まどか☆マギカ交差伝 宇宙一馬鹿な侍   作:二道 無限

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 はい、第二ラウンドが入りそうで入らない杏子とさやかの物語と魔法少女の秘密の一つに触れる流れになりました。

 最初はまどか親子の話から始まります。


見える魂、見えない心

              深夜 まどか宅 寝室

 

 

 まどかは寝室で眠りについていたが、裏路地のさやかの話が頭から離れず、妙に時計の針の音が聞こえて眠れずにいた。

 

 すると、冷蔵庫の閉まる音がしてまどかは目を覚ました。 

 

 寝室からリビングに移動すると、まどかの母、詢子が風呂上がりの一杯でウイスキーを飲んでいた。

 「・・・・・・ん」

 詢子は寝室からまどかが降りてきたことに気が付いた。

 「眠れないのかい?」

 「うん・・・・・・ちょっといい?」

 

 まどかは、詢子と一緒にウイスキーとオレンジジュースで、お互いに一杯飲むことにした。

 眠ることが出来なかったまどかは詢子に魔法少女の話を伏せながらさやか()の抱えている問題を話した。

 「友達がね・・・・・・大変なの、やっていることも言っていることもたぶん間違ってなくて・・・・・・なのに正しいことをがんばろうとすればするほどどんどんひどいことになってくの・・・・・・」

 

 「よくあることさ、悔しいけどね正しいことだけ積み上げていけばハッピーエンドが手に入るってわけじゃない、むしろみんながみんな自分の正しさを信じ込んで意固地になればなるほどに幸せって遠ざかっていくもんだよ」

 「・・・・・・間違ってないのに幸せになれないなんて・・・・・・ひどいよ」

 「・・・・・・うん」

 

 詢子の話を聞いてまどかは少し顔を暗くした、正しさを貫き通せば通すとするほど願った幸せが遠のく事実に心を痛めていた。

 

 「私どうしたらいいんだろう?」

 「・・・・・・そいつばっかりは他人が口を突っ込んでもきれいな解決はつかないねぇ」

 「・・・・・・」

 まどかの様子を見た詢子少し思案した後、ある解決法の一つを話すことにした。

 「たとえきれいじゃない方法だとしても解決したいかい?」

 詢子はその解決方法を話すためにまどかの意思を確認した。

 「・・・・・・うん」

 まどかはそう詢子に返事をした。

 

 「ならーー間違えればいいさ」

 「え・・・・・・」

 

 詢子の言葉にまどかは困惑した。

 それでも詢子の話は続いた。

 「正しすぎるその子のぶんまで誰かが間違えてあげればいい」

 「間違える・・・・・・?」

 

 「ずるい嘘をついたり恐いものから逃げ出したり、でもそれが後になってみたら正解だったって分かることがある。本当に他にどうしようもないほどどん詰まりになったらいっそ思い切って間違っちゃうのも手なんだよ」

 詢子の言葉にまどかはさやか()のためになるのかを聞いた。

 

 「それがその子のためになるって・・・・・・分かってもらえるかな?」

 まどかは不安そうに詢子に聞いた。

 「分かってもらえないときもある、特にすぐにはね」

 「・・・・・・」

 まどかは少し黙り込んでいた。

 詢子はまどかの様子を見て言葉を続けた。

 「言ったろ?きれいな解決じゃないって・・・・・・その子のことを諦めるか誤解されるかどっちがマシだい?」

 「・・・・・・」

 まどかは詢子の話を静かに聞いた。

 「まどか、あんたはいい子に育った。嘘もつかないし、悪いこともしない。いつだって正しくあろうとしてがんばってる、子供としてはもう合格だ・・・・・・だからさ、大人になる前に今度は間違え方もちゃんと勉強しておきな」

 

 「勉強・・・・・・なの?」 

 まどかは詢子の言葉に困惑していた。

 何故、間違え方を勉強と言ったのか分からなかった。

 詢子はその言葉の意味をまどかに語った。

 「若いうちはケガの治りも早い、今のうちに上手な転び方を覚えといたら後々きっと役に立つよ・・・・・・大人になっちゃうとね、どんどん間違うのが難しくなっちゃうんだ。背負ったモノが増えるほど下手を打てなくなっていく」

