数多のツテが火を噴けば――【怪盗団】とその関係者や協力者達を根こそぎ一網打尽にすることが可能だ。

 

 

「“レイを嵌めた張本人であるシドーとの決戦”が控えてる以上、オクムラの【改心】で娘に遺恨を残すのは問題だな。ハルの件は一旦保留にした方がいいのかも知れねぇ」

 

「……だな。奥村のことは早く【改心】して獅童の魔の手から解放してやりたいけど、その娘さんを悪戯に傷つけるなんて真似したくないし」

 

「リュージ……」

 

 

 考えるよりも行動に移すことを信条にしている特攻野郎――それが、モルガナの知る坂本竜司という男だ。人を虐げて嗤う理不尽の権化に対して義憤を募らせ、それを打ち砕くことに心を傾けがちな男が、駆け出してしまいたいのをぐっと堪えている。4月に初めて出会った頃の竜司だったら、きっと形振り構わず突っ込んでいったことだろう。

 モルガナの知らない所で、竜司はペルソナ使い達との交流を深めていた。この前は、彼等――城戸玲司、天田乾、荒垣真次郎が筆頭だ――のサポートのおかげで、母親の誕生日を無事に祝うことができたらしい。ささやかな日常の積み重ねが、【怪盗団】としての作戦会議や活動に大きな影響を与えていたようだ。モルガナはひっそり感嘆する。

 

 【怪盗団】の作戦会議は続いたが、結局、最終的な結論は「現時点では様子見」だった。ある意味では時間切れとも言える。

 時計の針は既に夕飯時を過ぎていた。これ以上話し合いを続けてもいい案が出て来るとは思えないし、明日の授業等にも悪影響だ。

 仲間達が帰っていく背中を見送り、モルガナと黎は屋根裏部屋に戻る。世間話もそこそこに、2人は明日に備えて眠りについた。

 

 ――その日、モルガナは夢を見た。

 

 黒い猫が誰かと言い争いを繰り広げた末に、「役立たず」と罵倒されたことで意地を張り、何処かへ飛び出していく夢だった。

 

 

 

***

 

 

 

 ここ数日で、奥村春の周辺は劇的な変化を迎えたらしい。“奥村春がオクムラフーズの社長令嬢だとバレた”ためだ。どうやら生徒の中に“身内がオクムラフーズの元社員だった”人物がいて、身内の死について奥村春に突っかかったことが理由らしい。

 寸でのところで竜司が割り込み、その生徒を追い払ったおかげで奥村春は無事だったようだが、周囲が彼女を見る目が180度変わったのは言うまでもない。何せ、奥村邦夫の悪評――従業員をゴミのように使い潰すブラック企業の社長――は世間一般に広まっている。

 

 

『奥村さんに関する第一印象は“浮世離れした雰囲気はあるけど、大人しくて上品な人”だったわ。でも、今の彼女、どことなくふさぎ込んでいるように見えるの』

 

『……今の状況じゃ無理もないわね。双葉のときみたいに、人間不信になって部屋に閉じこもってもおかしくない。学校に来ているのが奇跡だと思う』

 

 

 真の横顔は憂いを募らせていた。今日一日という短期間と言えど、奥村春に向けられた人の悪意を目の当たりにしたためだろう。しかもその悪意は片鱗でしかないのだから、憂いが募るのは当然と言える。

 幾ら社交界で人の悪意や欲望と対峙しているとて、奥村春は【怪盗団】同様、普通の高校生である。慣れているからと言って疲弊しない訳ではない。正義の名探偵でさえ、ストレスで体調を崩したのだ。

 生徒達からの悪意に晒されることを覚悟で奥村春が登校しているのは、世間が求めている責任の果たし方――オクムラフーズの社長令嬢としての覚悟と矜持からなのか。

 

 現実世界のモルガナは単なる猫でしかないので、奥村春が何を考えているかは分からなかった。

 

 唯一分かるのは、彼女は淑女として気高くあろうとしていることくらいだ。

 モルガナ自身もまた、紳士として振る舞おうと努力しているが故に。

 

 

『奥村先輩、助けに入った俺や真に対しても壁を作ってるっぽいんだよな』

 

『俺達を余計なことに巻き込まないためなのか、俺や真のことも信じられないでいるのかは判断つかねぇけど』

 

『この調子だと、誰が話しかけても結果は同じになるんじゃね? 距離置かれて、そのまま八方塞がりコース』

 

 

 【怪盗団】の中で一番猪突猛進ではあるが、直観力が優れているのが竜司という男だ。そんな彼が明確に『奥村春が自分達に壁を作っている』と感じる程、彼女のガードは固くなっているのだろう。しかも、竜司は無自覚ながらも『誰が奥村春と接触しても、最終的には踏み込み切れず時間切れになってしまう』予感を抱いている。

 

 奥村春が置かれた状況も、【怪盗団】が置かれている状況も、方向性は違えど崖っぷちだった。前者はいずれ民衆達による行き過ぎた鉄槌によって袋叩きにされ、その果てに潰される危険性がある。後者は、【改心】が失敗すれば獅童への足掛かりを失うだけでなく、奴に利用されている奥村社長をむざむざ死なせてしまう。

 一刻も早く手を打たねばならないが、今の奥村春に誰かを信じる心の余裕はあるだろうか。真や竜司から話を聞いただけでも、『このままにしてはおけない』という焦燥が募っていく。かといって、同じ学校に通うだけの生徒でしかない黎達に出来ることは殆ど無かった。秀尽学園高校組がそうなら、他校生である祐介や絶賛引きこもり中の双葉は言わずもがなである。

 

 その日も、会議は踊るだけ踊って終わってしまった。真面目に議論を重ねていればいる程、時間が過ぎ去っていくのが速く感じる。

 仲間達を見送ってルブランへ戻ったモルガナは、いつも通り、惣次郎から店じまいを引き継いだ黎の後片付けを見守っていた。

 モルガナの姿を見た惣次郎は、どこか口惜しそうにボヤキを零す。『猫は気まぐれだって知ってるけどよ』と前置きしたが、納得はしていないらしい。

 

 

『夏休み頃からここに来る親子連れがいてな。『今日も猫ちゃんに会えなかった』って帰ってったんだよ』

 

『その落ち込みっぷりを見てると、どうしてか放っておけなくてなぁ……』

 

『近々、また看板猫として手伝って貰いたいんだ』

 

『なあ、黎。俺の代わりに、コイツに交渉してくれないか?』

 

 

 ――惣次郎が黎にそんなことを頼んできた瞬間、彼女の瞳が『天啓を得た』と言わんばかりに輝いた。

 

 

「今日から暫くよろしくね、モナちゃん」

 

 

 その結果がこれ――“訳アリの猫を装い、奥村家に潜入する”――である。

 

 ふわふわと微笑んだ奥村春に頭を撫でられ、モルガナは「にゃあ」と可愛らしく鳴いて見せた。淑女の部屋で暫く過ごすという事実に内心「はわわ」となっているが、単なる猫を演じるためには羞恥で委縮している暇はない。

