もし、【鬼滅の刃】の世界に『転スラ』キャラが転移したら《リメイク版》   作:とあるスライム好き

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今回から暫く鬼滅サイドが続きます。


三人の少年達

 夜道を三人の少年達が歩いている。

 真夜中に子供達だけで出歩いている。これだけでも何か論理的にアウトな気がするが、それだけではない。彼らの腰に目を向けるとそこにあったのは、日本刀。刃を見なくとも溢れ出る美しさはそれを打った鍛冶師の腕の良さを、言葉を語らずとも教えてくれる。

 が、この大正の世にあっても許可のない帯刀というのは立派な犯罪である。

 

 しかし、だ。彼らは例えそれが法に触れることなのだとしても、そうしなくてはならぬ使命というのがあるのだ。『使命』の文字の通り、例え自らの命を使い捨てる事となろうとも・・・。

 彼らは【鬼殺隊】。この世に巣食う、人間を食らう、人に似て人ならざる存在【鬼】を打ち倒す、政府非公認の組織である。

 

 *

 

 「あ~~~眠い!な~んで真夜中に働かないといけないの⁉普通、夜って寝る時間なんじゃないの⁉」

 

 そんな風にだるそうに誰に向けてでもなく虚空に嘯くのは三人の少年の一人、我妻善逸だ。

 

 「しょうがないだろ。鬼は昼間はどこにいるのか分かんないんだから、鬼が出てくる夜に俺達は働かないといけないんだ」

 

 愚痴をこぼした善逸を説き伏せるのは赤がかった黒髪の少年だ。更に特徴的なのは持ち上げた髪がさらしている額に残った、赤い痣。そんな、彼の名は炭治郎。一年と少し前まで炭を売り歩いていた少年だ。

 

 「なんだ!銀逸(・・)!もう眠いのか!俺様はまだまだ元気が有り余ってるぜ!」

 

 そして、この少年が一番特徴的な格好だ。何せ、頭に猪の被り物をしているのだから。その上、上半身全裸ときたもんだ。正に不審者である。

 

 「全然違う!俺の名前は善逸だって言ってんだろ!そもそも金逸ならまだ分かるけどなんで銀逸⁉お前もいい加減、仲間の名前ぐらい覚えろよ、伊之助!」

 

 先程眠いと言ってた善逸も今の言葉に突っ込んだ事で目が覚めたようだ。元気で何よりといった感じである。

 

 「まったく・・・。そう言えば、緊急の招集令って何なんだろうな、炭治郎?」

 

 「さあ?その説明もあっち(吉原)でされるんじゃないか」

 

 善逸の質問に対し炭治郎が返す。わざわざ、炭治郎と名指しで言ったのは伊之助に話を振っても碌な返事は返ってこないと、経験から分かっているからだ。

 

 それそうと、今話題にでた緊急の招集令の話をしよう。

 ・・・それは今から数日前にカラスが唐突に運んできた知らせである。

 

 *

 

 『鬼殺隊員ヘ告グ!至急、遊郭・吉原ヘト向カヘ!至急、遊郭・吉原ヘト向カヘ!』

 

 炭治郎達のカラスとはまた別のカラスが、ジャラジャラという、まるで宝石同士がぶつかり合うかのような音を生みながら森の木々を飛び抜け、大声でその指令を辺りに響き渡らせる。

 大空を舞う指令を読んで字のごとく、としたような光景だ。

 

 この時、丁度鬼を倒して帰還した直後だったため、余計に善逸は

 

 「嫌だ嫌だ!行きたくないよ!休日よこせ!」

 

 と駄々をこねたのだがそれはまた別のお話・・・。

 

 *

 

 「まあ、ここで考えても仕方ないか。結局のところ考えたところで俺達がどうこうなるわけじゃないんだから」

 

 善逸が手を頭の後ろで組み合わせ、暗い夜空を仰ぎ見る。

 小さく輝く星々と、その中で一際大きく光る月のみが彼の見ている景色だ。少し冷えた空気がそれらを更に美しく仕立てている。日本の風景も合わさりとても幻想的な雰囲気である。

 

 が、このまま美しいままの景色では終わるはずもなかった。

 唐突に善逸の耳が自分達以外の足音を察知する。

 

 (ん?なんだこの足音?どっから聞こえるんだ・・・?)

 

 音のする方向を探ろうと、善逸がその顔を夜空から背ける前にそれ(・・)は見えた。

 謎の足音と共に、月の光に一点だけ現れた小さな、小さな黒点。

 

 「なんだ?あれ?」

 

 ふと、善逸が言葉をもらす。

 しかしそれ(・・)はどんどんと大きさを増していく。否!大きくなっているのではない!どんどんと近づいてきているのだ!

 それを目で追いかけていた善逸は突如、体に衝撃を覚える。炭治郎が彼を突き飛ばしたのだ。そして聞こえる自分以外(  ・・)の衝撃音。

 

 「何する―――「何やっているんだ善逸!」

 

 何するんだよ⁉と炭治郎に対して言おうとした善逸の声を遮ったのは他の誰でもない、炭治郎だった。そして、皮肉にも彼が口にしようとしていた言葉をそのまま返された形をだ。

 一体何を言っているんだ、そう思った善逸がさっきまで自分が立っていた場所に視線を映してみた時、それ(・・)の正体が分かった。

 

 そこにあったのは結論から言えば、「鹿」だった。

 ・・・ただし、その「鹿」には首から下がなかった(・・・・・・・・・)・・・・・・。

 それを見た善逸の口からは無意識のうちに叫び声が発せられる・・・。

 

 「う、うわああぁぁあああ!!!!!!」

 

 そして、空から降ってきたのが「これ」ならば一体、誰がこんな事をやったのか?

 そう考えた善逸の頭をよぎったのはさっき聞こえた謎の足音。そして、その犯人は今、厄災となりて彼らに襲い来る・・・。

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