運命の分岐点まで迫っております。
括目です。
翌朝 通学路
さやかはいつも利用している水路の遊歩道で見滝原中学校まで登校することにした。
昨日の杏子の話で自分の契約の理由を思い出してどうにか前を向いていたが、それでも心の中に宿った靄は晴れなかった。
するとーー。
「さやかちゃん、おはよ!」
「おはようございます、さやかさん」
まどかと仁美がさやかに挨拶していた。
「あ・・・・・・ああ、あはよっ」
さやかは二人の姿に驚きながらも、返事した。
「昨日はどうかしたんですの?」
仁美が昨日の無断休学の理由を尋ねた。
「ん~ちょっとばかり風邪っぽくってね」
さやかは昨日の
「・・・・・・」
まどかはさやかを心配そうに見ていた。
昨日の無断休学の理由は、一昨日の夜が事の発端だったため、学校にこれなかったのはまどかも想像できていた。
その後にーー。
(大丈夫だよ、もう平気、心配ないから)
さやかはテレパシーでまどかにそう伝えた。
「さーて今日も張り切ってーー」
さやかは二人に向けて気合を入れようとしたとたんだった。
「!」
さやかはある人物の姿を目撃した。
恭介が松葉杖を駆使しながら登校していた。
「・・・・・・」
さやかは恭介のその姿に言葉を失っていた。
恭介のリハビリ状況を把握していなかったから来る、衝撃だった。
仁美はさやかの様子を見た後に、恭介の姿を確認した。
「あら上條くん退院なさったんですの?」
さやかは恭介を見てきただけでなく退院するまでお見舞いをしていた。
しかし、さやかは心の底で嬉しいはずなのに、気まずさを感じていた。
***
見滝原中学校 教室
「上條・・・・・・もうケガはいいのかよ?」
クラスメイトの一人が久しぶりの登校した恭介にそう質問した。
「ああ、家に籠ってたんじゃリハビリにならないしね、来週までに松葉杖なしで歩くのが目標なんだ」
恭介はそうクラスメイトに話していた。
その姿をさやかは遠巻きに見ていた。
「・・・・・・」
「良かったね上條くん」
「うん・・・・・・」
まどかの喜ぶ言葉にさやかはそう返事をした。
「さやかちゃんも行ってきなよ、まだ声かけてないんでしょ?」
まどかは恭介との会話にさやかも加わることを進めたがーー。
「あたしは・・・・・・いいよ」
さやかは恭介の周りの空気に気おくれしたのか、断っていた。
「・・・・・・」
まどかはその言葉を聞いてさやかの顔を見ることしかできなかった。
「・・・・・・」
さやかの姿に、仁美は横目で見ていた。
仁美は、ある秘め事をさやかに伝えることにした。
それが、さやかの運命に関わることになるとは、さやかもまどかも思いもよらなかった。
***
放課後 ファストフード店
「・・・・・・それで話って何?」
さやかは仁美に学校で話があると言われ、ファストフード店で話すことになった。
仁美の目は真剣さがあった。
「恋の相談ですわ」
「・・・・・・」
仁美の一言で一瞬だけ沈黙が流れたが、その後に仁美から言葉が続いた。
「私ね、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんです」
改まって話の内容を伝えた仁美の言葉にさやかは息をのんだ。
「え? うん・・・・・・」
仁美は誰に恋をしているのか、さやかは聞き入ろうとした。
そして、仁美はその相手の名を告げた。
「ずっと前から・・・・・・私、上條恭介くんのことお慕いしてましたの」
仁美の告白にさやかは言葉を失い騒然とした。
しかし、仁美の目は真剣だった。
「そ、そうなんだ・・・・・・」
さやかは仁美の言葉に驚きつつもーー。
「あ、ハハ・・・・・・まさか仁美がねぇ、な~んだ恭介のヤツ隅に置けないなぁ」
おどけた態度でさやかはそう言ったがーー。
「さやかさんは上條くんとは幼なじみでしたわね」
仁美の態度は真剣のままだった。
「んんまぁその・・・・・・腐れ縁っていうかなんていうか・・・・・・」
「本当にそれだけ?」
さやかは恭介への好意をはぐらかそうとしたが、仁美は見逃さなかった。
「・・・・・・」
さすがのさやかも誤魔化せなかった。
「私、決めたんですの。 もう自分に嘘はつかないって、あなたはどうですか? さやかさんあなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」
「な・・・・・・何の話をしてるのさ・・・・・・」
さやかは仁美の真剣な態度にたじろいだ。
「あなたは大切なお友達ですわ・・・・・・だから抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの、上條くんのことを見つめていた時間は私よりさやかさんの方が上ですわ、だからあなたには私の先を越す権利があるべきです」
「仁美・・・・・・」
