ようやく魔法少女の宿命から解き放たれたまどか達の日々を少し見て生きましょう。
それでは、どうぞ。
エピローグ1 暁美ほむら
ワルプルギスの夜との戦いから一か月が過ぎた。
見滝原市は、ワルプルギスとの戦いでかなりの被害が出ていたため、見滝原中学校はその間休校していた。
ビルの瓦礫とか、道路の破壊の跡、爆発した場所があったため、見滝原市がそれぞれ対処していたため、学校どころではなかった。
見滝原が
***
見滝原 通学路
「ほむらちゃん! おはよう!」
「まどか! おはよう!」
背後から来たまどかの挨拶に、ほむらは明るい声で返事した。
一か月明けの登校に少し会話が弾む二人の足取りは軽かった。
すると、二人の前に見覚えのある後ろ姿があった。
「あっさやかちゃんたちだ!」
まどかが一緒に登校しているさやかと杏子そしてマミに駆け寄った。
「よっ! まどかにほむらじゃん! 今日も仲がよさそうで・・・・・・妬けちゃうなー」
「おはよう、二人とも」
「しっかしいい天気だなー、あの白い雲とかのんびり浮かんでさぞかしいい気分だろうな」
「もう杏子ちゃんったら」
そんな四人のやり取りを見ていたほむらは、自分の左手を見ていた。
(あの戦いから一か月、みんなのソウルジェムは私を含めて元の体の中に戻ったのは夢なんかじゃない)
ほむらはワルプルギスの戦いが終わってから、今日まで平和を謳歌していた。
(その証拠に、魔女とキュゥべえの姿は見えない、私たちは人間に戻れたのね)
何度も、この光景が夢ではないかとほむらは何度も過ることがあった。
でも確かに、自分も含め、まどかとさやか、杏子とマミはこの世界にいた。
その四人も同じように、左中指にソウルジェムはなかった。
あの時、全世界の魔法少女を人間に戻したのと同じように、
本来、願いがかなった代償として、その分の絶望によってまどかは魔女になっているはずだった。
それすらもないという事は、全世界の魔法少女はまどか自身も含め、人間に戻ったという事だった。
それを現実にしたのは銀時がまどかの意識を変え、自分自身も生きることを放棄しなかったお陰だった。
ーーしかし。
(おそらく、みんなは
そう、ほむら以外、銀時のことを忘れていると考えていた。
***
一か月前 見滝原体育館
まどか達は、避難所の見滝原体育館に戻っていた。
まどかの両親たちはてんやわんやの大騒ぎだった。
当然、説教はされた。
それからしばらく、三日間は避難所に待機していた。
その間にほむらは早乙女を探していた。
あることを確認するためだった。
「あの、早乙女先生」
体育館の階段で早乙女の姿を見つけたほむらはあることを確かめるために尋ねた。
「何ですか? 暁美さん?」
「あの、うちのクラスで、坂田銀八っていう教育実習に来た先生をご存じですか?」
そう、ほむらはこの世界で『
出来れば、覚えていてほしいと内心思っていた。
だがーー。
「あの、暁美さん、うちのクラスに坂田銀八っていう先生はいませんよ? というか教育実習の先生を入れる予定なんてありませんよ?」
一瞬、ほむらの表情は固まったが、気をもちなおした。
「すみません、勘違いしてしまって」
ほむらは早乙女に不審がられずに、そう答えた。
「暁美さん、三日後には自宅に戻れますが、無理はしないでくださいね、心臓の手術から三週間たったとはいえ体調には気を付けてくださいね」
そう早乙女に言われて、ほむらは早乙女に礼を言って後にした。
(やっぱり銀時のことは、みんな、いやこの世界から消えたのね)
早乙女とのやり取りの後から三日後、ほむらは三叉路のアパートに戻り、自分の隣の部屋を確認した際
に、『坂田銀八』の名札はなかった。
大家から話を聞いたところ、隣の部屋は誰も住んでいなかった。
その夜、ほむらの頭にある記憶が書き加えられていた。
魔法少女が居ない世界で過ごした記憶ーー。
それが夢見と走馬灯が混ざったようにふと、思い出すかのような感覚で見ていた。
魔法少女として出会ったマミとの出会いも違うものとなっていた。
ーーマミとの出会いは、まどかと一緒に見滝原を歩いているときに両親と一緒に買い物をしていたマミと、紅茶の専門店で知り合っていたこと、一人暮らしは高校の受験を見据えて、家族会議で決めていたという事。
魔女がきっかけとなった杏子とさやかの出会いも違ったものとなっていた。
ーー二人はゲームセンターでダンスゲームを一緒に対戦していたことがきっかけで知り合いになっているらしい。
ちなみに、杏子が見滝原中学校に登校していたのはさすがに驚いていた。
ただそれでも、ほむらは魔法少女として戦った記憶と銀時のことを覚えていた。
***
ほむらは四人の会話を見ながら、銀時のことをなぜ覚えているのかを考えていた。
(なぜ私だけが、魔女の記憶を持っているのか分からない・・・・・・時間逆行の能力を持っていたことが関係しているのだろうか?)