 伊達に短期バイト(報酬は海鮮系の食材や料理)で喫茶店の看板猫をやってる訳じゃないのだ。演技指導は今を時めくマルチタレント・香月理とその妻ゆかり、及び旧【S.E.E.S】における元祖マスコット・コロマルという錚々たる布陣が揃っている。

 

 今のところ、奥村春はモルガナの行動を不審がる様子は無かった。その様子に安堵しつつ、春の部屋を散策する。

 上流階級の淑女の部屋ではあるが、奥村邦夫の悪事の証拠になるようなものは何一つ存在していなかった。

 気になるものがあるとするなら――オクムラフーズに関する悪評を纏めたスクラップが、机の片隅に置かれていることくらいで。

 

 

「……成程。ハルは『オクムラの悪事に関わってはいないが、オクムラと会社の悪評を気にしてる』ってトコか」

 

「あっ。駄目よモナちゃん、それは大事な物なの」

 

 

 娘は父親の罪に加担していないことの確証は、これで掴めた。

 しかし、スクラップを読み進めるのに夢中になって春に咎められてしまう。

 

 

「でも不思議。さっきのモナちゃん、本当に『新聞を読んでる』って感じがしたわ」

 

 

 「本当に読めているかどうかは分からないけれど、この子は頭がいい子なのね」――のほほんとした調子で零した春の独り言に、モルガナは思わず身構えそうになった。

 まさか悟られてしまったのかと不安になったが、春は先程のモルガナの行動を『頭がいい猫』、『悪戯猫』から発展させることはなかった。

 不信感に繋がらなかったことに安堵しつつ、モルガナは証拠集めを続ける。勿論、“訳アリの猫”を演じながら、だ。効率は下がるが致し方ない。

 

 春と一緒に奥村家を散策する。此度のターゲットである奥村邦夫は仕事で忙しいらしく、春と顔を合わせても、慌ただしくリビングから出て行ってしまった。父親の背を見送る春の横顔はどこか暗い。

 家にはお手伝いさんが常駐しているとはいえ、彼/彼女達の表情もどこかよそよそしかった。様子を伺う限り、家の中でも彼女は孤独を感じているらしい。モルガナが顔を覗き込めば、春は苦笑した。

 

 

「慰めてくれるの? ……ふふ、優しいのね」

 

 

 モルガナを撫でる手は、どこまでも優しい。憂いと強がりに満ちた笑い方には覚えがある。4月に居候として黎の元へ押しかけたとき、彼女もこんな風に笑っていたか。

 

 あの頃の黎は冤罪を着せられ、地元を追われて来たばかり。吾郎や至達のような味方がいたが、保護司の惣次郎からは冤罪時の罪状――暴行罪から警戒されていた。おまけに学校では、前科の話が尾ひれ付きで広まっている始末。誰も彼もが黎のことを遠巻きにして、前科持ちの危険人物と無責任に囃し立てていた。

 あれから半年近い時間が過ぎ去った。担任教師の川上や生徒会長の真、特待生の芳澤姉妹――主に妹のすみれと取引関係を結んだことや、授業での正答率の高さや定期・期末テストで学年首位を独走する姿から、4月に抱かれていた悪印象は徐々に払拭されつつある。黎の人柄が上方修正されているのは感じたが、前科の件に疑問を持つ人間はあまり増えなかった。

 『あの頃は、モルガナが傍にいてくれたのが心強かった』と笑った黎の表情を思い返す。『東京に来たとき、日常生活で安心して笑える日が来るとは思ってなかった』と零した彼女の言葉に心底安堵した次の瞬間、吾郎が凄い顔をしてこちらを睨んできたときのことが連鎖的に頭をよぎった。とんだ副作用である。閑話休題。

 

 

「……オマエの周囲には、誰もいないのか」

 

 

 がらんどうのリビングに視線を巡らせ、モルガナは思わず零した。モルガナの声は春に聞こえるはずもないので、春は気にせずモルガナを撫で続ける。普段のモルガナなら抵抗したけれど、今は潜入中の身。更に言えば、孤独の中でも気高くあろうとする淑女の心が休まる様に心を砕くのも紳士の務めだ。

 暫し大人しく撫でられ続けたモルガナだったが、春の手が止まる。彼女のスマホに着信を告げる光が瞬いた。春はスマホを手に取り、誰かと話し始める。スマホ画面に表示された名前は宝条(ほうじょう)千秋(ちあき)。春が表情を綻ばせた様子からして、宝条千秋という人物は心許せる相手のようだ。

 

 電話越しの相手へ微笑む春の横顔には既視感があった。

 電話越しに吾郎と語らう黎が、思いを馳せるときに見せる横顔とよく似ている。

 

 

「成程。前言撤回だな。レイにとってのゴローみたいなヤツがいるってんなら大丈夫そうだ」

 

「――え? どうしたの千秋さん?」

 

 

 モルガナが苦笑したとき、ワンテンポ遅れるような形で春の様子が変化した。彼女は困惑の色を浮かべている。千秋が春と何を話しているかは分からないが、千秋側が何か切羽詰まっているらしい。

 

 終始困惑の色を隠しきれなかった春であったが、最後は「待ってます。千秋さんも気を付けて」と言って電話を切った。その口ぶりからして、“婚約者が急遽家に来ることになった”ようだ。

 程なくしてインターホンが鳴り響き、来客が現れる。リビングに飛び込んできた青年が、春の婚約者・宝条千秋その人なのだろう。彼は急に家に押し掛けた非礼を詫び、手土産を春に手渡していた。

 

 

「急に押しかけてごめんね。これ、お土産」

 

「わあ、美味しそうな梨!」

 

「契約農家さんが『今年は豊作だ。出来もいい』って太鼓判を押してた。とっても美味しかったから持って来たんだ」

 

 

 「僕1人じゃ食べ切れないから」と苦笑した千秋から梨を受け取った春は、お手伝いさんにそれを渡しに行く。少し離れた場所からでも瑞々しい香りが漂ってきたあたり、あの梨は絶対美味しいヤツだ。

 春はお手伝いさん達と梨の出来栄えについて話し込んでいる。そんな春の様子を静かに見守っていた千秋だが、意を決したように――けれど、春に気づかれないよう慎重に、リビング中を見渡し始めた。

 彼の鬼気迫る眼差しには覚えがある。脳裏によぎったのは、最近多忙で顔を合わせていない【怪盗団】の古参。或いは、有栖川黎の伴侶。……最後に面と向かって話したのは、いつだったか。

 

 

『――もし、黎の着替えを覗いたりなんかしたら、殺すぞ?』

 

『わ、ワガハイ、そんな真似は絶対しないぞ!』

 

 

「うっわ……。嫌なこと思い出しちまったぜ」

 

 

 4月の半ば、明智吾郎にされた脅迫――ひいては、探偵王子の弟子としてメディアを沸かす好青年面から程遠い顔をしていた様子――を思い出してしまって、モルガナは思わずため息をつく。

 

