魔法少女のことを知らないことを突き付けられた二人の動向を見守ってください。
先ずはまどか視点からでございます。
魔法少女の業の中に孤独の影は付きもの。
「あら、上條君のお見舞い?」
さやかは幼馴染の上條恭介の病室に入ろうとした時、女性看護師に呼び止められていた。
「ええ・・・・・・」
「ごめんなさいね、診察の予定が繰り上がって、今ちょうどリハビリ室なの」
恭介の近況を聞いたさやかは出直すことにした。
「ああそうでしたか・・・・・・どうも」
さやかは病室を後にして、自宅に帰ることにした。
「よく来てくれるわよね、あの子」
「助かるわ。難しい患者さんだしね。励ましになってくれてるといいんだけど」
病院の看護師同士の会話が帰路に向かっているさやかの耳に入っていた。
「事故に遭う前は天才少年だったんでしょ? ヴァイオリンの」
「歩けるようになったとしても指の方はねぇ・・・・・・」
「もう二度と楽器を弾くなんて無理でしょうね」
看護師同士の会話を聞く限り恭介の指は二度と動かないかもしれない。
会話に耳を立ててさやかは表情を暗くしていった。
エレベータ内でさやかは恭介の指について考えていた。
(・・・・・・何で恭介なのよ? あたしの指なんていくら動いたって何の役にも立たないのに。なんであたしじゃなくて恭介なの?)
「・・・・・・」
(もしもあたしの願い事で恭介の体が治ったとして・・・・・・それを恭介はどう思うの? ありがとうって言われて、それだけ? それともそれ以上のことを言ってほしいの?)
願いの力で恭介の体を治すのは簡単にかなう。しかし、恭介本人の意思がさやかには気がかりだった。
「・・・・・・」
(あたしって嫌な子だ)
さやかは自分の下心に嫌気がさしていた。
***
まどか邸 ダイニング
まどかは家族と朝食を取っていた。 朝食の目玉焼きを見て、まどかは銀八のことを考えていた。
(坂田先生は、なんで魔女と戦えたんだろう? 私は足がすくんで動けなかった。 魔法少女でしか倒せないはずの魔女に立ち向かって・・・・・・マミさんを助けていた・・・・・・それに、坂田先生が言ってた『背負う苦しみと背負われる苦しみ』の意味も分からない・・・・・・私は・・・・・・)
まどかは銀八の言っていた『背負う苦しみと背負われる苦しみ』の意味が気になっていた。
マミがお菓子の魔女に殺されそうにしていたときキュゥべえを魔女の口に投げたことでマミは助かっていた。
そのあとにほむらが助けに来て魔女を倒した後、銀八がマミに投げかけた言葉の意味が全く分からなかった。
(マミさんは坂田先生になんて言われたんだろう?)
「まどかーー」
まどかは詢子に呼ばれてハッとしていた。
「さっさと食べないと遅刻だぞ」
「う、うん・・・・・・」
詢子に促され食事を口にするまどかはその後に涙が流れていた。
「ま、まずかったかな?」
「ねーちゃ、どったの?」
「?」
知久とタツヤ、詢子はまどかが突然涙を流したため心配した。
「ううん、おいしいのすごく。生きてるとパパのごはんがこんなにおいしい・・・・・・」
まどかは何故涙を流したのか分からなかった・・・・・・ただ分かってるのは、生の実感が込みあがった感覚だった。
***
通学路でさやかと仁美と共に中学校に向かうまどかはテレパシーで昨日のことをさやかと話そうとしたがーー
(ごめん、また後で)
と断られてしまった。
さやかは仁美と会話を続けていた。
学校で早乙女先生の英語の授業でもまどかは違う思考に入っていて授業に集中できなかった。
放課後 屋上
まどかとさやかは屋上のベンチでキュゥべえと共に佇んでいた。
二人は沈黙していた。キュゥべえは二人の様子を見ていた。
最初に沈黙を破ったのはまどかだった。
「なんか、違う国に来ちゃったみたいだね。学校も仁美ちゃんも昨日までと全然変わってないはずなのに・・・・・・何だかまるで知らない人たちの中にいるみたい」
まどかの話を聞いてさやかは見ている世界の違いを話した。
「知らないんだよ誰も。魔女のこと、マミさんのこと、あたしたちは知っててほかの人はみんな知らない、それってもう違う世界で違うものを見て暮らしているようなもんじゃない。とっくの昔に代わってたんだ、もっと早くに気づくべきだったんだよ、あたしたちも」
さやかはまどかにある質問を投げかけた。
「まどかはさ、今でも魔法少女になりたいと思ってる?」
キュゥべえもさやかの質問の返答に興味があるようにまどかの顔を見ていた。
「最初は魔法少女のマミさんに助けられて、魔法少女と魔女の話を聞いてマミさんの魔女退治を見学して・・・・・・、マミさんが魔女をかっこよく倒している姿に目を奪われてた。でも・・・・・・」