 

 まどかは詢子の話を聞いた時、マミやほむらの顔を思い浮かべていた。

 二人は、ベテランの魔法少女で魔女と戦ってきた。

 魔法少女になることは、大人になるまでの時間を捨てると言うことだった。

 

 マミとほむらはどんな思いで願いを背負い、戦っているのかと思い浮かべた時、気になったことを詢子に聞いた。

 「それって辛くない?」

 「大人は誰だって辛いのさ、だから酒飲んでもいいってことになってんの」 

 詢子の言葉を聞いてまどかはくすっと微笑んだ。

 「私も早くママとお酒飲んでみたいなぁ」

 「ささっと大きくなっちゃいな、辛いぶんだけ楽しいぞぉ大人は」

 まどかは詢子に悩みを話した後へのお酒の話をした後に心は穏やかになった。

 

 その時、ふと詢子にある人物の話をして見た。

 

 「そうだ、ママに聞いてほしい人の話があるの」

 「へぇ、まどかがそんな話をするなんて、さては男だな?」

  

 詢子はまどかが聞いてほしい人の話に興味を持った。

 「男」であるのは間違いないのだが、詢子が思っているような人物ではなかった。

 

 「男の人ではあるけど、ママが思い描いている人じゃないよ。教育実習に来た先生だよ」

 「教育実習の先生? ・・・・・・あぁ、和子から聞いてるよ、何でも木刀を差した変わり者だって」

 まどかの話で「教育実習の先生」と聞いたときに詢子は思い出したかのようにつぶやいた。

 

 「早乙女先生から聞いてるんなら話は早いね、坂田銀八先生っていうんだけど、授業は・・・・・・からっきしなんだけど、面白い先生なの・・・・・・」

 

 詢子はまどかの話を微笑みながら静かに聞いた。

 まどかの声は明るさと力強さが伝わっていた。

 

 

                       ***

 

 

 

 

                      見滝原市病院 

 

 

 

 美樹さやかは病院の廊下に軽い足取りで上條恭介の病室に向かっていた。

 

 恭介の病室について病室の扉を勢いよく開けた。

 「恭・・・・・・!?」

 

 病室には恭介はいなかった。

 「・・・・・・え」

 さやかは恭介の姿が居なかったことに戸惑っていた。

 するとさやかの後ろから担当の看護師が声を掛けてきた。

 「あら? 上條さんなら昨日退院したわよ、リハビリの経過も順調だったから予定が前倒しになって・・・・・・」

 それ以上はさやかの耳に入ってこなかった。

 恭介の退院が急に決まったことにショックが隠せなかった。

 

                       ***

 

 

                       恭介宅

 

 

 さやかは恭介の自宅の玄関前に立っていた。

 「・・・・・・!?」

 

 自宅前から聞こえてきたのは・・・・・・ヴァイオリンの音色だった。

 

 家の中のヴァイオリンの主は恭介だった。

 「・・・・・・・・・・・・」

 さやかは恭介のヴァイオリンの練習の邪魔にならないよう立ち去ることにした。

 演奏(それ)を中断させてまで家に上がりこむのは幼馴染でも流石に気が引ける。

 いや、気心の知れた幼馴染だからこそ遠慮したかもしれない。

 

 「・・・・・・フフッ」

 

 ほんの少し微笑みを浮かべて上條邸を後にしようとした直後。

 「!?」

 「会いもしないで帰るのかい? 今日一日追いかけまわしていたくせに」

 

