二年間剣の世界で生き延びた剣士はまたVRにのめりこむようです   作:ウィングゼロ

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10話『SAO生還者とまた会う日まで』(前編)

 

「イズ!クロム!」

 

 

俺は街中を走り、イズの工房に到着し乱暴に扉を開け中に入ると外のプレイヤー同様、今回の件で深刻な状況に頭を悩ましてる二人がいた。

 

 

「サイト、お前もやっぱり来たんだな」

 

「元々は午後からログインするつもりだったけどこんなことになったからな…居てもたってもいられなかった」

 

 

その言葉に同じ気持ちだと頷くクロムとイズ、俺は置いてある椅子に座り高ぶる気持ちを静め、今の現状を確認する。

 

 

「とりあえずALOのことはニュースで見たんだよな」

 

「ああ、正直、今も信じられないと思ってるまさかALOを隠れ蓑にそんなことしていたなんて…」

 

「見た限りだとALOのグランドクエストも存在してなかったって話らしいから…質が悪いわよね…これからNWO…ううんVRMMO自体がどうなっちゃうのかしら」

 

「…SAOから始まったVRMMOは陰りが強かった。そして今回もSAO事件の系譜から発生した事件だからALOはもちろん。VPMMO自体が全て無くなっても可笑しくはない」

 

「そう…よね…本当に残念で仕方ないわ…」

 

 

現状の再確認をしてより一層、今の現状を重く感じるイズは更に落ち込み俯いてしまう。

 

イズの気持ちは痛いほどわかる。あんなことがあったのに関わらずVRMMOを求めている俺もVRMMOに魅了されている一人なのだから。

 

 

静まり返り、暗い空気が立ち込める工房、そんな中クロムはわざとらしくせき込み。俺たちの視線を集めると少し間を開けて口を開けた。

 

 

「暗い話はこれぐらいにしよう…俺たちがここで話し合ったところで何かが変えられるわけじゃないからな…サイトもイズも今日はこの後もログインできるんだよな?」

 

「できるけど?」

 

「俺も…問題ないが」

 

「そうかなら一度落ちて9時にまた集まらないか?朝食も取らずに来たんだろ?俺の予想だが今日中にはこのNWOも封鎖されると思う。だから今日は思いっきり楽しむっていうのはどうだ?」

 

「…そうね、それがいいかも」

 

「俺も元々、勉強する予定だったけど。今回はこっち優先でやることにする」

 

「それじゃあ、一旦落ちて、9時にイズの此処に集まろう」

 

 

そうクロムは取り決めると俺は直ぐにログアウトする。

 

そしてアミュスフィアを外しリビングに降りうとテーブルには朝食が並んでいて母さんは使い終わった食器を洗っている。

 

 

「太一、NWOにログインしていたの?」

 

「うん…母さん今日、午前中は勉強するつもりだったけど…朝からNWOにまたログインする」

 

「そう…わかったわ。お母さんが何言っても…今の太一を止められそうにないし」

 

 

俺の心境を察してくれた母さん…俺はテーブル前の椅子に座り朝食を取っていく中今日いるはずの父さんのことを思い口を開ける。

 

 

「父さん達…大丈夫かな」

 

「…休日出勤して緊急会議が開かれるみたいだし…会社もこの件で窮地に立たされそうだしね」

 

 

此処にいない現実で戦う父さんのことを考えながら、俺は朝食を食べ終わると一服した後、NWOにログインした。

 

 

「あれ?イズ、クロムも…もう居るし、まだ約束を時間まで後30分はあるんだが…」

 

 

明らかに早く着きすぎたと思う中、俺より早くイズとクロムはついていた。

 

明らかに早すぎるだろうと目を細め、ジト目で二人を見ると苦笑いの表情を浮かべる。

 

 

「楽しみたかったから居てもたってもいられなくて」

 

「まあ、よくある話だろ?集まったことだから…早速行くとしよう…何か希望とかあるか?」

 

「…それ聞くってことは全くのノープランだってことか…仕方ないけど」

 

「仕方ないわよ…急だったし…うーんそれじゃあ…」

 

 

 

 

……

 

 

 

「はあぁっ!!」

 

「よし、ここらあたりの敵は片付いたな。それじゃあサイトこの前みたいに警護頼むぞ」

 

 

辺りのmobを一掃した後、イズとクロムは武器からピッケルに持ち替え採掘を始める中、俺はmobがリスポーンするのを警戒しながら採掘をするイズたちが終わるのを待つ。

 

まず、イズが提案したのは二日前と同じ鉱石集めだった。

 

最後精いっぱい、制作したいというイズの願いだった。

 

それならと早速この前来た。坑道に赴くことになった。因みにあと数か所、別の場所を回ることになっていて午前中はこれで完全に潰れるだろう。

 

 

「しかしタイムリミットは午後5時か…」

 

 

メニュー画面からメッセージを見て運営からの通達を再び確認する。

 

俺達の予想通り、運営は今日の午後5時から無期限の緊急メンテナンスを開始すると発表。

 

サービス停止とは言わずメンテナンスといったのはまたできるかもしれないという。運営の悪あがきなのかもしれない。

 

 

そんなわけでタイムリミットが設けられた。ここからは効率よくどうやって楽しむかその問題が浮き彫りになってきた。

 

 

「ふふ、今日もいっぱいだわ」

 

