前回と同じように、『ザ・ディファレント・ストーリー』の杏子の話と参考資料のフィルムメモリーとエレファント速報、そしてジャンプリミックスの銀魂を使っております。
杏子とさやかの会話パートの後に
杏子と銀八の会話パートを入れてみました。
それでは括目してください。
さやか宅 寝室
さやかはベッドに潜りながら悩んでいた。
「こんな体になっちゃって・・・・・・あたし、どんな顔して恭介に会えばいいのかな・・・・・・」
さやかは『魔法少女の身体』と『ソウルジェムの仕組み』を知って以来、激変してしまった環境に戸惑っていた。
自分は人間でなくなってしまったことの事実が大き過ぎた。
そんな時だった。
(いつまでもしょぼくれてんじゃねーぞ、ボンクラ)
聞き覚えのある声がテレパシーでさやかに呼びかけていた。
「!」
すかさず、さやかは寝室のカーテンを開け、外を見るとーー
外には思った通りの人物、佐倉杏子がリンゴを食べながらさやかを待っていた。
(ちょいと面貸しな、話がある)
***
左右に木々の生い茂った道をさやかと杏子は歩いていた。
万物を明るく照らす太陽の光も今日はどことなく物悲しげに感じられた。
杏子に呼ばれたさやかは彼女に黙って着いていった。
「アンタさぁ、やっぱり後悔してるの? こんな身体にされちゃったこと。あたしはさ、まぁいいかって思ってるんだ、なんだかんだでこの力を手に入れたから好き勝手できるわけだし、後悔するほどのことでもないってね」
杏子はさやかにそう問いかけながら、
昨日の出来事で、ソウルジェムと魔法少女の身体の仕組みをキュゥべえから聞かされたためにまいっている感じではなかった。
「あんたは・・・・・・自業自得なだけでしょ」
さやかは杏子への敵対心があるのかそう答えた。
さやかは杏子の真意を推し量ていた、一体何が言いたいのだろうか?
ひとつ分かるのは・・・・・・佐倉杏子は自分が思っていた以上に過酷な日々を送ってきたという事実だった。
「そうだよ、自業自得にしちまえばいいのさ。 自分のためにだけ生きてれば何もかも自分のせいだ、誰も恨むこともないし、後悔なんてあるわけがない、そう思えば大抵のことは背負えるのさ」
杏子はあっけらかんとした声でそう答えた。
それが、杏子の背負うと決めたことだった。
「・・・・・・」
さやかは黙ったままだった。
***
廃教会
杏子に連れてこられたさやかが付いた場所は街外れの丘の上にある、廃墟と化した教会だった。
さやかは杏子の真意が読み取れなかった。
「・・・・・・こんな所まで連れてきて何なのよ?」
さやかはそう杏子に警戒しながら聞いた。
「ちょっとばかり長い話になる」
そう言いながら杏子は紙袋に入っていたリンゴを投げ渡した。
「!?」
さやかは投げ渡されたリンゴをキャッチした。
「食うかい?」
「・・・・・・」
杏子からそう聞かれたさやかはリンゴを見た後ーー。
リンゴを床に投げ捨てた。
「!」
それを見た杏子は怒りの形相でさやかの襟元を掴みかかった。
「食い物を粗末にすんじゃねぇ・・・・・・殺すぞ?」
そう言った後、杏子はさやかの首元を離した。
「げほっ、げほげほっ・・・・・・」
さやかは咳をしながら呼吸を整えた。
「・・・・・・」
その様子を見た杏子はさやかが投げ捨てたリンゴを拾い上げ、リンゴを服で葺いた後に紙袋に入れた後に一呼吸を置いた。
「・・・・・・ここはね、あたしの親父の教会だった」
杏子はさやかに自分の過去を語り始めた。
さやかは杏子の姿を追うようにして見ていた。
「正直すぎて優しすぎる人だった。毎朝新聞を読むたびに涙浮かべて真剣に悩んでいるような人でさ、新しい時代を救うには新しい宗教が必要だって、それが親父の言い分だった。だからあるとき教義にないことまで信者に説教するようになった。もちろん信者の足はぱったり途絶えたよ、本部からも破門された。 誰も親父の話を聞こうとしなかった。当然だよね。はたから見ればうさんくさい新興宗教さ、どんなに正しいことを話そうとしても世間じゃただの鼻つまみ者さ、あたしたちは一家そろって食うモノにも事欠く有様だった」
