まどか☆マギカ交差伝 宇宙一馬鹿な侍   作:二道 無限

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 とうとうこの時が来ました。

 ほむらの場面だったシーンは銀八に代わってます。

 ホストの流れはお楽しみに。

 それでは本編をどうぞ。


真実は希望と絶望のはざまに

 さやかは、銀八に対して冷たい声で問いかけた。

 「先生は、何か知ってるんでしょ? 転校生は何もかも諦めた目をしてる。いつも空っぽの言葉をしゃべってる、本当は全然別のことを考えてる・・・・・・」

 

 銀八はさやかの荒んだ状態での洞察力に少し背筋を凍らせた。

 

 確かに、銀八はほむらの目的を知っている。

 契約した目的も、その際の魔法少女の真実を知った経緯も、全てほむら本人から聞いていた。

 

 ふと、銀八はさやかにある問いかけをした。

 「仮に、俺がほむらのことをテメーに話したとしてお前はどうするんだ?」

 銀八の質問にさやかは一瞬間を置いた後、ポツリポツリと今までのことを話していった。

 「あたしは転校生たちとは違う魔法少女になる、あたしは決めたんだ・・・・・・誰かを見捨てるのも利用するのも、そんなことをするヤツらとつるむのも嫌だ。見返りなんていらない、あたしだけは絶対に自分のために魔法を使ったりしない、でも転校生は何を考えているのか分からない。最初の出会いから・・・・・・お菓子の魔女の戦いの時も、杏子(あの子)との戦いの時も、あの転校生は違うものを、違うことを考えてる」

 

 さやかは今までのほむらとの出会いから今日までの動向をつぶさに話していた。

 その様子を見た銀八は話を遮るかのように声を掛けた。

 

 「お前、このまま続けたら死ぬぞ」

 「あたしが死ぬとしたらそれは魔女を殺せなくなったときだけだよ、それって用済みってことじゃん。魔女に勝てないあたしなんて、この世界に入らないよ」

 

 さやかの発言で銀八はーー。

 ゴンッ。

 さやかの頭に拳骨を喰らわせた。

 

 「生意気言ってんじゃねーぞ小娘、テメーはそれで満足かもしれねーけどな、残された奴らを考えてみろ」

 銀八は頭を押さえるさやかにそう説教した。

 

                       ***

 

 元の世界の銀八(銀時)はある依頼で妖刀を探してほしいと頼まれ足取りを追う中で、江戸で辻斬り事件とヘッポッコテロリスト(幼馴染)の失踪が同時に重なった上に妖刀を盗んだ犯人が銀時に因縁のある人斬りと過激派の首領(もう一人の幼馴染)が関わっていた。 

 

 その上、妖刀と称された機械兵器(カラクリ)を造り出したのが依頼人の刀鍛冶と言うオチが待っていた。

 

 事の真相を刀鍛冶の妹から聞いた銀時は人斬りと刀鍛冶を止めるために戦った。

 しかし、暴走した妖刀に体を奪われた人斬りが刀鍛冶の妹を兄が庇って斬られたという何とも言えない結末を思い出していた。

 

 

                       ***

 

 

 「願いは刀だ、心の中にあった願いって名の芯を思い出してみな。 そのためにはまずテメーのソウル何たらの浄化をしな、話はそれからだ」

 銀八は、元の世界のことを思い出しながらさやかにソウルジェムの浄化を促したがーー。

 

 「無理だよ、先生・・・・・・私にあった願いは、心の底でほしかったものは手には・・・・・・」

 そう言いながら、さやかは銀八の下に去っていった。

 その足取りはゆっくりで、今でも追いかけられるが・・・・・・追いかけづらかった。 

  

                      ***

 

 

 

 さやかは、当てもなく電車に乗っていた。

 そんな時、男二人の話声がした。

 