仁美の恭介に対する思いをさやかに告白したうえで、「友人」として正々堂々としていたいという強い言葉にさやか本人は言葉が出なかった。
「私、明日の放課後に上條君に告白します、丸一日だけお待ちしますわ、さやかさんは後悔なさらないよう決めて下さい、上條君に気持ちを伝えるべきかどうか」
「あ、あたしは・・・・・・」
仁美の真剣な態度にさやかは置いてけぼりだった。
仁美はさやかにお辞儀してファストフード店を後にした。
さやかは仁美の後ろ姿を見ているしかなかった。
***
夜 マンション
さやかは魔女退治のためマンションから出てきたら、まどかとマミ、そして銀八が待っていた。
「・・・・・・! まどか、マミさん・・・・・・先生」
「ついてっていいかな?」
まどかはさやかにそう優しく動向を求めた。
「さやかちゃんに独りぼっちになってほしくないの、だから・・・・・・」
その理由をさやかにそう伝えた。
「あんた・・・・・・なんで・・・・・・そんなに優しいのかなぁ・・・・・・あたしにはそんな価値なんてないのに・・・・・・」
「そんな・・・・・・!」
まどかは「そんなことない」と伝えようとしたが、さやかの言葉に戸惑うことになった。
「あたしね今日後悔しそうになっちゃった」
「・・・・・・!」
さやかの中にあった後悔の言葉にまどかは一瞬戸惑った。
「美樹さん何があったの?」
マミはさやかに後悔の理由を聞こうとした。
「あの時仁美を助けなければって・・・・・・ほんの一瞬だけ思っちゃった・・・・・・正義の味方失格だよ・・・・・・マミさんの弟子も・・・・・・」
その言葉を聞いたマミはさやかの契約のことを思い出していた。
他人のために契約するのは自分の願いをはっきりした方がいいと言ったことをーー。
それが恋愛模様の上、助けた友達が契約の切っ掛けとなった男の子に思いを寄せてるなんて思わなかった。
まどかはさやかに駆け寄り抱きしめた。
その瞬間、気丈に振る舞い続けていたさやかの仮面が外れる、同時に大粒の涙が零れ落ちた。
「仁美に恭介を取られちゃうよ・・・・・・でもあたし何もできない・・・・・・! だってあたしもう死んでるんだもん! ゾンビだもん! こんな身体で抱きしめてなんて言えない! キスしてなんて言えないよ・・・・・・!! うううっうぐっ・・・・・・!」
さやかは涙を流しながら自分の思いを吐露した、まどかも涙を流しながらさやかの言葉を聞き続けた。
「美樹さん・・・・・・」
マミもさやかの吐露を聞いて涙が流れた。
ーーそんな時だった。
「他人の惚れた晴れたに口出しすんのもお門違いだけどよ、これだけははっきり言ってやる」
さやかの吐露を黙って聞いていた銀八が口を開いた。
「「「・・・・・・?」」」
涙を流した三人は銀八に注視し、何を言おうとしたのか耳を傾けた。
「今のテメーは誰かに惚れる権利も、惚れた相手に思いを伝える権利も持ってらァ、そんなにテメーを卑下するもんじゃねーよ」
その言葉に三人は驚いていた。
銀八から恋愛の言葉が出てくるなんて思ってもみなかったからだ。
「なんなら、手紙で思いを伝えんのはどうだ? まずは相手をフォローしつつ・・・・・・」
銀八はさやかに手紙でフォローを入れつつも告白を進めたがーー
「いえ、これ以上は聞きません」
「はぁ!? 俺今、話してる途中ーー」
さやかにいきなり話を中断させられた。
「だって坂田先生、何かーー」
まどかは本能的に銀八が何か卑猥なことを言いそうな気がしていたと言い淀んでいたがーー
「先生、あなたはなぜか碌な恋愛をしていない気がしたので・・・・・・これ以上は良いかなと」
マミは薄々、銀八が卑猥なことを言いそうな予感がしたのか、結論を言った。
「なんで俺、励まそうとしてんのにこんな断言されんだよ・・・・・・」
銀八は少し落ち込んだ。
「だって先生、魔法少女のことをあれこれ聞いたときに卑猥すれすれなことを聞いたじゃないですか?」
そう言ったのはマミだった。
「「うんうん」」
まどかとさやかもマミの言葉に同意するように同時に肯いた。
「なんだよ、俺せっかくたまに先生らしいことをだなーー」
銀八はぶうたれながら、文句を言ったがーー。
その様子を見た三人は少し笑った。
さやかはまどかとマミに面を向かって礼を言った。
「・・・・・・ありがと、ごめんね」
「さやかちゃん・・・・・・」
「美樹さん、もういいの?」
まどかとマミは、心配そうにさやかに聞いたが、さやか本人の表情は柔らかかった。
「もう大丈夫、すっきりしたから」
さやかは二人に向かってそう話した。
次に銀八に向かってーー
「先生も、ありがとね、なんか卑猥なことを言って私に突っ込みを入れさせようとしたんでしょ?」
銀八は「はてなんのことやら」と言ったような態度でごまかした。
さやかは気を取り直して魔女退治にに乗り出した。
「さあ行こ、魔女をやっつけないと」
「・・・・・・うん」
