巻き込まれたので、ハジメさんの立場(原作の)を簒奪する事にしました。   作:背の高い吸血鬼

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おはようございます。
執筆時間が確保できない・・・


23話 サソリモドキ

距離が距離なので、サソリモドキは尻尾の針から毒々しい紫色の液体である溶解液を噴射してくる。銃弾程ではないがかなりの速度で撃ち出されたソレを、晴香は横に飛んで避けると、そのまま44式50mm狙撃砲を発砲する。

 

ズガァンッ!

 

凡そ人が持って扱う武器とは思えない大威力による反動。マズルブレーキ(発射時の銃の反動・砲の後座距離の減少を目的として銃・砲の【銃口・砲口(マズル)】に装着する装置)を装着しているとはいえ、常人では上半身が吹き飛ぶような反動が晴香を襲う。しかし、上がったステータスにより全く微動だにしないのは流石化け物と言えよう。

 

最大出力の【纏雷】により電磁加速されたその砲弾は、本来であれば戦車の装甲を破壊する程度の威力を、数十倍に跳ね上げさせる。

 

実戦で何度も何度も射撃してきたその腕は確かであり、狙った通りの場所目掛けて砲弾が突き進む。しかし、サソリモドキはいち早く攻撃を察知して回避行動をとっていた。流石叔父様製ガーディアンだけの事はあったが、瞬刻に到達する50mm砲弾を完全には回避できず、硬質さで自慢の四本の長い腕に巨大なハサミのうち右側二本が付け根ごと吹き飛ぶ。余波で右半身のシュタル鉱石製外殻を大きく削られ、その強大な衝撃により後方へと吹き飛ばされた。

 

「キシャァァアアアァアアアアッ!?!?」

 

吹き飛ばされた腕か、削られた外殻の所為か、はたまた両方なのか。壁に激突したサソリモドキが絶叫を上げ、この封印部屋の空気を震わせる。

 

「見た目にそぐわずメッチャ硬い!」

 

史実で知っていたけれども、まさか50mmレール砲を喰らっても元気に悲鳴を叫べる体力がある事に驚く。晴香は甘く見ていた訳ではないが、この一撃でサソリモドキは戦闘不能に陥ると予想していたのだが、悪い意味で裏切られた。直ぐに起き上がって攻勢に転じたサソリモドキに対し、ユエを背負って重量の44式を扱うのは流石に難しいと理解している晴香は【異界収納】に収納。そして、遠隔召喚にて突進を噛ましてくるサソリモドキに置き土産を投下すると、直ぐに安全圏へと撤退すべく縮地を発動。

 

先の戦闘に、晴香の背中越しからユエの驚愕が伝わって来た。

 

見たこともない武器で、閃光のような攻撃を放ったのだ。それも魔法の気配もなく。若干、電撃を帯びたようだが、それも魔法陣や詠唱を使用していない。つまり、晴香が自分と同じく、魔力を直接操作する術を持っているということに、ユエは気がついたのである。

 

自分と【同じ】。そして、何故かこの奈落にいる。ユエはそんな場合ではないとわかっていながらサソリモドキよりも晴香を意識せずにはいられなかった。

 

一方、晴香は縮地でサソリモドキの後ろを取ると、必然的にサソリモドキも晴香へと向き直る為にその場で方向転換。その場に止められ事が罠だと気付いたのは、その直後だった。知らぬ間に落下してきた金属球が大きな音を立てて破裂すると、サソリモドキの視界が黒に、そして真っ赤に染まる。

 

今回初使用(試験はした)の【焼夷手榴弾】という手榴弾の一種である。三階層で大量に手に入れたフラム鉱石を利用したもので、摂氏3000度の付着する炎を撒き散らす。06式のレールガンでもダメージの無いサソリモドキだが、この攻撃は効く。晴香への突撃を中断して、付着した灼熱の炎を引き剥がそうと大暴れした。その隙に、【異界収納】より黒く、太く、そして長い筒状の物を取り出す。

 

背負うユエに被害が出ぬように片手で構えると、トリガーを引いた。

 

「ぶっ飛べっ!」

 

―――バシュッ!

