二年間剣の世界で生き延びた剣士はまたVRにのめりこむようです 作:ウィングゼロ
「…敵はあれで全滅だな」
聴覚と確り見えている視界で空洞に俺たち以外誰もいなくなったのを確認し、俺はメイプル達がいる方に声をかける。
「おーい、敵全滅したから明かりつけても問題ないぞ」
その声に従って明かりが灯る。
明かりが灯るとよくわかるが、ジト目で声で判断してこちらを見つめるシノン。顔を青ざめ体を震わせるワタル。顔を引きつらせ苦笑いをするアキ。お互い顔を青くし抱き合っているメイプルとソフィー。ニコニコと今のみんなの状況を楽しんでいるスギナミ。
約一名、楽しんでいるようだが他のみんなからすれば暗闇から聞こえる男達による。絶叫の断末魔を聴いていただけだから怖いのも頷ける。
そしてメイプル達の元へ戻るとジト目のシノンが口を開けた。
「お疲れ様…ずいぶん、楽しそうに戦っていたじゃない」
「まあ、あれで怖がって再度来ないことを…祈るしかない…それを言うならシノンとスギナミも援護してくれたじゃないか。あれは助かった」
「そう言うサイトは、魔法を叩き切ってダメージを受けていないようだが…それに途中から息を殺したプレイヤーを倒していたが…」
「ああ、それな倒してる途中に新しいスキルを取得したんだ。【暗視】暗闇でもある程度の補正が付く。取得条件は暗闇の中、敵を3体倒すこと」
そのおかげで相手は更に混乱してくれてこちらとしてはやりやすかった。これで夜間での戦闘も比較的にやりやすくなったというものだ。
「さて、これで第一陣は退いたとみていいがサイトよ。このクエストお前はどう見る?」
「どうって…そうだな明らかに防衛系…一定の時間守り切ればいいクエストだろう」
「一定て…何時間よ」
「うーん…このワイバーンの自然回復量からみて…おおよそ3時間」
「「「「「3時間!?」」」」」
「まあ、よくある話だ。今の時刻は23時46分だから、大体3時までだな」
メニュー画面からリアルの時刻を確認し凡その終わる時間を割り出す俺。そして横目でメイプル達を確認するとみんな複雑そうな表情を浮かべていた。スギナミ以外
「完全に夜更かしだよ…明日は休みで問題ないけど。」
「で、でもあれだよね。理沙とはお昼ぐらいに集まってレポートを書く予定だったけど…」
「…正直、起きられる自信ないわよ」
「…なんか、回復を早くする方法とかねえのか?」
「あったら…僕だって知りたいよ」
「うむ、これはこれでレポートの内容がより豪華になるではないか…寝不足面に関してはもう諦めるしかないだろうがな」
そう言ってランタンを囲うように座る俺達。
無理もないこんな何もないところで3時間…待機しなければならない。普通に考えても苦痛だ。
無言が辺りを包む中…俺は良かれと思って買ってきていた物をストレージから取り出した。
「ほらこれ…町の露店で売ってたやつ。色々買いそろえておいたから」
串に刺さった肉やクレープ。露店にあったものをとりあえず一通り買い揃えた。
それを持って来ていた布の上に置きみんなの目に置く。
「こんなに…これだけの量なら結構な額したんじゃない?」
「金額のことは気にしなくていい。俺が一番金持ってるわけだから…出しただけだし」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおっと」
そう言ってソフィーが買ってきた食べ物に手を付けると次第に他のみんなも食べ始める。
その光景を見て俺は思わず
「…懐かしいな」
「サイトくん?何か言った?」
「…ちょっと、懐かしく思っただけだ。こうやって夜通しでクエストをするのが久しぶりだなって…」
”ここで夜を越さないといけないのか…ねえレイン。ストレージに食料ってどれぐらいあるの?”
”うーん元々夜通しでクエストフラグを立てるつもりだし、一夜分の食糧は持ってきてるよ”
”サイト、仮休みが出来るコテージの設置できた?”
”あともう少し…たくなんでこういうところは簡易化してないんだよ”
”こういうのも冒険の醍醐味だからじゃないかな?”
”まあ、もう慣れたけど…今のところフロアボスの間が見つかってないし…安全マージンも取れてるからレベリングする必要もない。こうやってレインとフィリアの用事に付き合って冒険出来て良い息抜きにもなるしな”
「…本当…懐かしい…」
目を閉じると思い浮かべる。SAOでの楽しい冒険が思い浮かべる。
フィリアとレインとのダンジョンに探索や珍しい鉱石集め。ギルドメンバー達の交流どれも楽しい毎日だった
だからこそ…俺は自分を許せない…あの二人を何もできず失ったことを…
翌日…
「っで、みんなして眠たくしてる理由はわかったけど…それで?楽しかった?」
「うん、みんなで達成できたって感じで楽しかったよ!」
「でも、あの後2パーティも来たんだよね…ほとんどサイトくんが倒しちゃったけど」
「ああ、シノンとスギナミも後方から援護してたしな…」
「二人とも暗視取っちゃったからね」
「そうなんだ…ああ、私もやりたかったな」
某所のカフェテリアで集まった俺達もちろん集まった理由はレポートの作成だ。
因みにシノンこと朝田さんと杉並は来ていない。前者は寝不足。後者は不明…
「そういえば、噂で聞いたんだけど来週にNWOで大規模イベントがあるんだよね?」
「え!?そうなの?」
白峯さんはどこかで調べたのかNWOでイベントがあることを告げると、そういうことに疎い本条さんが驚く。
「俺もそのことは聞いた。みんな、そのイベントに向けてレベリングしてるって話だ」
「そうなんだ。僕らも参加してみたいよね。」
「じゃあ、みんなで参加してみようよ!楽しそうだし!」
来週のイベントもちろん俺も参加する予定だ。そして参加する以上、上位にはランクインして見せる。本条さんの提案でみんな乗る気になる中、一人だけ白峯さんはNWOができないことに項垂れたのは言うまでもない。