そして、銀時との別れの時がーー。
それでは、銀時と魔法少女達の別れを・・・・・・。
銀時の足元が光となって消えている事態に、まどか達は理解できなかった。
「ぎ、銀時! これはいったいどういうこと!?」
叫ぶかのような大声を出してほむらが銀時に問いかける。
対する、銀時は至って冷静だった。
「まどかが言ったのは・・・・・・『全員が過ごすはずだった平和な日々を取り戻す』ってことだっただろ? まあアレだよ・・・・・・・元々テメーらが過ごすはずだった世界には俺は存在しねェってわけだ」
「!」
銀時の言葉でほむらはハッと思い出した。
(忘れていた、彼自身言っていた・・・・・異世界から来た人間であるということ)
「まどかの願いが叶って魔女がいなくなったってんなら・・・・・・俺もこっから消えることになるんだろうよ」
「そ・・・・・・そんな・・・・・・!」
ほむらはまどかの祈りによって、魔法少女、魔女、願いのきっかけだけが消えると思っていた。
しかし、それは異世界の人間である銀時の存在も消えることになる。
そんなの、予測できなかった。
「ちょっと待てよ・・・・・・それじゃアンタが消えちまうだけじゃない・・・・・・!」
そして、杏子はハッとしてあることに気付いた。
「アンタの存在自体がこの世界じゃありえなかったことになる・・・・・・ってことは、アタシらとこうして出会ったことも・・・・・・この世界で過ごした日々も、全部が無かったことになるじゃねぇか!」
「そ、それって・・・・・・!」
「先生のことも・・・・・・あたしたちは忘れちゃうってこと・・・・・・!?」
杏子の看破に、まどかとさやかは驚愕した。
「・・・・・・・・・・・・」
キュゥべえの言っていた言葉・・・・・・それはつまり、こういうことだったのだ。
マミを救い、さやかを魔女から魔法少女に戻すために戦った記憶も、馬鹿をやって騒いだことも、魂を預けてワルプルギスの夜と戦って、喜びを分かち合った今すらもーーすべてが無かったことになる。
「ま、大したことじゃねぇだろ。 俺ァ元の世界に帰れればなんだっていいし、テメーらが気にすることじゃねぇ」
銀時は笑いながらそう言ったが、ほむらは納得していなかった。
「でも・・・・・・でもあなたは! 私たちのために命を懸けて戦って! 何度も何度も死にそうな目にあって! それなのに・・・・・・この世界の誰からも忘れられて・・・・・・あなたが世界を救ったこともなかったことにされて・・・・・・!」
ほむらは涙を流しながら、たまらずに叫んだ。
それは、幾度もわたって時をさかのぼってきたほむらだからこそわかる痛み。
誰かから忘れられる痛みを誰よりも知っている彼女だからこそ分かる痛みだった。
ほむらは、永遠に続く迷路を終わらせてくれた、自分の願いを叶え、護り抜き、救ってくれた侍のことを忘れるのは、あまりにも辛かった。
「・・・・・・・・・・・・・・」
泣きながらも叫ぶうほむらの姿を見ながら銀時は、頭を掻きながらーー。
「俺ァ誰かの記憶に残りたくてこんな面倒くせーことやったわけじゃねェ・・・・・・」
自らの身体が光となって消え行く中、銀時は目を閉じて口元で静かに笑った。
「今回は目の前の大切なモンをこぼさずに掬い取れた・・・・・・俺ァそれで十分だ」
「銀時・・・・・・!」
銀時の言葉に、ほむらは言葉を詰まらせた。
「でも・・・・・・こんな終わり方なんて・・・・・・こんな別れ方なんて・・・・・・!」
さやかは涙を流しながら、銀時の別れを惜しんだ。
「止めろ馬鹿、俺ァ湿っぽいのは好きじゃねェ・・・・・・なら、もうやるしかねーな」
さやかの顔を見た銀時は空気を換えるために、深呼吸をしてーー。
「全員並べェ! 出席を取るぞォォォォォ!」
そう叫びながら宣言した。
「!」
「は・・・・・・はぁ・・・・・・?」
「しゅ、出席・・・・・・?」
まどか、杏子、さやか順で驚きながら、銀時の顔を見ていた。
