二年間剣の世界で生き延びた剣士はまたVRにのめりこむようです   作:ウィングゼロ

33 / 38
32話『 SAO生還者と消えない傷跡』

 

 

 

 

2層に到達して数日、平日なので学校で何時も通り、お昼休みにもう固定グループのように明久や杉並達と話していた。

 

 

「じゃあ、白峯さんはその地底湖の隠しダンジョンに挑もうとしてるんだな」

 

「うん、確か坂口くんって朝田さんから聞いたけど水泳と潜水持ってるのにどうして気が付かなかったの?」

 

「…ただ泳いでいただけでそこまで深くは潜らなかったから…見つからなかったのかもな」

 

 

こうやって8人で集まり話し合うのは何度目のことか話の花を咲かせている俺達男子面に嫉妬の視線もちらほら向けられる。

 

 

「楓このおかずと交換しよ」

 

「いいよ、それじゃあ…灯里ちゃんのこれとで」

 

「うんいいよ」

 

「なあ、本条さんと園部さんのやり取り見てるとよ……なんかこう…心が癒されていく気がしなくね?」

 

「渉。大げさだよ。といいたいけど本当に見てるだけで癒されるよね~」

 

「あんたたち、鼻伸びてるわよ」

 

「まあ、間近に受けるこの尊さ…男ならやられて仕方あるまい」

 

「そういう、杉並君は至って普通に見えるのだけど」

 

「鍛え方が違う」

 

「まあ、片や非常識の塊ではあるんだがな」

 

 

おかずを交換する本条さん(メイプル)園部さん (ソフィー)

 

その光景を見て本人も気づかずに鼻の下を伸ばす板橋 (ワタル)明久 (アキ)にそれをジト目で指摘する朝田さん (シノン)

 

そして杉並 (スギナミ)が理由を淡々と述べる中その中心にいる

 

そんな中俺は本条さんを見て本条さん(メイプル)がかなりぶっ飛んだプレイヤーであることを内心苦笑いに尽きない。

 

 

そんな楽しい団欒を交えた昼休みが過ぎる中教室の戸が開き外から一人の女子生徒が入ってくる。

 

 

 

「あなたが…坂口くん…だよね」

 

「ん?えっと君は…」

 

 

当たり前だが此処の制服を着ておしとやかな少女が俺の元にやってくる。

 

見た限りこのクラスの生徒ではないし、中学が同じだった?とかそんな関係だろうかと考えていると彼女の表情はとても穏やかなものではなく何処か怒りが煮えたぎっているように見えた。

 

 

 

「どうして…」

 

「?」

 

「どうして、あなたはそうやってのうのうと生きていられるの!?」

 

「……え?それはどういう…」

 

 

女子生徒から放たれたそれは非難の言葉だった。いきなりのことで俺や周囲は凍り付いたように固まりどういうことなのか理解が追い付かなかったが、怒りが収まらない彼女は言葉を続ける。

 

 

「あのゲームで生き残ったあなたがこんなところにいて……良くも平気でいられるよね!?」

 

「っ!!」

 

 

女子生徒のその言葉で漸く彼女の怒りの根元が見える。彼女はきっとSAOに関係する何かを持っている。しかも好意的ではなく憎悪を

 

 

「ま、まって!?えっと気のせいじゃ…」

 

「部外者は黙っていて!?どうして早く助けてくれなかったの!?助けてくれたら……彼は……っ!死んだりなんかしなかった!!」

 

「っ!!」

 

 

明久がはぐらかそうとするが一喝して押し黙らせるとまた俺に睨みつける。そうか、理解した…彼女がなぜ俺に憎悪を向けているのか……きっと、彼女にとって大切な人があちらで全損になって死んだ…それもクリアされる少し前だったのかもしれない。

 

 

「返して……私の大切なものを返してよ!!」

 

 

彼女の言葉が俺の癒えていない傷跡に突き刺さる。きっと俺に当たることは間違っているだろうが目の前に彼女の知り合いと同じ境遇者がいて、彼女はいてもたってもいられなくなったんだろう。

 

 

 

「何の騒ぎだ!?」

 

 

騒ぎをかけてきたのか、休み時間なのに教師がやってきて生徒から事情を聴くと、直ぐに女子生徒と俺を連れて教室を後にした。

 

 

 

 

 

詩乃SIDE

 

 

いきなりのことだった。

 

突然やってきた女子生徒に罵声を浴びせられ、今まで見たこともないぐらいに顔色を悪くしていた坂口くんは、生徒指導の西村先生に連れられて行き、残された教室内ではしばらく騒然とした後、坂口くんは昼休みになっても帰って来ることはなかった。

 

 

「授業を始める……っと、その前に坂口は気分を悪くして早退した……気になってる奴も多いだろうが、あまり気にするなよ」

 

 

「……大丈夫なのよね…あいつ……」

 

 

とてもそうは思えない。それにあれはまるで、銃に関してトラウマを持つ私のようで……

 

 

「っ!!」

 

「ん?おい朝田。顔色が悪いようだが大丈夫か?無理なら保健室に……」

 

「だ、大丈夫です…」

 

 

何とかこみ上げる吐き気を抑え込み、みんなに悟られないようにする私は先生に問題ないと言い、授業を受けた。

 

 

 

そして2時限の授業を終えて放課後、帰宅した生徒もそれなりにいるがまだ何人か教室に残っている。

 

私達もその中の1グループで、みんな坂口くんのことが心配でならない表情で一か所に集まっていた。

 

 

「…坂口くん……大丈夫かな?」

 

「楓が気負いすぎることはないだろうけど……あれはただごとじゃあなかっただろうしね。ねえ、吉井君」

 

「え?何かな?」

 

 

早退した坂口くんのことを気にして落ち込んでいる様子の楓に、理沙もそんな楓に対してのフォローをしながら、あの時唯一坂口くんのフォローをしようとした吉井君に声をかける。

 

 

「あんまりこんなこと聞いちゃいけないのは分かってるんだけど…坂口くん…って生還者…ということでいいんだよね」

 

「……」

 

「間違ってたら、ごめんなさい。でもそうだとすると……「うん、そうだよ」……そっか、やっぱり、それなら色々納得もできるわ」

 

 

二人の間でコミュニケーションがしっかりと取られる中、私達は端的な単語だけで話がついてこれず、説明を求めようとすると担任の先生がこっちにやってくる。

 

 

 

「ああ吉井、ちょっといいか?」

 

「え?は、はい」

 

「坂口のことでなんだが…荷物置きっぱなしで早退したから、届けないと行けないんだが、先生は外せない用事があって持っていけない。だから同じ中学で仲の良い吉井が坂口の荷物を家まで持っていってくれないか?」

 

「別に構いませんけど」

 

「そうか、じゃあ頼んだぞ」

 

 

そう言って担任も教室から去っていき、視線は吉井君に向けられる中、理沙が手を叩き口を開ける。

 

 

「色々聞きたいことはあるけど、ここで話せる内容じゃないし…みんなで坂口くんの家まで行きましょう。その道中で生還者についても聞くとして」

 

 

そう言って私達を纏める理沙は、私達と一緒に坂口くんの机にある教材や荷物を坂口くんの鞄に纏めると教室を後にした

第二回のイベント。サイトのパーティーは四人が良いか八人良いか迷っています。どうすれば良い?

  • 4人
  • 8人
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。