 彼女にとっては最も会いたくない相手、佐倉杏子が現れてしまった。

 「お前は・・・・・・」

 「知ってるよ、この家の坊やなんだろ? アンタが契約した理由って」

 杏子は心の底から呆れたような表情を浮かべていた、溜め息交じりに言葉を続ける。

 「まったく・・・・・・たった一度の奇跡のチャンスをくっだらねぇことに使い潰しやがって」

 あからさまな挑発、だがその挑発に耐えられるほどさやかは大人ではなかった。

 何より挑発だろうと今の杏子の言葉はさやかにとっては許しがたいものだった。

 「お前なんかに何が!」

 言い返すさやかの姿を見て一瞬、数日前の記憶が蘇る。

 あの天然パーマ、坂田銀八から聞いたさやかの願いを聞いた時の記憶をーー。

 

                     ***

 

 

「美樹さやかは・・・・・・そんなことのために願いを使っちまったってのか・・・・・・!」

 他人のために願いを使う、それがどれだけ誤った行為であるか、杏子はすでに知っていた。

 自分がそれで取り返しのつかない失敗()を犯している経験があるだけに、さやかがこの上なくおろかに思えてしまう。

 杏子の心情を知ってか知らずか、銀八は杏子に話した。

 「俺ァ一応止めたんだけどな・・・・・・あいつがテメーで決めたことだ、これ以上とやかく言うことは出来ねーよ」

 杏子は銀八の言葉に反応しても、苛立ちは消えなかった。

 「どんだけアイツは頭が悪くて・・・・・・馬鹿なんだ!」

 「・・・・・・」

 苛立ちを吐き出す杏子を見て、他人のために願いを使った結果がいい結果とは限らないと銀八は悟った。

 それでも、銀八は杏子にある言葉を伝えた。

 「あいつの選択が正しいと思え・・・・・・とは言わねぇ、ただ・・・・・・分かってやってくれや」

 「・・・・・・?」

 杏子は銀八の言葉に反応して銀八の方に顔を向けた。 

 「自分の身を犠牲にしてまで他人を助けるのは素晴らしいとは言わねーが・・・・・・今のアイツにとっちゃ、そんだけ譲れねぇモンがあったってことだ」

 「・・・・・・」

 その言葉を聞いて杏子の苛立ちは落ち着きだした。 

 譲れないもの、その言葉を聞いた時に思ったことは、自分が何故魔法少女になったかだった。

 「ま、その辺はテメーに任せるとするぜ」

 「な、何で私がアイツのことを!」

 杏子は驚いていた、目の前の男(坂田銀八)は何と言った?

 まるで美樹さやかことを託すかのような発言に戸惑っていた。

 「テメーなら、アイツの力になってやれんだろ、ダチ公」

 「ダチ・・・・・・公?」

 ダチ公・・・・・・友達と言う意味の言葉に杏子は戸惑った。

 

 

 

                       ***

 

 

 

 (友達、自分と同じ始まりをしたアイツなら・・・・・・もしかしたら・・・・・・)

 

 しかし、再び美樹さやかと相対すると、どうしても怒りが込みあがっていった。 

 

 

 (銀八の野郎から美樹さやかの願い()を聞いた時、確かにそう思っていた・・・・・・だが、やはり今のコイツを見ているとどうしてもイラつくのだ、まるで過去の自分を見ているようで・・・・・・)

 

 知らず知らずのうちに感情的になり、口調が厳しいものになっていく。

 

 「分かってねぇのはそっちだバカ、魔法ってのは徹頭徹尾、自分の願いを叶えるためのモンなんだよ。他人のために使ったからって碌なことにはならないのさ。巴マミはその程度のことを教えてくれなかったのかい?」

 「・・・・・・っ!」

 

 つい挑発的な言葉になってしまう、本当はこんな口調で語り掛けるつもりはなかったのに。その上、かつての師の名を出しての挑発だった。

 美樹さやかの顔を見る限り忠告は受けてはいる様子だった。

 

 「惚れた男をモノにするならもっと冴えた手があるじゃない? せっかく手に入れた魔法でさあ」

 「・・・・・・何?」

 

 だがやはり先日に激しく刃を交えてる(殺し合っている)こともあり思うように言葉を紡ぐことが出来なかった。

 その上、こいつの心をえぐるような言葉を今、吐き出そうとしていた。

 「今すぐ乗り込んでいって、坊やの手も足も二度と使えないぐらいに潰してやりな」

 「・・・・・・!」 

 「アンタなしでは何もできない体にしてやるんだよ、そうすれば今度こそ坊やはアンタのモンだ身も心も全部ね」

 「・・・・・・っ」

 