 次の瞬間、弾かれたように千秋が振り返った。鬼気迫った眼差しが、寸分の狂いも躊躇いもなくモルガナを捕らえる。あまりの圧に気圧されたモルガナが「ヒッ」と声を漏らせば、確証を得たと言わんばかりの勢いで距離を詰めてきた。

 モルガナは沈黙を保ちつつ、千秋の出方を伺う。それは千秋も同じなのか、無言のままモルガナを凝視していた。鳶色の瞳には深い疑念とある種の確証が同居していて、奥底からはギラギラとした熱を感じる。静寂の中で対峙する中、徐に千秋が口を開いた。

 

 

「キミ、ただの猫じゃないだろ」

 

 

 あり得ない。だって、モルガナの声は、ペルソナ使いでなければ聞こえないはずだ。

 現に、奥村社長や春、奥村家のお手伝いさん達に、モルガナの声が聞こえた様子はなかった。

 せめてもの抵抗がてら、身じろぎせず沈黙を保つ。内心は冷や汗だらけだ。

 

 千秋は相変わらずモルガナから目を逸らさない。春が自分達の間に漂う空気に気づかないよう振る舞いつつ、また口を開く。

 

 

「僕は昔、【JOKER呪い】に手を出したことがある」

 

「っ!?」

 

「人生に絶望していた僕は、【JOKER】に『自分自身』の殺害を委託した。紆余曲折あって生き延びたけど、それ以来、“常人では分からない異変”を察知できるようになったんだ」

 

 

 「本家や新しく独立した元分家の人達のように、異形と戦う力は得られなかったけれど」――千秋は心底口惜しそうに呟いてから、改めてモルガナと対峙する。よく見れば、彼の手は小さく震えていた。

 宝条千秋から見たモルガナは“何を考えているのか分からない異形”扱いなのだろう。彼は自身が無力な存在であると理解している。それでも立ち向かう覚悟を固めたから、モルガナに話しかけたのだ。

 

 

「キミが何であろうと構わない。けど、もし、春さんに何かしようとするんだったら――」

 

「千秋さんも一緒に食べましょう!」

 

「――あ、うん。今行く!!」

 

 

 春から呼び出しを受けた千秋は振り返って柔らかに微笑み返す。先程までモルガナに凄んでいたとは思えない程、今の彼の表情にはギャップがあった。

 「そこまで吾郎と似通わなくて良いだろうに」という言葉を飲み込んだモルガナは、警戒を滲ませる千秋とのほほんとした空気を漂わせる春の2人を見て肩を竦める。

 リア充の邪魔をすると碌なことにならない。モルガナはさっさと踵を返し、バカップルがいる空間――リビングからの脱出を図った。

 

 

 

◇◇◇◆

 

 

 

「奥村社長の娘さんが、秀尽学園高校に通ってる?」

 

「うん。引率代理の3年生の中に、奥村春先輩がいたの。今朝の全校集会や放課後に見かけたんだけど、元気なさそうだった」

 

「同じ3年生だけど、私、奥村さんとはあんまり話したことなかったのよね。今回の件がなかったら、言葉を交わさないままだったと思うわ」

 

 

 僕の問いに、黎は神妙な面持ちで頷いた。真も難しそうな顔をして唸る。他の仲間たちも神妙な面持ちで、互いに顔を見合わせていた。

 

 本日の夜、僕は漸く【怪盗団】の作戦会議に合流することができた。秀尽学園高校の校長が事故に巻き込まれて意識不明の重体となった話は、全校集会という形で黎たちにも伝わったらしい。校長は『鴨志田の暴力事件と金城の恐喝事件を隠蔽しようとしたことを認め、警察に自首しに行く』と関係者各位に連絡していたという。

 “今まで何もかもを隠蔽しようとしていた校長が、自ら罪を認め、償おうとしていた”――僕らが行った【改心】は成功していたようだ。その様を知った生徒たちは口々に『【怪盗団】がやったんだ』と噂し、持て囃していたらしい。怪チャンでの妄信っぷりに若干の不安を感じていた仲間たちは、複雑な気持ちで生徒たちの囁きを聞いたそうだ。

 集会が終わった後は、別な話題で持ちきりだった。“バスジャック事故を起こした犯人が、オクムラフーズの元社員だった”――多くの生徒が奥村邦夫に対して悪い噂を囁いていたそうだ。令嬢の立場を隠していたとはいえど、父の悪口を囁かれていた奥村さんは、非常に居心地悪そうにしていたという。

 

 だが、ひょんなことから、奥村さんが“オクムラフーズの関係者である”ことが露見してしまった。

 結果、奥村さんは学校中から――勿論悪い意味で――遠巻きにされてしまったという。

 

 

「生徒の中に、“親族がオクムラフーズをリストラされた”奴がいたみたいでな。そいつが奥村センパイに突っかかってたから、ちょっと威嚇してきた。蜘蛛の子散らすように逃げてったよ」

 

「竜司がちょっと威嚇しただけで逃げ出すような度胸無しだから、仕方ないね。奥村社長本人に直訴できないからって、その娘である奥村先輩に当たるのは筋違いだろうに」

 

 

 そのときの出来事を思い出したのか、竜司と黎は深々とため息をついた。【怪盗団】の秀尽学園高校勢の中で、竜司は名(レッテル)実(際の性格)共に柄が悪い方だ。

 ついでに、聖エルミンの裸グローブ番長である城戸玲司さんを深く敬愛し、彼のような漢にならんとしている。気迫と凄みが磨かれるのは当然と言えよう。

 

 

「ところでモルガナは?」

 

「そういえば、いないな。黎、モルガナはどうした?」

 

「モルガナには潜入捜査に行ってもらってる。『ちょっと用事があって、暫くモルガナを預かってもらえる人を探してる』って奥村先輩に相談を持ち掛けたんだ。奥村先輩、引き受けてくれたよ。動物大好きなんだね」

 

 

 双葉と祐介の問いに、黎が答えた。黎たちが奥村さんと話した時間は長くはなかったようだが、モルガナを預かることを了承するくらいには心を開いてくれたらしい。【怪盗団】の演技派猫は奥村家に潜り込み、情報収集に精を出すようだ。

 

 ……なんだかちょっと釈然としない。密偵は僕の専売特権だ。それを横から掻っ攫われてしまったような心地になる。

 確かに、現実世界のモルガナは猫だ。肉球でピッキングするという特技を持っているが、気高く気まぐれな黒猫だ。

 会社経営を行う金持ち――奥村家へ忍び込むのは、人間よりも動物の方が入りやすいのも事実である。

 

 たとえ家の中をひっくり返しても、対応は違う。人間なら通報モノだ。だが、犯人が猫ならば、『好奇心旺盛な子なんです』という言い訳を押し通すことは容易だった。

 まあ、たとえ切り抜けられたとしても、十中八九『人に預けるなら、猫をきちんと躾けておけよ』というクレームが飛んでくることは覚悟しなくてはならないが。

 

 

「モルガナ、黎から『モルガナにしかできないことだから任せる』って言われて張り切ってたわよね」

 