さやかはまどかの話に耳を傾けていたが、まどかが言葉を詰まらせていた。
「・・・・・・まどか?」
さやかはまどかの顔を見て一瞬落ち込んだような表情を見て不安を覚えた。
まどかは言葉を続けた。
「マミさんは魔法少女として戦っている時の不安を話してくれの。私は魔法少女になればマミさんの手伝いが出来て、皆を護れたら幸せだって話したの・・・・・・マミさん喜んでた。でもその話が原因でがマミさんが死にかかったと思うと・・・・・・」
「まどか・・・・・・」
さやかはまどかの肩に手を置いた。
「ずるいって分かってるの、今更虫が良すぎるよね・・・・・・でも、坂田先生のあの言葉が耳から離れないの」
まどかが思い出していたのは銀八がマミに言った言葉ーー
「背負う苦しみと背負われる苦しみ?」
さやかはまどかが銀八の名前が出た時点で思い当たるのはそれしかなかった。
まどかはうなずいて言葉を続けた。
「それに、マミさん坂田先生の言葉を聞いて落ち込んでたから・・・・・・」
まどか達はマミの様子も気になっていた。学校でマミの姿を見ていなかったからだ。
「ねえキュゥべえ、マミさんは?」
さやかはマミの近況をキュゥべえに尋ねた。
「マミは生きてるよ、ただ丸一日部屋に籠ってた様子だった」
マミの様子を聞いてさやかは胸をなでおろした。
しかし、キュゥべえの話には続きがあった。
「でも、魔女退治に行けるかどうか・・・・・・長らくここはマミの縄張りだけど、このままだと他の魔法少女が黙っていないよ。すぐ他の子が魔女狩りのためにやって来る」
キュゥべえの話でさやかはハッとした。
「でもそれって、グリーフシードだけが目当てのヤツなんでしょ? あの転校生みたいに」
さやかの質問にキュゥべえは即答した。
「・・・・・・確かにマミみたいなタイプは珍しかった、普通はちゃんと損得を考えるよ。誰だって報酬は欲しいさ」
「ーーじゃあ」
「でもそれを非難できるとしたらそれは同じ魔法少女としての運命を背負った子だけじゃないかな」
「・・・・・・」
キュゥべえの言葉に言葉を失うさやか、キュゥべえは二人に背を向けてーー
「君たちの気持ちはわかった。残念だけど僕だって無理強いはできない。お別れだね、僕はまた僕との契約を必要としている子を探しに行かないと」
そういってキュゥベえは立ち上がり二人の方に顔を向けて別れを告げた。
「短い間だったけどありがとう、一緒にいて楽しかったよまどか」
「ごめんねキュゥべえ・・・・・・」
巴マミ宅
「鹿目さん、お見舞いに来てくれてありがとう」
まどかは下校の途中マミのマンションに向かった。マミのお見舞いのためマミの部屋に上がっていた。
「マミさん、体大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ、明日には登校出来るわ」
マミの様子は落ち着いていた。まどかは胸をなでおろしていた。
まどかはマミの様子を見て、銀八の話をすることにした。
「あの・・・・・・マミさん」
「なに? 鹿目さん」
いざ話すとなると聞きづらくなっていたが、まどかは昨日のことを聞くことにした。
「坂田先生が言っていた、背負う苦しみと背負われる苦しみの話をする前に坂田先生と話をしていたことが気になっていたんです」
マミはまどかが訪ねた理由に概ね察しがついていた。
「そう・・・・・・昨日、坂田先生が言ってたことを・・・・・・」
「はい魔女退治が終わった後、背負う苦しみと背負われる苦しみの前にマミさんは坂田先生と何か話してたんですか?」
「美樹さんに願い事の話をした日に鹿目さん達と別れた後、暁美さんと会ったの」
「ほむらちゃんと?」
「えぇ、ただ暁美さん一人だけじゃなかったの」
「坂田先生・・・・・・ですか?」
「そう、暁美さんから
まどかはほむらが銀八と一緒に来たことに心の中で驚きつつも、マミの話に耳を傾けた。
「暁美さんは鹿目さんを魔法少女にするのを阻止したかったみたいだったの」
「ほむらちゃんが・・・・・・」
まどかはほむらがどうあってもまどかを魔法少女にさせないためにマミと会っていたことに驚いていた。
「最初は暁美さんの目的を聞いて『いじめられっ子の発想』と思ってたし、場合によっては事を構えようと思っていたの、でも・・・・・・」
「坂田先生が止めたんですね?」
マミの話の流れでまどかは話の流れで銀八が止めたことに気付いた。マミもまどかの推察に肯きーー
「えぇ、でも単純に止めに来ただけじゃなかったの」
「それってどうゆうことですか?」
「坂田先生は鹿目さん達を背負えるか? って、尋ねたの」
「私たちを・・・・・・背負う?」