 挑発がとうとう宣戦布告になってしまった。

 何よりも、今まで杏子自身ずっと一人で生きてきた自分が急に素直になるなんて・・・・・・出来っこなかった。

 

 だが、相対している少女(美樹さやか)はそんな杏子の心まで読み取ることは出来ない。

 

 「気が退けるってんならあたしが代わりに引き受けてもいいんだよ? 同じ魔法少女のよしみだ、お安い御用さ」

 さやかは杏子が発した言葉をそのまま受け取ってしまった。

 「・・・・・・絶対に・・・・・・お前だけは絶対に許さない・・・・・・今度こそ必ず・・・・・・」

 さやかの反応を見た杏子もさらに気分が悪くなる。

 (なんだよその目は・・・・・・自分がどれだけ間違ってずれたことをしてるのか本当に気付いてないのかよ。だったら・・・・・・)

 「場所変えようか、ここじゃ人目につきそうだ」

 (言って分からないなら・・・・・・ぶん殴ってでもわからせてやるしかない)

 杏子はさやかを人気のない場所に向かうことにした。

 

 自分の中の憤慨に決着をつけるために。

 

 

                       ***

 

 

                      まどか宅 

 

 

  

 まどかは、パソコンのレーザーキーボードで「マザー・グース」の一節の課題に取り組んでいた。

 「・・・・・・」

 

 しかし、詢子の相談で出てきた言葉がまどかの頭によぎっていた。

 

 ーー正しすぎるその子のぶんまで、誰かが間違えてあげればいい。

 「・・・・・・」

 今でもその答えは、まだ見えていなかった。

 

 さやかのためにどう『間違えられるのか』分からずじまいだった。

 そんな時だった。

 (まどか・・・・・・! まどか!)

 

 「?」

 

 まどかは自分を呼ぶ声の主の方に顔を向けた。

 声の主は窓にいるキュゥべえだった。

 (急いで! さやかが危ない!)

 「え!?」

 キュゥべえの言葉にまどかは驚愕した。

 さやかが危ないと聞いた時、頭によぎったのは先日の魔法少女のことだと悟った。

 (マミも呼んでおいたからついてきて!)

 

 

 

                     ***

 

 

                     跨道橋 

 

 さやかと杏子が戦いの場に選んだのは高速道路上の跨道橋だった。

 下の道路では車が激しく行き交ってるが、橋の上は人が訪れず、かえって死角になっていた。

 

 「ここなら遠慮なくやれるよね、いっちょ派手に行こうじゃない?」

 杏子のソウルジェムが赤く輝くと、以前に見た多節槍を使う魔法少女の姿になった。

 「・・・・・・・・・・・・・!」

 対抗してさやかも魔法少女に変身しようとソウルジェムを取り出す。

 その時ーー

 

 「待って、さやかちゃん!」

 「待ちなさい、美樹さん!」

 自分の名を呼ぶ友人と先輩の声が聞こえた。

 「まどか、マミさん・・・・・・どうして・・・・・・?」

 「キュゥべえにさやかちゃんが危ないって言われて・・・・・・」

 「やめなさい美樹さん、あなたはこんなことをするために魔法少女になったの?」

 まどかとマミはさやかを引き留めようとした。

 しかしーー

 「邪魔しないで、マミさんはともかく、まどかには関係ないんだから」

 「駄目だよ、こんなの絶対におかしいよ!」

 「美樹さん!! 鹿目さんの言う通りよ、佐倉さんと争うのはやめなさい!!」

 さやかを説得するまどかとマミ、それでも戦意があるさやかに止まる気配がなかった。 

   

 

 その様子を見ていた杏子はまどかの様子を見ていた。

 (あれは美樹さやかの友人なのだろうか、考えてみれば前にも一緒にいた気がする。魔法少女ではないようだが・・・・・・それでも、さやかとはある程度の信頼関係はるのだろう)