「『ワガハイはレイの相棒だからな!』って言った後から、『勿論、レイの人生の伴侶はゴローだぞ』って言い直してたな。死んだ目をしてたけど」

 

「そりゃあ、指輪の話聞かされればねぇ……」

 

 

 仲間たち――真、竜司、杏はこぞって遠い目をしていた。僕と黎の指輪に関する話題は、もう【怪盗団】中に広がったらしい。早いものだ。

 なんだか照れ臭くなって、僕はちらりと黎に視線を向けた。黎もほんのり頬を染め、嬉しそうに襟元を弄ぶ。そこにはきっと、指輪が隠れているのだろう。

 俺も、つられるような形で襟元に手が伸びた。服の下に隠れている指輪の感触をひっそりと確かめる。黎も俺の行動の意図に気づいたようで、照れくさそうに微笑んだ。

 

 どこからか「ぐあああああああああああ!」という双葉の悲鳴が聞こえてきた。「双葉、解脱すれば楽になるわよ」と虚ろな声で呟く真の声も聞こえる。杏と竜司がブツブツと何かを唱え始め、祐介は何かに憑りつかれたかの如く鬼気迫った顔でスケッチに精を出していた。……どうしたのだろう。

 

 

「しかし、獅童の奴もあくどいね。【怪盗団】を嵌めるためだけにスケープゴートを用意するなんて」

 

「おまけに印象操作は完璧だ。マスコミ各社はバスジャック事件より、バスジャック犯が敗訴した裁判を筆頭とした“オクムラフーズの黒い噂”ばかり取り沙汰している」

 

 

 黎の言葉に僕は同意した。のたうち回っていた双葉ががばりと体を起こし、唸るような声を上げながらPCを操作する。解析したデータを示しながら、彼女は説明してくれた。

 

 双葉は真に依頼し、冴さんのノートPCをハッキングするための手はずを整えていた。他にも、風花さんや至さんを筆頭とした桐条・南条の調査員たちから協力を得ていると聞いた。

 解析したデータを鑑みても、「“奥村邦夫は【廃人化】事件の重要参考人になるように、証拠の開示や印象操作が行われている”ことは明らか」らしい。

 他にも、冴さんが入手したデータに入っていた“オクムラフーズ脱税疑惑”に関する情報には、「用途不明の大金がどこかへ流れている」ということを示唆するものもあるらしい。

 

 疑惑が出たのは、僕と黎が【イセカイナビ】によって【メメントス】へ迷い込んだタイミングと前後している。巷では【精神暴走事件】が周知され、獅童の支持率が急上昇し始めた時期だ。

 神取から手に入れた情報とすり合わせれば、この時期には既に獅童と奥村がつるんでいたらしい。しかも、その繋がりは【精神暴走】や【廃人化】による闇のビジネスだ。

 

 

「神取曰く、『奥村社長は政治の世界へ打って出ようとしていた』とのことらしい。それが獅童にとって、奴をうっとおしいと感じる理由だったんだろう。まだ仮定の段階だけどな」

 

「『今まで協力してやったんだから、今度は協力してもらう番だ』ということか。……理由は知らんが、それを起点にして、持ちつ持たれつの関係が崩れてしまったようだな」

 

 

 僕の推論を聞いた祐介は表情を曇らせる。嘗て彼が師事していた班目もまた、何かあったら、奥村のようにスケープゴートとして消される可能性もあったためだろう。いくら決別したと言えど、一時期は育ての親と慕っていたのである。複雑な気持ちは消えないようだ。

 獅童の基本は等価交換(ギブアンドテイク)。相手が自分に対して理であるならば援助は惜しまないし、相手が僅かでも敵対の姿勢を見せたら容赦なく排除する。利にならないと判断した場合も同様、相手の事情などお構いなしで切り捨てるのだ。具体例を挙げるなら、秀尽学園高校の校長だろう。

 鴨志田の一件を露見させたことによるスキャンダル、金城の暴挙を隠密に解決できなかったことによる責任問題――そこまで考えて、僕は思う。いずれ僕も、秀尽学園高校の校長と同じように消されるのだろうか。【廃人化】か、それとも事故に巻き込まれる形で――……。

 

 僕の手は、自然と服の上から指輪を探すようにして動いていた。

 黎と共に生きるという決意の証を確認したかったのかもしれない。

 

 死んでたまるか。死ぬわけにはいかない。黎と一緒に、未来を一緒に生きると誓ったのだ。

 

 

(――――っ!?)

 

 

 ――不意に脳裏をよぎったのは、見覚えのない光景。

 

 薄暗い機関室で、2人の青年が銃を向け合っている。双方共に満身創痍なのも含んで、文字通りの鏡合わせだ。シャッターの向こう側から“誰か”――声の高さ的に少女だ――の声が聞こえてきた。

 声はノイズが入って上手く聞き取れない。僅かに拾えたのは、<約束>と<手袋>。いつかの騙し合い、その終わりが訪れる直前の光景。あるいは、西洋における決闘の作法だ。

 

 映像が流れていく中、誰かの――“明智吾郎”の感情が流れ込んでくる。

 

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<“僕”は確かに、“僕”の自覚していない所で、丸喜の楽園を望んでいた。『“あの子”ともっと一緒にいたかった』という未練を持ってた>

 

 

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<あの日の“僕”には、死ねない理由があったんだ。最後の最後まで、生きるために足掻いてた。――約束を、果たすために>

 

 

 “明智吾郎”は――僕から見た場合という注釈が入るが――明後日の方向を向いて、そう呟いた。再び僕の脳裏に浮かんだのは、片側だけ残った手袋。“明智吾郎”が“ジョーカー”に手渡した手袋の片割れであり、隔離障壁で隔てられた2人を結んでいた唯一の繋がり。

 “彼”の口ぶりからして、先程僕に流れ込んできた光景や感情は、僕に開示するために流したものではないようだ。独り言、あるいは誰に聞かせるでもない“明智吾郎”のための決意表明だったと思う。多分、“明智吾郎”本人も、この光景を僕へ垂れ流しているという自覚は無い。

 

 

(……これは指摘されたくないヤツだな)

 

 

 並行世界を隔てているとはいえ、僕も“彼”と同じ明智吾郎。差異の大きさは有れど、共通点だって多々ある身。

 故に、僕は沈黙を保つことにした。ただ、生暖かい眼差しを向けてしまったのは不可抗力である。

 そんな僕の気遣いなど知らない“明智吾郎”は、相変わらず明後日の方向を向いて過去に思いを馳せていた。

 

 『忘れていた』出来事を、或いは『見ないふり』をした感情を拾い集める“彼”の邪魔をするつもりはない。僕は意識を現実に向ける。

 

 奥村邦夫が悪党か否かは不明だが、【改心】することは決定事項だ。彼は“獅童の【廃人化】ビジネスの恩恵を受けている人物”として仕立て上げられており、いずれはスケープゴートにされてしまう。このまま見過ごせば、彼の死は確定だ。

 最終目的が“獅童正義の【改心】”である僕等にとって、奴に利用された挙句殺されそうになっている人間を見捨てることはできない。現実世界で獅童を追い詰める証拠という点でも、理不尽に晒されている人間を放置するわけにはいかないという意味でも。

