もし、【鬼滅の刃】の世界に『転スラ』キャラが転移したら《リメイク版》   作:とあるスライム好き

3 / 12
 ここら辺から、前作とチョットづつ変わります。
 お気に入り登録、感想、評価等よろしくお願いします!


異世界に行くのにトラブルはつきもの

 森の木々のざわめきと混じって風が運んでくる、誰かの話し声。

 聞いていると如何やら人数は三人のようだ、ということが分かる。

 そのうち二人は声色も弾んでおり、喜色の面が伺える。だが、その一方で残りの一人は声も沈んでおり、酷く疲れた様子である。

 そんな彼らを月明りが照らす事で姿がうかがえた。

 

 *

 

 「やったのよさ、師匠!リムルから逃げる事が出来たんだよ!これで思う存分、ここ(異世界)を楽しめるよ!」

 

 小さな顔を満面の笑みで飾ったラミリスが彼女にとっての師匠、ヴェルドラへ話し掛ける。

 

 「うむ!してやったりと言うところであるな!クアーハッハッハ!」

 

 ヴェルドラはそんなラミリスの言葉に深々と頷き、この現状に対し満足している事を表すように大笑いをする。

 この旅において彼らの望みはたった一つ。自分達のやりたい事をする事。しかし、リムルがいてはその目的は達成されない。もし、リムルが本気でヴェルドラ達の監視をしようとしたのなら、それがたとえヴェルドラであってもその監視からのがれることは出来ない。それほどまでにリムルは隔絶した存在なのだ。

 そこでヴェルドラとラミリスが考えたのはリムルとの間に次元の壁を築くこと。

 つまりは異世界に転移する段階で異世界への門(ディファレントゲート)を暴発させ自分達の跳ぶ時代とリムルの跳ぶ時代を変えるという物である。

 そして、それは見事に成功したのだ。しかし、完全に(・・・)成功したとは言えない。

 一人巻き込んでしまったからだ。

 

 「ヴェルドラ様!ラミリス様!これは明らかな問題行動!出発前にリムル様から問題行動を起こすな、と言われたのをお忘れですか⁉リムル様からお仕置きが下されますぞ!」

 

 「へっへーんだ!アタシ達は今、リムルの弱みを握ってんのよ!そんなのどうとでもできるわ!フッフッフ!散々強請ってやろうじゃないのよさ!」

 

 巻き込まれた人物、ハクロウが訴えるもラミリスは全く動じない。それどころか、さらに強請ってやろうなどと考える始末。こんなのが女王なのだから精霊達は大変である。

 このハクロウも巻き込んでしまった事がヴェルドラ達の失敗だろうが、それは大したことではない。

 ハクロウにはヴェルドラを制御できる程の力はないからだ。

 そもそも、リムルがハクロウを呼んだのはあくまで『監視役』。つまり、ハクロウに望まれていたのはヴェルドラ達が問題行動を起こした際に、リムルへと報告する事。求めていたのは力ではなく情報を正しく報告できる能力だったのだ。

 それ故にハクロウ一人が残っても大してヴェルドラ達への影響はないのである。

 

 「そんなことよりもハクロウよ、取り敢えず一休みできる場所を探してきてくれ。転移したはいいがこんな夜だとは思わなかったからな」

 

 転移したも良くはない、と心の中でツッコむハクロウだったが口には出さない。

 

 「・・・分かりました。ヴェルドラ様とラミリス様にはここで大人しく待っていて下さりますようお願いしますじゃ」

 

 実はヴェルドラは魔国連邦(テンペスト)の指令系統的に言えば大した権限を持ってはいない。魔国連邦(テンペスト)において、最高の命令権を所持しているのは勿論、盟主であるリムル=テンペスト。そして、その次がベニマルといったような感じなのだ。しかし仮にも相手は自身の主の盟友。そんなヴェルドラの頼みをリムルからの命令に違反しているのなら兎も角、ハクロウ個人の意思で拒否することは出来ない。

 それだけ言い残し、森の木々が生み出した陰の中へとハクロウは消えていった。

 

 ・・・しかし、その言葉は守られる事はない。この二人がそんな事あるはずがないのだ。

 

 *

 

 「フッフッフやっと邪魔者が全員消えたのよさ!ね!師匠」

 

 「その通りだ、ハクロウも行ったようだし我等はこれで完全に自由ぞ!クアーハッハッハ」

 

 先程ハクロウがいても大して影響は無いと言ったが、それはあくまで大して(・・・)であり全く(・・)ではないのだ。この異世界旅行を思う存分自由に楽しむためには不安要素はない方がいいに決まっている。だからヴェルドラ達はその為にハクロウに休める場所を探しに行けなどという事を命令したのだ。勿論、ハクロウの言い残した『大人しく待っていろ』などというのが守られるはずもない。ハクロウがいない間に自分達は何処かに逃げてしまおう、という魂胆だったのである。

 

 「じゃあさっさと転移でどっか大きい街にでも行こうよ!こんな森の中じゃなくてさ!」

 

 ラミリスが笑顔でヴェルドラへと転移をするよう促すがヴェルドラは魔法を発動させようとしない。

 

 「どしたの、師匠?」

 

 「うむ・・・それがな、ここら一帯は魔素が希薄らしくてな、上手く転移を発動できんのだ。ついでに言うと飛行もうまく制御できん」

 

 ヴェルドラが後ろ髪を撫でながらしまった!と言ったような顔でラミリスに告げる。

 そしてそれは彼らにとって二度目の出来事である。

 

 「ええー⁉また~⁉前回ミッシェル達の世界に行った時もそうだったじゃん!」

 

