桜ヶ原小学校同窓会へようこそ   作:犬屋小鳥本部

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出席番号7番「遅刻常習犯」27

あいつは手紙に書いた日付、時間に俺たちが待ち合わせた場所へ行った。らしい。

 

いや、見たわけじゃねえよ。だって俺、遅刻してんだから。その場にいないんだって。

いたのは、

 

 

 

そこにいたのは、

 

 

 

 

 

 

一年前そこにいたのは、お前だ。

友人A。

お前、あいつに捕まっちまったんだ。

 

 

 

一年前の約束の日。約束の時間。

いるはずのない待ち人。

お前、なんでいるんだよ。

いつもならいないだろ? どうせ俺、

 

『どうせ君は遅刻するんだろ』

「どうせお前は遅刻するんだろ」

 

どうせ俺、遅刻するんだからさ。

 

 

 

その時のお前がどうしてそこにいたのかはわかんねえ。記憶がなくなったお前にもわかんねえだろ? 友人A。

でも、お前はそこにいたんだ。

俺の後ろを追ってくる鬼。行くとこ行くとこ着いてきてる。だから俺の知り合いを狙ったんだよ。

一番の獲物の「俺」を手に入れられない腹いせか、俺の知り合いばっかり狙った。これが行方不明の事件になっちまった。

 

ほんっっっと、嫌な奴だ。

 

俺の大事な同僚も、知り合いも、恩人たちも、両親でさえ奪いやがった。最後に親友さえ奪うなんて、鬼かよ。鬼だったな。

 

 

 

俺はポストに入ってた手紙を一目見て「は?」って思った。親友の名前を使った、親友の手紙を真似した手紙。そんなことをするのはあいつしかいない。

俺、お前がそんなことになってるなんて知らなかったんだ。一年ぐらい連絡も取れていなかったけど、何も変わらず元気にやっているんだと、そう思ってた。安心しきっていたんだ。

いつからだろうな、お前との連絡が取れなくなったの。

 

そうだ。

ちょうど、一年前の。

約束の日から?

 

いや、もっと前?

 

いつからだ?

 

頭がぼんやりとする。

目が、霞む。

 

いつから。

 

いつから?

 

頭が、ぼんやりと。

 

 

 

 

 

 

「頑張れ」

 

 

 

 

 

 

ぼんやりとした頭の中に、懐かしい助産師さんの声が響いた。頑張れ、頑張れって、俺の背中を優しく叩いた。その瞬間、それまでぼんやりとしていた頭が、意識がはっきりしたんだ。

頑張らなきゃ。できることをしなきゃ。諦めるな。諦めるな!

 

俺は携帯電話を手に取った。そして発信履歴を呼び出した。

友人A。お前に繋がる電話番号だった。

それまで何度もかけて、最近じゃ繋がらなくなった番号。そこにかけた。でも流れてきたのは、おかけになった電話番号はー、っていうアナウンス。その時もお前には繋がらなかった。

だから、俺はもう一つの番号にかけた。お前の携帯じゃなくて、お前の自宅電話の番号だ。そこにはおばさんもおじさんもいる。すぐに繋がったよ。

どうしてもっと早くにかけなかったんだろうな。どうしてもっと早く。

 

そこでやっと知ったんだ。

 

お前、一年前に出掛けたきり行方不明だったんだな。

俺、また遅れを取ったのか。

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