 「言い訳とかさせちゃ駄目っしょ、稼いだぶんはきっちり貢がせないと。ちょっと金持たせとくとすぐクッダラネェことに使っちまうからね」

 「ほんと女は人間扱いしちゃ駄目っすね。犬か何かだと思ってしつけないとね、あいつもそれで喜んでるわけだし、顔殴るぞって脅せばまず大抵は黙りますもんね」

 

 さやかは男二人がホストだと推察できていた。

 ホストの話があまりにも聞くに堪えない話だった。

 さやかは、そのホストのために貢いだお金を払った女のことを犬と言ったことに、怒りが込み上がった。

 同じ人間を犬扱いする言動は、さやかの中の黒い炎に油を注ぐ結果となっていた。

 

 

 「ちょっと油断するとすぐつけ上がって、籍入れたいとか言い出すからさぁ、甘やかすの禁物よ? テメェみてぇなキャバ嬢が十年後も同じ額稼げるかってぇの」

 「捨てる時がさぁ、ほんとウザイっすよね。そのへんショウさん上手いから羨ましいっすよ、俺も見習わないとーーん?」

 先輩ホストの会話の最中、後輩ホストは人影に気が付いた。

 少女、さやかはホスト二人組の前に立っていた。 

 「ねぇその人のことを聞かせてよ」

 「はい?」

 後輩ホストは少女の言っていることが解らなかった。

 いったい何を言っているんだ? とも言いたげな顔でさやかを見ていた。

 

 「いまあんたたちが話していた女の人のこと、もっとよく聞かせてよ」

 ホスト二人は今の話を聞かれたことに気付いて誤魔化そうとした。

 「・・・・・・お嬢ちゃん中学生? 夜遊びは良くないぞ」

 後輩ホストは注意交じりにさやかにそう言ったがーー。

 「そのあんたのことが大事で、喜ばせたくてがんばったんでしょ? あんたにもそれが分かってたんでしょ? なのに犬と同じなの? ありがとうって言わないの? 役に立たなきゃ捨てちゃうの?」

 さやかは聞く耳も持たず問い詰め続けた。

 「何コイツ知り合い?」 

 「いや・・・・・・」

 二人のホストはさやかの様子を見て気味悪がっていた。

 

 当のさやかは唯一の心の支えで有った『人を護る』決意が二人のホストの会話で崩れ去っていた。

 「ねぇこの世界って守る価値あるの? あたし何のために戦ってたの? 教えてよ今すぐあんたが教えてよ・・・・・・でないとあたし・・・・・・」

 

 ホスト二人組を前にそう言いながらさやかの指輪(ソウルジェム)から穢れがあふれ出していた。 

 

                    ***

 

                  深夜 公園

 

 「さやかちゃん・・・・・・どこ?」

 

 夜遅く、まどかはさやかを探すために方々歩き回っていた。

 マンションでさやかの両親から、昨日から戻ってきていないことを知ったため、探し回っていた。

 

 「君も僕のことを恨んでいるのかな?」

 電灯の影から話しかける声がした、まどかは目を凝らして見覚えのある影があった。

 キュゥべえだった。

 「あなたを恨んだら、さやかちゃんを元に戻してくれる?」

 まどかはキュゥベえにそう語りかけた。

 むろん、まどかはキュゥベえに怒りを覚えてはいたが、悲しみが大きかった。

 「無理だ、それは僕の力の及ぶことじゃない」

 

 キュゥべえに対する問いかけに対する答えを聞いたまどかはベンチに座った。

 キュゥベえも、まどかの座ったベンチに飛び上がりまどかの隣に伏せた。

 まどかはキュゥベえに対して自分自身のある疑問をぶつけた。

 「ねぇ・・・・・・いつか言ってた、私がすごい魔法少女になるって話、あれは本当なの?」

 「すごいなんて言うのは控えめな表現だ、君は途方もない魔法少女になるよ、おそらくこの世界で最強の」

 

 キュゥベえの返答にまどかは戸惑いながらも、キュゥベえに聞き続けた。

 「私が引き受けてたら、さやかちゃんは魔法少女にならずに済んだのかな」

 「さやかは彼女の願いを遂げた、その点についてまどかは何の関係もない」

 