杏子は過去を語りながら契約前の状況を思い出していた。
正直で心優しい牧師の父の背中を妹と見て育った杏子は「正しさと当たり前の話」を聞いてもらえないことが悔しかった。
その結果が、信者たちの足が途絶えてしまった。
それだけでなく、家族がまともな食事が出来ないことにもつながってしまっていた。
「納得できなかったよ、親父は間違ったことなんて言ってなった。ただ人と違うことを話しただけだ、5分でもいいちゃんと耳を傾けてくれれば、正しいことを言ってるって、誰にでも分かったはずなんだ」
杏子は妹と共に父の布教に付いて行っていた。
それでも、信者は父の話に耳を傾けず追い払っていた。
「なのに・・・・・・誰も相手をしてくれなかった。・・・・・・悔しかった、許せなかった、誰もあの人を分かってくれないのが、あたしには我慢できなかった」
杏子は父が正しさを貫くために話しただけに、背中を見ていただけに悔しさが積もっていった。
そしてある時にーー。
「だからキュゥべえに頼んだんだよ、みんなが親父の話を真面目に聞いてくれますようにって」
リンゴに移った自分の顔を見ながら杏子は話した、キュゥベえに願ってしまった過ちの願いをーー。
「翌朝には親父の教会は押しかける人でごった返してた、毎日おっかなくなるほどの勢いで信者は増えていった。あたしはあたしで魔法少女の仲間入りさ、いくら親父の説法が正しくたってそれが魔女が退治できるわけじゃない、だからそこはあたしの出番だってバカみたいに意気込んでたよ、あたしと親父で表と裏からこの世界を救うんだって」
祈りの力で成し遂げ、魔法少女として父の説法を表に、魔法少女として魔女を、裏側から世界を護ろうとしたのは純粋に他の人達が幸せな世界で生きてほしい、それが杏子の本心だった。
しかし、それが取り返しのつかない過ちだとは気づけなかった。
「でもね、あるときカラクリが親父にばれた」
***
杏子は思い出す、あの出来事のことをーー。
ある夜、教会の寝室で妹の佐倉モモと寝てた時、ソウルジェムで魔女の反応を察知したときだった。
教会で調査したとき、教会内で異臭に気付き、教会内に入るとーー。
教会の信者が魔女の呪いを受け焼身自殺を図ろうとしていたことだった。
杏子は魔法で自殺道具を『お菓子』に見せてそのスキに自殺を阻止していた。
その後に、大元の魔女が結界内から出てきて魔女と交戦して倒すことが出来た。
そこまではよかった、ただ集団自殺未遂の現場の片づけをしようとした後に、父親に偶然見られたこと以外はーー。
「大勢の信者がただの信仰のためじゃなく、魔法の力で集まって来たんだと知ったとき、親父はブチ切れたよ、娘のあたしを人の心を惑わす魔女だって罵った」
その時の父の姿は今でも覚えているーー。
真実を知ったとき、神父の父は酒に溺れていた。
『・・・・・・聞いて、父さんーー今日もねあたしは魔女を倒したんだよ、自殺しそうになってた人を一人救ったんだ、父さんがなくしたかった、世の中の不幸や悲しみの芽を、あたし達魔法少女は着実に摘んでるんだ。これって悪いことじゃないよね?』
杏子は父に話した、魔法少女の自分が魔女によって不幸と悲しみまき散らすのを阻止していることを話した。
『あたしはね、父さんの話今でも好きだよ、だからみんなが父さんに耳を傾けてくれた時、すごく嬉しかった。なによりさ、世の中の不幸に悲しみ続けてた父さんの幸せそうな顔が見られたからあたしは・・・・・・』
父をどうにか引き留めたかった、父が世界の不幸に悲しんだ顔を幸福の顔を見れたことが嬉しかった、父の話を聞いてくれた人が集まってくれたのが嬉しかった。
でも、父親は耳を傾けるどころかーー。
『全部お前が生み出した幻じゃないか、私の下に訪れた者達はみな信仰のためなどではなく、ただ魔女の力に惑わされ惹きつけられただけの、哀れな人々だ。そうして惑わした人々をお前は手にかけるつもりだったんだろう?
