二年間剣の世界で生き延びた剣士はまたVRにのめりこむようです 作:ウィングゼロ
あの悪夢と呼ばれているSAOがクリアされて年が明け2月の終わりが差し掛かってきたある日のこと。
「なあ、太一…お前まだVRMMOには興味あるのか」
朝ごはんが食卓に並ぶいつも通りの朝、通勤が近づく中、父さんが味噌汁を飲んだ後、間を開けて訪ねてきた。
その言葉の意味は深く考えることもなく。率直の意味と取っていいだろう。台所にいる母さんも驚いた顔をして父さんを見ているためにこの件は打ち合わせもしていないのは明白な事実。
急いで洗い物を済ませようとする母さんを尻目に俺は父さんの真意を疑い深く観察しながら訪ね返す。
「言葉の意味はそのままで取るけど…どうして今更そんなことを?あの世界は俺…俺達にとっては」
牢獄でしか他ならなかった。それを口にして言おうとしたが父さんは分かっていると一言入れて、少し間を置くと再び口を開いた。
「太一…多分だが自分でも気づいていないのかもしれんが、VRMMO関連のCMやニュースを見ているとき、お前はどこか恋しそうに眺めていたんだ。」
お前のその言葉もわかると俺の言い分も頷く。
確かにVR関連で思い耽ることはあった。
きっとその様子を見て俺がまだVRに興味があると父さんは思ったのだろう。
だが、強ち嘘とは言えないのだが。
「高校もSAOの生還者の集まる学校ではなくて県内の学校に合格するためにリハビリの合間に勉強していたのも俺達も知ってる。だからな息抜きというか…ご褒美というか…」
あれでもない、これでもないと言い訳?というか照れ隠しをしている。父親に俺は溜息を吐き。思ったことを口にする。
「それで、VRMMO関連のソフトなんでしょ?そりゃ抵抗はあるけど…ご褒美を無下にするほどじゃないし」
そういうと父親もそうかっと苦笑いの笑みを浮かべ、椅子から立ち上がり二階へと上がっていくしばらくして降りてくるとその手にはカセットとそれの扱うハードがあってそれらを机の上に置く。
「アミュスフィアに… NewWorld Online …このソフトって確か父さんが働いてる会社で作ってるゲームだよな」
「ああ、知ってたか…アルブヘイムオンラインの人気とはいかんがベータ版を通してこの前正式サービスをスタートしたがそれなりに評判もいい。家族にどうだと進められてな…もし太一がやりたいなら」
「……」
そんなこと言われると無性にやりたくなるじゃないか
しかし正直な気持ち、未だにSAOに閉じ込められた恐怖が残っている。だからまたログインしたら最後戻ってこれないのではないかと思ってしまう。だけどその反面…また仮想世界に行けるという躍動感に駆られているのも事実…やっぱり俺は根っこからのゲーマーの性分は変わらないらしい。
諦めに近い感じで俺はアミュスフィアとカセット手に取る。手に取る際、あっといった声が父親から漏れるが直ぐに俺は口を開ける。
「ちょっと息抜き程度にやってみる。」
「…そうか」
父親の言葉には嬉しそうな声が混じる中、俺はパッケージに書かれた剣と魔法の男女が描かれた表紙をみてにやりと笑みを浮かべる。
そして朝ごはんも食べ終わり。父さんも会社に出かけ、母さんも買い物い出かけたころ俺は自室のPCにアミュスフィアを接続して初期設定を済ませるとアミュスフィアをかぶりベットに寝転がる。
再びあの世界に旅立つ準備は完了した後はあの言葉を口にするだけであちら側へとダイブすることができる。
両親に心配させるわけにはいかないから長時間はできないが多少感傷に浸るぐらいの時間はあるだろう。
まずは気持ちを落ち着かせるため深呼吸をした後俺は二年目にも言ったあの言葉を口ずさんだ
「リンクスタート」
その瞬間俺の意識はVRの世界の中へと飛び込んだ。
VR機器に関してアミュスフィアに変更しました。そこのところはご了承を