 まどかは、さやかの代わりに契約すればこんなことにならずに済んだと内心考えていたが、さやかは自分自身の願いを叶えただけで、まどか自身関係ないのは紛れもない事実だったが、まどかはそれでも疑問が深まっていた。

 

 「・・・・・・どうして私なんかが?」

 今までの経緯でマミから魔法少女の素質があると聞いた時から最初は驚いていた。

 しかし、マミが魔女との戦いで死にかかったときから、魔女の結界で死を迎えたら、現実世界では失踪扱い。

 さやかと杏子の戦いにおいては、ソウルジェムが魔法少女になった人間の魂が物質化したことなどだ。

 今のまどかは魔法少女(自分自身)の素質に疑問を抱き始めていた。

 「僕にもわからない、はっきり言って君が秘めている潜在能力は理論的には有り得ない規模のものだ。誰かに説明してほしいのは僕だって一緒さ、君が力を開放すれば奇跡を起こすどころか、宇宙の法則をねじ曲げることだって可能だろう、なぜ君ひとりだけがそれほどの素質を備えているのか・・・・・・理由はいまだに分からない」

 キュゥべえも同じ疑問を持っていた。

 まどかの潜在能力は宇宙の法則をねじ曲げるほどと言わしめていた。

 

 それでも、まどかは余計に疑問を深まりそのまま吐き出していった。

 「私は・・・・・・自分なんて何の取り柄のない人間だと思っていた。ずっとこのまま誰のためになることも何の役に立つこともできずに、最後まで何となく生きていくだけなのかなって、それは悔しいし寂しいことだけど、でも仕方ないよねって思ってたの」

  

 まどかの疑問を聞いたキュゥべえは淡々と答えた。

 「現実は随分と違ったね、まどか、君が望むなら万能の神にだってなれるかもしれないよ」

 

 キュゥべえの話に耳を傾け続けていたまどかは、ある考えが浮かんでいた。

 いや、考え付いてしまった。

 「私なら・・・・・・キュゥべえにできないことでも私ならできるのかな」

 「というと?」

 キュゥべえはまどかの言葉に耳を傾けた。

 まどかが思いついたことに興味を示していた。

 「私があなたと契約したら、さやかちゃんの体を元に戻せる?」

 それが、まどかの思いついたことだった。

 「その程度きっと造作もないだろうね、その願いは君にとって、魂を差し出すに足るものかい?」

 キュゥべえにそう聞かれ、まどかは戸惑っていた。

 「・・・・・・」

 まどかは考えていた。

 キュゥべえと契約するということは人間をやめることに他ならない。

 魔法少女になるということは、死人になることと同意義のことだった。

 

 しかし、まどかはさやかを見捨てることなど、できるはずがなかった。

 

 「さやかちゃんのためなら・・・・・・いいよ、私魔法少女にーー」

 なる。まどかはキュゥべえにそう言おうとした時だった。

 

 一瞬の出来事だった。

 

 目の前のキュゥべえが穴だらけの肉塊に変わったことにーー。

 そのまま、キュゥべえは死体と成り果てた。

 まどかは何が起こったのかわからなかった。

 「・・・・・・・・・・・・!」

 すると、何か金属の塊を落とした音がした。

 「・・・・・・・・・・・・!」

 振り向くと、見覚えのある少女がそこにいた。

 

 神出気没に現れる魔法少女、ほむらの姿がそこにいた。

 ほむらの足元には拳銃があった。

 おそらく、キュゥべえを撃ったのが足元の拳銃だということはまどかにも理解できていた。

 しかし、まどかはついさっき生きていたキュゥべえをどうやって射殺したのか困惑していた。

 

 まどかはキュゥべえを殺しても『代わり』が現れるのをマミとの出会いの時点ですでに知っていた。

 

