死神だって目立ちたい   作:Cr.M=かにかま

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ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(^^)
そして作者であるかにかまはやはりギャグを挟まないと死んでしまう病でした(笑)


第四幕

 

「.....知らない天井だ」

 

とりあえずお決まりの台詞を言ってみる。

重い瞼をゆっくりと開けたゼストの視界に飛び込んできた光景はゼストの記憶にない部屋の天井だった。

 

木造の部屋らしく壁には数枚の写真や絵が飾られており、部屋の隅っこには空調機が音を立てていた。

ゼストはゆっくりと体を起こすと全身に痛みが走る、体の節々に火傷のような痕が確認できた。

 

(そうか、そういや炎の中に飛び込んだんだったな)

 

薄っすらとではあるが意識を失う前自分が何をしていたのかを意識が覚醒していくのと平行して霧が晴れていくような感覚で段々とハッキリとしてくる。

 

(あの娘の父親は無事なのか、いやそれよりも何で俺は人間を助けたいなんて思ったんだ?)

 

そう、今の彼の疑問はそこだった。

今の今まで数多の人間を狩って来たと言うのに今になって命が尊く感じ始めていた。

何故かはわからないがあの時も炎の中に取り残された人間を見捨てることに躊躇いと後悔から行動に移ったのだから。

 

ゼストは小さく舌打ちをして苦虫を潰したような表情を浮かべる。

 

ベッドから起き上がろうと体に力を込めるが体の節々が痛むため思うように動くことができない。

ズキズキと染みる痛みに耐えながらゼストは壁掛けハンガーに掛かっているパーカーに向かってゆっくりと向かい始める。

もう一度体を確認してみるとあちこちに包帯が巻かれており、相当の火傷を負ったことがわかる。

 

(仕方ない、簡単な応急処置だけでも済ませるか)

 

パーカーを手に取ったゼストはパーカーを羽織ることなくベッドの上に座り楽になれる態勢で静かに目を閉じる。

まず一番痛みが感じやすい右の脇腹に左手を当てる。

すると左手と右の脇腹の中間部分でキラキラと輝くオーラのようなモノが浮かび上がる。

 

脳波、来世の住人ならば誰でも扱うことのできるエネルギー波の一種で想像力の高さが現実に影響を及ぼすというモノである。

 

本来現世の人間達にも脳波は備わっているが、彼らにそれを自由自在に扱うほど脳の構造が複雑ではない。

それにいくら来世の住人とは言えど現世では脳波の使用がある程度制限されてしまうのだ。

それは現世には空気中に酸素と混じっている霊素と呼ばれる来世特有の気体が漂っていないことが原因とされている。

しかしゼストは以前霊素を体内に取り入れているため特に問題なく脳波による治療を行うことが可能だった。

 

だからこそ治療に集中力を注ぎすぎたゼストは目の前の扉が開き一人の少女がこちらを見ていることに気がつくのが遅れた。

いや、運が悪ければ今の光景を見られてしまったかもしれない。

 

「.........................」

 

「........................」

 

沈黙が場を支配する、目の前の少女はポカーンといった様子で立ち止まっておりゼストは冷や汗をダラダラと流しながら必死に言い訳を考えていた。

 

「Elly! I stood straight in such a place, and how did you do it?(エリー!そんなところで突っ立ってどうしたの?)」

 

「Older sister, that person seemed to get up(お姉ちゃん、あの人起きたみたいだよ)」

 

「Oh, it is true !?(え、本当!?)」

 

ドタドタと足音がもう一つ近づいてきた。エリーと呼ばれた少女の背後に一回り背の高い少女が扉から顔を覗かせる。

 

「あ、あー。えっと...」

 

まじまじとゼストを見つめる少女(大)に思わず日本語で対応してしまった、ここが米国であることを忘れてしまっているように。

 

すると、少女(大)は少女(小)を突き飛ばしてズカズカと部屋に入り込みゼストの下までやって来て腰を下ろし、跪く態勢にシフトチェンジする。

そして、少女(大)は頬を真っ赤に染めながら

 

「My heart was carried through in your a certain prowess action and figure cool beautifully! Please would you keep company with me? (貴方の勇敢ある行動と美しくカッコイイその姿に私のハートは貫かれました!どうか私とお付き合いしていただけませんでしょうか!?)」

 

「............................はい?」

 

空気が死に時間が止まった瞬間だった。

 

 

 

「そんなことで改めて自己紹介すると私はエレン・ルーフォード。この子は私の妹のエリー・ルーフォードです」

 

「It is Elly. Thank you very much at that time(エリーです。あの時はどうもありがとうございました)」

 

「ゼ、ゼスト・ストライカーです。こちらこそ助けてくれた上に治療までしてくれてありがとうな」

 

ゼストはエリーの頭を撫でながらエレンに礼を言う。

エレンはどうやら日本に留学していた時期があったため日本語はペラペラだった。ゼストがこの時言語が同じという素晴らしさを味わったのはまた別の話である。

 

「本当にありがとうねゼスト。あの変態で酒臭くて加齢臭が目立ち始めてデブでブクブクの老眼なダメ親父を助けてもらっちゃって」

 

「.....あんたは一旦親父さんに対する認識を変える必要がありそうだな」

 

「いいのよ、いつも言ってるし今更褒めちぎってもお小遣いくらいしか貰えないからね」

 

「完全に財布扱いじゃねぇか!」

 

何かトンデモナイ人に助けられてしまったゼストはエレンという少女の認識を改める必要があると思わさせられた。

 

どうやら件の放火の原因は彼女達の父親が酒を飲みすぎ、飲酒運転を注意された近隣住人に殴りかかり挑発として受け取った住人が銃を撃ちガソリンが爆発を起こし車内にこぼれていた酒に引火してしまいあの大惨事が発生したというものだった。

 

「.....八割方親父さんが悪くないか?」

 

「その通りなのよね」

 

ハァ、と溜息をつくエレンを見ながら、こいつも苦労してるんだなーっと思いながら心の中で同情すると同時にとんでもない人物を助けてしまったと半分だけ後悔した。

 

「でもゼストって本当カッコイイよね。さっきの告白嘘じゃないから安心してよね」

 

「何を安心しろってんだよ?ていうかそこに置いてある薔薇の花束は一体どっから持ってきたんだよ?」

 

「心に咲いた花々を具現化したに過ぎない、わかるだろ?恋は突然訪れるのと同じなのだよ」

 

「全然わからん」

 

猛アプローチで攻めてくるエレンを一蹴してゼストは今後の考えを練ることにした。

 

「なぁエレン、そういや俺ってどのくらい寝てた?」

 

「三日くらいかな?」

 

.....早急に計画を立て直す必要が出てきてしまった。

 

 




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