もし、【鬼滅の刃】の世界に『転スラ』キャラが転移したら《リメイク版》 作:とあるスライム好き
本作のカリュブディスの能力はマンガ版・書籍版を基準としています。
先の遭遇から少しして。
炭治郎は水と炎をその身に纏い、善逸は雷を宿し、伊之助は獣を再現し、各々が各々の方法で
そのかいがあったのか、
「グワハハハハ‼俺様の攻撃が効いてるみてえだな!お前のい―――」ドゴオオオオオン!
伊之助の言葉を遮り、
「―――ッ⁉伊之助⁉」
炭治郎が叫ぶ。視界は、土煙によって封じられているが、彼の鼻が指示した伊之助の居場所は
しかし、そんな炭治郎に対して善逸が声を掛ける。
「大丈夫だ、炭治郎。伊之助の心音はまだ聞こえる!死んじゃいない」
その善逸の言葉の正しさを表すかのように、そこに伊之助の姿はない。
「この、鈍感ヤローが!食らいやがれッ!」
声が聞こえてきたのは
背中に乗った伊之助が叫ぶのと同時に【切り裂き】で文字通り、頸を切り裂こうとする。それもただ振り下ろしているのではなく、鱗をはぎ取るように刀を振るう。しかし、そんな彼を
体を揺らしたり、その腕で頭上の伊之助を引きずり降ろそうとする。だが、そんな事では伊之助ははがせない。幼い頃から山の自然にもまれてきた彼にとって、このぐらいのことは楽勝なのだ。
「グワハハハハ‼てめえの攻撃なんざ当たるわけねえだろ!」
そんな現状にしびれを切らしたのか、
だがそこに伊之助の姿はなかった。再び辺りを見渡す
「「俺達も忘れるなよ!」」
そんな絶叫の中、短く告げる二つの声。
炭治郎と善逸だ。ふと気が付けばいつの間にか伊之助も二人の傍に移動していた。
炭治郎達は無傷で、多少羽織が汚れた程度。それに対して
一見すると炭治郎達の圧倒的有利に思えるが実はそうではないのだ。
「再生速度も早い。しかし堅いな・・・あの鬼の頚。それにさっき攻撃した感覚だが、単純な硬さで言えば無間列車の時の鬼より上だと思う」
もう、
炭治郎の呟きに善逸が無言で頷くと共に、警戒度を上げる。頸の硬度が直接強さに関係するわけではないが下弦の壱たる、鬼の頚より硬いとなるとその鬼に近い実力を有している可能性があると善逸も考えたのだ。
それに鬼は日輪刀でその頸を落とすか日光を当てるかしか、倒す手段がない。正確にはアレは鬼ではなく魔物なのだが、偶然にも再生能力や人型に近い様子などの特徴が一致したため彼らが勘違いしてもしょうがない。さっきも言ったがこの世界には魔物など、存在しないのだから。
「このまま、陽光がさすのを待った方がいいかもしれない。下手にアイツの頸を切るのにこだわってると、俺達の日輪刀の方が持たない。アイツの鱗、剥いでも直ぐ再生するし・・・。それに、あいつはまだ血鬼術を見せてない。その点、逃げそうになった時にだけ攻撃を仕掛けて逃がさないようにした方が安全だし、確実だ」
善逸が自身の日輪刀に目をやる。まだ大丈夫だとは思うがこのまま本気で頸を切り落とそうとしたのなら、いつまで持つかは分からない。その事をよく理解していたのだろう。その言葉に、今度は炭治郎が頷く。が、それに納得しない輩もいた。
「はぁぁああン⁉目の前にいる鬼の頸を俺様が切れねえって言ってんのか⁉なめてんじゃねーぞ!」
伊之助は自身が軽く攻撃を躱せた相手に勝てないと言われて腹が立ったのだろう。そのままの勢いで
「伊之助⁉一人じゃ危険だ!」
そんな炭治郎の忠告も聞かずに伊之助は駆けていく。そして、直前で出された
そして、再び彼は
―――丁度、その頃、月が雲に隠れた。
しかし、既に
「オラオラ!どうした⁉俺様にビビったのか⁉」
更に連撃を食らわせていく伊之助。そんな彼が気づいた、赤い光。―――本来ならば抵抗しなかった時点で異変に気付き一旦引くべきだったのだ。だが、そんな仮定の話を今論じてもしょうがない。彼は引かなかった。それが現実なのだから・・・。
それが、
その周囲には
それを背中に張り付いた状態、つまりはゼロ距離で、もろに食らってしまったのだ。そのダメージは相当のものだと言えよう。
しかし、その一方で
だがしかし、精神的にも無傷とはいかなかった。
「なッ⁉何だ今の⁉伊之助は?伊之助はどうなったんだ⁉」
善逸が声を荒げている。動揺しているのが炭治郎にも痛いほど伝わってきた。炭治郎とて、それは同じだ。
(いや!そんはずない!伊之助が、伊之助がここで・・・こんな所で!)