「アレだよ、こっちじゃ一応教師ってことになってるし? やる事はやっとかねーとな、めんどくせーからアイウエオ順にな、じゃあ最初・・・・・・暁美ほむらーー!」
「は、はい・・・・・・?」
突然の点呼にほむらは返事をした。
「・・・・・・今までよくやったじゃねーか、中学のガキとは思えねーよ、ただ・・・・・・これからはてめーを作らねェで正直に生きな、泣きてぇ時に泣いて、笑いたきゃ笑え、いいな」
銀時がほむらに送った言葉は、今までまどかを救うために戦い抜いて、諦めずに成し遂げたことを褒めつつも、自分の感情を殺さずに生きてほしいと願っての言葉だった。
「・・・・・・そうね、検討してみ・・・・・・」
ほむらはいつもの調子で受け答えしようとしたがーー。
「それだそれ、もうそういう冷静キャラなの作らなくていいだろ?」
銀時に指摘され口元を押さえたほむら。
「・・・・・・フフ、確かにね」
ほむらはその後微笑んでーー。
「・・・・・・ありがとう、銀時先生」
そう静かに、銀時に感謝の言葉を告げた。
「じゃあ次は・・・・・・鹿目まどかー」
「は、はい」
次に呼ばれたのはまどかだった。
まどかは緊張気味に返事をした。
「悪かったな、最後の最後に契約させちまってよ」
「ううん・・・・・・あれはわたしが自分で考えて決めたことだから・・・・・・!」
銀時からの謝罪にまどかは首を横に振った。
「お前に言いてェのはアレだな・・・・・・もう少し適当になれってことだな」
「て、適当・・・・・・?」
銀時に贈られた言葉に、まどかは困惑した。
「何でもかんでも真面目に一人で背負いこみすぎなんだよお前は、たまには他人に迷惑かけてもいいんじゃねーか、お前には迷惑かけられるダチ公がたくさんいるだろ?」
銀時から贈られた言葉を聞いて、まどかは周りの仲間を見ていた。
ほむら、杏子、マミ、さやかの笑顔を見ながら、表情が柔らかくなっていた。
「・・・・・・そうだね、わたし・・・・・・もっと気楽に生活してみるよ! ありがとうね、先生・・・・・・!」
まどかは柔らかい表情で、銀時に感謝を告げた。
「じゃあ次・・・・・・佐倉杏子ー」
「あ、アタシはアンタの教え子ってわけじゃ・・・・・・」
次に呼ばれた杏子は、少し照れながらそう言った。
「とある母ちゃんが言ってたぞ、田舎じゃ誰かの家の母ちゃんはみんなの母ちゃんだ、みてーな?」
「・・・・・・??」
杏子はいきなり変な言葉を贈られ困惑したが、あることを思い出した。
「それって、ホストのーー」
「知ってんなら、話は早ぇな、とにかくはそういう事だ」
杏子に贈られた言葉は、銀時の記憶で息子の顔を一目見たい理由で上京してきた『母親』のことを思い出していた。
「いや、アンタの記憶を知らなきゃ意味わかんねーよ、でも、アタシがその『母ちゃん』みたいにはなれるとは限らねーぞ?」
銀時に突っ込みながら、杏子はそう疑問をぶつけた。
「少なくとも、利害だけで動いたわけじゃねーだろ? 何はともあれお疲れさんだったな・・・・・・さやかを元に戻せたのもお前が必死こいて戦ったからだしよ」
銀時の感謝の言葉に、杏子はそっぽ向きながら照れた。
「・・・・・・別に感謝されるようなことはしてねェよ馬鹿、調子狂うんだよ」
杏子は少し悪態をつきながら照れていたままだった。
「・・・・・・ありがとな、色々と」
それが精いっぱいの銀時への感謝を告げた。
「・・・・・・あ、言い忘れてたわ・・・・・・お前間違ってもチンピラになるんじゃねーぞ、椿平子とかそんな感じの」
「いや、アンタの記憶を知らなきゃ分からねーこと言ってんじゃねーよ」
銀時の言葉にそう反論交じりのツッコミを入れる杏子だった。
「えー次は・・・・・・
「どうしてあなたは巴マミと書いてノー〇ットと読むの・・・・・・? しかもまた殺虫剤っぽい名前よね?」
銀時の点呼で、自分の名前に突っ込みを入れたマミ。
「本気と書いてマジと読むのと同じ理屈です、ありがとうございました、はいじゃあ次―」