 それでも、確かなことがあった。

 「どうして・・・・・・? どうしてほむらちゃんは私を魔法少女にさせたくないの?」

 少なからず、ほむらはどうあってもまどかを魔法少女にはさせたくないという意思は確かだった。

 そんなまどかの疑問にほむらは答えなかった。

 それどころかーー。

 「あなたはーー。なんであなたは・・・・・・いつだってそうやって自分を犠牲にして・・・・・・役に立たないとか意味がないとか・・・・・・勝手に自分を粗末にしないで、あなたを大切に思う人のことも考えて!」

 ほむらはまどかが狼狽えるほどに感情むき出しにして叫んだ。

 「いい加減にしてよ! あなたを失えば、それで悲しむ人がいるってどうしてそれに気づかないの?」

 続けざまに叫んだほむらの顔を見たまどかは言葉を失った。

 「あなたを守ろうとしていた人はどうなるの!?」

 ほむらは、涙を流しながら悲痛な感情むき出しに叫んだあと、膝を落とした。

 「・・・・・・ほむらちゃん・・・・・・?」

 「う・・・・・・っ・・・・・・うっ・・・・・・」

 まどかはほむらに呼びかけたが、ほむらはそのまま泣いていた。

 

 その瞬間、まどかの脳裏に一瞬何かが蘇るような感覚が走った。

 「私たちはどこかで・・・・・・」

 「・・・・・・」

 まどかの言葉にほむらは一瞬反応した。

 「どこかで会ったことがあるの? 私と」

 「・・・・・・それは・・・・・・」

 

 まどかの疑問に、ほむらは答えられなかった。

 

 「・・・・・・ごめん、私さやかちゃんを探さないと」

 まどかはさやかの捜索を優先するとほむらに告げた後に踵を返した。」

 ほむらは立ち去るまどかに気づいてーー。

 「待って・・・・・・美樹さやかはもう・・・・・・」

 「ごめんね」

 「待って! まどか!」

 ほむらはまどかを引き留めようとしても、まどかは止められなかった。

 

 「無駄なことだって知ってるくせに・・・・・・懲りないんだなあ君も」

 ほむらは振り返ると代わりのキュゥべえが現れた。

 

 「代わりはいくらでもいるけど、無意味に潰されるのは困るんだよね。 もったいないじゃないか」

 キュゥべえはそうほむらに言った後、ベンチにあるキュゥべえの死体まで歩いていき、死体を喰らった。

 「きゅっぷい」

 キュゥべえはげっぷを出しながらほむらがいるほうに顔を向けた。

 

 ほむらは、ゆっくりと立ち上がりながら髪をかき分けた。

 

 「君に殺されたのはこれで二度目だけれど、おかげで攻撃の特性も見えてきた。時間操作の魔術だろう? さっきのは」

 「・・・・・・」

 キュゥべえの問いかけにほむらは黙っていた。

 「やっぱりね」

 キュゥべえはほむらの沈黙から予想が当たったと確信した。

 「何となく察しはついていたけれど・・・・・・君はこの時間軸の人間じゃないよね?」

 「・・・・・・お前の正体も企みも私はすべて知ってるわ」

 ほむらの言葉でキュゥべえの仮説は当たっていたことを指していた。

 「なるほどね、だからこんなにしつこく僕の邪魔をするわけだ。そうまでして鹿目まどかの運命を変えたいのかい?」

 キュゥべえはほむらの正体を看破した後にまどかの運命に関しての問いかけをした。

 

 「ええ、絶対にお前の思い通りにはさせないキュゥべえーーいいえ、インキュベーター」 

 

 ほむらはキュゥべえの真の名を呼びながらそう宣言した。

 

 

 

                        ***

 

 

                      駅 ホーム

 

 

 深夜の駅ベンチに座る二つの影があった。

 一人は女子中学生美樹さやか、そしてもう一人は白髪の天然パーマの男坂田銀八だった。

 