 

何処か気の抜ける音と共に飛び出したのは直径84mmのロケット弾。晴香の手に持つ【25式84mm無反動砲】と名付けられたソレは、飛翔する弾頭内部に44式50mm狙撃砲に用いる炸薬量の約25倍の粉末燃焼石を圧縮して詰め込んだ特性の榴弾である。ナパームの如く燃え上がる灼熱地獄に気を取られていたサソリモドキは、射出音に漸く気付いた所で再度吹き飛ばされた。

 

―――ズガァアアアアンッ!!

 

空間を軋ませるような大爆発。背負ってるユエがビクッと小さな体をすくませた。

 

一度距離を取り、錬成で地面を盛り上げて即席の壁を作ると、その隙間から爆炎に包まれたサソリモドキを見た。

 

「・・・ありえない」

 

背中から覗いたユエと見た光景は、七本の脚(一本は吹き飛ばした)をワシャワシャさせて引っ繰り返っていた自身の体を起こす所であった。全くと言って良い程の無表情だが、瞳の奥は驚愕に揺れている。一方の晴香だが、とても苦い表情を浮かべていた。25式の一撃で行けば最低でも行動不能は硬いと思って居た。が、サソリモドキは耐えてしまう。これ以上に強力な兵器は開発していない為、如何したものかと対策が浮かばなかった。

 

否、実際には浮かんでいた。晴香の十八番【錬成】でのサソリモドキも外殻突破である。しかしそれは、魔力の回復しきっていないユエを危険に晒してしまうので、有り得ないと切り捨てていた。

 

「キィィィィィイイ!!」

「やばっ」

 

悪寒が駆け巡り、瞬時に縮地にて現在地から退避。この鳴き声はサソリモドキの能力である地面を操作する固有魔法の発動予兆。

 

晴香が地面から飛びのいた瞬間、地面が蠢き円錐状の刺が無数に突き出す。後数コンマ離脱に遅れが生じて居たら、史実ハジメと同様に態勢を崩した不完全な縮地での退避となっていただろう。しかし、安心はできない。即席防壁に隠れた晴香たちを押し出そうとしたサソリモドキの策だからである。

 

飛び出した晴香たちに向けて、背後からもユエを狙った棘攻撃が迫る。無理に庇おうとすると態勢を崩す為、ユエには攻撃が当たらない様に回避する。若干晴香の服を削ったが行動に支障は無く、空力を用いて方向転換。晴香の消えた空間に針が殺到。溶解液も飛翔してくるので回避。

 

「シァアアアッ!!」

 

打開策が無くて回避に専念するしかない晴香に対し、中々命中しない針攻撃等で痺れを切らしたサソリモドキが四方八方、滅茶苦茶に針や溶解液を飛ばす。

 

直接狙われていた方が回避しやすかったのに対し、この攻撃では移動した先にも偶然飛翔中の針や溶解液があるかもしれないとして慎重に成らざる追えず、回避速度が低下した。それを好機と見たサソリモドキから周囲に弾幕を張られ、本命と言わんばかりの針数本が迫る。

 

乱暴に扱っても壊れない06で撃ち落とし、バレルで弾く。弾けないと瞬時に理解すると、極短距離の縮地にて回避。その間に消費した弾丸を【遠隔召喚】にて再装填し―――

 

「しまったッ!?」

 

訓練と実戦は違う。訓練ではその一つの行動に意識を向け続けられるが、この実戦では護衛対象であるユエに、迫り来る針や溶解液に、敵の固有魔法に、サソリモドキ自体に、この場の環境などに全神経を集中させて状況判断を下さなければならず、一方向に意識を固定するのは、それ即ち死である。しかし、だからと言って意識を分散させすぎるとこのように・・・

 

六発の弾丸がシリンダーでは無く、宙に放り出されてしまった。再装填の失敗である。

 