 前回の転移直後の事を思い出すラミリス。

 ラミリスが呆れるがそんな事ヴェルドラに言ってもどうしようもない。魔素が希薄なのは誰のせいでもないのだから。

 

 「いやいや待て待て、魔素が希薄なのは我のせいではないぞ!それに話は最後まで聞くのだ。何も魔法が全て使えぬ訳ではない。転移(・・)が使えないのだ。ラミリス、お主も分かってるように転移というのはまず座標がしっかりと分っていることが必要なのだ。その為に我らは、魔力感知等で座標を設定しておる。もしくは一度行ったことのある場所の場合は自身の記憶を基に転移しているのだが、この世界は魔素が希薄故に魔力感知が使えぬのだ。無論来たこともあるはずがない。だから、転移が使えぬのだ。飛行に関しては魔素がなさ過ぎて不安定なのだ。慣れればいけるだろうが・・・」

 

 転移に限らず空間魔法というのは座標を先ず定めなくては使えない。しかし、そんな事は一定の壁を超えた上位者達にとっては問題にならぬことだ。

 一定の壁とは、エクストラスキル『魔力感知』のことである。これさえあれば、その能力の範囲内であれば座標を一瞬のうちに設定できるのだ、が!今回はそれができないのである。

 魔力感知とは、言うなれば大気中に漂う魔素を基に空間内のあらゆる情報を感知する能力なのである。

 その性質上、大気中に魔素がなければ転移に必要な情報がわからないのだ。

 

 「ええええ⁉魔力感知が使えないってことは街のある場所とかもわかんないわけ?それに、飛べないんじゃどうやって街を探すのよ!師匠の立派な翼は何のためにあるのよさ!」

 

 「うう、そうなるな・・・。だが、安心するのだラミリスよ!我が権能にてこの世界を解析しておる。遅くて4,5日早ければ2日程で解析も終了するであろうて。そうなれば魔力感知も飛行も問題なくできる」

 

 ヴェルドラの本来の姿がもっている巨大な双翼。しかしながら、実はあれは形だけで飛ぶことは出来ないのだ。ヴェルドラ達が飛べているのは魔法のおかげなのである。そもそも、あれほどの図体がいくら巨大といっても体の倍の大きさもない翼で飛行することは出来ない。

 それをラミリスはあっさりと言葉の矢としてヴェルドラへと放つ。それが本人に悪気がない分余計にヴェルドラの心に刺さるのだ。

 そんな気持ちをごまかすかのように安心しろとヴェルドラは言うがそれはラミリスには届かない。

 

 「何言ってんのよさ!そんなに時間がかかってたらリムルが来ちゃうかもよ!それにそんなにまってられないよ!」

 

 「むう・・・確かにそうよな。リムルが何時、何処に転移したのかまでは、わからぬが、早く行動した方がいいのは変わりないか・・・。仕方ない、この世界の住民に街の場所を聞くことにしようではないか。こんな森の中でも探せば一人ぐらいはいるであろうからな」

 

 魔力感知も飛行も使えない今、街の場所を探すには人に聞くしかないのだ。

 

 「でもさ、師匠。そもそもの話なんだけどこの世界って人間とかっているのかな?」

 

 そんな、ラミリスがふとつぶやいた言葉で二人の脳裏に不安がよぎる。

 もし、人間かもしくはそれに類似する生物が存在しない世界なのであれば、彼らはリムルが迎えに来るまでただただ、景色を見るだけになってしまうのだ。それでも、好きな者にとっては楽しめるだろうが、この二人が景色なんて代わり映えのしない物を長時間見ていられるはずがない。

 そして今回は、と言うよりも今回もゲートを開けないのだ。魔素が希薄なために。

 

 「・・・まあ、いるであろう。あれだけ汚染された世界にも人間は逞しく生活しておったのだ。ここまで緑があふれているのなら当然、もっと繁栄しているはずだ」

 

 ミッシェル達のいた汚染されつくした世界を思い出す。

 暗雲が立ち込め、空気は汚染物質にまみれ、資源も殆どが尽きた、そんな絶望を体現したかのような世界。そんな世界であっても、人間達はその知能を発揮し生き延びていた。

 それであるならばこんな緑にあふれた世界ならば人間がいない方が逆におかしいと、ヴェルドラも頭ではわかっているのだが、ラミリスに直接言われると不安になるものがあるのだろう。そんな事が顔からわかるのだから・・・。

 

 「ここでそんな事を考えていても仕方があるまい。先ずは行動を起こさねばな!我はここより右側を探してみる故、ラミリス。お主は左側を人間がいないか探してみるのだ。そして、見つけたら我に精霊魔法でも発動して場所を報告してくれ。お主をいきなり見たら驚くかもしれぬからな」

 

 ここで何故、精霊魔法を発動させたら場所が分かるのか?と、思った方もいるだろうから説明しておこう。さっき言ったようにこの世界は魔素が希薄。そして、そんなこの世界は例えるならば真っ白な紙面なのである。

 そこで精霊魔法、つまりは魔法を発動させたらその魔素のない世界に一点だけ魔素が出てくる事となる。それはこの世界であれば逆に魔力がはっきりと分かるのだ。

 まるで白紙に一点だけ黒点を打つかの如く。

 

 「はあ・・・まあいいよ。師匠の頼みならしょうがないから聞いてあげるよ。じゃあ人間を見つけたら精霊魔法じゃなくとも魔素を放出すればいいんだよね?だけど、ハクロウがもう人間を見つけてたらなんか皮肉な話だね」

 

 そんなラミリスの言葉にヴェルドラが頷いて、ヴェルドラとラミリスは互いに森の木々へと飲み込まれていった・・・。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。