ほむら自身、仮説を立てたのは、記憶があるのと他に自分の視力を魔力で矯正していたからだ。矯正が消えていないのは、証拠としてはまだ不十分だった。
(・・・・・・もっとも、今はそんなことはどうでもいい)
ほむらは魔法少女としての記憶は重大ではなかった。
(そう、魔女の存在を忘れているという事は・・・・・・一緒に戦った
ほむらは、四人から銀時のことを聞くのが怖かった。
銀時と過ごした日々がまどか達の中から消えていることを確かめるのをためらっていた。
(仕方ないこととは思っていても、やはり心のどこかでは割り切ることができない)
ほむらはそう思いにふけっている中ーー。
「ほむらちゃん?」
ふと、まどかがほむらを呼んでいた。
「なに、まどか?」
思いがけず、ほむらはまどか達の方に向いていた。
「みんながさ、あの雲を見てのんびり浮かんで気持ちよさそうって話してて・・・・・・ほら、あそこ!」
まどかはほむらに見せたかった雲を人差し指でさしていた。
ほむらは、まどかがさしていた雲を見つけた。
――それはまるで、白髪の天然パーマのような雲だった。
(銀時、あなたは元の世界に戻れたの? その世界であなたを待っている人に会えたの?)
ほむらは銀時が元の世界に戻れたのかが気がかりだった。
そんな時だった。
「アタシさ、ああいう雲見てると・・・・・・思い出しちゃうんだよな」
「!」
「そうね、元気でやっているといいんだけれど・・・・・・」
「大丈夫だって! またいつかひょこっと顔を出したりするんじゃない?」
「・・・・・・!?」
三人のやり取りにほむらは驚いていた。
(まさか・・・・・・覚えている・・・・・・? 魔女たちのことを完全に忘れているんじゃ・・・・・・?)
そう思いながらも、ほむらは四人に尋ねた。
「みんな・・・・・・もしかして・・・・・・」
「ほむらちゃん、それ以上は・・・・・・ね?」
見れば、まどかは笑いながら口元に指を当てて、それ以上の言葉は言うべきではないとのしぐさをした。
「ま・・・・・・まどか・・・・・・?」
まどかの笑顔に少し戸惑ったほむらは言葉を失った。
すると、周りを見渡すと、さやかと杏子、マミも微笑んでいた。
その後に、空気を換えるかのようにーー。
「・・・・・・さあ、学校に行こう! みんなも遅刻しちゃうよ!」
まどかは、四人にそう言って学校に向かうことを伝え駆け足で学校に向かった。
「そうだな、遅刻したら早乙女先生に雷を落とされそうだしね」
「そうだった、早乙女先生のこと忘れてた」
「私も早く学校に向かわなきゃ」
三人は笑いながらも、まどかと共に駆け足で学校に向かった。
「・・・・・・」
四人の後ろ姿を見ながら、ほむらの口元が緩みーー。
「フフ・・・・・・」
笑いながら、銀時の言っていた言葉を思い出していた。
『テメーらが俺を忘れようがそれでつながりが切れるわけじゃねェ・・・・・・魂でつながってるなら・・・・・・俺とテメーらはずっとダチ公なんだからよ』
銀時の言葉が頭に過ったほむらは四人の後を追いながら、心の中で銀時に対して呟いた。
(銀時、私たちは忘れないわ。 いつでも、どこでも、私たちのために戦ってくれていたあなたがいてくれたことを・・・・・・)
四人の元に駆け寄りながら、ほむらは足を踏みしめていく、今度は自分自身の未来に進むためにーー。
(私たちが生きている限り、私たちとあなたのつながりは・・・・・・永遠に途切れたりしないわ)
ほむらは四人の元に追いついた後に、全員それぞれの歩幅でそれぞれの未来に歩んでいくように進む。
(あなたのおかげ・・・・・・私は・・・・・・私たちは・・・・・・)
そして、ほむらは心の中でーー。
(だから、もう一度だけ言わせて?)
ほむらは満面の笑みで、感謝の言葉を銀時に通じていると信じてーー。
(ありがとう)
そう、感謝の言葉を伝えた。
はい、エレファント速報で、最後のシーンをオリジナル混ぜ混ぜで書かせてもらいました。
まぁ、銀時の記憶がほむらだけという設定をそのままにしつつも、まどか達には無いかもしれない、っていう流れを書き戦ったのでーー。
それに、まどか達が銀時のことを忘れていなかった流れを、そして、ほむらが笑いながら、仲間と未来を進んでいく流れにしたかったので、この文面になりました。
それでは、プロローグ2 坂田銀時を乞うご期待。
ご意見ご感想、お待ちしております。