あれは悪魔と交わした契約の生贄だったのか? 教会の娘があろうことか悪魔に魂を売るなどと・・・・・・』
『・・・・・・っ!』
杏子が悪魔に魂を売ったと罵ったことだった。
『だから・・・・・・ッ! 何度も言ってるじゃないか! 魔女と魔法少女は違うんだ! あたしは誰の命も奪ったりなんかしない!! お願いだからあたしの話を信じてよ! あたしは魔女なんかじゃ・・・・・・』
杏子は何度も説明しようとした。
魔法少女と魔女が違うと、自分は誰の命も奪わないとーー。
それでもーー。
『・・・・・・お前は最初から、私の話など聞く耳を持たれなくて当然の、誰の救いにもならないただの世迷言だと、そう思っていたんだろう?』
父の言葉に杏子は絶句した。
『ああ、全くその通りだ私に世の中を救う力がないから、悪魔などに付け入る隙を与えてしまったんだ。お前が悪いんじゃない、全ては私の責任なんだ・・・・・・』
父は自分を責め始めていた、杏子はどうにかして父を止めたかった。
このままだと父は壊れてしまうと言うことに、本能的に気付いたかだ。
『・・・・・・なに言ってるの、違うよ・・・・・・父さ・・・・・・違・・・・・・』
父は杏子の方を振り向いて告げた。
『何が違うんだ? お前の力さえあれば、世の中の不幸のや苦しみを着実に摘める? そんな当て付けがましい言い訳を聞かせるくらいなら、いっそ無力な父親だと罵ってしまえばいい! 今のお前がやってることは何だ? 父親がいなくとも世の中は救えるのだと、信者を踏みにじり、人を惑わし、あざ笑う悪魔の所業ではないか、それすらの自覚もなく嬉々として語るお前の姿を・・・・・・魔女と呼ばずに何と呼ぶんだ』
大好きな父の侮蔑の言葉だった。
杏子はたまらずに父の部屋から立ち去った。
***
「笑っちゃうよね、あたしは毎晩本物の魔女と戦い続けたってのに、それで親父は壊れちまった」
その話を聞いたさやかは黙って聞くことしかできなかった。
「最後は惨めだったよ、酒に溺れて頭がイカレてとうとう家族を道連れに無理心中さ、あたしひとりを置き去りにしてね」
そして、家族の最後を話した。
『はい、杏子の分』
母から切り分けられた林檎が杏子に差し出された。
『? これ全部だよね、みんなで分けようよ、あたし一人で食べられないよ』
杏子は母にみんなで食べようと、離したがーー。
『いいんだよそれはお前が貰った物なんだから、私たちはいらないんだ』
父が遠慮するように林檎を食べなかった。
『お父さん、お帰り』
妹は父か帰ってきたことに気付いて喜んでいた。
その姿を見た父はーー。
『それじゃあ母さん、モモ、行こうか』
『うん!』
『ええ』
父の言葉を聞いた、妹と母は返事をした。
『ねえ、お父さん、お母さん、モモ、おいて行かないでよ、みんなどこに行くの?』
『・・・・・・それはもちろん』
杏子は、その後自分を残して一家は無理心中をした。
***
「あたしの祈りが家族を壊しちまったんだ。他人の都合を知りもせず、勝手な願い事をしたせいで、結局誰もが不幸になった。 そのとき心に誓ったんだよ、もう二度と他人のために魔法を使ったりはしない、この力はすべて自分のためだけに使いきるって」
それが、家族を壊してしまった杏子の結論だった。
