巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。   作:背の高い吸血鬼

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そして、アンケートへのご協力、誠にありがとうございましたm(__)m


12話 発見

暗闇の中、急速に小さくなって行く光。無意識に自身の体を抱くも震えは止まるはずもなく、途轍もない落下感に『やば、死にそう!?』なんて思いながら春香は、冷や汗を滝の様に流し、盛大に引きつった表情で、消えゆく光を凝視した。

 

春香は現在、ナラクを思わせる深い崖を絶賛ロープ無しバンジー中なのである。凝視している光は、地上の明かりだ。オルクス大迷宮の探索中、巨大な大地の裂け目に()()()()()()()()()()()春香は、遂に光の届かない深部まで落下し続け、轟々と唸る風の音を聞きながら、震える手で、バッグの紐を引いた。

 

「うっ・・・グッ!?」

 

背負ったバッグから勢い良く布が飛び出し、晴香の上でお椀状に変形したソレ―――パラシュートの展開により空気抵抗が一気に増した為に発生した減速の衝撃に、思わず呻き声をあげる。

 

良かった、ちゃんと展開したよ・・・

 

晴香が製作したのは、所謂【マッシュルーム型】と言われるパラシュートである。勿論、パラシュートなんて実際に製造した経験など無く、これがぶっつけ本番の初使用になった訳だが、安全性を考慮して布が破れないよう二重で鉄線で編まれており、紐も鉄製。その分、重量は増加したけど、安全性と耐久性の両立に必要な事だった。

 

万が一展開しなくても、前に背負ったもう一つのパラシュートを使うつもりだった。もし、最後のパラシュートが展開しなければ、ハジメさんと同様、滝にダイブして運任せになるところだったよ・・・

 

前のパラシュートを【異界収納】に仕舞うと、明かりの魔法具を取り出した。

 

この魔法具は市販で購入したものだが、リミッターを外しているので物凄く眩しく光る様になっている。その為、魔力消費が激しいのだが、補給用の魔石は事前に数十個所持しているので問題無くともし続ける事が可能だ。それで下方を照らす。5分程しか持たない代わりに光の強さは強力であり、周りの壁や下100~200m程落の様子がよく見える。下速度が低下したことから、壁からせり出ている横穴ジェットスライダー発見が楽になるだろう。

 

問題があるとすれば、鉄砲水の如く水が噴き出した、ちょっとした滝にぶつからないかだろう。その場合に備えて、強風を発生させる魔法具も入手しており、それで私自身を押して移動させる方式だ。操縦性が悪いったらありゃしないけど、こればっかりは仕方がない。最悪、パラシュートを捨てて、壁をゆっくり下りて行くことも可能だが、それは最後の手段にしたいものね・・・

 

落ち続ける事数分。

 

漸く滝が見えて来た。勢いはそれ程強くはなく、パラシュートには当たらないだろう。万が一に備えて強風の魔法具は用意しておくが。

 

ザァザァと大きな音が四方から聞こえる。この滝にハジメさんは何回も追突し、弾き飛ばされて横穴に入ったとあるが、奇跡どころか本作の御都合だと思っちゃうんだよね。だって、秒速何キロの落下速度で滝に衝突してるのよ。ステータスを得ていても常人よりちょっと強い程度のステータスしかないハジメさんは何処も骨折せずに、ただ意識を失っただけ。私は耐えられるかな?

 

滝を一瞥する。無理だろうなぁ・・・

 

良くて打ち所の悪い複雑骨折。悪くて即死だね。

 

「・・・お、アレかな!」

 

下方に一本の滝から流れ出た奔流の水が、壁際を流れながら横穴へと消えて行くのを確認できた。その他にも似た様なものが無い為、多分ここであっているのだろう。私は、強風を吹かせる魔法具で位置調整を行いながら、横穴の出っ張り部分に降下する。首に掛けてある明かりの魔法具に照らされて判明した着地地点上空からゆっくり・・・そして着地。急いでパラシュートを【異界収納】へと仕舞い、流されるのを防いだ。

 

ここが例の横穴。なるほど、勢い良く水が流れている様子からウォータースライダーと表現されていたが、正に天然のウォータースライダーである。

 