 するとそこに、一人の少女が二人に近づいてきた。

 「やっと見つけた」

 「杏子」

 「・・・・・・」

 杏子は銀八の姿を見つけて、さやかの様子が明らかに変だと気が付いた。

 

 銀八は近づいてくる杏子のもとに向かった。

 「お前、よく見つけられたな」

 「あっちこっち探し回ったけどな、魔女に比べればだいぶましさ」

 杏子は銀八にそう話しながらさやかを見やった。

 「ところであいつ、なんかあったのか? それにあんたもなんでこんなところに?」

 「ああ、それな・・・・・・」

 

 銀八はなぜさやかと一緒にいるのかを話した。  

 

                        ***

 

 

 

 遡ること数時間前。

 

 

 「でないとあたし・・・・・・」

 電車の中で二人のホストが自分たちに貢いだホステスの女をけなす話をした時のこと。

 偶然にもさやかがホスト二人の話を聞いてしまったためにキレていた。

 

 さやかの精神は幼馴染(恭介)親友(仁美)が楽しく会話する様子を見てぶつけようのない感情を抱えていた。

 その八つ当たりと取れるような使い魔退治をしていた上に抱えて精神的にも疲労がたまっていた。

 そのためホスト二人の不愉快な会話が聞こえたら今までの黒い感情が今まさに爆発していた。

 

 指輪上のソウルジェムに黒い光、穢れがあふれ出した時だった。

 「おい、見つけたぞ・・・・・・何してんだこんなところで」

 さやかがはっとして、自分を呼ぶ声の主を探した、すると見覚えのある男がいた。

 

 「中坊が夜遊びなんて十年早えーぞ、この野郎」

 銀八だった。

 

 「さぁ、途中の駅で降りるぞ」

 「邪魔しないで、先生私はーー」

 説得に来た銀八にさやかが反論しようとした時だった。

 「いたたたたたたたたた!」

 銀八はさやかの頭部にアイアンクローを喰らわせた。

 「黙れ小娘、深夜は大人の時間だ、子供は家帰って寝な」

 そういいながら、銀八はアイアンクローを喰らわせながら、ホスト二人に顔向けた。

 「スミマセンネ、こいつが迷惑をかけたみたいで」

 銀八はそう言いながら、ホスト二人に向かってそういった。

 

 「い、いや迷惑はかけてないっすよ・・・・・・」

 「あ、ああそうだなそんなには、な・・・・・・」

 銀八のアイアンクローの姿を見たホスト二人はそう言った。

 いや、言うしかなかった。

 特殊な状況下にあるホスト二人はある直感が働いた。

 ーー少女に対して何か言ったら目の前の男は黙っていない、っと。

 

 「そうですか、失礼させてもらいますね・・・・・・」

 銀八はホスト二人にそう言いながらさやかをアイアンクローを喰らわせたまま立ち去ろうとした。

 

 ホスト二人は二人の様子を見ながら胸をなでおろした。

 しかし、銀八はホスト二人にあることを告げた。

 

 「あ、そうそう・・・・・・こんなことテメーらに通じるかわからねーが言っておくぞ」

 ホスト二人はなんだと云わんばかりに体をびくつかせた。

 「俺の知っているホストは、女性を喜ばせるのが仕事だ。そのホストの仕事に誇りを持っている奴もいるんだ、あんまりゲスな会話すると、俺プッツンするからな」

 

 銀八がホスト二人組に何故そう言ったのかがわからなかったが、元の世界(江戸)銀八(銀時)が知ってるホストは顔を捨ててまでももがき、女を喜ばせるという信念を貫き通した(ナンバーワンホスト)のことを、そしてそのナンバーワンホストの母親がその息子を自慢にしていることにーー。

 

 銀八の言動にホスト二人はなにも言わなかった。

 いや、言えなかった。

 

 なぜなら銀八の目が「これ以上何か言えばぶっ潰す」と言わんばかりの目をしていたため、何も言えなかった。

 

 

 

                       *** 

 

 そして、現在、駅ホーム

 