他人の都合を無視して魔法を使った結果が不幸なら、自分のために使えば不幸は起こらない。
それが、
「奇跡ってのはタダじゃないんだ。 希望を祈ればその分同じぶんだけの絶望が撒き散らされる、そうやって差し引きをゼロにして世の中のバランスは成り立ってるんだよ」
家族を失った杏子が至った答えだった。
希望への祈りがその分、絶望が撒き散らされてしまう、それが杏子が自分ために魔法を使う理由だった。
自分のために使えば自業自得として、周りが不幸にならずに済むとそう考えた。
「・・・・・・何でそんな話をあたしに?」
「・・・・・・」
驚いた、まさか自分がこの上なく憎たらしいと思っていたこの少女の背負った過去にーー。
父のこと、家族のこと、魔法少女になった理由、そして魔法を自分のためだけに使うという誓い。
それでも、さやか自身は何故杏子が自分の過去を話そうとしたのか分からなかった。
知らなかったとはいえ、対立した目の前の魔法少女にそんな過去を抱えていたなんて思いもよらなかったからだ。
「アンタも開き直って好き勝手やればいい自業自得の人生をさ」
杏子はさやかに自分の生き方をやってみたらどうかと勧めた。
「・・・・・・それって変じゃない? あんたは自分のことだけ考えて生きているはずなのに、あたしの心配なんかしてくれるわけ?」
「・・・・・・アンタもあたしと同じ間違いから始まった。これ以上後悔するような生き方を続けるべきじゃない、あんたはもう対価としては高すぎるモンを支払っちまってるんだ。だからさこれからは釣り銭を取り戻すことを考えなよ」
「・・・・・・あんたみたいに?」
さやかはそう杏子に聞いた。
「そうさ・・・・・・あたしはそれを弁えてるがアンタは今も間違え続けてる見てられないんだよそいつが」
「・・・・・・」
さやかは考えを改めていた。
--どうやら佐倉杏子と言う人間の評価を誤っていたらしい。
彼女は強く、孤高でありーー。
そして、他人を思いやれることのできる優しい少女だったのだ。
「アンタのこと色々誤解してた、そのことはごめん謝るよ」
さやかはそう素直に、杏子に謝罪した。
杏子は静かにその謝罪を聞いた。
ーーしかし、それでも。
「でもね、あたしは人のために祈ったことを後悔してない、その気持ちを嘘にしないために後悔だけはしないって決めたの、これからも」
さやか自身の祈りを嘘にしないためにも、譲れないものがあった。
杏子は驚いていた、過去を話して、間違いと知った上で前に進むさやかの言葉に戸惑っていた。
「なんでアンタは・・・・・・」
杏子はさやかに聞いた。
「あたしはね高すぎるものを支払ったなんて思ってない、この力は使い方次第でいくらでも素晴らしいモノにできるはずだから」
さやかかの決意は固かった、マミから言われていた。
『あなたの選んだ道は決して平じゃない・・・・・・いばらの道だと言うことをね、その道を歩む途中で・・・・・・決して折れちたりしちゃダメよ』
祈ったのは
「それからさーーあんたはその林檎はどうやって手に入れたの?」
「・・・・・・」
さやかは、杏子が持っていた林檎の紙袋を見て疑問に思っていた。
杏子の過去の話を聞く限り、お金は持っていなかった。
答えはーー一つしかなかった。
「お店で払ったお金はどうしたの?」