 

 

「認知世界に関することは私達がどうにかできる。でも、一番の問題は、校長と同じやり方で奥村社長を葬ろうとしてきたときの対策ね。案としては、周防刑事達に協力を依頼しようと考えているのだけれど……」

 

「いいんじゃないかな。達哉さんと克哉さんは珠閒瑠世代のペルソナ使いだから現実世界でも能力を行使できるし、僕等の事情を分かってくれてるし。協力者としていい選択だと思うよ」

 

 

 案を提示した真の表情は晴れない。大人達に押し付けてしまうという点が、罪悪感や申し訳ないという気持ちに繋がっているのだろう。

 他の面々――竜司、杏、祐介、双葉も、先輩達におんぶにだっこという状況に思うところがあったらしい。心なしか、俯きがちのように思う。

 

 でも、餅は餅屋、適材適所だ。隣の芝生を羨んだからと言って、死の危機に瀕している奥村社長を守る手段になりはしない。

 

 

「……そういえば、いつも至さんが言ってたね。『もっと先輩を頼ってくれ』って」

 

「確かにそうだね。当代のペルソナ使い達が『申し訳ない』って言う度に、『そう思うなら、次の世代の子を助けてあげてほしい』って言われてたっけ」

 

 

 どこか暗い空気を漂わせていた仲間達だが、黎の言葉を耳にした途端、驚いたように目を丸くした。今までの出来事――御影町から八十稲羽までの旅路含めて――を思い出し、僕も頷く。

 

 ペルソナ使いとして超常の力を振るっている僕達だけれど、本業は学生だ。年齢は10代後半でほぼ未成年だし、成人を迎えていたとしても大人歴は数か月程度。立場上、大人のサポートを要請していい立場である。その発想が生まれないのは、“「頼るべき大人達がクソしかいない」という状況に慣れ親しんでしまった”せいだろう。

 御影町の大人達は、致し方がないと言えど、大半が無力だった。珠閒瑠市の大人の多くが、巨悪たる須藤竜蔵の協力者として立ちはだかった。巌戸台の大人は、良い人ばかりが早期から現世にサヨナラさせられた挙句、最後まで残ったろくでなし共が超弩級の人災を押し付けて逝った。八十稲羽の大人は、()きろくでなしと()しきろくでなしによる板挟みにあった。

 先輩達はそんな連中と対峙しては、自分達よりも1世代上の先輩達から激励を受けながら旅路を駆け抜けた。先輩達に助けられるばかりの現状に『申し訳ない』と心を痛める度に、彼/彼女達から『次の世代の力になってやって欲しい』と言われ、それに応えようと奮起した。――いつか、自分が先輩と呼ばれる立場に立ったとき、後輩達の力になれるように。

 

 2年生組は進路関係で悩む時期だし、3年生組は受験間近。双葉の場合は引きこもりだけれど、今後は進学による転入、或いは就職を選ぶことになる。

 奥村邦夫の【改心】や『神』の仕掛けた禄でもない遊戯(ゲーム)という最中にいるが、そろそろ将来のことを考える時期であった。

 

 

「……そうだよな。【精神暴走事件】や『神』との決着を付けても、俺達の人生って続いていくんだよな」

 

「未来のことか。今が充実しすぎていたから、考えたことも無かった」

 

 

 竜司が呆けたように、祐介は納得したように言葉を紡ぐ。

 杏と真も、嘗ての出来事――汚い大人達によって食い物にされかけたときに、黎達に助けられたこと――を思い出したのだろう。懐かしそうに目を細めた。

 

 

「誰かに助けて貰ったことがあったから、誰かを助ける側に回ろうと思ったんだよね。アタシも助けられる側を経て、【怪盗団】に入ったんだっけ」

 

「誰かから手渡された善意を、次の誰かに手渡していく。先輩達もそうだったのかな……」

 

「成程。吾郎の保護者は、ただただ厄介事に巻き込まれてきたワケじゃないんだな」

 

 

 「ある意味、至さんはわたしと同じ『ナビ』だったんだ」と、双葉はうんうん頷いた。

 

 実際、双葉の分析は間違っていない。強大な運命に挑むことになった後輩達を助けるために、至さんは戦友達に協力要請を出した。戦友達も二つ返事で頷いて、当代のペルソナ使いを助けている。すべては、彼が見出したペルソナ使いたちを――正義の味方を()()()()()()にしたことだ。

 結んだ絆をバトンにして、次々と手渡してきた。それが今、僕等の手にある。『天井を突破するのが子どもの戦いだと言うならば、天井の中でどう足掻くかが大人の戦いだ』――至さんが呟いた言葉が脳裏をよぎった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。いずれ僕達もまた、未来の後輩に力を貸す日が来るのだろう。天井の中でどう足掻くかを思案しながら、未来の後輩のために体を張る瞬間(とき)が来るに違いない。

 

 そんな未来に思いを馳せたからこそ、今この状況を乗り越えなければ。

 仲間達は顔を見合わせた後に頷きあう。先程までの暗い雰囲気は、嘘みたいに消え去った。

 

 

「吾郎。他に、こういうことが得意そうな面々に心当たりある?」

 

「探偵という面からだと、師匠その1の元祖探偵王子の直斗さん、人探しのプロという所以からマンサーチャーって呼ばれてる師匠その2のパオフゥさんとうららさんの2人。司法関係者という観点からだったら、元珠閒瑠地検で現在は探偵やってるパオフゥさん。異形対策の専門家という面からだと、至さんたち含んだ南条の特別研究部門や風花さんたち含んだ桐条のシャドウワーカー関係者一同。メディア関係者では記者の舞耶さんやカメラマンのゆきのさん――」

 

 

 僕が真の問いに答えていたとき、僕のスマホがチカチカ光る。

 作戦会議中に電話が来るとは思っていなかった僕はちょっと驚いたが、スマホの番号を確認して目を丸くした。

 

 

「陽介さん……?」

 

 

 ジュネス八十稲羽店長の息子であり、現在はジュネスの店長候補生として修行しながら地元の大学に通うガッカリ王子――花村陽介さん。八十稲羽で発生した殺人事件を調査していたペルソナ使いであり、常識人なのに蔑ろにされがちだった苦労人だった。

 

 そういえば、『東京で八十稲羽物産展が開かれるから上京してきた』等と至さんが喋っていたような気がする。今回の連絡はそれに関する話なのだろうか?