 「話の流れは分かったけど、流石にアイアンクローはないよ」

  杏子は銀八からの事情を聴き及んだが、アイアンクローの流れはさすがにツッコミを入れた。

 それでも、杏子はさやかの精神面の状況が理解できていた。

 「ああでもしないと、人としての根本的なものが壊れちまいそうだったからな、それで俺があいつと一緒にこの駅に降りたってわけだ」

 杏子はベンチに座っているさやかの様子を見ていた。

 「とりあえず、ちょっと話してくるよ。 どこまで出来るかわかんないけど」

 そう言いながら杏子はさやかのもとに向かい、隣に座った。

 

 「アンタさ、いつまで強情張ってるわけ? って言いたいけど、銀八(あいつ)から聞いたよ」

 杏子は銀八から事情を聴いたことをさやかに伝えながらポテトチップの筒状の容器を開けた。

 「・・・・・・悪いね、手間かけさせちゃって」

 杏子はポテトチップス一枚を食べながら、さやかの謝罪を聞いた。

 「・・・・・・なんだよ、そんなこと言うなんてらしくないじゃんかよ」

 杏子はバツが悪そうにそう言った。

 しかし、さやかのこの先の言葉で驚愕することになる。

 

 「別にどうでもよくなっちゃったからね。結局私はいったい何が大切で何を守ろうとしていたのか、もう何もかもわからなくなっちゃった・・・・・・」

 「あっ」

 杏子はさやかの手にあったもの、輝きを失ったソウルジェムがあった。

 しかも、ただ輝きを失たのではなく深い闇の色のようだった。

 

 さやかは杏子に自分の心に抱えたことを吐き出した。

 

 「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって、いつかあんたが言ってたよね・・・・・・今ならそれよく分かるよ、確かにあたしは何人か救いもしたけどさ、だけどそのぶん心には恨みや妬みがたまって・・・・・・憧れていた先輩の信念を真似することもできないし・・・・・・一番大切な友達さえ傷つけて・・・・・・先生の忠告も聞かないで・・・・・・差し出されていた手を振り払って・・・・・・」

 

 「さやかアンタまさかーー」

 穢れをため込んでいる状況を見て、杏子はその先のことは言えなかった。 

 「誰かの幸せを祈ったぶん、他の誰かを呪わずにはいられない。あたしたち魔法少女って、そういう仕組みだったんだね」

 さやかはそう言いながら涙が流れ落ちた。

 「あたしってほんとバカ」  

 その瞬間、さやかの脳裏に過去の憧憬と呪いが渦巻いていた。

 

 零れ落ちた涙がソウルジェムに当たると、とてつもない魔力の本流と衝撃が駅中心で広まった。

 「うわっ!」

 「うおっ!」

 

 杏子と銀八はさやかの中心から発生した衝撃に吹き飛ばされた。

 

 その瞬間、さやかのソウルジェムが粉々に砕け散りグリーフシードに変化した。

 グリーフシードが孵化して魔女が現れる勢いで魂が抜けたさやかの体も吹き飛ばされてしまう。

 

 「う・・・・・・ぐ・・・・・・さ・・・・・・さやかぁぁッ!!」

 杏子は駅の手すりにしがみつきながらもさやかの名を叫んだ。

 銀八も同じく駅の手すりをつかみながらもその様子を見ることしかできなかった。

 

                      ***

 

 

 町の一角で、キュゥべえは駅の様子を観測していた。

 「この国では成長途中の女性のことを少女って呼ぶんだろう? だったらやがて魔女になる君たちのことは、魔法少女って呼ぶべきだよね」

 

 そう言いながら、キュゥべえは駅ホームを監察していた。

 

 

  

 




 はい、第八話まで書かせてもらいました。

 ここから先は原作破壊のが始まります。

 投稿が遅れて申し訳ありません。

 さて、銀時は魔法少女たちを救うことができるのか?

 運命のときは刻一刻と迫ります。


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