さやかの問いに杏子は黙ったままだった。
「・・・・・・言えないんだね。 ならあたしその林檎は食べられない、もらっても嬉しくない」
「・・・・・・・・・・・・・っ!」
杏子は、心の中にグサリと来たが林檎のことより違うことを叫んだ。
ーー叫ばずにいられなかった。
「バカヤロウ! あたしたちは魔法少女なんだぞ! ほかに同類なんていないんだぞ!」
さやかは杏子の叫びを背にして聞いていた。
それでも、さやかの決意は固かった。
「あたしはあたしのやり方で戦い続けるよ、それがあんたの邪魔になるなら前みたいに殺しに来ればいい、あたしは負けないしもう恨んだりしないよ」
杏子の気遣いは素直に嬉しかった、だがさやかも生半可な思いで契約をしたわけじゃない。
ここで自分のために魔法を使うことを認めては、他者のために魔法を使うというあの時の誓いを裏切ることなってしまう。
それがさやかの選択だった。
さやかの言葉に杏子は立ち尽くした。
立ち去るさやかの背を睨みながら林檎をかじり続けた。
ーーその姿を一人の男が見ていた。
「・・・・・・」
外から二人の様子を見ていた侍、
さやかが立ち去った後そのまま、静かに教会から去ろうとした時だった。
「何こそこそしてんだ! 出て来いよ!」
突然、杏子が叫んだ。
不意に、銀八は足を止めた。
振り向くと、あきれ顔で見ていた杏子が銀八を見ていた。
「途中で、アンタがあたしらの後をつけていたのは気がついてたよ」
何故、銀八が廃教会にいるのか、それは少し遡るーー。
***
銀八は、見滝原中学校から三叉路のアパートに戻ろうとしたが、昨日の件でさやかが登校していなかったのを機に、さやかのマンションに向かうことにした。
「キュゥべえからソウルジェムの話を聞いたんだろうな、学校に来てなかったし・・・・・・様子ぐらい見に行くか」
銀八自身、ほむらからこの世界の事情を聞いたとはいえ、肉体と魂を分離して魔法少女にするなんて最初は戸惑っていたが
が、十代半ばの少女達には酷な話である事には変わりなかった。
さやかのマンションに向かう途中、見覚えのある影が二つあった。
赤い髪のポニーテールの少女と青髪ショートヘアの少女ーー杏子とさやかだった。
「アイツ等・・・・・・」
銀八は何故あの二人が一緒に歩いているのか分からなかった。
考えても埒が明かないといたり様子見がてら後をつけ、杏子の過去が語られ、今に至るわけだった。
***
「悪りィな、テメーの過去を立ち聞きしちまって・・・・・・」
銀八は杏子にそう謝罪したが杏子本人はため息を出しながら気にしてない様子でーー。
「いいよ、あんたには借りが出来ちまったからな」
「借り?」
銀八は何のことかはわからなかった。
「キュゥベえの野郎をぶっ飛ばしてくれただろ?」
杏子の言葉に銀八は「あぁ~」と思い出したかのように言った。
「俺ァあの無限残機が胸糞わりぃ事ほざいたから、アイツを野球ボールの代わりにしただけだぜ? 礼を言われるほどじゃねーだろ?」
「それでも、ありがとな」
杏子はそう礼を言った。
その後、紙袋から林檎を取り出して、銀八に投げ渡した。
「食うかい?」
そう言った杏子はさやかのひと悶着を思い出していた。
「それとも・・・・・その林檎は・・・・・・」
ーー食べられないのか?
