桜ヶ原小学校同窓会へようこそ   作:犬屋小鳥本部

82 / 157
出席番号13番「Hello my dear.」⑧ エンディング

ひらりと桜の花が舞い落ちる。

私は大きく両手を広げて、とっておきの話に、私の恋の話に耳を傾けてくれる仲間たちに語る。

 

「みんな。私の、かけがえのない大事な大事な友たちよ。

私の夢は世界で一番愛する人と、この美しい桜の木の下で永遠に一緒に居続けることだった。

同窓会は叶えられた。

素晴らしい同級生を持てて、私は本当に嬉しい! 長い時間をかけて、このクラスは再び集った。

だからこそ! 私は、今、ここで誓いたい!

私と、十夜さんと、十花ちゃんの愛は永遠のものであると!」

 

きっと、興奮して頬はあかく染まっている。口元も緩んで、だらしない表情をしているのだろう。

ああ、嬉しくて泣いてしまいそう。

私はずっとこの瞬間を待っていた。

 

ひらりと、桜の花が舞い散った。

止めどなく、桜の花は咲き乱れていた。

 

 

 

これが、私の話のエンディング。

 

 

 

「ねえ、みんな。聞いて。

みんなに紹介したい人がいるの。

その人たちはね」

 

私が世界で一番愛してる二人なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当だったらね。生きているときに、みんなに紹介したかったな。でも、しょうがないよね。

だって、この同窓会の参加条件の一つは「死んでいること」なんだもん。

この桜の木の下にいる同級生がみんな揃って集まるには、人生を終わらせないといけないの。

 

 

私を含めたここにいる同級生は、みんな、既に死んでいる。

それでも同窓会を開いて再び集うのは、桜ヶ原の七不思議「同窓会」のせい。私たちは七不思議の七つ目に辿り着いてしまった。

 

 

 

私たちは、桜ヶ原の七不思議に呪われたんだ。

 

 

 

 

 

ねえ、みんな。

死んだ人といるとね。ほんの少しだけ、おかしくなっちゃうんだ。

 

私も、十夜さんも。

ちゃんと生きていこうと願えばあのまま三人でいられたの。

でもね。怒りとか憎しみとか嫉妬とか、そういう感情が大きくなっちゃうときっと引きずられちゃうんだ。

 

狂って、死の世界に近づいちゃうんだよ。

 

私たちは、十花ちゃんに手を引かれたの。

 

 

 

 

ああ、でも。

三人でいられるならそれでも私は幸せ、かな。

 

 

 

 

 

私は十夜さんたちに言った。

いつか、自分は必ず死ぬ。それが同級生たちとの約束だから。でも、十夜さんと十花ちゃんとさよならはしたくない。ずっと一緒にいたい。だから、

 

死んでも一緒のところにいよう。

 

私が死んだら、きっと両親が生まれ育った町に連れ帰る。桜ヶ原という町に。そこで私の遺骨は埋められるのだ。

十夜さんは、また一人になるの?

私は約束した。十夜さんと、十花ちゃんの遺骨も一緒に埋めよう。埋めてもらえるように伝えておく。

 

私は笑って言った。

『ずっと、ずっと、一緒だよ。

桜ヶ原の同級生はね。私のことを受け入れてくれたんだ。だからきっと、十夜さんのことも十花ちゃんのことも受け入れてくれる。そう思うんだ。

私、みんなに聞いてもらいたいの。

この人たちが世界で一番愛してる二人です、って。

同窓会ではね。一生をかけて手にいれたとっておきの話を披露するの。そこで私は紹介するんだ。私の恋人たちのことを!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで、私の話はおしまい。




『あははははははっ
これでみぃんな、あたしといっしょ!
ずっと、ずっと、ずぅっと一緒だよ!
十夜お兄ちゃん! 五花お姉ちゃん!』










一緒にい続けることが幸せなのか。
一緒にいようと引き留めたのが幸せだったのか。
一緒にいたいとしがみついたのが幸せの始まりだったのか。

それは誰にもわからない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。