 類推していても進まないので、僕は電話に出た。「もしもし」の「も」の字を言うより先に、受話器越しから爆音と悲鳴が響き渡る。

 機械の機動音と言うか、駆動音と言うか。妙に無機質なアナウンス音も聞こえてきたように思う。何が一体どうなっているのか、よく分からない。

 

 

「も、もしもし?」

 

『よっしゃあやっと繋がったァ! 吾郎、何をどうすればいいのか教えてくれ!』

 

「それはこっちの台詞ですよ!? 何がどうしてその発言に至るんですか!?」

 

『猫が! 黒猫が、二足歩行するぬいぐるみに! そいつが『吾郎に連絡しろ』って――ックソ、邪魔だァ! タケハヤスサノオ!!』

 

 

 受話器越しから轟音が響いた。吹き荒れる風と、陽介さんの舌打ちが響く。

 

 

『ダメだ、コイツら風属性あんま効かないぞ!?』

 

『りせ、アナライズ頼む!』

 

 

 次に響いたのは、【特別捜査隊】を率いた張本人である出雲真実さんだった。彼の地元はここ、東京である。真実さんはあの頃と変わらず、仲間たちに指示を出していた。

 

 

『任せて出雲先輩! ――って、えぇ!? 核熱なんて属性聞いたことないよ!?』

 

『それ以外に弱点は!?』

 

『ある! 電撃属性!』

 

『それなら……! やるぞ完二!』

 

『了解ッス先輩!』

 

 

 『イザナギ!』『タケジザイテン!』――再度轟音が響いた。風ではなく、雷がバチバチと爆ぜるような音。それに紛れて機械の爆発音も聞こえてきた。『流石センセイクマー!』という暢気な喝采や『マジかよ……』と呆気にとられるモルガナの声も聞こえる。

 受話器の向こう側では八十稲羽関係者の多くが揃っているようだ。しかも、この電話は【パレス】からかかってきているらしい。僕が知らない――否、顔を合わせていなかった間に、陽介さんのスマホは認知世界対応型の最新機種へ変わっていたのか。

 

 

「陽介さん、陽介さーん!? 俺の声聞こえてる!? 今どんな状況か説明できる!?」

 

『げぇ! また増援かよ!?』

 

『う、うぅ……』

 

『は、春さん!? 大変だ、春さんがっ!!』

 

『出雲先輩、これじゃあキリがないよ!』

 

『仕方がない……! モナ、こういうときはどうやって逃げればいい!?』

 

『待ってろ! ワガハイが何とかしてやる!』

 

『きゃあ!? モナちゃんが車になった!?』

 

『猫が車になるなんて前代未聞クマよ!?』

 

『……これって、昔やってたネコバスって奴か……?』

 

『逃げるぞオマエら! 早く乗れェ!!』

 

『わー!? ま、待てって!!』

 

 

 もう何が何なのかよく分からない。僕が唖然としている間――『車に変身できるのに、なんで自走じゃないんだよ!?』という陽介さんの叫びを最後――に通話は切れ、ツー、ツー、ツーと音を響かせるのみだ。

 

 途方に暮れた僕は、仲間達の方に視線を向けた。当たり前のことだが、僕でさえ理解できない状況を、僕の声以外まともに聞こえるはずのない【怪盗団】のみんなが理解できるはずもない。困惑しながら首をかしげている。

 それと入れ替わるようにして、今度は黎の携帯電話が鳴り響いた。電話の主は奥村春さん。現在世間の注目を(悪い意味で)一身に浴びるオクムラフーズの社長――奥村邦夫の1人娘だ。以前の真同様、電話番号を交換した覚えがないのか、黎は目を丸くする。

 黎は暫し奥村さんと何かを話し合っている様子だった。最終的に「明日の放課後、ルブランで会う。案内はモルガナに頼む」ということで話は終わったらしい。黎は静かな面持ちで電話を切った。何ごとかと問う代わりに、僕を含んだ全員が黎を見つめる。

 

 

「――奥村先輩が、ペルソナ能力に目覚めたらしい。しかも、【怪盗団】への入団を希望してる」

 

 

 黎の言葉を聞いた俺達は、全員で悲鳴を上げた。

 

 

 

***

 

 

 

「有栖川さんからモナちゃんを預かってすぐ、私のスマホに【イセカイナビ】がインストールされていたことに気づいたの」

 

 

 ルブランにやって来た奥村さん――怪盗としてのコードネームは『ノワール』だ――は、黎の淹れたコーヒーに舌鼓を打ちながら話し始めた。

 

 【イセカイナビ】の存在に気づいた奥村さんだったが、インストールした覚えのないアプリを消去しようと試みた。だが、何度消しても勝手にダウンロードされてしまう。不安に思った奥村さんは、婚約者である宝条さんに【イセカイナビ】のことを相談したらしい。宝条さんは何か心当たりがあったらしく、『春さんのスマホとモルガナを借りたい』と申し出た。

 だが、自分のスマホを宝条さんに貸し出そうとした直後、父親である奥村邦夫から呼び出しを受けた。その際、宝条さんが『自分もオクムラフーズに用がある』ということで奥村さんの送迎を申し出たという。本社前で宝条さんに自分のスマホを預けた春さんは、そこで彼とモルガナと別れて父親の元へ向かったという。

 野暮用を終えた奥村さんは、そこで預けたスマホを片手に四苦八苦している宝条さんと、そんな宝条さんに檄を飛ばすように鳴くモルガナの姿を目撃。彼等に声をかけようと近寄ったのと同じタイミングで【イセカイナビ】が起動してしまったようで、彼女は1人と1匹に巻き込まれるような形で【パレス】へ迷い込んでしまった。

 

 そこで、奥村さんは偶発的にペルソナを顕現させる。

 モルガナ曰く、『まだ弱っちいが、素質は充分にある』ということだ。

 

 

「僕は昔、珠閒瑠市に住んでたんです。あの頃の僕は人生に絶望していて、【JOKER呪い】に手を出しました」

 

「【JOKER呪い】だって!?」

 

「……どう考えても穏やかじゃないッスね、嘱託殺人鬼に頼るだなんて……」

 

 

 宝条さんの告白を耳にした竜司と完二さんが目を剥く。

 ……いや、この場にいた面々の殆どが、剣呑な顔つきで宝条さんを見つめていた。

 恐る恐るといった調子で、陽介さんが宝条さんに問いかける。

 

 

「それで、アンタは誰を殺そうとしたんだ?」

 

「僕自身です。自分で死ぬ勇気も、誰かを殺人鬼にするつもりも無かったので……」

 

「宮代さんと同じパターンか……」

 

 

 僕の脳裏によぎったのは、珠閒瑠市で達哉さんが御世話になっていたという警察官――宮代詩織さんだ。

 

 彼女は弟を須藤竜也に殺されており、奴が須藤竜蔵の権力によって“事実上の無罪放免”になったことに強い憤りを抱いていた。須藤竜蔵を捕まえようとしていた周防兄弟の父親と懇意にしていたが、彼が汚職事件で警察を追われたことで『自分の手で須藤親子を捕まえよう』と決意し、警察官となる。

 だが、幾ら須藤親子に罪を償わせようと奔走しても、奴等を追い詰めることはできなかった。己の無力感と奴等への憤怒――否、憎悪を燃え滾らせても、須藤親子を断罪するには至れない。『親子の罪を白日の下に晒し、罪を償わせる』という復讐を成せぬまま、悪戯に時間だけが過ぎ去った。

 

