二年間剣の世界で生き延びた剣士はまたVRにのめりこむようです 作:ウィングゼロ
ALO事件から1ヶ月……あの事件以降波紋は広がりVRMMOという存在が風前の灯火へと陥った中、どこからともなくそれは現れた。
ザ・シード…コンパクトなサイズのVRMMOの作成・制御のフリーソフト…これの登場により存在自体危ぶまれていたVRMMOは息を吹き返した。
そして今日…NWOが再びサービスを再開する。
平日だということもありサービス再会は午後5時……奇しくもあの日サービス終了した時刻という若干狙ってあるのではと思う時間に苦笑いが出る。
「なに?にやにやしてるの?」
「別に良いだろ?にしてもお前も物好きだよな」
俺はNWOのホームページが映ったスマホから視線を外し目の前に座る制服を着ている男に映る。
「友達に言う言葉じゃないよね?太一?」
「……俺と仲良かった奴はお前以外全員離れてるよ。明久」
俺の目の前にいるのは吉井明久……中学からの友人でSAO事件後も交遊がある唯一の人物だ。
大抵俺の中学にいた奴らは俺のことを避けている。理由はSAOという世界に居たからだ。
外から見たら俺は剣を振るって狂進する男としか思われておらず。いつ、自分達に被害が合うか、かなり警戒されている。
まあ、するつもりもないけど……
といった具合に高校では孤立すると思っていたんだが明久は前と変わらず話しかけてきたときは流石に驚いた。
そしてその日の帰り道、明久に聞いてみると……
「え?別に友達なんだから、余所余所しくする必要ないよね?」
とのこと……
明久らしいと言えばらしいと思う。明久には感謝しかない。
「だからね、楓もやらない?NWO」
「理沙ちょっと、落ち着こ?」
遠くの席から女子生徒が二人そんな話をしているのを横目で見ていると、明久が少しそう言えばと思いだしたのか俺に声を掛けてくる。
「今日、NWOサービス再開だっけ?またVRMMOが始められるのは嬉しいよね~本当に……えっと……「ザ・シード」そうそう、ザ・シード様々だね……ってあれ?よくザ・シードのこと知ってるね?」
「そりゃあ、テレビとかで報道されているからな…」
実際は嘘だ。俺もVRMMOをのめりこんでいる身として、それぐらいの知識は確りとネットで調べた。
父さんもザ・シードの登場で意気消沈だった会社が息を吹き返したどころかサ〇ヤ人よろしく。勢いが更に高まったと社員一同狂乱していた。
「ねえ、坂口くんも吉井くんもNWOに興味あるの?」
俺達の話を聞いていたのか、同じクラスの白峯理沙さんと本条楓さんが俺たちのところに来て白峯さんがNWOに関してどう思っているのか尋ねてくる。
この高校に来てまだ日が浅いがオリエンテーションで一緒に行動していた仲だったため、喋ることも周りと比べて多かったりする。
「僕はALOをやっていたけど、当然、NWOの方も興味あるな…太一は…」
「一応興味はあるよ…父さんが運営してるゲームだし」
「そうなの!?へえ、坂口くんのお父さんってNWOの運営スタッフなんだ…」
別に言っても問題ない話なのでそれを聞いた白峯さんは驚き、後ろにいる本条さんは白峯さんに比べて反応は薄いがそうなんだと軽くは驚いている。
「太一は…またVRMMOやる気にはならないの?」
「……まあ、その気になればやるかもしれない」
…既にやってるけど
やるかもと思わせると周りは少人数が少しざわっとどよめく。
どよめいた人間はきっと俺の出身中学の人間だろう。大方あんなことがあってまたVRMMOをやるかもといったのが正気の沙汰とは見えないのだろう。
これで仮にばれたとしても問題はないだろう。
その後、白峯さんが「二人も興味あるっぽいから楓もやってみたら?」っと本条さんに向けてNWOをプレイするように誘っているのを苦笑いで眺め。放課後特に用事もない俺は一目散に家に帰宅。家で今日の授業の復習を軽く済ませ、5時前になるとアミュスフィアを装着しベッドに寝ころび、5時になるのを待ちわびる。
そして5時になった瞬間…
「リンクスタート!!」
俺は再びNWOへと飛んだ。
直ぐにログインを済ませ、宿から再スタートすると俺は戻ってこれたことに嬉しい実感をしつつ外から喜びの歓声が聞こえるのを耳にする。
これはきっとNWOに戻ってきたことへの喜びだ。俺はそこまでのリアクションはするつもりはないが早速、メニューを開けてクロムとイズがいるかを確認する。
「クロムは…まだか、でもイズはログインしてるみたい…!早速メッセージが、工房に来て…かすぐ行く…っと!」
イズからのメッセージに直ぐに返事をして直ぐに宿から出て喜び湧き上がるプレイヤーの合間を抜けながら、イズの工房へとたどり着く約一ヶ月、それだけだというのにここに来たのは何年ぶりかと思わせる感じがした。そんな気持ちでイズの工房の扉を開けると、中にはイズがいて俺の顔見るに花が開くように笑みを浮かべた。
「サイトくん!」
「イズ、久しぶり…また会えたな」
「ええ、そうね。クロムはまだログインしていないみたいだけど…これからどうしましょう?」
「鉱石でも堀りに行きます?」
「それ、クロムがすねそうじゃない?どうして3人じゃダメだったのかって」
「普段は言いそうにないが今回は確かに言いそう」
こんな話をするのも1か月ぶり…そんな世間話を空白期を埋めるかのように話題に花を咲かせ、しばらくするとようやくクロムがやってきた。
「すまん、遅れた。お前たちいくら何でも早すぎないか?」
「きたか、クロム…お前が一番遅いとはな…また集まろうって言った張本人なのに」
「そうね、私、悲しいわ」
「お前ら…俺をいじって楽しいか?」
「「さあ?」」
正直に言ってクロムをいじって楽しいというわけではなくこんな話ができて楽しいと思った気持ちが強い。
それは他の2人も同じ、言葉では言わないが顔にすごく出ている。
「さて…またパーティー組んでどこか軽めに行くか…」
「まら鉱石取りに行きましょう?たぶん装備の依頼もたくさん来るだろうしストックは欲しいところなの」
「じゃあ、リソースが枯渇する前に行こう」
善は急げ、そういうことで俺たちはパーティーを組み再開したNWOの世界に再び旅立った