さやかの言葉にまどかは同意した、マミも優しい表情でうなずいた。
***
工場
杏子は魔女の結界が張られている様子を窺っていた。
「・・・・・・」
いつもなら、すぐさま魔女を狩りに行っている杏子が結界に侵入せずに様子見に徹していたのは先客がいたからだ。
すると背後から誰かが降り立った気配がした。
「黙ってみてるだけだなんて意外だわ」
声の主は、ほむらだった。
杏子は驚きもせずにほむらの問いに答えた。
「・・・・・・今日のアイツは使い魔じゃなくて魔女と戦ってる、ちゃんとしたグリーフシードも落とすだろ。無駄な狩りじゃないよ」
「そんな理由であなたが獲物を譲るなんてね」
ほむらは意外そうにそうつぶやいた。
「・・・・・・」
杏子はしばらく様子見をしたが中の状況に変化が起こった。
中にいる先客、さやかが結界の魔女に苦戦していた。
「チッ・・・・・・あのバカ、手こずりやがって」
杏子は悪態をつきながらもさやかの援護をする決心をした。
***
魔女結界内
結界内ではさやかが剣を振るい魔女と交戦している最中だった、お互いに致命打を与えられない緊迫した戦闘が続く。
マミはまどかの護衛のためにその場を動かずにいた、場合によってはさやかの援護をするつもりだ。
銀八も魔女に攻撃を仕掛けようとするも、魔女の影が四方八方から攻撃してくるために捌き切るのが精いっぱいだった。
「やああああああああ! ハッ!」
さやかは魔女に攻撃を仕掛けようとするも、四方八方からくる影が襲い掛かりさやかの進撃を許さない。
「おおお・・・・・・!」
本来ならば魔女本体を叩くのが定石で、銀八もそうするつもりだったが魔女の攻撃で手も足も出ない状況だった。
さやかは再度魔女に突撃した。
「おおおおおおお!」
今度は上空から攻撃を仕掛けることにしたのだがーー。
「だああああぁぁぁぁぁ!」
魔女は影が樹の枝のような形でさやかの攻撃を防いだ。
そしてそのままさやかを押し返した。
樹の枝はマミやまどかのところまで向かっていた。
それを見た銀八はすぐにまどか達の元に向かった。
次に瞬間だった。
影の枝が二人に向かう瞬間に何者かがその進撃を断ち切った。
その後にさやかを抱えて着地したのは杏子だった。
「まったく・・・・・・見てらんねーっつーの」
杏子はさやかを下ろした後に魔女の方に狙いを定めた。
「いいからすっこんでなよ、手本を見せてやるからさ」
そう言いながら杏子はさやかに手を貸すことをえらんだが、さやかはーー。
「邪魔しないで」
「おい・・・・・・!」
「ひとりでやれるわ」
さやかは杏子の助太刀を拒否して単独で魔女に突撃した。
あまりに直線的で単純な攻撃。
「やあああああああ!」
祈りをささげている姿をした女の姿をした魔女の首をはねたが、魔女は倒されておらず反撃をその身を受けた。
「さやかちゃん!?」
「美樹さん!」
「・・・・・・!」
「あの馬鹿!」
まどかとマミはさやかの名前を叫び、杏子は言葉を失い、銀八は罵倒しながらも助けに入ろうした。
しかしーー。
「・・・・・・あはは」
さやかは笑った、杏子はその様子を見て嫌な予感がした。
「アンタ、まさか・・・・・・」
その様子を見て銀八も即座に理解してしまった、今のさやかは立てるはずのない魔女の攻撃をもろに受けて、本来なら動けるはずのないダメージを負っているはずだった。
なのになぜ立ち上がれたのか、それはさやかの笑い声がそれを証明した。
「あはははははは! あはははは・・・・・・あっはははは」
さやかは魔女の攻撃を食らいながら笑っていた。
体から、頭から、いたるところから血を流しても笑っていた。
そしてそのまま魔女に止めを刺してた。
それでも、さやかは魔女を斬り続けた。
・・・・・・さやかの浮かべている笑みは少女のそれと言うには余りにも邪悪だった。
「ははははははは、本当だぁ・・・・・・その気になれば痛みなんて・・・・・・あははははははははははははははははははは、完全に消しちゃえるんだぁ・・・・・・!」
そう、さやかがダメージを負っているにもかかわらずに立ち上がった上に、反撃を喰らいながら魔女を倒すことが出来たのか、それはーー。
キュゥベえが言っていた「完全に痛みを遮断することができる」と聞かされたため、さやかはそれを実行してしまったのだ。
「ははははははは」
さやかは笑い続けたその姿にマミと杏子は言葉を失った。
そしてまどかは悲痛な声で言った。
「やめて・・・・・・もう・・・・・・やめて」
そして銀八はさやかの姿を見て怒りが込みあがった、キュゥベえに対する怒りが徐々に沸き上がっていった。
どうにか、ここまで書きあがりました。
いつも通り、参考書をフルに使いました。
その中に新八の文通編を少し入れてみました。
さすがのまどか達も銀時をまじかに見て女のカンが働いた流れにして見ました。
そして、運命の時が近づいていきます。
ご意見ご感想、お待ちしております。