 「フン、ウザいヤツにはウザい仲間がいるもんだねぇ」

 もう槍を抜いてしまったからには退くわけにはいかない・・・・・・そう自分に言い聞かせ、攻撃を仕掛けようとしたときーー

 「じゃあ、あなたの仲間はどうなのかしら?」 

 すると、杏子の背後からほむらが現れた。

 「!」

 杏子は背後にいたほむらを確認した後にあることに気付いた。

 この橋に来たのは、暁美ほむらだけではなかったと言うことに。

 「なんでテメーらこんなところで乳繰り合ってんだ?」

 キュゥべえからほむら以外のイレギュラーと呼ばれた男、坂田銀八の姿があった。

 「ほむらのヤツに呼ばれたから来てみりゃ・・・・・・何やってんだお前ら、つーか女子二人が鉄橋の上で決闘ってどんな構図? なにこれバトル漫画だったっけ?」

 銀八は呑気にそう言いながらも跨道橋にまで来ていた。

 杏子は銀八が言ってた「ほむらのヤツに呼ばれて」ていうことは暁美ほむらから事情は聴いてたと推察できていた。

 

 「話が違うわ。美樹さやかに手を出すなと言ったはずよ」

 ほむらは杏子に忠告していたが杏子自身止まる気配がなかった。

 「アンタのやり方じゃ手ぬるすぎるんだよ! どのみち向こうはやる気だぜ」 

 そう言って杏子は臨戦態勢を解かなかった。

 「なら私が相手をする、手出ししないで」

 そう言ってほむらは杏子の前に出た直後だった。

 「待てほむら、お前が出るとややこしくなんだろうが」

 

 ほむらに対して銀八がそう言いながら静止した。

 

 「坂田・・・・・・先生」

 さやかは目の前に現れた銀八に戸惑っていた。

 「さやか・・・・・・ほむらから聞いたぜ。おめーの怒りは分かるが、やっぱりずれてるぜ」

 銀八はさやかの目を見てそう語った。

 「確かに魔女を増やすのは気に入らねーが、結局は魔女は生まれんじゃねーのか? どんなに助けても、落ちた水が収まるとは限らないのと同じように、どうしても零れ落ちちまうことだってあらぁ」

 銀八の口からそんな言葉が出るとはさやかはもちろん、マミやまどか、杏子とほむらは驚いていた。

  

 銀八(銀時)のいた世界(江戸)でもそれは変わらなかった。

 銀時は、元の世界ではそういう経験をしていた。

 

 仙望郷(スタンド温泉)の女将、お岩が言った言葉があった。

 

 『死んだ奴はあの世に行くのが自然の摂理!? ああそうさ! その通りさ、だが落ちる水が全て盆に収まるとは限らない、どうしても零れ落ちちまう奴らだっているんだ、どうしたって未練の断ち切れない奴がいる!! どうしたって言えない傷をもつ奴がいる!!』

 

 極道の魔死呂威組(ましろいぐみ)若頭、中村京次郎は組長の息子の死を隠し通し、死んでいった。

 銀時は泥をかぶって護り抜いた京二郎をどうにか助けようとしたが、助けられなかった。

 

 そして、恒道館道場の塾頭、尾美 一(おび はじめ)を新八とその姉、お妙のもとに帰すために泥をかぶってでもメカに魂を奪われた二人に兄貴を救おうとしたが、メカ改造した毘夷夢星人(びいむせいじん)の一部の戦争組織『火種屋』の仕掛けのせいで連れ帰れなかった(助けられなかった)

 

 銀八(銀時)は少なくとも、目の前の少女(美樹さやか)には真っ直ぐにいてほしかったからだ。

 心配している仲間がいる場所で殺し合いをさせたくなかった。

 

 「お前のその願い()は、こんなことをするために使うのか?」

 銀八はさやかにそう尋ねた。

 さやかは黙り込んだが、それでも納得はいかなかった。

 「それでも!! 私はーー」

 さやかはソウルジェムを手に平に掲げ魔法少女に変身しようとするがーー。

 