 宮代さんは何もできない自分自身に絶望した。それと同じくらい、須藤達への復讐を諦めることが出来なかった。そんなとき、彼女は【JOKER呪い】の存在を知る。

 心身共に絶望と復讐の板挟みに合っていた宮代さんは、何を思ったのか、【JOKER呪い】に手を出した。殺害対象として指定したのは――他でもない自分自身。

 巷を騒がす嘱託殺人鬼【JOKER】を捕縛するという大義名分と、復讐を果たせなかったことで自暴自棄になってしまった結果の破滅願望が、密接に絡み合った結果だったらしい。

 

 だが、彼女は達哉さんや至さんを筆頭とした珠閒瑠・御影町世代のペルソナ使いの尽力によって一命をとりとめる。

 その後は暫し昏睡状態だったが無事に目覚め、退院後は警察官としての職務を全うしていると聞いた。

 

 宝条さんは自分が助かった経緯を詳しく語らなかったが、紆余曲折の末に絶望を振り払い、生きてみようと思い直した。……だが、それで一件落着とは済まなかったようだ。

 

 

「それ以降、僕は“人ならざる存在”を知覚できるようになりました。みなさんのように戦う術は得られませんでしたが、モルガナくんが喋る猫だと気づいたのはその影響です」

 

「――そういうわけで、ワガハイのことを勘づかれちまってな。仕方なくコイツに【怪盗団】の目的を話すことにしたんだ。オクムラが【廃人化】で命を落とすのは、コイツ等にとっても良くない話だからな」

 

 

 「まさか、過去の事件関係者にワガハイの正体を見抜かれるとは思わなかったぜ」とモルガナは肩を竦める。折角の潜入捜査が台無しになった瞬間だった。

 しかし、モルガナを一方的に迂闊だと責めることはできない。過去の事件と接点があるからと言って、ペルソナ使いやそれの下位互換的な力に目覚める者の存在は非常に珍しいのだ。

 

 モルガナの異常性に気づいた宝条さんは、彼から【怪盗団】の話を聞いても半信半疑だったらしい。――いや、【怪盗団】のことよりも、婚約者である奥村さんに危害が加えられないかを心配していたそうだ。彼女から【イセカイナビ】絡みの話を聞いたとき、宝条さんは真っ先にモルガナのことを疑った。

 強い警戒心を覗かせる宝条さんを納得させるため、モルガナは【イセカイナビ】の使い方を宝条さんにレクチャーした。その副産物として奥村さんのスマホは彼に渡り、巡り巡って奥村さん自身を【パレス】へと引きずり込む形となったのだ。当時のことを思い出したのか、宝条さんの表情が暗くなる。そんな彼を奥村さんは励ましていた。閑話休題。

 

 ペルソナ使いとして覚醒した奥村さんに対し、モルガナは【怪盗団】や認知世界の話を語って聞かせた。その結果、奥村さんはいたく感動し、宝条さんも警戒を緩め、『ここ数年間、奥村邦夫から黒い噂が絶えない。もしそれらが本当ならば、彼を【改心】させたい』と協力を申し出てきたという。

 早速試金石がてら【パレス】の偵察へ赴こうとしたモナとノワールだったが、宝条さんは『1人と1匹だけでは心配だから』と言って聞かなかった。ペルソナ使いでなければ【パレス】を探索することは命の危機に直結しているのだが、宝条さんはどうしてもモナの言葉に頷けなかった。

 ノワールを思うが故の行動だと分かっていたモナは、暫く悩んだ後、『オクムラの心がどんなふうに歪んでいるかを、2人に確認して貰うため』というお題目で宝条さんの同行を許可した。シャドウに出会わないようやり過ごしつつ、2人と1匹で【パレス】を探索する。

 

 

「お父様の【パレス】は、世間の噂を肯定するものばかりだった。内部では自爆を厭わぬロボット達や、ロボットを使い潰すことを是とする発言が飛び交っていたの」

 

「充分過ぎる光景を目の当たりにした僕達は、偵察を切り上げて【パレス】から脱出しようとしたんです。そしたら、突然【パレス】内が騒がしくなって……」

 

「何事かと様子を見に行った結果、ロボット達に取り囲まれちまったんだ。そこで施設内で暴れてた張本人と合流して、どうにか脱出に成功したってワケだな」

 

 

 奥村さんの言葉を宝条さんが、宝条さんの言葉をモルガナが引き継いだ後、3人は銀髪の青年と女性――出雲真実さんと霧海凛さんを筆頭とした面々の方に視線を向けた。

 

 地元が東京である真実さんや、八十稲羽物産展に出展することが決まっていた陽介さん、熊田――もといクマ、完二さん、凛さん、物産展のイメージキャラクターにしてビックバンバーガーのCM出演で打ち合わせに来ていたりせさん。

 真実さん達は八十稲羽物産展の準備をしつつ東京観光と洒落こみ、凛さんは物産展の手伝いをしつつワンチャン足立との逢瀬を狙い、りせさんをビックバンバーガー本社に送ってきた途中だった。丁度そこで、奥村さんが起動したイセカイナビの転移に巻き込まれてしまったらしい。

 

 

「あーもう、散々な目にあったぜ……」

 

「でもでも! そのおかげで、杏チャンや真チャン、双葉チャンや春チャンとお近づきになるきっかけになったから、結果オーライクマー!」

 

 

 疲れ切った顔でコーヒーを啜る陽介さんの脇で、ジュネス八十稲羽店のでっかいマスコットが意気揚々と飛び跳ねる。せめて人の姿で来ればよかったのではないか。店内の圧迫率がおかしい。

 直後、彼の造形に興味を持った祐介から「モデルになってくれ」と頼まれたクマは、「格好良く頼むクマよー!」と、ノリノリでポーズを決めていた。祐介も凄まじい勢いでスケッチを始める。

 自分と同じ“人外のペルソナ使い”を見たのは初めてらしく、モルガナは何とも言い難そうな顔をしてマスコットを見ていた。初めてコロマルを見たときと同じリアクションだ。

 

 次の瞬間、クマが着ぐるみを脱ぎ捨てて中身を披露した。金髪碧眼の美少年と化した彼は、これでもかと言わんばかりに気障なポーズを取る。祐介は「うおおおおお!? 何か、何かが降りてきたぞ!」と叫びながらスケッチに没頭し始めた。中身とのギャップに驚いた【怪盗団】メンバーは、黎と僕以外が呆気に取られていた。

 

 

「なあゴロー。あのクマってヤツ、人間じゃないんだよな?」

 

「ああ、そうだよ。元はシャドウ由来で生まれたけど、僕達の味方だ。彼が何であっても、先輩であることには変わりない。モルガナと同じく義理堅い性格だからね」

 

「ワガハイにはミーハーな尻軽にしか見えないんだが……」

 

「人一倍惚れっぽいだけだよ。あと寂しがり屋。彼の明るさは、その裏返しなのかもしれない」

 

 

 僕はそこで一端言葉を切った。

 黎が淹れてくれたコーヒーを啜る。いつの間にか冷めてしまったらしい。

 

 

「一時期、彼は自分が何者なのかについて悩んでいた時期があるんだ」

 

