桜ヶ原小学校同窓会へようこそ   作:犬屋小鳥本部

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星隠しのお呪い⑦

それからはあっという間だった。

私は、出来る限りの力を尽くしてあの子が伝えようとしたものを手に入れた。それは私を酷く憤怒させた。

私はもう迷わなかった。「私」という餌でそいつらを誘き寄せた。それも、あの島に。手段なんか選んでいられない。選ぶ必要なんかない。そいつらは笑いながらやって来た。

あの子にしたように、そいつらは私で遊ぼうとした。私はその時の事を証拠として残した。あの子の時の事もそいつらは口を軽く開いた。

だから私は口を閉じてやった。口を閉じてやった。口を、口を。口を。私が、あいつらの、口を、閉じてやったの。みんな、みんな、私が。私が、やった。

あの子の傷は癒えるのかもしれない。でもなかったことにはならない。私が、したことも。

わかってる。わかってるよ。わかっててしたの。これは私が望んだこと。なくならないことを理解した上で、私はやった。

 

誰もいなくなったあの島に残ったのは、昔と変わらない廃校だった。

きもだめしの夜。笑って手を繋いだ子どもの私たち。

 

全部なかったことにできたら。あの頃に戻れたら。

そんなの叶わないってわかってる。でも願わずにはいられない。

あの子のために。私のために。

私は願いたかった。

 

 

 

あんな傷、知りたくなんてなかった。でももう戻れない。過去は、起こってしまったことは取り返しがつかない大事になってしまった。

こんな風におとなになんてなりたくなかったよ。子どものままでいたくもなかった。別の道が、もしかしたらあったのかもしれない。もう選べない別の道が。

 

 

 

今さらもしもなんて言わないよ。全部私が自分で決めて進んできた道なんだから。

現実を、受け入れなきゃいけない。もうやってしまったんだから。

 

ああ、でも、でも。

 

私たちは見つけてしまった。

願い事を叶えるオマジナイといふ術を見つけてしまった。

 

 

 

全てが偶然だった。

全ては運命だった。

全てが必然となった。

私たちは見つけた。私たちは選んだ。そして私は進んだ。

このおまじないはなんなのだろう。このオマジナイは、お呪いだ。呪われている。禁じられている。

知っている。知っていた。

それでも大事な人の笑顔を思い出すと願わずにいられない。あの人に会いたいの。あの頃のように。笑っていてほしいの。

私は願わずにはいられない。

 

どんなに狂っていると言われてもいい。 でも解るはずだよ。この想いが。

 

 

 

私は隠します。大事なものを。

見つけないでください。私の願い事を叶えてください。

お願いします。どうか、どうか、見つけないでください。お願いします。

どうか見つけて。私たちを見つけないで。隠した私たちを見つけないで。どうか隠れた私たちを見つけて。その箱を開かないでください。お願いです。お願いです。

私は、隠しました。隠したんです。

おまじないをしました。

取り返しのつかないおまじないを施しました。願いは、願い事は。

 

 

 

たとえ願い事が叶っても、それは望む結果にはならないだろう。

 

だから私たちはここに何かを残していくのです。どうか見つけないでください。どうか見つけてください。

 

きっと、このおまじないは。

 

 

 

なんだったのだろう。

 

 

 

 

私はもう何処にもいない。

 

 

 

どうか




「星隠しの」

キラキラ光る
キラキラ光る
キラキラ光る
何処かで光る

見つけないでください
お願い事をしたから
見つけないでください
隠した大事なキラキラを

キラキラ光る
暗闇で
キラキラ光る
何かが光る

信じたまじないは変わってしまった
キラキラ光る
あなたの涙

あなたは何を隠したの?
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