問題児「十六夜様(偽)の理由?ただの脚フェチだからだ」   作:永遠の孤独者

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欲望です。自分の。




「脚のことしか考えていない」

 

 ここ『学園都市』は最高の場所だと、逆廻十六夜は獰猛な笑みを浮かべた。

 

 総人口230万人のうち8割を学生が占める超巨大な教育機関であり、そして学生を対象とした『超能力』に関した研究が日夜行われている最先端の科学の研究機関である。

 

 広範囲の土地面積を有し、技術漏洩を危惧したのか、外壁は厚く高い壁により要塞化され、交通遮断・衛星による監視が行われている。

 

 そんな『箱庭』と呼んでも過言ではない場所を、学ランにヘッドフォンを装備した金髪の青年、逆廻十六夜は好いていた。

 身長は一般的な高校生の平均より少しばかり上だろうか。細身に見える肉体は、触ってみれば鋼のように鍛えられており、内は知らないが獣のようなたくましい双眸は整った顔をより魅力的にしているのか、すれ違う女子生徒は頬を染める。

 

 そんな生徒たちの顔など一切興味ないのだろうか。彼女たちからは常に斜め下に視線が向いているように見えてしまうため、幽玄の美を現したような儚い絵画の人物とも捉えることもできる。

 

 

 

 

 

 しかし、そんな幻想はぶち壊されていた。

 

 

 

 

 

「(生足!ニーソっ!あれは…ストッキングか‼最高じゃねーか。閉じられた足の中に右手突っ込み手てー‼)」

 

 

 約180万人は学生の学園都市において、男女比もほぼ半々となる。そして、女子学生が着用を義務付けられているものといえば、制服。そして、制服はスカートが主流となる。

 

 つまりこの男。獰猛な目つきで女子の開化された足をじっくりと、じーっくりと観察していたのだ。

 

 

「ヤハハ、一時は最悪な環境だと思ってたがむしろ楽園じゃねぇか!」

 

 

 遡ること十数年前。“彼”が“逆廻十六夜”として生まれたときは自分の顔立ちと能力に驚愕した。

 そして数年後。この世界がある程度理解して苦悩した。

 苦節すること数分。彼は最高の笑顔を浮かべた

 

————十六夜様の動体視力なら至高の一時を万にだって変えられるじゃねぇか

 

 と。

 結論から述べよう。

 脚フェチの男が逆廻十六夜の姿・一部能力を持って『とある魔術の禁書目録』の世界に転生したのだ。

 

 そして皮肉なことに、この逆廻十六夜という男は神々ですら畏怖する才能を自身の性癖を満たすために使っているのだ。

 

 

「あ、十六夜せんぱーい!」

 

 

 そしてさらに

 

 

「おお、初春じゃねぇか。どうしたんだ走って。スカートがめくれるぞ?むしろめくるぞ?」

「えへへー先輩見つけたので走ってきました!そして流れるようなセクハラ発言はやめてくださいよ!」

「友達はOKじゃなかったのか?」

「それは佐天さんだけです!」

「おっ、言質取ったぜ。佐天には初春が公認でスカートめくる許可出したって言っておくぜ。報酬は俺の前のみっていう制限をつけさせてもらう。回数減るだろうから感謝しろよ」

「流石十六夜先輩!————もう騙されませよ」

「で?俺に何か用があるんだよな?」

「さらりと話変えましたね。白井さんが呼んでいます。177支部に集合らしいですよ。例の『連続虚空爆破(グラビトン)事件』についてでしょうが」

 

 

 この男、風紀委員(ジャッジメント)なのである。

 今現在もセクハラ報告をされないよう話術で流し、見下ろす形になっている後輩の顔———を越えて生足を凝視している。そのような情状酌量の余地もない完全な邪の視線に気づかせない無駄な才能を使って、視線に敏感な女性でも嫌悪させないのはさすがとしか言いようがない。

 

 

「あーあれか。書庫(バンク)からは該当するレベルの能力者が全くいないって白井が嘆いていたな」

「先輩は何かわかりましたか?」

「いいや?俺は今回の件は白井に任せてたからあんまり知らないな。まぁ、少しばかりきな臭い話が耳に入ったから何となくわかってきたってだけ言っとこうか」

「本当ですか⁉さすがですね!」

 

 

 哀れな後輩(被害者)は完全にその前の会話は忘れたようだ。 

 興奮してジャンプをする後輩の目視可能な範囲が増大した太腿を凝視していた十六夜は、僅かだが思考を事件について改めて反芻した。

 

 そもそも、“彼”は『問題児たちが異世界からくるそうですよ?』は読破していたが、『とある魔術の禁書目録』はある程度知っているのみ。読む前に死んで、そして“逆廻十六夜”となったのだ。

 『連続虚空事件』なんて知らないが、本来の逆廻十六夜の頭脳ならば今回の事件の真相などすぐにたどり着く。

 

 

「ま、脚のことしか考えていないから知力が低下しているがこのくらい簡単だな。元文系だし」

 

 

 目的の場所に再度走り出した初春飾利を見届けながら、逆廻十六夜は呟いた。

 否、この逆廻十六夜という男が“逆廻十六夜”と違って科学に興味がないため学習していないだけである。

 

 

「十六夜先輩!急がなきゃ白井さんに叱られますよ!」

「ヤハハ、すぐ追いつくぜ!」

 

 

 瞬間———地面が爆ぜた。

 これは比喩ではない。アスファルトが砕け、土壌が隆起する。しかしその時には十六夜の姿はなく、代わりにレベル2の風力使い(エアロシューター)顔負けの風圧が周りに到達した。

 その副産物(スカートめくり)を目に焼き付けたのは言うまでもない。

 

 

「きゃ!せ、先輩⁉」

「黙って手で目を覆ってな!」

「そ、そんなことしたらスカートの中見られるじゃないですか!」

「ヤハハ!バレたか!」

「バレます!」

 

 

 いきなり胴体をつかまれた初春は乙女の恥じらいの抵抗をしながら、第三宇宙速度———ではないが、常人をこえたスピードで駆ける十六夜の横顔を頬を赤く染めながら見とれていた。

 逆廻十六夜と初春飾利は数ヶ月風紀委員の仲間として関わってきたため、彼の特異性をすっかり忘れていた。

 

 逆廻十六夜 レベル0

 

 それが逆廻十六夜をいう男に対して、学園都市が下した彼の評価だ。

 しかし、彼らはもう一つの名を逆廻十六夜に与えたのだった。

 

 『正体不明(アンノウン)

 

 何の因果か。その名称を聞いた十六夜は当然のように思った。

 

 しかし、自称文系の十六夜は自身の能力より、自身が『脚フェチ』であることの方が重大だった。

 

 

「(俺が“この世界”を知っている———これがバレた暁には十六夜様でも面倒なことになりそうだな)」

「先輩!目が、目が痛いです~!」

「我慢しな!嫌ならスカートから手を放せや!」

「どっちもいーやーッ!」

「ヤハハハハハ!」

 

 

 尚、体勢から初春の神秘は十六夜に見られることはなかったと、177支部を目にして気が付いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はっ!性癖バレた‼
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