「よし次行くぞ。時間は有限だからな…」

 

「ああ、後わかってると思うけど…」

 

「途中でサイトが提案したあれもやりに行こう」

 

 

採掘が終わったイズたちが帰って来るとすぐに別の場所の採掘ポイントへ直ぐに向かう。

 

坑道自体のすべての採掘ポイントを掘り起こせば別の場所の採掘ポイントへ赴き…2か所ほど採掘した後。俺達は初日訪れたあの地底湖へと足を運ばせた。

 

 

「さてと…ここでいいんだな」

 

「ああ、イズ…例のものは?」

 

「ええ、持ってきてるわ」

 

 

湖のまえまで来ると俺はイズに持ってきてもらっていた必要なものを取り出してもらいストレージから取り出したのは3人分ある釣り竿だった。

 

 

「それにしても意外だったなサイトのことだからどこかにレベリングだと思っていたが、まさか釣りをしたいとは」

 

「別にいいだろ?前のVRMMOで釣りをしてたんだ。戦い詰めるのもよくないからな」

 

 

そう言って俺はイズから釣り竿をもらうと糸を湖へと垂らし、クロム達も釣り竿を垂らした。

 

 

 

一時間後…

 

 

 

「よし、これで12匹目だ」

 

「またかかったわ。これで30匹目かしら」

 

「……」

 

 

可笑しい…可笑しすぎる。

 

なぜ此処まで差がつくのか…

 

 

「サイトはまだ3匹か…」

 

「十倍ね。これってDEXと関係あるみたいね…サイトくんは低かったのよねDEX」

 

「因みに釣りスキルを手に入れた。DEXが20必要らしい」

 

この差は何だ、これでも釣りに関してはSAOでカンスト(コンプリート)した身。

 

それなりに釣り上げる自身もあった…しかし結果は悲惨なもの…これがレベル制MMOの理不尽性か…DEX少し上げるべきか?

 

 

「釣り竿じゃなく、素潜りで取って来るとかありじゃないか?」

 

「…VRで泳ぐのって意外に現実と違うんだけどな…まあいいか」

 

 

俺は釣り竿を置き助走をつけて水中へと飛び込む。

 

体は水の冷たさと服が濡れて体が重くなる感覚に陥る中、体が覚えている水中での動きでうまく泳ぎ魚を10匹捕まえることに成功する。

 

 

『水泳Ⅰを取得しました』

 

『潜水Ⅰを取得しました』

 

 

泳いでいるとシステム音が鳴ってスキルを修得、水泳は水中での移動速度がアップ。潜水は潜っている時間が長くなるスキルのようだ。

 

 

一度水面に上がり、息を整終える俺はクロム達がいる方向に目を向けると手を振ってきてクロムは声をかけてくる。

 

 

「どうだ?何匹か取れたか?」

 

「大体8匹!!」

 

「そうか!釣りするよりそっちの方が速そうだな」

 

 

そういって笑うクロムに俺はむすっとした表情になる。

 

別に俺は素潜りで魚取りに来たわけではなく。釣りをしに来たんだ。

 

それに昨日のこともあるしっと考えてると俺はいいことを思い付き水中を潜る。

 

 

目指す場所はクロムの釣り竿の浮、俺はクロムに気づかれないように浮をつかみ深瀬の方にSTRを使い引っ張っていく。

 

 

「おおっ!?これは引きが強い!」

 

かなりグイグイと引っ張られることでクロムはどんどん深瀬の方へ引っ張られていき、そして手頃の場所まで引っ張ってから浮を手放し水面に飛び出てそのままクロムの体に纏わりつく。

 

 

「ぬおっ!?サイト!?いったい何を」

 

「よお、クロム、ちょっと一緒に水遊びしないか?遠慮することはない。さあさあ!」

 

 

グイグイとSTRを全力で使いクロムを水中へと引っ張る。

 

クロムも負けじと浅瀬の方へ逃げようとして膠着状態が続く。

 

 

「往生際が…悪い…な!」

 

「それはどっちの…セリフだ!」

 

「クロム~」

 

 

一進一退の攻防をする中、釣り竿を置いてやってくる。イズ、その表情はとても笑顔だ。

 

 

「えい♪」

 

 

その掛け声と共にイズはクロムの背中を押す。

 

 

「あっ」

 

 

短いクロムの声と共にバランスを崩しイズも巻き込んで三人仲良く水の中に飛び込んだ。

 

 

 

「はあ…はあ…溺死とか冗談じゃあねえ」

 

「ふう、気持ちよかった」

 

「そうですね。何気にイズさんも楽しん!?」

 

 

しばらくしてびしょ濡れで上がってきた俺たちは荒い息を吐きながら一休みし、イズの方向に向いた後俺は直ぐに反対方向に顔を振り向かせた。

 

 

「どうしたの?サイトくん」

 

「いや、その…」

 

「お、おいどうか…い、イズ!服!」

 

「え?服がどうか…」

 

 

息を整え漸く周りの確認をしたクロムからの指摘にイズは視線を下す。

 

そして気づいてしまったのだろう。服が水を含んだことで…透けてることに

 

 

 

「そういえばこんなこと4層でもあったな」

 

 

俺のそんな呟きは羞恥の叫びをあげたイズの声によりかき消されたのは言うまでもない。

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