激しく流れるスライダーの横には、如何にか人一人が歩けるスペースがギリギリ存在しているので、其処から滑らない様に慎重に歩いて前へと進む。勿論、安全策として靴底をスパイク状に錬成してあるので、滑って流されるなんているヘマを晒す事は無いだろう。此処を流れる水は地下水とのことで物凄く冷たいらしい。ずぶ濡れになったら動きずらいし体温を奪われてしまう。

 

それと、魔力探知の使用も忘れない。ハジメさんは大丈夫であったが、万が一この通路上に魔物がいないとは限らないからね。それから、錬成[+鉱物系探査]の使用も。ここ、オルクス大迷宮は、言わば手付かずの資源豊富な廃鉱山の様なもので、彼方此方に鉱物が引っかかる。時々立ち止まって錬成で一部を採取し錬成[+鉱物系鑑定]で詳細を確認する。例え今は使えない鉱石でも使う場面が出てくるかもしれないので、それなりの量を確保する。【異界収納】様様だね。

 

「これは・・・」

 

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燃焼石

 

可燃性の鉱石。点火すると構成成分を燃料に燃焼する。燃焼を続けると次第

に小さくなり、やがて燃え尽きる。密閉した場所で大量の燃焼石を一度に燃

やすと爆発する可能性があり、その威力は量と圧縮率次第で上位の火属性魔

法に匹敵する。

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ここで出たか・・・

 

私の錬成の練度では扱えないので、今は無用の長物だけど、後に大量に必要となるので、ここら一帯の燃焼石を取れるだけ採取しよう。幸い手持ちには困らないし、魔力が無くなったとしても魔力回復薬は【ユンケル商会】から100本単位で購入してるからね、問題はない。

 

全て採取しつくすと、歩みを進める。周囲を隈なく警戒しながらなので進みは遅く・・・ん?ここって、

 

既視感を感じた。そう、流されたハジメさんが漂着した場所だ。此処で目を覚まし、濡れた身体を温め衣服を乾かす為に初級火属性魔法【火種】で大苦戦する、例の場所だ。と言う事は、此処から先は通路が10~20m程と広くなり、凸凹の段差が常に存在し続け、正に自然の洞窟といえる複雑な地形へと変わる。幸い魔物は出現しないらしいが、慎重に慎重を重ねて進む。

 

幾ら出現せずとも万が一があると危険すぎるので、物陰に隠れて移動する。この通路はずっと真っ直ぐ続いているらしいので、道に迷う事は無いだろう。

 

そうやってどれくらい歩いただろうか。

 

晴香がそろそろかな?と感じ始めた頃、遂に初めての分かれ道にたどり着いた。巨大な四辻である。私は岩の陰に隠れながら、後退する。そして、横の壁に錬成で穴を空け、通路を確保した。史実で有れば、四辻のどの方向を行こうかと迷うハジメさんが蹴りウサギに遊ばれて、爪熊に左腕を捕食されるが、晴香はそれを事前に回避する。作った通路に空気穴だけを設ける形で塞ぐと、斜め下方向に向かって高さ50cm程度の道とも言えない道を制作して下へと進む。

 

大体5m程を掘り進むと、頭上から振動が幾たも発生し、パラパラと砂が降ってくる。如何やらハジメさん無しの戦闘が始まったようだ。

 

崩落しないだろうか?とびくびくしながら、今度は横方向に掘り進む。

 

ハジメさんは蹴りウサギの砲弾のような攻撃を躱し、二撃目で左腕をポックリされながら壁際で諦めの表情を浮かべている事だろう。止めだ!と言わんばかりに大きく振りかぶられた片足に、恐怖から目を瞑る。そのシーンが、私の頭上近くで発生する予定だった。と言う事は、もう少しで引っかかるはず・・・

 

その時である。

 

 

―――ふふふ、みつけた!

 

更に掘り進めた時、強大な魔力反応を数メートル先から感知できた。

 

ソレを横から確認すれば、そこにはバスケットボールぐらいの大きさの青白く発光する鉱石が存在していた。蒼をもっと濃くしたアクアマリンの如き、淡く発光する神秘的で美しい結晶

 

―――そう。これがハジメさんを救うはずだった【神結晶】である。

 




史実を知って居るということは、未来予知とある意味同義である。

・・・多分。
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