対する銀時はマミをぞんざいに扱った。
「終わり!? 私、まだ何の言葉も受け取ってなんだけれど!?」
さすがのマミも、反論した。
「心配すんな、一割冗談だから」
「九割は本気ってことよね、それ」
銀時の対応にげんなりの表情をするマミ。
「冗談は置いといてだ・・・・・・えー・・・・・・」
銀時は考え込む仕草をしていた。
「・・・・・・・・・・・・?」
マミは銀時に贈られる言葉を期待していたがーー。
「・・・・・・特にないんでパス」
「何で私だけそんな感じ!?」
最後の最後で、ぞんざいな扱いを受けるマミ。
しかしーー。
「まあアレだ、お前の場合はもう少し汚れてもいいんじゃねーか?」
最後の最後で、マミに言葉を送る銀時だった。
「よ、汚れて・・・・・・?」
銀時に贈られた言葉にマミは困惑した。
「綺麗なやり方ばっかじゃ見えねえこともあんだろ、泥臭ェやり方でもいいじゃねーか。 どんなことでも最後までやり抜いてみな、そうすりゃ新しい道だって見えてくんだろ」
マミは、自分の生き方が脳裏に過った、そしてーー。
「諦めない心・・・・・・ね、先生・・・・・・ありがとう」
マミは、銀時から受け取った言葉を胸に感謝を告げた。
「最後・・・・・・美樹さやか―」
「はい!」
銀時の点呼に、さやかはハッキリと返事をした。
「お前はいろいろ引っ掻き回きまわしやがって・・・・・・こっちの身にもなれってんだ」
銀時の苦言に、さやかはたじたじになっていた。
「ご、ごめん・・・・・・あの時のあたし、どうかしてて・・・・・・」
さやかはバツが悪そうに、銀時に謝罪した。
「あんだけのことがあったんだ、もう進んでいく方向を間違えはしねぇだろ」
「え・・・・・・うん、多分」
さやかは少し自信なさそうに、そう返事をした。
「心配いらねぇよ、テメーはもう大切なモンを持ってる・・・・・・俺が保証してやらァ」
銀時はそうさやかを励ました。
「ありがと・・・・・・先生」
さやかはそう、銀時に感謝の言葉を告げた。
すると、銀時の体が光りながら半透明へとなっていた。
「さて・・・・・・ともういよいよ時間がねーな・・・・・・」
「・・・・・・行かないでよ、先生」
さやかはたまらず、そうつぶやいた。
「そればっかは無理だな、俺にもどうにもならねーしよ」
「・・・・・・・・・・・・」
銀時の言葉を聞いて、杏子も寂しさの表情が浮かんでいた。
そんな中、銀時はまどか達に微笑みながら、最初で最後の教えを告げた。
「テメーらが俺を忘れようがそれでつながりが切れるわけじゃねェ・・・・・・魂がつながってるなら・・・・・・俺とテメーらはずっとダチ公なんだからよ」
そんな言葉に触発されてか、全員が銀時に言った。
「・・・・・・あたし、絶対忘れないから! 先生のこと、絶対に!」
「アタシも・・・・・・絶対に!」
「また・・・・・・いつか必ず!」
「必ずまた一緒に・・・・・・先生!」
「・・・・・・これが永遠の別れだなんて言わせない、また会う日を楽しみに待ってるわ」
さやか、杏子、マミ、まどか、ほむらと次々と再会の約束を銀時に告げた。
「・・・・・・ああ、いつか・・・・・・な」
ーーそして、次の瞬間
ーー坂田銀時という名の存在は・・・・・・まどかたちの世界から完全に消え失せた。
はい、前回のワルプルギスの夜との最終決戦後のまどか達の別れのシーンです。
エレファント速報をベースにしております。
銀時がまどか達に送った言葉が、『魔法少女システム』から解放された世界でどう生きていくのか、それは彼女次第だという事になります。
ここからは私事になりますが、このシーンを書いているとき、エレファント速報の原作を読み返すうちに、涙が出ました。
この小説を書いているときも、涙が出ました。
さて、前回、まどマギ本編の話はこの章で終わりですが。
次回は、銀八先生の説明と、エピローグを二話を掲載させてもらいます。
ご意見、ご感想お待ちしております。