そう杏子は銀八に聞こうとした時だった。
シャリ。
銀八は林檎を齧っていた。
「今回だけ共犯になってやらァ、粗末にしたらキレんだろ?」
そう言いながら林檎を食べていた
杏子は驚きながらもある事を訪ねた。
「一応、教師・・・・・・? なんだろ? あたしは食うために、
ーー万引きした。
そう杏子はそう告げようとした時だった。
「テメーは何も魔法で誰かを傷つけてまで林檎を奪ってんじゃねーんだろ」
銀八はそう言いながら林檎を食べていた。
銀八は一旦林檎を齧るのをやめ、ある子どものことを話した。
「まぁ、スリで生計を立てていたガキを相手にしたことが在るんだ、この程度で引くかよ」
銀八はそう杏子に話した。
「スリ?」
杏子何を言っているのか分からなかったが、銀八は構わずに話を続けた。
「あぁ、そいつ孤児で女を買うためにスリを始めたガキでな、その理由がその買おうとしていた女が自分の母親かもしれないってな」
「え?」
杏子はいきなりスリの少年の話を戸惑いながら黙って聞くことにした。
「ただ、金を受け取っていた男がガキの稼いだ金を、黙って使い込んでたんで少しボコってやったんだが、その買おうとしてた女が上客専門の女でな、その上オーナーがやべーやつでな死ぬとこだったぜ」
杏子は分からなかった、なぜ
「あんた、なんで私にそんな話を?」
杏子は銀八にそう聞いた。
「てめーは自分の過去を話してまで
杏子は目の前の男の眼を見ていた、銀八の目は普段死んだ魚の目をしていたが、いまの目は真っすぐで強い目をしていた。
杏子はどうしてそんな目をしていたのかわからなったが、今は話の続きが気になっていた。
「なぁ、その母親かもしれない女とその・・・・・・会えたのか?」
杏子は話の続きが気になっていた。
「会えたには会えたが、その女とガキは血はつながってなかったよ」
「え・・・・・・?」
杏子はその言葉に絶句した。
母親と思っていた女とは血はつながっていなかったことに言葉が出なった。
「でもな、そのガキはなその血のつながっていない女を母親といったんだぜ?」
「どうしてだ? その女とガキは血がつながってなかったんだろ?」
杏子はますますわからなった、どうしてその子供は血のつながっていなかった女を母親と呼んだのかわからなかった。
「女のオーナーがヤベー奴だって言っただろ、本当の母親はそのガキを産んで亡くなってな、その本当の母親の仲間とその血のつながってない女が、オーナーから匿ってガキを育てながら守ってたのさ」
ーーただな。
銀八は思いだしながら、その『母親』と呼んだ女が払った代償を話した。
「その母親は両足の腱を切られてな、歩くどころか立つこともままならなくなっちまったんだ」
杏子は分からなくなった、血のつながらない子供のためにどうしてそこまで出来るのか。
「皮肉な話、血はつながっていても家族同士で殺し合うやつもいれば、母子よりも強い絆で繋がっている連中もいる、どっちが本物の家族かなんて知りゃしねーがな」
杏子は、その話を聞いて自分の父のことを考えていた。
神父の父は自分が壊してしまうまで、優しく正直な人だった。
でも、杏子は銀八の話を聞いて、自分は本当に父を見ていたのか、分からなくなった。
杏子はそう思考の渦に入りかけていた。
銀八は、杏子の様子を見て親子の結末を話した
「そうそう、その母親とガキは今は親子になって暮らしてるよ」
銀八は杏子にそうつぶやいた。
杏子は思考の渦から引き戻されていた。
銀八は食いかけの林檎を芯になるまで食べきり教会を後にしようとした。
「お、おい」
杏子は銀八を呼び止めようとしたが、銀八は去り際にある言葉を伝えた。
「どんな場所だろうと、どんな境遇だろうと、
ーー林檎ごっそさん。
そう伝えて、銀八は廃教会を後にした。
銀八自身、どうして杏子に吉原で出会った、
しかし、杏子の父は杏子を魔法少女になるまで無自覚に追い詰めたことへの怒りがあったのかもしれかった。
ただ、言えるのは杏子がさやかを無自覚に背負ったっていうことだけだった。
***
杏子は銀八の背中を見送りながら、なぜ『血のつながらない親子』の話をしたのか考えていたが、分からずじまいだったが、ひとつわかったことはーー。
さやかを見送ったときの苛立ちが収まったと言うことだけだった。
ーーだが、運命の歯車は少女達に休息の暇を与えることはなかった。
参考資料とエレファント速報、ジャンプリミックスをふんだんに入れてみました。
杏子と銀時の会話で吉原の日輪と晴太の話を入れてみました。
杏子は確かに願いで家族を壊したかもしれません、ですが杏子の父は杏子をそこまで追い詰めてしまったことに気付くべきなのではないのでしょうか?
と、自分の中の不満を書いてしまいました。
正直言って、吉原の話か銀時自身の過去にするか迷いました。
文面が長くなって変な話になって申し訳ありません。
ご意見、ご感想お待ちしております。