この失敗による動揺と隙の絶好のチャンスを逃すサソリモドキでは無い。攻撃の密度が上昇する。

 

「チッ!」

 

数本は回避し受け流せたが三本は無理だと判断すると、【金剛】を発動し、自身をユエを守る盾に使った。その直後、強烈な衝撃と共に鋭い針が晴香の体に深々と突き刺さった。金剛により防御力を底上げしているにも関わらず、晴香の皮膚を突き破った針だったが、急所は避けていたので、幸いと言えるか不明なダメージだが行動に支障はない。

 

「ハルカっ!」

「大丈夫、それより目を瞑って!」

 

ユエの心配を余所にサソリモドキの意識を逸らす為と、更なる追撃が発生せぬよう、閃光手榴弾を投げる。

 

その一秒後、サソリモドキの眼前で強烈な閃光を放った。

 

「キィシャァァアアッ!?」

 

突然の閃光に悲鳴を上げ思わず後ろに下がるサソリモドキ。目によって晴香の動きを視認しており、飛んで来た物体を直視して居たのが仇となる。その間に現在地から離れると、神水試験管を開封して飲み干し、開いてる片手で突き刺さった針を引き抜く。

 

「ぐっ」

 

腹を穿つ程度の痛みはサリン擬きに比べるとそれ程でもないが、痛いのは痛いので思わず呻き声が漏れた。

 

(くぅ~・・・これじゃぁ史実と同じだよ!歴史の修正力でも働いてるのか!)

 

愚痴とも言えない苦言を内心で呈しながら、全ての針を抜き取って【異界収納】へと仕舞った。投げ捨てようかと思っていたが、落ちた際になる音で居場所がバレるかと判断した結果である。未だに視力が回復しきっていないサソリモドキを一瞥しながら晴香は、さてどうするかと悩んだ。25式での飽和攻撃にて奴を討伐するのも手かもしれないが、25式は一門しかない。再装填も都合上【異界収納】が使用できない設計になっている為、一発撃つのに最低でも5~10秒は掛かる。それではダメだ。

 

やはり接近して直接突破するしかないのか?と、思考を巡らしていた所で、背後からぽつりと、消えそうな声で呟かれた。

 

「・・・どうして」

「うん?」

「どうして逃げないの?」

 

自分を置いて逃げれば助かるかもしれない、その可能性を理解しているはずだと言外に訴えるユエ。それに対して、物凄い既視感を感じてる晴香は、その胸中を外に漏らさない様に見繕い、少し間を置くと口を開いた。

 

「ユエは私に自分の運命を委ねた。なら、私はユエの運命を任される身として絶対に救わなければならない・・・・・・って言うのは建前。本当はね―――」

 

一旦ユエを降ろし、振り返る。少し屈み視線を合わせ、紅くルビーの様な綺麗な瞳を見つめると、晴香は微笑みながら本当の訳を語る。

 

「貴方を一目見た時から、此処から解放してあげたいって思っていたからよ。だから、私はユエを置いて逃げるなんて事はしない。見放すなんてもってのほか。それに、ユエの願いでせっかく封印を解いてあげたんだよ?だったら、此処から二人で生き延びて外に出たいじゃない!」

 

その時のユエの表情は、無表情なのに変わりはないが目は見開いていた。

 




因みにこの時、晴香は完全に44式狙撃砲の事を忘れております。
※サソリモドキ混乱時の隙にコレをぶっぱすれば倒せるんじゃね?と思った方に対する解説。それと、作者的にソレの方が都合が良いからです(こっちが本命)

しかし、小説を書く(ほぼパクリですけど)のって本当に難しい。ご素人の私がユエと晴香の会話を書いたわけですが、最後の晴香のセリフはこれでよかったんでしょうかね?語彙力の無い私にはこれで良かったのか?と投稿予約する直前まで悩みました。が、私の書く力はその程度との考えに至りましたので、コレでこれからも行かせていただきます。

それと、次回の投稿ですが、また三日ほど時間を下さい(切実)(;∀;)
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