二年間剣の世界で生き延びた剣士はまたVRにのめりこむようです   作:ウィングゼロ

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22話『SAO生還者と第1回イベント前2』

 

 

 

 

渓谷地帯に1本そびえ立つ巨木……

 

明らかに目立つそれの根元に訪れたプレイヤーは数知れず。しかしその場所に行っても徒労で終わる。

 

 

 

巨木の周辺にはダンジョンも宝箱もなく、あるのは木材を手に入れることが出来るだけらしい

 

 

 

らしいというのは、実際採取したプレイヤーが存在しないから、職人プレイヤーによる推測でそう言われているだけだ。

 

 

 

「それじゃあ、あの巨木の素材を誰も取ったことないのね…」

 

「ええ、伐採に関してはDEXよりSTRが関係してるのは分かってるのよ…前に他のプレイヤーがドラグに頼んで伐採してもらったみたいだけど…駄目だったって…」

 

「ドラグって今現在でSTRが高い高位ランカーだろ?それで無理って本当にそれ取れるのか?」

 

「もしかしたらもっとSTR要求してるのかも…現状居ないのかもね」

 

 

ドラグっていうプレイヤーのSTRがどれぐらいのか知らないが、それで無理というのはどれだけ要求しているのか。

 

そんなこと思っているとその巨木の根の元、下まで来て改めてその大きさに驚嘆する。

 

 

聳え立つ巨木は高さが50メートル以上、太さは半径でも10メートルはあるだろう。

 

上を見上げれば、草木が空の明かりを遮って昼には木陰になって気持ちいいだろう。

 

 

 

「サイトくん。見て此処に切り口があるでしょ?これが伐採の採取ポイントの証なの」

 

 

そう言って、巨木の少し切られている部分に手を当てるイズさんに近づいてその切り口を見る。

 

 

「それで、俺に取れるか試して欲しいと…木材はどっちかって弓の素材だろ?」

 

「そうねえ…」

 

「…まさかシノンの弓作る為の素材って言えないよな」

 

「…ちゃんと取れてくれるといいんだけど」

 

 

そう言いながらニコニコと話を逸らした辺り、そういった思惑があるのだろう。

 

シノン本人は目を大きくして驚いてるから、本人の計り知らないところだったんだろう。

 

 

「…まあ、試すのはいいけど…俺のSTRで足りるかね」

 

「ねえ、サイトくん。昨日のクエストで手に入れたリング使ったら?」

 

「ああ、そうだな…えっとドラゴンリングを装備してと…」

 

 

 

 

ドラゴンリング

 

 

【STR+30】

 

【VIT+10】

 

 

 

これでSTRは162。今出せる俺の最大数値だ。

 

ドラゴンリングは昨日のクエストの達成報酬の一つ。みんなも1万ゴールド手に入れたがこれだけ一つだけしか貰えず、誰が持つかと話し合った結果、一番働いていた俺がと全員に勧められあの時は渋々だったが受け取った。

 

 

 

「それじゃあ、行くぞ!!はあああっ!!」

 

 

バスタードソードを引き抜き、全力で切り口に向けてスウィング。それにより巨木は揺れ草が何枚か落ちてくるが木材はドロップせず。

 

 

「…ダメか」

 

「ダメね。本当、一体どんな無茶な要求してるのかしらね。この木」

 

 

これでも駄目だということにイズは不服そうに木を見上げる中、シノンも少し欲しかったのか残念がっている

 

 

「シノンも素材欲しかったのか?」

 

「え?ごめんなさい確かに欲しいとは思うけど…」

 

「……まあ、俺もここまで要求されてる素材っていうのは見てみたいし…仕方ない。イズ、シノン。今から見せるスキルは少なくてもイベントが終わるまでは誰にも言わないでくれよ?」

 

「??いいけど?何かあるの?」

 

「クロムにも悟られてないのがな…暗黒

 

 

そういって暗黒を発動、刀身が漆黒のエネルギーを纏い。初めて見せたことでイズもシノンも驚いて刀身を凝視している。

 

 

「危ないから離れてて」

 

「ええ、分かったわ。シノンちゃんも」

 

 

俺は下がるように促し、戸惑いつつもイズはシノンを連れて俺の元から離れると、それを確認して俺はバスタードソードを構える。

 

暗黒でSTRが2倍。324という破格の数値これで駄目なら…

 

 

「はあああああああぁぁぁっ!!!!!」

 

 

雄叫びと共に振り回されるバスタードソードは、切り口を切りつけると先ほどとは段違いの衝撃音とともに先ほど以上に巨木を揺らす。

 

そして切り口から木材が何十個と束になってドロップ。これがお目当てのものだと分かり、暗黒を解除して回収すると、先ほどの迫力でしゃがんでいるイズ達に手を振り。二人の元へ向かおうと足を動かそうとした時、足元が大きく揺れた。

 

 

「なっ!?」

 

 

揺れたことで上手く歩けず、その場に手を地面に置いて体制を保とうとしたが、いきなり足元の地面が真っ二つに割れそのまま抵抗もできず地面の裂け目に落ちていく。

 

落ちる最中、慌てて助けようとこちらに向かうイズとシノンの姿が映ったがあの二人は間に合わず、俺は地面の裂け目に落ちていった。

 

 

 

 

 

シノンSIDE

 

 

 

「サイトくん!!」

 

 

何が起きたか分からなかった。

 

 

サイトくんがスキルを使って巨木の素材を取ったまでは良かったんだけど、いきなりサイトくんのいた場所の地面が割れてサイトくんはその裂け目に落ちていった。

 

その後、裂け目は元通りに戻り、私たちは立ち尽くすことしかできない。

 

 

「大変なことになちゃったわね…一度ここで待ってみましょう…きっとサイトくんなら大丈夫よ。しばらくしたらメッセージが飛んでくるわ」

 

 

慌てていたイズさんだけど冷静さを保ち、ここで待つ事を決める。

 

 

「サイトくん…無事でいて」

 

 

そんな中、私達は巨木を背にサイトくんの応答を待った。

 

 

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