 「さやかちゃん! ごめん!」

 まどかはさやかのソウルジェムを取り上げ、そしてーー

 「・・・・・・っえい!」

 鉄橋の手すり近くまで近づきソウルジェムを鉄橋から道路に投げ捨てた。

 ソウルジェムはトラックの荷台に落ちていった。

 「!!」

 それを見たほむらが一瞬驚愕の表情を浮かべ直後に忽然と姿を消した。

 

 「まどか・・・・・・あんた何てことを!」

 「だってこうしないと・・・・・・」

 戦うすべを奪い取ったまどかに食ってかかるが、まどかは理由を話そうとした直後のことだった。

 

 「・・・・・・!?」

 紐の切れた操り人形の如くさやかの体から力が抜け、まどかの胸へと倒れ込んだ。

 「さ、さやかちゃん・・・・・・?」  

 

 まどかはさやかに呼びかけるが、返事どころか反応もなかった。

 

 

 「今のはまずかったよまどか、よりにもよって友達を放り投げるなんてどうかしてるよ」

 「キュゥべえ・・・・・・今、何てーー」

 

 キュゥべえが言った意味がまどかには分らなかった。

 マミも何が何だかわからなかった。

 さやかが突然倒れたことと関係があるのか、まどかは呆然としていた。

 「何・・・・・・何なの?」

 

 まどかは事態がまだ飲み込めていなかった。

 するとまどかの背後から走り近づく足音がした。

 佐倉杏子だった。

 杏子はさやかの首を持ち上げた。

 「あ・・・・・・!や、やめて!」

 「佐倉さん!?」

 「・・・・・・・・・・・・!!」

 杏子はさやかを持ち上げた時、戦慄する事実を知った。

 「・・・・・・・・・・・・どういうことだ・・・・・・おい、こいつ死んでるじゃねーかよ!」

 「!」

 杏子の言葉にまどかとマミは絶句した。

 

 「さやかちゃん! ねぇさやかちゃん! 起きて! ねぇ!? ねぇちょっと・・・・・・! どうしたの! 嫌だよこんなの・・・・・・さやかちゃん!!」

   

 まどかは何度も何度もさやかに呼びかけたが、返事が無かった。

 「・・・・・・! 何がどうなってやがんだ! おい!」

 杏子はキュゥべえに怒声で投げかけた。

 「君たち魔法少女が体をコントロールできるのはせいぜい100メートル圏内が限度だからね」

 「100メートル? 何のことだ? どういう意味だ!?」

 杏子はキュゥべえが言った言葉に理解が及ばなかった。

 それでも、キュゥベえは言葉を続けた。 

 

 「普段は当然肌身離さず持ち歩いてるんだから、こういう事故は滅多にあることじゃないんだけど・・・・・・」

 

 「肌身・・・・・・離さず・・・・・・!!」

 キュゥべえの言葉を繰り返したマミはキュゥベえの言葉の意味に気づいた、気づいてしまった。

 

 「何を言ってるのよキュゥベえ! 助けてよ! さやかちゃんを死なせないで!」

 まどかは倒れたさやかさやかにしがみついて懇願するまどかを一瞥すると、キュゥべえ呆れてため息を交えながら淡々と言い放った。

 「まどか、そっちはさやかじゃなくてただの抜け殻なんだって」

 「え・・・・・・」

 「さやかはさっき君が投げ捨てちゃったじゃないか」

 「な・・・・・・何・・・・・・だと?」

 杏子はキュゥべえの言葉の意味に気づき始めた、いや、気付いてしまった。

 

 「ただの人間と同じ壊れやすい身体のままで、魔女と戦ってくれなんてとてもお願いできないよ。君たち魔法少女にとってもとの身体なんていうのは外付けのハードウェアでしかないんだ。君たちの本体としての魂には魔力をより効率よく運用できるコンパクトで安全な姿が与えられる」