しかしその妄想を頭をふって必死に打ち砕く。伊之助がどうなったか、それは今は考えない!・・・いや、彼は信じたのだ!伊之助が必ず生きているのだと!
「落ち着け、善逸!伊之助はきっと生きてる!それだけを信じて後は考えず、落ち着いて対処するんだ!」
「でも、伊之助の心音がどんど―――「それ以上は考えるなッ!!!!!!」
善逸の声を遮った炭治郎の声は珍しくが怒気にも似たものをはらんでいた。それが、耳の良い善逸には痛いほど伝わってくる。きっと口にさせたくなかったのだろう。その後、善逸のこぼしたであろう言葉を・・・。
「それに、今は逆にチャンスだ。今はアイツを守る鱗もない!伊之助のつくってくれたこの機会、絶対に逃すな!」
そう。今であれば先程の攻撃のおかげでその身を守る鱗はない。再生こそしているが完全に再生するには、まだ時間が必要だろう。で、あるならば今こそが千載一遇の好機!
最早、日の出を待つなどという消極的な手段をとっている場合ではないのだ。伊之助が今、生きていても、早く治療を受けさせなければ命の危機は免れないからだ。逃げることは尚更考えれない。ここで彼らが逃げたのならば、奴は街に向かうと炭治郎も善逸も分かっていた。そして、その結果どうなるのかも・・・
そして、もし、奴の鱗の再生までに頸を切る事が叶わなかったら・・・。そんな考えが二人の頭によぎる。だが、それ以上に固い決意が二人にはあった。必ず、伊之助を助けるのだという決意が。
そのやり取りの後に善逸が
きっと、鱗がなくなったことで素早さが増したのだろう。しかし、事スピードに関しては善逸とて負けてはいない。
地上で雷の軌跡と青き軌跡が交差する。一瞬の間が空き、善逸の頬から血が噴き出る。だが、その血量は遥かに
それも当然だ。善逸と
勿論、基本能力で言えば圧倒的に
しかし、そうとは言えど基本能力に差があり過ぎた。今は上回っていても時が過ぎればどうかは分からない。
炭治郎はそんな彼らの姿を見ながら背中にしょっていた木箱をそっと地面に下した。そしてそのまま木口は開けずに中にいる少女に声を掛ける。
「ごめんな、禰豆子。少しの間降ろしておく。もし、自分の身に何か危機が迫った時は自分の力で逃げるんだ」
その声は優し気で、そしてほんの少しだけ悲しげでもあった。
しかし、それはほんの一瞬だけだった。直ぐに気持ちを切り替えて
人型カリュブディス(鱗あり)
防御力はかなり高いが、その身を守る鱗の重さゆえに動きが鈍い。ただ、猪や熊の様に突進力だけは高い。
人型カリュブディス(鱗なし)
鱗がなくなったことで攻撃力は落ちたがそれを補って余りあるほどのスピードを得た。それに、そもそもの大きさが大きさなのに加え、速いので、ただそれだけで脅威となる。
説明や描写で分かったと思いますが強さ的には「鱗なし」の方が上です。
攻撃力があっても防御力が高くとも結局のところ攻撃が当たらないと「勝利」はできないので。(引き分けにはいけるかもですが)