シャーク・ブルーノ...
死神第四部隊隊長にして死神一の策士としても有名である
またかなりの博識で自宅に膨大な量の本を所有しており、かなりのキレ者としても部下の信頼も厚い
その反面、どこまでが嘘か真実か疑うような言動もあり騙しの技術にも長けていることから彼の前で本性を晒してしまえば寿命が縮むとも言われている
「で、そろそろ内容を話してくれてもいいんじゃないですか?」
「それもそうだ、だが焦ってはならんぞゼスト君。焦っては人生楽しく生きられぬしその分時間はすり減って行くのだから」
相も変わらずシャークはニヤニヤと笑みを決して崩すことなくゼストと正面から対話する
ゼスト達は里にある喫茶店でのんびりしながら話をしている
どこかゆっくりと会話するのに手頃な場所はないかと二人で探していたところ丁度ここが見つかったので二人は客として喫茶店に足を運んだ
今の時間帯は昼で丁度ランチタイムなのでヒトが混んでいると思ったのだがそこまで混んでいなかったのがこの店を選んだ決め手の一つでもある
ゼストの注文したホットコーヒーは未だに到着していないがシャークの注文したミルクティーは既に到着しておりチビチビと飲みながら話す
「ゼスト君はこういう店には来ないのかね?」
「そうですね、隊長と行くにしてもあの人は物凄いヘビースモーカーなので禁煙席に行かないといけないので絶対にないですね。一人でも入る勇気がないのでもしかしたら今日が初めてかもしれないです」
「なるほどねェ」
何が面白いかはわからないがシャークは既に笑顔を浮かべている口を更に吊り上げてニヤニヤと笑い始める
そうこうしている内にゼストの頼んだホットコーヒーも到着して話も本題に移動することとなった
「まず今回の依頼は物資の調達ではない、本格的な暗殺なのだよ」
「暗殺...」
「まぁ死神としての本職と言ってもいいだろう、中々美味しい仕事だろう?」
シャークはミルクティーを飲みながら暗視ゴーグル越しでもわかるほど瞳を輝かせる
しかし久々に舞い込んだ本格的な仕事にゼストも心踊らせていることは事実である
シャークはそんなゼストの心理を察したように淡々と言葉を繋げていく
「依頼主は匿名だが標的はアメリカ合衆国のニューヨークのある財閥の主だ。どうやらコイツは本来死ぬべき運命だったのだがどういう理由かはわからんがズレが発生してしまったせいで別の人物が死んでしまったのだよ」
「なるほど、それで天秤の調整をはかるためにこのハゲを殺ればいいんですね?」
ゼストはシャークに見せられた写真に人差し指で首を斬るような動作をして確認を入れる
その動作にシャークは同意するかのように頷く、そしてミルクティーのカップを一旦手放す
「標的の名はレザノフ・B・ジョージ、報酬は最低三億、そして決行日は一週間後だね」
三億、最低ということは仕事の出来によってはそれ以上支払ってもらえる可能性もある
更に依頼主は匿名ときた、これは別に珍しいことではない
何故なら死神に仕事を依頼する際、依頼主の名前を匿名とすることは実質可能だからである
そして決行日は一週間後、長いようで短い期間である
「シャークさんは来るの?」
「いえいえ、行くのはゼスト君一人なのだよ。こちらも隊長をしているので非常に忙しい身でね」
「一つ聞いていいですか?」
「何かね?」
ゼストはホットコーヒーを一口含んでから目の色を変えて尋ねた
「今回の仕事、何故俺を選んだのですか?隊長の言うとおりシャークさんの部隊にも俺よりも経験豊富で優秀な方がいるんじゃないですか?」
これはずっと聞きたかったことであった
態々別の隊のヒトに仕事を頼むことは滅多なことがない限り行われることはない
更に言えばこれは第四部隊に依頼された仕事であり第四部隊が行うべき仕事
報酬もそこそこでこれほど美味しい仕事は中々お目にかかれないであろう
それを達成すれば第四部隊の手柄となり報酬も第四部隊のモノとなる
しかし、ゼストは第二部隊の死神
ここで仕事をゼストが達成してしまえば報酬は第二部隊のモノとなり手柄も第二部隊となってしまい第四部隊に何一つメリットがない
ゼストの問いかけにシャークはニヤリと笑みを浮かべる
「ゼスト君、たしかにこちらの出した条件では我が部隊にメリットは何一つない、もしかしたらデメリットしかないかもしれない。だがこちらにはこの仕事を任せられるような人材がいないのは事実なのだ」
シャークは淡々と応える
たしかに第四部隊は主に物資調達の仕事でほとんどの死神が出稼ぎに行っているため達成することは不可能なのだ
時期が悪かったと言ってもいいのかもしれない
「だからそれに見合う人材としてこちらはゼスト君を選んだ。隊長として部下の帰りを待っていないといけない身でもあるしこちらにも色々な事情がある上で君に頼んでいるのだよ」
シャークは再び笑みを浮かべる、しかし今までの不気味で裏を読み取りにくい笑みとは違い、暖かく優しい笑みだった
シャークはコーヒーに入れるよう置いてある砂糖をそのまま口に入れて再度ゼストに向き直る
「引き受けてもらえるかな?」
ゼストはまるでシャークに試されているような感覚に襲われた
それでもゼストの答えは最初から変わらない
「引き受けましょう、その仕事」
ゼストは右手を差し出して笑顔で答えた
それに応えるようにシャークも笑顔を浮かべて右手を差し出し握り返した
「ではゼスト君、健闘を祈る」
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