「そう、『人の一生は重き荷を背負うて遠き道を往くが如し』坂田先生が徳川家康の名言を使ってまで、私に鹿目さんと美樹さんを背負えるのかって聞いたの」
「え・・・・・・どうして、坂田先生はそんなことを?」
「私は鹿目さん達が魔法少女になった後、二人の命はもちろん人生を背負えるのかって聞かれたんだと思う」
「私たちの・・・・・・命と人生・・・・・・」
まどかはもし自分が魔法少女になった後のことを想像した、マミから魔法少女の戦い方の教えと魔女との戦闘の指揮などマミ本人の負担が大きくなるのは目に見えていた。
しかし、まどかとさやかの命を背負うことはかなりの重責で人生ならなおさらだった。
「私、坂田先生が鹿目さん達を荷と例えたのはあなたたちの命は軽くない上に失えば二度と取り戻せないからだと思う。失ってしまえば私は自分を責め続けていたわ、きっと」
マミの言葉にまどかは顔を伏せた。
「ごめんなさい、私が結界内で魔法少女になるって約束したせいでマミさんが危険な目に・・・・・・」
まどかの言葉にマミは首を振った。
「いいえ、鹿目さんのせいじゃないわ。悪いのは浮かれてしまった私なの、鹿目さんの言葉で孤独がなくなったのは事実でも、それを理由で鹿目さんを責めるのは筋違いよ」
「でも・・・・・・」
まどかはそれでも何かを言おうととした。それでもマミは首を振った。
「私は、孤独になるのが怖かった・・・・・・両親を亡くした時に」
「え・・・・・・」
まどかはマミの両親が亡くなったことに絶句した。
「鹿目さん美樹さんに契約の話の時に『私の場合は考えてる余裕さえ無かった』ていったのは覚えてるかしら?」
まどかはマミがキュゥべえが居なかったら死んでいたと話していたことを思い出していた。
「はい・・・・・・」
まどかはマミに返事をした。
「私の両親は・・・・・・車の事故で亡くしたの・・・・・・」
マミの発言でまどかは言葉を失った。マミの抱えているつらい過去が明らかになり始めた。
「私は両親と一緒に車に乗って外食に行く予定だった・・・・・・でも、反対車線の車が横転して、両親を亡くしたの」
「そんな・・・・・・」
マミの話にまどかの顔は悲壮な表情だった。魔法少女としてのマミしか知らなかったまどかは話を聞くことしかできなかった。
「私は何が起こったか分からなかった。両親に呼びかけても、返事が来なかった。その時に両親の死を実感したの、私は助けを求めた、その時にキュゥべえが現れて・・・・・・」
「契約したんですね・・・・・・」
まどかは話の流れでキュゥべえがマミと契約して命を取り留めたことを悟った。
マミは頷きながら話を続けた。
「事故が起こった周辺は混乱していて、救急車の到着には時間がかかるほどの惨事だったわ。その時に願ったのがーー」
『助けて!! 私死にたくない・・・・・・!』
まどかは今にも泣きそうなくらいに顔を伏せた。マミは契約の経緯を語るのを一旦止めた。
「ごめんなさい、こんな話をして・・・・・・」
「マミさん、私・・・・・・全然知らなくて・・・・・・なのに魔法少女のマミさんに憧れて、マミさんの抱えてるものも知らなくてーー」
マミの謝罪を聞いてまどかは涙をぽろぽろ流した。
マミはまどかの肩に触れて首を振った。
「違うわ、鹿目さん。私は魔法少女になった後、友達付き合いが悪くなって、助けられなかった人もいて、・・・・・・必死にすがって生きてきて良いことがなくて・・・・・・臆病で独りが耐えられなかったから、鹿目さんの優しさに付け込んだ結果があの状況なの、私の自業自得なの・・・・・・」
まどかはマミの顔を見た、マミの顔は涙でぬれていた。
「マミさん・・・・・・ごめんなさい、私・・・・・・弱い子でごめんなさい・・・・・・」
まどかは涙を流しながら、マミに謝罪した。
「鹿目さんは悪くないの・・・・・・私は一人で死んでしまうのが怖かったの・・・・・・怖かったのよ」
マミも涙を流しながらまどかに謝罪した。
***
まどかはマンションから出た後、まどかの前に見覚えのある長髪の少女が立っていた。暁美ほむらだった。
「ほむらちゃん・・・・・・」
まどかはほむらの名を呼んだ、しばらく沈黙だったほむらは口を開いた。
「あなたは自分を責めすぎてるわ、鹿目まどか」
「え・・・・・・」
「あなたを非難できる者は誰もいない、いたら私が許さない」
「・・・・・・」
まどかはほむらの言葉にキョトンと驚いていた。
はい、話の流れはYouTubeのまどマギポータブル参考に取り入れました。
ラストにほむらを登場させるのは、味が出そうな気がしたので入れてみました。
パートABCは飽きる気がしたので、今回は違うタイトルにさせてもらう予定ですので楽しみにしてください。
ご意見、ご感想お待ちしております。