 そういうと一呼吸を置き、すべての確信となる部分を口にする。

 いつものと変わらぬ、無表情のままで。

 

 「魔法少女との契約を取り結ぶ僕の役目はね、君たちの魂を抜き取ってソウルジェムに変えることなのさ」

 「・・・・・・」

 まどかは言葉を失い、マミは膝を落とした。

 「てめえは・・・・・・なんてことを・・・・・・ふざけるんじゃねぇ! それじゃあたしたちゾンビにされたようなもんじゃないか!」

 怒りを爆発させてキュゥベえに掴みあげる、キュゥべえはそれでも全く動じることなく言葉を続けていた。

 

 「むしろ便利だろう? 心臓が破れてもありったけの血を抜かれても、ソウルジェムさえ砕かれない限り君たちは無敵だよ。弱点だらけの人体よりもよほど戦いでは有利じゃないか」

 機械のような声だった、いや、機械と言うのは少々誤りがあるかもしれない。

 だが。機械と思わせるほど、感情のかけらも感じ取れない無機質な声であったのは間違いないだろう。

 「・・・・・・ひどいよ・・・・・・そんなのあんまりだよ・・・・・・」

 指一本動かないさやかに縋り付いてむせび泣く、絶望の涙がさやかの制服を濡らしていた。

 「君たち人間はいつもそうだ、事実をありのままに伝えると決まって同じ反応をする、訳が分からないよ。どうして人間はそんなに魂のありかにこだわるんだい?」

 「・・・・・・ッ」

 杏子がキュゥベえを睨んだその時だった。

 

 絶望で覆い尽くされた空気を打ち破る裏声(・・)を出すものが一人

 

 「バッター・・・・・・坂田銀八」

 「え?」

 裏声の主、銀八はすかさず杏子からキュゥベえを奪い取り、自分の顔の前に顔を合わせた。

 「ほむらから聞いてた(・・・・・・・・・)とはいえ、言いてえことは腐るほどあるけどな・・・・・・取りあえず今は・・・・・・」

 銀八(銀時)はそう言いながらキュゥべえを上空に投げた後は大きく息を吸い込んで振りかぶった木刀を力いっぱい握りしめーー

 

 「そんなクソ大事なこと説明しなかった責任とってソウル何とかはテメーで取ってこいやァァァァァァ!」

 フルスイングした木刀に当たって、キュゥベえは輝く星空にのように打っ飛んでいった。

 

 「その必要はないわ」

 直後から、ほむらの声が聞こえていた。

 その手にはさやかのソウルジェムが握られていた。

 「お前・・・・・・そいつは・・・・・・!」

 銀八はほむらに気づいた後、握られているものに気が付いてた。

 ほむらは何も言わずにソウルジェムをさやかの手を握らせた。

 「・・・・・・・・・・・・!?」

 「ん・・・・・・?」

 「「!」」

 「・・・・・・何? 何なの?」

 「美樹さん!」

 意識を取り戻したさやかは周りの状況が理解できなかった。

 マミはさやかに抱き着いた、抱き着くことしかできなかった。

 

 

  そしてこの日、この時、魔法少女の運命(絶望)をこの世界にやってきた『宇宙一馬鹿な侍』(坂田銀時)が砕く時が刻一刻と近づいていた。

   

 

   

  

 

   

  




 
 どうにか、書き終えました。

 とうとうこのこの場面に来ました。
 
 ジャンプリミックスと、エレファント速報、フィルムメモリーズを総動員して書かせてもらいました。

 まどか親子の会話の最後に銀八の話を入れてみました。(銀時は教えるの下手です)

 いくつかエレファント速報の小説内容と本編を混ぜた結果、かなり長い文章になってしまいました、申し訳ありません。

 ジャンプリミックスを入れたのは、銀時が助けたかった人達を入れてみてこの小説の内容になるかどうか試してみたかったからです。

 『見える魂、見えない心』と言う題名の通りに書けたか不安ですが、少なくともエレファント速報に出てきた場面、キュゥべえを野球ボールに見立てた銀時のホームランを入れたかったからです。

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