「自分が、何者なのか……」

 

「そう。最終的に、“自分は自分である。真実さんたちと一緒に過ごしてきた日々で積み重ねられた自分がすべてだ”って答えを出した。そういう意味では、クマはモルガナの先輩だよ」

 

「……ワガハイは一体、何者なのか……」

 

 

 モルガナは、僕の話を半分しか聞いていない様子だった。彼はじっとクマを見つめている。

 

 モルガナは自分を元・人間だと思っており、何かがあって猫になってしまったと認識していた。猫の姿になる以前の記憶は一切有していないという。クマも、底抜けた明るさの裏側に「自分は空っぽで何もない、自分が何者なのか分からない」という恐怖心を抱えていた。実際、真実さんと出会う前の記憶は殆ど覚えてない様子だったし。

 至さんはモルガナを役立たず(フィレモン)の関係者――人外であると一発で見抜いているが、モルガナには詳しく言ってない。僕も、それを口に出すことはしなかった。……最も、今ここでクマの話を聞いて考え込むあたり、モルガナも自身の存在について違和感を覚えつつあるのだろう。アイスブルーの双瞼が不安そうに揺れている。

 

 

「お前は【怪盗団】の一員にして、【改心】専門のペルソナ使い、モルガナ。コードネームは『モナ』」

 

「え?」

 

「それじゃあ、不満か?」

 

 

 今まで積み重ねてきた日々を思い出せという代わりに、僕はじっとモルガナを見つめた。モルガナは暫し難しそうな顔をした後、「そうだな。ワガハイはオマエらの仲間だ」と笑う。その瞳に迷いはない。

 僕とモルガナの話を聞いていたのだろう。黎がふわりと微笑み、モルガナの頭を撫でる。撫でられたモルガナはムッとした様子で「猫扱いするな」と怒りをあらわにしたが、嫌ではないのだろう。黎の手を払うことはなかった。

 それを見たクマが「ずるい」とぶすくれたが、以前黎にちょっかいを出して俺に顔面を鷲掴みにされた事件を思い出したのだろう。言いたい言葉全てを飲み込んだ彼は、顔を青くしたまま小さくかぶりを振った。

 

 八十稲羽組と【怪盗団】の面々は楽しく談笑している。

 

 りせさん・凛さん・杏がスイーツ談義に花を咲かせ、完二さんが量産するモルガナぬいぐるみに竜司と奥村さんが感嘆し、調子に乗るクマへツッコミを入れる陽介さんに触発され双葉と祐介が漫才をはじめる。ギリギリ一般人の宝条さんは若干混乱している様子だったが、警戒心は既に解けていた。

 そんな面々を、黎・僕・真実さんは生温かな眼差しで見守った。自分の仲間たちが先輩たちと和気藹々している姿を見ると、凄く嬉しい。真実さんは、自分の仲間と後輩が楽しくしている図が嬉しいのだろう。

 

 

「黎、吾郎」

 

「「はい?」」

 

「――いい仲間を持ったな」

 

 

 真実さんは静かに微笑む。どこか安心したように笑う横顔から、どうしてか目を離すことができなかった。

 

 

 





<貴女も貰ったんだ>


 恋人から貰った指輪を眺めていた黎に、“彼女”は声をかけてきた。
 その口ぶりからして、“彼女”も“彼”から指輪を貰っていたのだろうか?

 黎の疑問は“彼女”にも伝わっていたらしい。“彼女”は自分の手袋を外して左手薬指を晒した。

 左手薬指に輝くのは、ハートを象ったチェーンリング。黎がたまに赴く宝飾店で見かけた品物で、『女性への贈り物に最適』という見出しで売られていたものだ。
 デザイン自体はシンプルだけれど、黒い服を好んで身に纏う“彼女”に映えるモノを選んだらしい。“送り主”が真剣な面持ちでソレを選ぶ姿が見えたような気がした。
 黎が吾郎から貰った指輪とは全然違うが、指輪に込められた想いはきっと一緒だ。明智吾郎/“彼”が真摯に有栖川黎/“彼女”を愛する/愛した証。


<“アイツ”は『“私”を縛る』つもりでコレを贈ったんだろうね。綺麗な文章で誤魔化してたみたいだけどバレバレだった>

<どっちかというと『呪い』に近くないかな?…… まあ、最期を覚悟した上で指輪を贈った時点で、込められたモノが重いのは明らかだけど>

<どちらも大差ないよ。どの道、“アイツ”が“私”を甘く見ていたことは事実なんだから>


 口調は明らかに不貞腐れていたけれど、指輪を見つめる眼差しが優しいことからして、“彼女”も“彼”と大差ないのであろう。黎はひっそり苦笑した。

 ――そこで、ふと黎は思い付きを口にする。


<じゃあ、“彼”と話が出来るようになったら、改めて指輪を贈ってみればいいんじゃない? 今度は“貴女”が“彼”にプロポーズすればいいんだよ! 呪いじゃなくて、新しく未来を始めるために!!>

<成程! それは名案だね!! “アイツ”を出し抜いて度肝も抜けるし一石二鳥だ!!>

<そうと決まれば、明日アクセサリーショップに行ってみよう! 格好いいリングの1つや2つ、いい感じのが見つかるかも!!>


 2人はきゃっきゃとはしゃぎながら、今後の予定を立てる。
 丁度そのタイミングで、“誰か”が寒気を感じて震えていたことは、誰も知らない。


―――
今回の話も、リメイク前とは大幅に加筆修正が入りました。モルガナが奥村家に潜入することになった流れや、春の婚約者に関する設定の変更等がそれに当たります。ついでに、八十稲羽物産展の参加者にしれっと凛が増えました。難産でしたが楽しかったです。
本編のみならず、あとがきSSでも(“彼”限定で)大変なことになっている模様。このまま放置し続けるとまた出し抜かれることになるのですが、一体どうなることやら。この物語の結末と共に、魔改造明智&魔改造ジョーカー、及び2人の余波を受けた“彼”&“彼女”の行く末を見守って頂ければ幸いです。

どうでもいい話ですが、最近またイメソンが増えました。<推しの子>のEDテーマ<メフィスト>で、アニメは一切見ていないのですが、動画サイトで曲を聞いて惹かれました。個人的には≪彼≫・丸喜・■■■■を主軸に置いた歌のように感じています。
作業用BGMとしては<ペルソナ5X>の楽曲を聞いています。リメイク前では「P5から10年後にトリニティソウルが発生」した世界線に繋がりましたけど、そう考えると<ペルソナ5X>の方が発生順が速いことになりそうなんですよね。
「日本語訳されていないのでゲーム内容が分からない」点から5Xに関して無知なのですが、考察を聞く限り「ペルソナ5or5Rから6年後」とのこと。ただ、地続きにするとおかしい点があり、その中でも特段致命的な部分から「未来のパラレルワールド」説が有力なのだとか。
面白そうではあるのですが、言語の壁が分厚過ぎて手出しできない……。日本語版、出てこないかな。それによってはネタを拾えそうなんですけど……。
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