ひらりと桜の花が舞い落ちる。
私は大きく両手を広げて、とっておきの話に、私の恋の話に耳を傾けてくれる仲間たちに語る。
「みんな。私の、かけがえのない大事な大事な友たちよ。
私の夢は世界で一番愛する人と、この美しい桜の木の下で永遠に一緒に居続けることだった。
同窓会は叶えられた。
素晴らしい同級生を持てて、私は本当に嬉しい! 長い時間をかけて、このクラスは再び集った。
だからこそ! 私は、今、ここで誓いたい!
私と、十夜さんと、十花ちゃんの愛は永遠のものであると!」
きっと、興奮して頬はあかく染まっている。口元も緩んで、だらしない表情をしているのだろう。
ああ、嬉しくて泣いてしまいそう。
私はずっとこの瞬間を待っていた。
ひらりと、桜の花が舞い散った。
止めどなく、桜の花は咲き乱れていた。
これが、私の話のエンディング。
「ねえ、みんな。聞いて。
みんなに紹介したい人がいるの。
その人たちはね」
私が世界で一番愛してる二人なんだ。
本当だったらね。生きているときに、みんなに紹介したかったな。でも、しょうがないよね。
だって、この同窓会の参加条件の一つは「死んでいること」なんだもん。
この桜の木の下にいる同級生がみんな揃って集まるには、人生を終わらせないといけないの。
私を含めたここにいる同級生は、みんな、既に死んでいる。
それでも同窓会を開いて再び集うのは、桜ヶ原の七不思議「同窓会」のせい。私たちは七不思議の七つ目に辿り着いてしまった。
私たちは、桜ヶ原の七不思議に呪われたんだ。
ねえ、みんな。
死んだ人といるとね。ほんの少しだけ、おかしくなっちゃうんだ。
私も、十夜さんも。
ちゃんと生きていこうと願えばあのまま三人でいられたの。
でもね。怒りとか憎しみとか嫉妬とか、そういう感情が大きくなっちゃうときっと引きずられちゃうんだ。
狂って、死の世界に近づいちゃうんだよ。
私たちは、十花ちゃんに手を引かれたの。
ああ、でも。
三人でいられるならそれでも私は幸せ、かな。
私は十夜さんたちに言った。
いつか、自分は必ず死ぬ。それが同級生たちとの約束だから。でも、十夜さんと十花ちゃんとさよならはしたくない。ずっと一緒にいたい。だから、
死んでも一緒のところにいよう。
私が死んだら、きっと両親が生まれ育った町に連れ帰る。桜ヶ原という町に。そこで私の遺骨は埋められるのだ。
十夜さんは、また一人になるの?
私は約束した。十夜さんと、十花ちゃんの遺骨も一緒に埋めよう。埋めてもらえるように伝えておく。
私は笑って言った。
『ずっと、ずっと、一緒だよ。
桜ヶ原の同級生はね。私のことを受け入れてくれたんだ。だからきっと、十夜さんのことも十花ちゃんのことも受け入れてくれる。そう思うんだ。
私、みんなに聞いてもらいたいの。
この人たちが世界で一番愛してる二人です、って。
同窓会ではね。一生をかけて手にいれたとっておきの話を披露するの。そこで私は紹介するんだ。私の恋人たちのことを!』
これで、私の話はおしまい。
『あははははははっ
これでみぃんな、あたしといっしょ!
ずっと、ずっと、ずぅっと一緒だよ!
十夜お兄ちゃん! 五花お姉ちゃん!』
一緒にい続けることが幸せなのか。
一緒にいようと引き留めたのが幸せだったのか。
一緒にいたいとしがみついたのが幸せの始まりだったのか。
それは誰にもわからない。